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【人】 保安技師 ナユタ ── 夜:2階教室 ── (21) 2017/03/18(Sat) 00時半頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(22) 2017/03/18(Sat) 00時半頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(23) 2017/03/18(Sat) 00時半頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(26) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(28) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ## (29) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(32) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(33) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ ── 午前8時50分 ── (46) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
【人】 保安技師 ナユタ
(48) 2017/03/18(Sat) 01時頃 |
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[ ────── ゆさり、 ]
[肩を揺すられる感覚で、私は目を覚ましました。
寒々しい、リビングの真ん中。
テーブルに突っ伏して、私は眠っていた様です。
「遅くなってごめんな。
病院には行けた?」
私の肩を揺する父が、そう尋ねてきます。
それと共に、こんな所で寝てたら風邪ひく、だとか
如何にも父親らしいお小言を、一つ。
……けれど、私はそれに返事をするでもなく
半ば呆然とした調子で、父を見詰めて]
…………ただいま
[「おかえりだろ?」って、父は笑います。
ううん、違うよ。ただいま だよ。
そうは思っても、私は微笑むだけ。
肩に添えられた手を、そっと取って
その勢いのまま、着替えもしていない父に抱きつくのです。
外から帰ってきたその体は、ひやりとしていますが
暖房もつけないリビングで寝ていた私の体も、
意識してしまえば、酷く冷えていると気付きます。
だけど、今はそんな事、どうでも良いのです]
お父さん、私、お母さんに会ったよ。
全部、聞いたよ。
["貴方と血が繋がっていない事も聞いた" と
言外に、そんな意図も含ませた囁き。
父は、全て解っていた風に嘆息して、
一度だけ、肯きました。
……いいえ。掠れた声で、一言
「ごめんな」って いつだかみたいな、謝罪]
私とお母さん、すごく、似てた
だけど────
[あの人みたいに、なりたくないの。
昏い本心は、喉の奥に突っかかって、出てきてくれません]
[だけど、父は言うのです。
「似てないよ」
って、私の心底欲しかった言葉を、事も無げに。
「似てないよ。
ちよは、ちよだからね」
言い聞かせるみたいな、優しげな声音。
もしかしたら、父は
私の悩みを、察したのかもしれません。
いいえ、それは流石に、希望的観測でしょうか。
もしかしたら、ただ、事実を言っただけかも。
だとしたら、それでも良いのです。
父が"似てない"というのなら。
きっとそれは、誰に言われるよりも、確かな事実で]
うん。…………そっか。
[最後に一度、ぎゅっと縋り付いて
私は、父から体を離しました。
優しげな笑みには、少しの翳りが。
母と会ったという事実を告げて、
傷付けてしまったのかも、しれません。
だけど私はもう、
踏み込んで来ないでとは、言えないのです。
私が、自分でつけた傷の理由を
父にもちゃんと、伝えなければいけないと……、]
[そんな思案が中断されたのは、
ついさっきまで居た場所を思い出したからでした。
冷え切り、時の止まった校舎。
誰かの、心のなか。
……そういえば。
先に消えた皆も、ちゃんと帰って来れたのでしょうか?
私が此処に居るのです、問題無いとは思いますが
それが確実とも思えず。
慌てた様子でスマホを取り出す私を、
怪訝そうに見る父にも構わずに、
ロックを解けば、一通のメールが目に入りました。
──── 水野つばさ。
ほっと息を吐くのは、まだ、早く]
…………おとうさん、
私、病院行かなきゃ。
違うの、そっちの病院じゃなくって、
友達が、学校の屋上から、飛び降りたって……
[彼女は帰ってきていたのだ と
喜びと共に開いたメールの内容に、
私の心はすぐに萎んでしまいました。
幸い、"彼"が運ばれた病院は、遠くありません。
徒歩でも充分、行ける距離。
だから私は、何にも考えず
着の身着のまま、泣き出したい気持ちで駆け出すのです*]
─ 外へ ─
[病院に向かって、歩きながら
考えるのは、"最悪の可能性"。
理一の状態だとか、
そういうの、書かれていませんでしたから。
この心配が、どの程度的を射ているのか
私には、解りません。
もしかしたら、病院に行けば
いつも通りの笑顔で迎えてくれるんじゃないかな?
……そんなの、流石に楽観が過ぎるでしょうか。
でも、ねえ。
貴方、いつも笑っていたじゃない。
どうして急に、死のうとなんてするの]
[ぢりぢり、責めるみたいな思考。
吐き出せない悩みを抱え込む気持ち、解ってるつもりです。
だけど、あんな世界を作りあげる程辛いなら
死を選ぶ程、悩んでいたのなら
……遺書を遺す前に、する事があるじゃないですか]
…………ッは、
["向こう"で、級友が一人一人居なくなった時より、
よっぽど心が重くなります。
早足で歩きながら、
悪い方悪い方に流れる思考を、持て余して。
進む一歩の、なんてもどかしい]
[病院へ向かう、途中。
長い信号に捕まってしまい、
私は舌を打ちたい気持ちで立ち止りました。
焦っても、意味は無いと解っていますから
何度か深呼吸をして、息を整えます。
幾らか落ち着いてくれば、
手に持ったままのスマホを、ぼんやり見て。
……ふ と
先に此方に帰った筈の莉緒の連絡先を、呼び出しました。
かじかむ手で、簡素なメールを一通。
ああ、今朝もこんな事をした……って
あれは、何処から何処までが現実だったのでしょう?]
[文末に付け足した一言は、本気なわけもなく。
けれど、"何処にも行かない"って約束を破って
彼女がそれを気に病んでしまっていたら、嫌ですから
フォローというか、気にしてないよって、ポーズのつもり。
いつか彼女に、彼女の"ヒーロー"の正体を
伝えねばなりませんね。
彼女の中の、文通相手への期待値が、
随分上がってしまっている様ですから。
正直に言うのは、心底、こわいのですけれど。
……でも、隠し事をしたままでは、いけませんね。
だって莉緒は、私の一番の親友なんですから]
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