260 【R18ペア村】“Bloody Curse”
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[ 硝子を伝う、指は、 銀色がある感覚があるっていうのに、 まるで見えやしないから、 未だ、故人と会わない頃を 思い出させる。
足癖の悪い"いやがる"おとこに、
─── 相変わらずだなあ、 それじゃあ今度連れて行こう。 ……なんて、果たしてどちらがこどもなんだか、 あかいろを細めて、わらう。 ]
(25) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ ─── おとこは 結局何でも良かったのだ。 都へ行っても、此処へ留まっても。
かぞく、は。 もう随分前に逝ってしまった、 祖父母たちだけであったのだし、 拘りも何も無いおとこのもとへ、 滑り込むように、店を構えた故人がやってきた。 たった それだけだった。 ]
(26) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ 都へ送った あの日、 ほんとうは馬車の、隣に居たはずで。
"彼奴が喜んじゃうから待ってて"って、 真面目な顔で言われたので、 結局 大人しく待っていた そんな 話。
……結婚だって、そんな風だった。 言われたから、そうした。って。 確かに、愛はあったと思うのだけれど、 色々と曖昧なおとこだ、そういう部分は薄い。
自覚はある。 ]
(27) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ 彼女のあれが気まぐれだったのか、なんだったのか。 おとこは、そう、何にしたって、 "運命"だろうという結論にしたけれど、
─── あのとき、もし、隣にいたら、 くらい くらい、箱の向こうに居たから。
置いていってしまわなくて 良かった と、 思ったような そんな気は、して* ]
(28) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ 彼女は今、何処に居るのだろう。 ぎんいろは、見えないから、居ないのかも。 どうだろう。
嫉妬の顔はよぅく覚えているから、 もしかしたら眼の中にでも居るのかもしれない。 ─── あかいろ、だし。
只、おとこからは見えないので、 気まぐれに、学生のころのように、 とん、 と、カウンターを蹴った。 ]
(29) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ 人生のやり直しなんてほど、 大げさなものじゃァ無い。たんなる気まぐれ。 何時ものことだ、そんな調子で、 頬杖をつこうとして、うっかり硝子を傾けて、 積んだ本を濡らしてしまったのは、……ご愛敬。 ほら おとこから故人は"見えない"ので、 ひみつで、ないしょということに。
濡れた指先も構わず、猫の眼が ゆら、 真白をたゆたう。 ]
(30) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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[ ─── そっか 成程。 だからカガは彼女が出来ないのか。って、 気がきかないなあ、追い打ちだってしてみせた!
……故人が嫉妬しちゃうって? 残念、だってこれは 適当で、気まぐれなおとこの、 ないしょのお話 ですので。 ]
(31) mayam 2019/03/14(Thu) 21時半頃
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うん。 だって俺、結婚の話したときのお前の顔に、 一番満足していたような奴だし。
…… まあ 誘われなかったら、 それはそれだけど。
[ あっさりと肯定した。 要は そう、めんどうくさい女かもしれない。
"彼女"なら いましたとも。 エミリオ って男は 人当たりは良いので、 誰かのいちばんというものに、なれるから。 ……概念が正しいかは、さておき。 ]
(57) mayam 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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誘ってくれなきゃ、 お前の"いちばん"だって わからないから。
知ってる?駆け引き。カルロしょーねん。
[ こういう奴なんだ、きっと。 優先順位も あいも 知らない、 興味の先しか 見るつもりのない おとこ。
誰かの居ない部屋、は 慣れていたし、 すきもきらいも 無かったけれど、 見るならば、ころころ変わる顔が良い。
なにをしても、大概のことはゆるしてくれるような、 そんな環境がいいのか、どうなのか、 …… なにを求めているんだか、 自分のことがいちばん わかっちゃいないけれど、 ]
(58) mayam 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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[ まったく、ほんとうに。 運が良かったのは、此奴で無く、 何時かの、俺だったんじゃ ないのか。
……此は"その気が無い"ので、 本人に言うつもりは全くないけれど。
ぎんいろの見えない世界で、 あかいろの瞳を 向ける。 ]
(59) mayam 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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─── ところで その前に、 この視界どうにかならない?
夜景だって見られなくなるし、 お前の面白い顔も見られなくなる、
……大変だ、死んでしまう。つまんなくて。 都に行く前に棺桶行きだ。
[ どうにかしてくれる?って、にんまりわらったまま、 もう一度、カウンターをかるぅく蹴ってみた。 夜景に 生活に 思いを馳せても、 いちめん おさきまっしろじゃあ 意味も無いって。
─── お前ならどうにかしてくれるでしょう。 信頼なんだか、任せきり なんだか。 "ゆるしてもらう"つもりなのを 隠しもせず。 ]
(60) mayam 2019/03/14(Thu) 23時半頃
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[ 無論 知っている。ずぅっと。 苛めっ子のカルロ少年を、 たすけ出してやろうなんて奴 たったひとり。 今も、自分しか居ないと信じている。 "ゆいいつ"で、"いちばん"。
嗚呼、でも、─── おとこは欲張りなので。 言って貰わないと、満足できないんだ。 きっとそういうところだって、 めんどうくさい 誰かさん。 ]
(73) mayam 2019/03/15(Fri) 21時半頃
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─── 死んじゃうんだよなあ。 つまんないよ、お前の面白い顔が見えないって。 俺、案外繊細だしさ。嘘だけど。
[ 輪郭に にんまり。 適当なことばをおとこは紡ぐ。 只、こんな口調であろうと、客観、 重傷らしいのはおとこの方であったので。 それはもう おつかいに行って貰うほか無かった。 ( ロザリオ?って、首を傾げつつ、 )
─── 昼なんだか、夜なんだか。 "対"が遠ざかってしまったから、また、 柔い光を一面に浴びたみたいな景色を、ぼんやり。
いってらっしゃい。って。 光に溶ける背中に投げた。 ]
(74) mayam 2019/03/15(Fri) 21時半頃
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[ ─── なんだ、未だ、あかるい。
消えたおとこの輪郭が戻ってきたのは、 きっと、時間で言うと結構経った筈、だけれど、 何せ、おさきまっしろとまっくろである。 本当に時間が正しいか、 そんなこと、分かる訳も無く。
……まァ、わからなくてもいいや。 おとこはやっぱり、適当。
扉の音、出かけた時より覚束なくなった足音、 それから 何かの叩きつけられた音を辿り、 ]
(75) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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─── たいへんよくがんばりました。
[ どういう立場、だったんだか。 それでもにんまり、笑みは崩さないで。 噂を拾ってきたといいつつ、 隣に陣取る相手を 迎え、
( ─── 近いから、一寸見えたんだ。 )
お疲れ様、の代わりに、 広い毛布の三分の二ほど、かけてやろう。
すこぅし 寒かったけれど、 おとこは おにーさん ですので、 此処は我慢ということで* ]
(76) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[ 扉を開けたのは、黒の瞳の、おとこだった。 まるで此れが当然だって、言わんばかりに。 ]
(77) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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─── それから、 ───
[ ─── 寝てるから、 嗚呼でも置いていくと、此奴泣くんです。
って、翌日やってきた魔術師相手に、 おとこのとなり、"ないしょ"のポーズをとりつつ、 "明るすぎる"部屋で治療を受けたのはすこぅし前の話。
一体どんな"ふしぎ"なのやら、 気が付けば数日前まで見ていた景色を再び見ていて、 おお とか、声を上げていた。 やっぱり眼鏡が一等良く見える。そんな風。
後に起こした隣人を魔術師に一時任せ、 最低限の荷物、鞄ひとつのみを持ち、 こうして また、本屋の扉を開いた。 ]
(78) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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─── 気分はどう? カルロ・ガヴィーノ・アネーリオ。
運がいいよ、お前。 俺の引っ越しを手伝える。
[ ほんとうに、なにもかも、何時かのよう。 暗闇の向こうに居るにんげんを、 眼鏡の奥から、覗き込んで。 はやく連れて行けと言わんばかりに、 鞄をたかく 持ち上げた。
──── 勢いで置いた本屋は、きっと、 気まぐれにおとこが戻るまで ずぅっとClosedの看板があるけれど、
何時になる ことやら* ]
(79) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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─── 都:或一室 ───
[ 微睡の底で、ふと 思う。 どうしてあの時、外さなかったんだっけ?って。
……未だ、愛していたから、とか、 きっとそういう理由じゃあないことはわかる。 愛していないか、というと "愛していたと思う" そんな回答には、なるけれど。
引っ越した先、流れ込んだ誰かの家、一室。 ─── 多分、深夜だったと思う。 くらいよるに、サイドテーブルのランプが灯っていた。 ( マスミの店から取り寄せた、 柔い光の、其れである。 )
光だけ認識しているような状況、 ベッドと枕に埋まっているおとこからしたら、 ちゃんとした理由にたどり着ける筈もなくて、 ]
(80) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[ ……それよりも、"そんなこと"よりも、 くらいよるだというのに、人の気配がしたから、 其方の方に、意識が向いていた。
うつ伏せ、の 体勢。 ベッド端から垂れた左腕、─── の、先。
誰かに持ち上げられているゆびさき、 ランプの灯で、オレンジにひかる "ぎんいろ"。 ]
(81) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[ その、さらに向こう側。を、目線は伝い、 ふ と、大きく開いた。
─── 嗚呼 そうだ 思い出した。 "このため"に ずぅっと 外さなかったんだ!
裸眼のぼやけた景色に居る"彼奴"を、 赤色なんてひとつも混ざらない瞳が 映す。 ]
(82) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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[ 眠気の混ざる 溶けたこえで。 それは、もう、満足と言いたげに わらった。 ]
(83) mayam 2019/03/15(Fri) 22時頃
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「 愛なんて きっと、ひとそれぞれだもの 」 [ ヴェールの向こうで、彼女は微笑む。 ]
[ ……結婚式の 記憶。 ]
(111) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ 微睡、 ]
[ 黒の視線、先を見てしまえば、 抜かれているんだか、嵌められているんだか、 なんだか何方にも取れそうな気がして、
ベッドに埋まったおとこは、 悪戯を仕掛けた"だれか"を見て、 また、とろ、と 思考を巡らせた。
………起きるまでには時間がかかるから、 ]
(112) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ ─── だって、知りたかった から、 結婚した時の、あの顔 とか、 ずぅっとほったらかしにした あの反応とか、
何処か 明確に掛け違えているものでも、 あの瞬間、瞬間に、満たされた気がしたから、 …… 扉を開いた あのときから、
其れを求めてしまうのは "ゆるされたい" ので、 ]
(113) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ ……なんでもいいから、 "さみしさ"を埋めてほしかったのは、 自分 だったのかもしれない。 ]
(114) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ 蕩けた瞳を 泳がせ、
─── そういえば おまえは、 そんな おれみたいに、 いい男じゃあなかった、
なんて 、ぽつ と、落とす。 ]
(115) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ ─── 待っていたのか、どうだったのか。
兎に角 この 全てに気まぐれで飽き性なおとこは、 絶えない興味の先というものに、 いっそ 執着すらしていたから、 待っていたんだよ と。言われてしまえば、
……そうなのかもな、と 納得すら、しそうで。 ]
(116) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ "しょうがないなあ" 何時もの調子で、 かるぅく支えられていた左手を 引いた。
"誓い"が とおくなっていく。
それから 指輪の痕を残した其れが、 宙に留まるのを ぼんやり見て。 ……長い間付けっぱなしだったんだ、仕方ない。 代わりが無いんじゃあ、 暫く故人の存在は主張されるだろう。
近所のおばさまたちに、 "うっかり無くしてしまって"とか、言わなくては。 曲がりなりにも 既婚者で通っていたので、……
─── まあ 及第点。 ゆる、と わらう。 ]
(117) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ ともだちらしい、ともだちはいなくて。 親も、いつの間にかいなかった。 祖父母は家族として、あいしていたけれど、 視線を正面に向けたときに 誰もいない気がして、
……結局こういう方法でしか たしかめられなくて。 強かといえば 聞こえはいいのか。 単に卑怯なだけだと 思うけれど、 ]
(118) mayam 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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