18 Orpheé aux Enfers
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/08(Wed) 01時半頃
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― 大練習室 ―
[バーナバスにはアリバイがある。 そう言ったジェレマイアには、えぇ、まあとはぐらかすような返事をしていた。
バーナバスに聴いていたのは主にスコアが亡くなった(と気づいた)時のこと。 酒盛りはともかく、酔っていたかとか、席を立ったのは誰かとか・・・ それから、どこにどう座っていたのか、とか。
まっすぐにバーナバスを見て、メモを取る様子は、 もしジェレマイアやサイラスがその場に一緒にいたなら 彼らに聞いたときとずいぶんと差があると見えたかもしれない]
え?ああ、はい。ありがとうございました。
[もういいか?と言うバーナバスを一度じっと見た後、 へらっと笑ってぺこりと頭を下げた。 最後まで、彼の帽子の下の表情は窺う事はできなかったのだろう]
(3) Cadenza 2010/09/08(Wed) 17時頃
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[練習室を出ていくバーナバスの背を黙って見ていた。 その視線はまっすぐで、表情には僅かに険しさが浮かぶ]
(・・・あの人・・・・・・?)
[はっきりと感じていた違和感。 それが彼の受け答えのどこに起因しているかは朧ではあるけれど。
例えて言うなら、真上から見ればクロスしている2本の棒、 しかし真横から見れば高さが違っていて実はクロスはしていない。 そんな、ひねくれた感じ。
バーナバスが練習室を出て行った後、 ポツポツとどこかへメールうを打ってからへらりと表情を崩して肩をすくめ]
副部長さん、掴みどころのない人ですねぇ。 ・・・いつも、あんな人なんですか?
[ジェレマイアとサイラスの方を見た。 その目は―笑ってはいなかった事に彼等は気づいただろうか]
(4) Cadenza 2010/09/08(Wed) 17時半頃
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それじゃあ、俺も一旦楽器片付けます。 出しっぱなしだし・・・ちょっと気分じゃないし。
[二人に軽く頭を下げて、練習中のままだった自分の楽器の方へと。 少しの間、携帯をいじっていたが、やがてそれをしまってから 簡単に楽器を片付け、メタリックシルバーのケースにしまって立ち上がる]
お先に、部屋戻ります。
[そんなふうに言って大練習室を後にした]
(5) Cadenza 2010/09/08(Wed) 17時半頃
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ヤニクは、もちろん―部屋に戻るつもりなんて、あるはずがなかった**
Cadenza 2010/09/08(Wed) 17時半頃
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― 練習室B ―
[片付ける間に返ってきたメールの返事に短く打ち返し、大練習室を出た足で練習室Bへ。 入ってから、扉をしっかり閉めてラルフの傍に立った]
すいません。遅い時間に。
[ラルフへ小さく頭を下げ、片付けの邪魔にならないように傍の椅子に座る]
相談っていうのは―どうも気になる人がいて。 先輩は、どう思うかなって。
俺は、何か知っているって感じてるんですけど。
[ケースを背負ったまま、椅子の背もたれを前にして寄り掛かかりながら、 口にするのはさっきバーナバスに感じた違和感の事。 些か声のトーンは落ち気味のまま、記したメモを見ながら話をする]
(10) Cadenza 2010/09/08(Wed) 19時半頃
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・・・と、そういう感じで。 返答としてはちゃんともらっているんですけど、 敢えて肝心なことを言わない気がして仕方ない。
ジェレマイアさんは、普段からああいう人だって言ってましたけど・・・
[どうもしっくり来ません。 と、表情で語りながらラルフを見た]
(11) Cadenza 2010/09/08(Wed) 20時頃
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/08(Wed) 20時頃
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[バーナバスが疑わしい人物であるのは確かだ。 しかし昼の合奏練習の様子を思い浮かべれば疑いきれぬ部分もある。 そんな釈然としないものを抱えながらラルフが考えこんでいる横顔を見ていた]
え? 誰のために、嘘をつく・・・か?ですか?
[背もたれを抱くようにしながら、顎を乗せる。 ううん、と声を漏らし、数秒後にラルフを見た]
誰って・・・そりゃぁ、やっぱり好きな人とか、護りたい人、とか・・・。 じゃないですかね?
[そういう話じゃなくて?と首をかしげる。 固有名詞を言えというなら言うけども、と]
(14) Cadenza 2010/09/08(Wed) 20時半頃
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まあ、俺というか、普通はそうなんじゃないですかね?
[らしいといわれて鼻の下を擦った。 この合宿の中の誰か…は言わなくていいと聞けば、言ってもいいんですよ? なんて少しだけ意地悪な目でラルフを見たけれど、それ以上はふざけることはなく。
ただ、ラルフの言うことはもっともだと思った。 所詮は半日だけの付き合いであって、相手のこともよくわからぬ状態だ。 いきなり何がわかるというものでもないのは明白。
だから、つい神通力なんて突拍子もないことを口にしてしまったわけで。 せめてばーちゃんが占い師で…とか、じーちゃんが魔術師でとか。 そんなのだったら俺にも隔世遺伝で多少の恩恵はあったんじゃないかとか そんなことまで考えてしまっていたりしたんだけど。
―生憎、そんな状況にはまったくないわけで。
くだらないことを考えていると、何かを考えていたラルフが口を開いた。 さっきまでよりも慎重に小さな声で言うものだから、 ぐい、と身を乗り出して耳を向けた]
(16) Cadenza 2010/09/08(Wed) 21時半頃
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[一度抱いた疑心はなかなか消えず、燻っている。 それは強い好奇心の裏返し、なのだろうけど。 合奏がしたい。と強く思っているからでもあった]
俺が違和感を感じたことは先輩にしか話してませんし、 明日、大学生の…特にあの二人のことを注意してみることにします。 変に疑いかけてギスギスさせてしまうのは嫌ですから。
[そんなことをしたらせっかくのステージをつぶしてしまいかねないし、 ぞっとするほどに楽しい時間を、失ってしまうから、と。 眉を下げた表情のまま、ラルフを見た]
(17) Cadenza 2010/09/08(Wed) 21時半頃
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/08(Wed) 21時半頃
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[心配の塊のような言葉に苦笑して]
大丈夫ですよ。俺だってそんなにガキじゃないんです。 何でもかんでも顔に出すような真似はしません。
[ははと笑って手を振った。 しかし、事実は―既にこの段階で邪魔者として認識されていたのだろう]
ええ、やりましょう。 やるんです、みんなで。
[事態の解決を信じて疑わない、意志のはっきりした声。 それがまた、ラルフの心配を招いてしまうのかもしれないけれど、 それでも何とかなると思っていた]
(20) Cadenza 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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ヤニクは、そういえば、カルヴィンが違う練習室にいると言っていたけれど、まだいるのだろうか?と
Cadenza 2010/09/08(Wed) 22時半頃
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[やっぱりまた心配させてしまったようだ。
曖昧な笑みに少し眉を下げたが、 彼の裡を少しだけ独り占めできたようで嬉しくもあり。 そんな、ひっそりした笑みは続く言葉で消えた]
最後だなんて! そんなこと、言わないでください―っ まだ、一緒に出来る機会なんてたくさんっ
[楽器を持って部屋の扉へと向かうラルフの背中がすごく遠くに行ってしまう気がした。 そこにずっと在ると心のどこかで思っていた。 楽器を続けている限り、終わりなんてない、と。 けれど、なんでもないように告げられた言葉に やがて終わりが来ることを突きつけられた気がして―。
練習室の扉が閉まる音と、抑えていた何かが弾ける音が、 シンクロした]
(28) Cadenza 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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――………やっぱり。
[壊してしまえば、どこにも行かないでいてくれるだろうか。 軽く叩かれた自分の頭へ手を添わせ、髪を指先にくるりと巻きつけた]
ずるいよ、先輩。
いつだって涼しい顔で俺の前にいて。
追いかけても、追いかけても どんなに手を伸ばしたって届かなかった―。
それで、1人で幕を引くなんて―俺は。
[ラルフが出て行った扉をじっと見たまま、低い呟きが漏れる]
(29) Cadenza 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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ヤニクは、そうして、しばらくして頬をぱんぱん、と叩いてから自分も練習室Bを出た。
Cadenza 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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― 練習室E ―
[部屋に戻る前に、カルヴィンがいると言っていた練習室Eを覗きこむ。 果たして彼は―いた]
―……お。
[なんだか、部屋に戻ったら先に帰っているどころかシャワーも浴びて、 先輩遅い、とか怒られるパターンだろうと思っていたので、少々驚いた]
おーい、カルヴィン。 まだ練習してたのか。
[精が出るな。先輩は満足ですよ。 そんなにまり笑いを浮かべながら声をかけた]
(32) Cadenza 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/08(Wed) 23時半頃
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[落ち着かないという後輩の言葉は、大練習室の件だろうと思った。 それも無理はないなと小さく肩をすくめながら近寄って]
そーいう時に音出しても、落ち着かない音しか出ないものだよ。 あまり無理しないで、ゆっくり休むことをお勧めするけど
[くあ、と欠伸をしながら壁に寄りかかった]
え…?厳しいな、おまえ。 まあ練習はしてなかったけど… あー。単細胞は単細胞だ。 灰色どころかマーブル模様だよ。 みんな好き勝手言うからぐっちゃぐちゃさ。
[はは、と乾いた笑いを零す、が]
単細胞ってどういう意味だ?!
[すごい遅れてツッコミひとつ]
(43) Cadenza 2010/09/09(Thu) 00時頃
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そりゃ正論だ。 俺らプレーヤーは、何時いかなる時もコンダクターがタクトを上げたら すぐに臨める体勢にあらねばならない。 練習してるお前が正しいよ。
―でもな。
[壁によりかかったまま腕を組んで、少し表情を堅くする]
おまえ、楽器が無くなっちまったら音出せないじゃないか。 一時だけの聴衆には確かに関係ないだろうけど、 俺らには大問題だろうが。 プレーヤーが楽しまない音楽を聞いて、客は楽しいと思うか?
[片付け始めるのを見ながら、少し呆れたように。 とろくさいなんて思われてるとは露も知らず]
(48) Cadenza 2010/09/09(Thu) 00時半頃
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……ふう。
[妙に突っかかるな。 そんな違和感を覚えつつ、溜息を零す]
まあな。上手いヤツは何弾いたって上手いさ。 けど俺は下手くそだから。 自分の癖と手垢が染み込んだこいつじゃないとだめなの。 楽器を命よりも大事にするやつだっているんだ。
[片肩にずらしてかけていたケースをとんとんと叩く。 ヴァイオリンは体が大きくなると共にサイズを変える。 だからずっと連れ添った楽器…と言うわけではないが、 最良の相棒だ。
[ふと見る、大人びた表情に眉を寄せ、首を傾げる。 独り善がりだとか押しつけと言われれば緩く首を振って]
(53) Cadenza 2010/09/09(Thu) 01時頃
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なあ、カルヴィン。 お前にとって、音って…なんだ?
[扉へ向かうカルヴィンの背に、問いかけた]
(54) Cadenza 2010/09/09(Thu) 01時頃
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――……残酷な、青、か。
初めて見たよ。そんなこと言うヤツは。
[部屋を出ていった後輩に苦笑しながら呟く]
なあ。お前、は俺にとって音がなんだか―知ってるよな?
[ケースをとんとんと叩いて話かける。 結局その答えを口にすること無く、静かに笑んだだけ]
明日はみっちり練習するか。 ―いや、それだと探れないな。
[ラルフの忠告も、心配も忘れたわけではない。 けど―]
何考えてんだか、知りたいんだよ。この単細胞はさ。
[口の端に上ったのは思いっきり自嘲を含んだ笑みと声音]
(58) Cadenza 2010/09/09(Thu) 01時頃
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――……。
[先に行ったカルヴィンを追いかけようとしたけれど、やめた。 あまり長く顔をつき合わせていると、空気が悪くなりそうだと思ったから]
今日は、そんなことばかりだな。 こんなんじゃ、スコアが出てきたってまともな演奏が出来るはずが無い。
[奏者が100人いれば100つの音があり、音楽がある。 それをまとめるのが指揮者の役目。 言ってしまえばプレイヤー同士がどんなに仲違いしたところで関係ないのだ。 その楽器が、奏者本人の物か否かなんて観客には関係ないのと同じように。 だから、この状態だってやろうと思えばできるはずだけど]
そんなのを勉強しに来たんじゃないんだけどな、俺は。
[しかしそれも、多くの人間が集まる組織の側面か。 小さく息をついて、部屋へと戻った]
(59) Cadenza 2010/09/09(Thu) 01時半頃
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― 部屋A ―
[先に戻ったカルヴィンとは必要以上の話をしようとはせず、 制服からジャージに着替えたりシャワーを浴びたり。 世も更けていれば眠気だって普通にやってくる]
おやすみ。
[一言カルヴィンに声をかけ、目を閉じる。 頭の中では昼の合奏での曲が流れ続けていた。
楽器のケースはベッドの下、足元の脇に荷物と一緒に**]
(60) Cadenza 2010/09/09(Thu) 02時頃
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 02時頃
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― 部屋A ―
[朝。 朝食だと呼ぶ声に大きな欠伸をひとつして起き上がる]
ふぁい。今行きます!
[扉の向こうへ返事をして、 髪をくしゃくしゃとしながら着替えをしようと荷物の方へ目を向けた]
―――……………????
[瞬間、ものすごい違和感]
あれ?
[首を傾げ、もう一度荷物―いや、その手前の空間を見て]
ない?!
(65) Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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[ばっと床に這いつくばってベッドの下を見る。 ――ない。 ふと、カルヴィンの使っているベッドを見る。 ―――見当たらない]
え?あれ?俺、持って…来たよな?
[部屋にカルヴィンはいただろうか? いたとしても彼に気を向ける余裕はない。 Tシャツにジャージ、髪もとかさぬままバタンと部屋を飛び出して 練習室の方へと駆け下りる。
A―ない。 B―ない。 C―ない。 D―ない。 E―ない。 ないない。 ―――――――ないっ!!!!
(66) Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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― 練習室→食堂 ―
[ピアノの裏も見た。 重なった椅子の下も、向こう側も見た。 カーテンの後ろとか、どこも、かしこも、全部。
けれど、相棒はどこにもいなかった]
―やっべ…。まだ、残ってるのに。 あと3年はあいつしかいないのに…!
[全身から冷や汗が噴き出る。 食堂へ駆け込んで、開口一番]
俺の楽器、知りませんか!
[荒い息のまま、叫ぶように。 きっと形相は必死で、この世の終わりを見たようなものだっただろう]
(68) Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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― 廊下→練習室A ―
[誰も楽器の行方を知らないと見ると、朝食には見向きもせずに駆け出した。 ばたばたとドアを開閉する音が廊下に響く。
開けられるところは開けた。見えるところは見た。 それでも、楽器は見つからない。 たどり着いた屋上で大の字に倒れこむ。
「盗まれた」
考えたくはなかったが、もうそれしか―]
何で油断したんだよ…。
[普段、一人で泊まる時は楽器は必ず枕元に置いていた。 嫌な予感がした時は、ストラップを手首に巻いていたりもする。 けれど、今回は同室者もいるしそこまで用心をしていなかったのだ。 くそっ。拳を思い切りコンクリへ叩き下ろす。 ―――半端なく痛いだけだった**]
(69) Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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ヤニクは、そのまま屋上でしばし放心状態**
Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 12時半頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 15時頃
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― 屋上 ―
[「連続で盗むようなやつだから、スコアも楽器も―」 食堂を出たときのバーナバスの声がさっきから頭を回る。
正直、スコア自体に何の価値があるかというと、多分ない。 それが例えば指揮者であるあの部長の熱烈ファンで、 彼の指紋と直筆の文字があるなんてなんてお宝!という話なら別だけど。 破損してしまったとしたら、部長の心理状態のほうがよほど心配だ。
単純に練習をさせないとか、オケの妨害が目的ならばそれで十分だろう。 それでもいずれは新しいスコアで練習は始まる―のだろうけど。
しかし楽器となると話は違う。 楽器の盗難は、転売や破損に直結するうえに、持ち主へのダメージも相当だ。 大体が、盗られた楽器が五体満足で帰ってきましたなんてことがあるか? 聞いたことがない。 あるのは大抵は、実は置き忘れでした、勘違いでしたというものだ]
(106) Cadenza 2010/09/09(Thu) 17時半頃
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もう、どっか行っちゃったかな…。 それとも、木っ端微塵かな…。 あいつ売ったらいくらで売れるんだろう…。
[空を見つめてぽつり呟く。
あの楽器を買ったのは高校に入る少し前。 入学を機に大人サイズの楽器に買い換えたのだが―。
多くは言うまい。 ただ一つ言うなら、「何日も、何週間もだだをこねた」、ということだ。 その代わりとして両親から提示されたは条件とても厳しかった。 しかしそれを飲んでもいいとすら思ったのだ。
だから、自分の楽器にはとても執着をしていた。片時も手放さなかった。 どうしてそんなにそれに拘るのかを聞かれたこともあるが、 音がいい、とか手にしっくり来るのだとか言って、その裏にある本当のことは言わなかった。
―言えなかった。あまりに馬鹿馬鹿しくて。 けれど、自分にはあの楽器意外何もないのは事実]
(108) Cadenza 2010/09/09(Thu) 17時半頃
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一年半しか一緒にいれなかったな……。
[カルヴィンがゆうべ言ったように、奏者がどんな楽器を使おうと観客には関係ない。 でも、奏者は楽器を持たねば仕事ができないわけで。 代わりの楽器なんていくらでもあるだろうし、 その時だけというなら自分もそれで構わないのだけど、 この苦悩にさらに苦悩を増してなお音楽を続ける― そこまで根性が座っているかといえば微妙だ]
俺も、辞めようかな。音楽なんて。
[はは、と軽く笑う。 ちなみに新しい楽器を買うという選択肢は自分に限っては存在しない。 つまり、もうプレーヤーとして仕事はできないということだ。 これから先、数年の間無償で借りられるというのなら話は別だが―負った苦悩は残る]
(109) Cadenza 2010/09/09(Thu) 17時半頃
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あーあ。ばっかばかし。 もうどうでもいいや。やめたやめた!!
[ゆうべの熱はどこへやら。 あまりの心痛に笑うしかなかった。 からからと、ココロの無い音が空へのぼっていく。
涙はとうに枯れ果ててしまった。 ごろんと横になれば、今は雫が伝った跡が頬に残るだけ**]
(112) Cadenza 2010/09/09(Thu) 18時頃
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さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 18時頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 18時半頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 19時頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 19時頃
さすらい人 ヤニクは、メモを貼った。
Cadenza 2010/09/09(Thu) 22時頃
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― 屋上 ―
[意識?ってなんでしょう。もうずいぶんと何も考えていなかったから、 あるのかどうかも忘れていたくらい。 じりじりと熱を増すコンクリートに寝そべったまま、このまま溶けてしまえばいいと思った。 もうここに居たって、何の―。
意味もない]
最後、一緒にできなくなっちゃったな…。 まさか俺の方が先にThe ENDになるとはなあ。
[はは、は――。 口を開くと喉が渇く。 だから目も口も閉じて黙り込んだ。
やがて、屋上の扉が開く音。 それからゆっくりと誰かが近づいてくる。 知ったことか。そのまま寝た振りをしようとした―が]
(165) Cadenza 2010/09/10(Fri) 00時頃
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[聞こえた声に思わず目を開く。 視界に入った光が思ったより強くてすぐに目を細め、 逆光の中に人影を見る。 それが誰かなんて、見ずともわかったけど―]
―大丈夫ですよ。 人間、案外頑丈らしいです。
[へへと笑って、ラルフを見上げる。 体はまだ、起こそうとはしなかった]
いえ、別に。 もうだいぶ、吹っ切れましたから。
[小さく笑んで、そこで漸く半身を起こした]
(166) Cadenza 2010/09/10(Fri) 00時頃
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[接地面積が狭くなると、体感温度は高くなるものなのだと気づいた。 というよりも体を起こした分、風を受けたからだと思うけれど]
いっそ溶けちゃえばいいのにって、思ってました。
[そう言ってくすくすと笑う。 表情に浮かぶのはどうしようもない諦めの色]
え?いや、先輩のせいじゃないですから。 俺が、油断してたのがいけないんです。 カルヴィンが居るから大丈夫だとか思ってたんですけどね。 ―あいつ、番犬にもならなかった。
[あははと笑って空を見る。 ラルフの顔は、さっきから見ようとはしなかった。
―もう一緒の音楽は出来ないとわかっているから、見れなかった]
(174) Cadenza 2010/09/10(Fri) 00時半頃
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