人狼議事


266 冷たい校舎村7

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メモを貼った。


メモを貼った。




      何もかもを羨んでいる

 




  物静かだけども 手先の器用なおんなのこ
  どこか不思議な雰囲気で 綺麗なおんなのこ
  可愛い持ち物の似合う 今どきのおんなのこ
  気が強そうに見えて 凛々しいおんなのこ
  一つの恋に夢中になれるおんなのこ
  
  普通じゃないところなんて
  いっぱいいっぱいあるのだろう


  だけども
  おんなのこはみんな まぶしかった

 




  まぶしいおんなのこたちを眺めて
  おとこのこに交ざって 生きている
  おんなのこ と おともだちになれても
  おとこのこ と おんなのこ
  おんなのこ と おんなのこ

  おともだち の かたちって 
  一つの違いだけで かわってくる

 




  頑張って 頑張って 頑張って
  それでやっと おとこのこと並べる
  おとこのこ の かたちをとれるのだから

  境界のわからないおともだちを
  距離感のわからないクラスメイトを

  保つことが出来ている自分を
  ほめてあげたって いいのかもしれない
 



  そんなの ただの開き直りでしかないけども

 




         [ 夢を見た気がした ]


  


    ──── 学校 ────


[ 妙な冷たさが頬を撫でる。
 虎落笛にたたき起こされて、
 宇井野は気だるげに頭を持ち上げた。

 冬の夜は早い。
 外はもう暗くなってしまっているようで、
 部活終わりの生徒が窓の外に見えた。


 ヴヴ、と、スマホが通知を告げる。
 鞄から取り出そうとして、気づいた。
 教室だ。教室で眠っていたらしい。 ]
 



[ 寝ぼけ眼で頭をわしりと乱した。
 机に擦れて外れた胸のボタンを締める。
 夢を見ていた気がする。
 誰かが頭に触れて、
 胸の上には何かが乗っていて。

 その前を、遡って。はっとした。
 そうだ。学校に閉じ込められて。
 
 見回す。スマホを確かめた。
 圏外ではないし、窓の外はいつも通りだ。 ]
 



[ 通知は、親からだった。
 今日は遅くなるのか、と。

 遅くなる、と、返事をしたところで。
 ぴろん、と、通話アプリが受信を示した。


 それを見て、 は、と、漏れた。
 がたりと椅子が倒れる音がする。 ]
 




     [ 養が 病院に運ばれたらしい。 ]

 



[ はっきりと思い出した。
 そうだ、あの校舎。
 誰かの精神世界かもしれない場所。

 精神世界を作り上げる人の条件。


 跳ねるように、教室を飛び出した。
 熱心な運動部の生徒と、
 一握りの教師しかいない校舎は、
 時が止まったように静かだから。
 上履きの足音はよく、 響いた。 *]
 


メモを貼った。




   『それでは、次のニュースです――――』

 


―― 自宅 ――


    ( …… あれ? )


[暖かい家の中で目を覚ました。
……そのことすぐには受け入れられず、
何かに横たわった姿勢のまま、イロハはじ、っと目の前に映る光景を見ていた。

煌々とあかりのついた自宅のリビング。
台上に置かれた大きいサイズのテレビにローテーブル。
テレビはつけっぱなしで、
ゴールデンタイムの合間にちょこちょこと流れるニュース番組を今は垂れ流している。
テーブルの上には湯気を立てていないマグカップがひとつ。
この部屋には確か、ふたりは座れるサイズのソファーがあった。
イロハが今横たわっているのはソレだろう]


[母の帰りを待つうちにソファーで転寝してしまった。
そう判断するのにふさわしい材料が揃っていた。
だが……違和感。
それもぬぐいきれないくらいの]


   ここは、学校じゃない…………


[ゆっくりと思い出す。
大雪の中学校に向かったこと、
道中が妙に静かだったこと、
3年7組の教室に集まった顔ぶれ、チャイムの音、
閉ざされた校舎(せかい)でのこと]


―― 帰る前の話 ――

マジで? あたしったらすごいじゃん。

[どうもタイミングばっちりだったらしい。
イロハの中にヒーローに憧れる思いはないが、
ついつい、嬉しそうな顔をしてしまう一幕もあったが]

  あー……、そっか。

[教室へと引き連れていくことはできなかった。
七月の口ぶりからして、高本だけが先に教室に戻ったことには、
やっぱり、何らかの理由があったみたいだ]




なん、で、そんなこというのさ。
あたしがこうやって来ちゃうのも、こうやってここにいるのも、
これが……最後ってわけじゃ、ない、じゃん。だから……


[帰らないと、ってイロハは心のどこかで思っているにしても、
別にそれは今すぐでもちょっと先でもなくったっていい、
そう思っていた。
たとえば、の話になるけど、
この世界をつくったのが七月で、みんなを引き留めたがっているというなら。
彼女が望むならずっといてもいいくらいだったし]




  ………… なーに、ヨーコちゃん。

 


[イロハは殊更穏やかな口調で七月に呼びかけた。
結局なんでもない、と返ってきてしまったけれど。

ただ、高本に会いたくない、というのがこの場に残る理由なら、
いくらか間を置けば頭も冷えるだろう]


…………うん。わかった。


[そう思って、こくこく頷いて多目的室を後にして、そうして]


なんか、うまくいかないモンだよねぇ……


[このまま、教室に戻る気にはなれなかった。
戻って、高本をはじめとした面々に、
ヨーコのちゃんのことは心配ないよ、って報告して、毛布で寝る?

……誰かの悲鳴とともにマネキンが現れる。
そういうことがこの先も、ないと限らないわけで。
少しの思案の末、イロハは多目的室のわりと近くに寝場所を取ることにした。
そりゃまあ何もないのが一番だけれど。
保健室から残ってた毛布をこっそりこっそり、拝借して、
廊下、は寒いから……美術室にしよう、と決めた]


[音を立てずに扉を開ける。
油っぽい臭いの中、いくつもの四角い板がイーゼルに立てかけられてそこにある。

 ――そっか、ここも、か。

ここにも文化祭の時間がとまったまま留まっている。

探索して回れば、美術部である蛭野や養の展示物も見られたかもしれないが、
イロハは見回ることより寝ることを優先していた。
入り口付近が一番スペースありそうだったから、
毛布を敷いて、そこで眠った]




[イロハだって、思いもしていなかった。

あれが、さいごになってしまうだなんて]

 


メモを貼った。


[灰谷彩華はあの校舎(せかい)のどこにもいない。
――と、言うのは、間違いないらしい。

盛大に階段落ちした状態で残るのとどっちがよかったんだろう、
なんて、ことは、……考えない。
のろのろとソファーから身を起こす。とたん、額に鋭い痛みが走って顔をしかめた]

  ……、ん、何……?

[触ってもよくわからなかったので、
洗面所の鏡の前に立って、前髪をかきあげる。
額にはたんこぶができていて、見るからに赤く腫れていた]


…………。


[一瞬心当たりのなさに呆然としたイロハだったが、
心当たりに思い至ればそれはそれで呆然となった]


まさか、……帰る前に頭ぶつけたから……?


[精神世界のしくみはやはりよくわからない。
とはいえ痛いのは確かなので、家にある救急箱で応急手当をした。
消毒液をしみこませたガーゼを傷口にテープで止める。
前髪をいつも通りおろせば多少は隠れるが、
それでも明るいところでは見えてしまうだろう]


[手当てを終えてリビングに戻ってくれば、
何気なく部屋着のポケットの中のスマホを取り出す。
何分か前の、通知。
トークアプリの方に新しい通知が来ていたようだ]

アイちゃん……!

[何、ていったらいいんだろう。「おかえりなさい」?
そうやって返信の第一声を考えていたイロハだったが、
送られていたメッセージの内容を見て小さく息を呑んだ]




え、  うそ、なんで……


[養が病院に運ばれたって。血まみれだったって。

思わずイロハはつけっぱなしのテレビを見たが、
ニュースはとっくに終わっていた。

だからとりあえずテレビを消して、スマホをいくらか操作して、
それから相原にメッセージを送った]




  『わかった。あたしも行く』
  『それとメール来てた?』


               『きてなかったよ』

 


[……察しはいいと思ってたよアイちゃん。

というのはさておき、そう。
はじまりの時間に、3年7組の教室にいた面々に関初入れずに送られていた、
遺書じみたメール。

それが、今手にしているイロハのスマホには届いてなかった。
相原のところにもきてなかった。
だから―――だから、
      つまりは送信できなかったのでしょうか。

考える、それはじたばたして動けないことに他ならない。
だから、自分の部屋からコートとマフラーを引っ張り出して、
ふつうに、家を出た。
母宛てのメッセージは何も残してはいなかったが、
……まあ、別にいいさ、必要以上に怒られたって**]


メモを貼った。



  
     それは たしかにしあわせでした

 




    てんとうむしのお世話をして
    おともだちと笑いあった時間

    なんてことない賭け事をして
    勝った負けたと言い合う日常

    自分たちの持つ物を活用して
    一つの形に仕上がった文化祭


    楽しかった 本当に
    心の底から笑うことが出来て
    それは確かな しあわせ で

 


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