263 ― 地球からの手紙 ―
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[北へ向かう。
陸上のヒトビトは見たことがないであろう、水底を走るクルマ]
最近走っていなかったけど、調子は良さそうだね。
[運転手にそう、声をかけた。
遠出をすることが、無いわけではない。
一族の婚礼やら、水の民の代表が集まっての会議やら、そんな機会はたまにある。
でも、今回のような、いつ戻れるかわからない旅は初めてだ。
もめ事を早く解決してやれればいいが、と思う]
…………。
[晴れない気持ちで落とす視線が、小さなラッピングバッグをとらえて少し和んだ]
うん、そうだ、これがあった。
[クルマへ乗り込む直前に届いたそれには、手紙と、贈り物らしき包みが入っている]
……そうだね、自分で言ったんだ。
これも、きっと成長の機会だろう。
[まっすぐで可愛らしい便りに、そんな言葉が漏れる。
返事を出すのは、しばらく先になってしまいそうだけれど。
単純に楽しむ、とはいかない旅でも、大切な経験のひとつととらえよう。
誰かを助けられる大人であるために。*]
[風に飛ばされてきたゴミ、通り過ぎた大樹の根元
水たまりを飛び越え損ねた靴底や
ちいさな水辺に溺れた虫、水浴びをした小鳥や
辺りを転がる小石からも、泉が移動した道筋に沿って
きっと誰もが気付かない位に、
ほんの少しずつ色が抜き取られている。
犯人は遥か地面の下にいるけれど
そもそも犯行自体気付かれていないのだから
探されることもない。
ぜんぶたべてしまうことも、ほんとうはできるのです
けれど同じもののたべすぎはいけません
少しずつ、色んなものをつまむのがいいのです。
けんこうというやつになれるのです、すばらしいですね!
けんこうというやつは、いいものなのです。
もじがおしえてくれました。
ことば は、とてもすばらしいものです。
ついつい、たべすぎてしまいそうになります。]
[数十年前、ちいさなひとたちの暮らす地域で
ミニチュアみたいな図書館が
急に降り出した雨に一気に浸水したあと
水に濡れた本からそっくり文字が消えた
怪事件が起こったはなしは
今を生きる人々の記憶からは次第に薄れ
忘れ去られ始めているだろう。
あのときほどくいしんぼうだったことは
いまだかつてありません。
つつしみ、だいじですからね!
けれどあのときくいしんぼうだったおかげで
わたしはずいぶんと、かしこくなりました。
かしこくなったので、すてきなものとだいじなものが
いっぱい、いっぱいふえました。
だいじなものがいっぱいあるのは、すばらしい!]
[そう、つつしみはだいじなものなのです。
そのものの全ての色を奪い去って、喰いつくして
人の眼に映らなくしてしまうなんて
遥か昔には神隠しとか呼ばれた食べ方は
最近ではもうしていない。
図書館の時だって文字を奪っただけで
本自体は残しておいた。
だから、これも。
とってもすてきなこれも。
たべつくしてはいけないはずです。
だれかがきっと、こまってしまいます。
あのときみたいに。]
[あのときわたしが、くいしんぼうだったせいで
たくさんのひとがこまりました。
しんぶんというやつの、ことばがおしえてくれました。
かしこくなって、すてきなおもいをして
うれしかったのは、わたしだけなのです。
みんなこまりました。それはいけません。
くりかえすのは、いけません。
何かの偶然で、水たまりに落ちた手紙を
名残惜しんで少しだけ躊躇ってからそっと地上に返す。
微かに味わった鱗片からは知性を感じる文字の並びと
ほんの少しの、懐かしいなにかのかおり。]
[これはわたしのものではありません。
こまってしまうだれかのものです。
しっています、てがみというやつなのです。
とどけたはずなのにとどかない
こまってしまうだれかから
とどくはずなのにとどかない
こまってしまうだれかにおくられるもの
いいなぁ、いいなぁ。
わたしもほしい。
けれどこれは、わたしのものではないのです。]
[こまってしまうだれかのもとへ
ちゃんとかえさなければいけません。
だってこれはすてきなものです。
きっとなくなってしまっては、
だれかとだれかがかなしみます。
かなしいのは、いけません。
……けれど、かえしただけで、
ちゃんとだれかとだれかに、とどくでしょうか?
ぴこぴこ角を悩まし気に揺らして考えてみる。
このままではこの手紙は、きっと誰にも届かない。
どうしようか、どうしたら…
……そうだ。
わたしがとどけてしまえば、いいのです!]
[それはきっと、とてもすてきなことなのです!
あたまがいいですね、わたしは!
これもきっと、ことばのおかげなのです。
そうときまれば、おでかけのじゅんびをしなくては
いつぶりでしょう、おそとにおでかけするのなんて。
うきうきしながら、すぅ、と息をするよう吸い込む。
最初に干上がったのは、地上の水溜まり程度の泉だった。
そのまま自分を取り囲む水を吸い込んでゆく。
地中を移動していた不思議な水球みたいな住処が
すこしずつ、次第に小さく萎んで行って…
居場所のなくなった身体が地面からもこりと押し出された。
それは大人の握り拳大のちいさなおかしないきものだった。
ぷは、と吸い込んだ分だけ吐き出した吐息は
もくもくと雲になって上空に浮かぶ。
浮かんだ雲はしとしとと
冷たさを感じさせないちいさな雨粒を降らせ始めた。]
[太陽を遮ってしまわない淡い色の雲と
あたたかな雨を引き連れて
ちいさなてあしをえっちらおっちら
泉と同じ、うごいているやらいないやら
よくわからない速度で歩き出す。
角の間に、件の手紙を引っかけて。
ばしょには、なまえがあるのです。
てがみには、ばしょのなまえが、ありました。
けれどこまりました。
ここのなまえは、いったいどこでしょう?
ああ、けれど、だいじょうぶ。
あるいていれば、いつかはもくてきちに、つくものです。
地球というやつはどうやら、まるいらしいので!
ぐるっといっしゅうしてしまえば、いいですね!]
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[ボクは姉さまから借りた恋愛小説と。 それから冒険小説を二冊並べて眺めています。 ボクは大人になるには恋をすればいいと思っていました。 でもそれは違うみたい。 いろんなものを見て、ささやかでいいから冒険する。 それが大事なんだって。
宇宙に恋するお話も聞きました。 ボクが宇宙に恋するかは分からないけど。 いつか宇宙に冒険に出てみたいです。
ボクは地上から空を見上げて星を見ます。 星はきらきらして綺麗だけど。 そんな綺麗な星を間近で見たらどんな気持ちなんだろう。 きっと素敵なんだろうな。]
(17) 2019/04/20(Sat) 21時半頃
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[淡い色彩のお手紙は星型でくり抜かれています。 とても洒落たそれを手にとって陽の光に翳してみました。]
はあ……お星さまだぁ。 でも水面みたい。
[みなもに映る星のようです。 ボクは封を開けるのがもったいない気がして。 暫くそれを眺めていました*]
(18) 2019/04/20(Sat) 21時半頃
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[そのクッキーは湿り気を帯びてふくらんでしまっていた。
それをアリが少しずつ分解して運んでいく。長い長い列が形成された。
近ごろは確保できる食べ物が少なかった。久しぶりの大物だ。
小砂利の奥の巣穴では、今年うまれたばかりの、未来の女王がお腹を空かせて待っている。
よく育ち繁栄したいとアリたちは思っていた。]
[鳥が飛んできて、クッキーを咥えて飛び去った。
その勢いの拍子で、アリの巣穴の入り口が小砂利に埋まった。
鳥はさらに食べ物を探して飛び回り。
クッキーは消化され、孵ったばかりのヒナに与えるためのミルクとなる。]
[鳥の巣では、孵ったばかりのヒナが、他の卵を巣から落とす。
自分がより大きく育つために必要なことだ。
鳥は飛び回り、フンをして地に種をまき、巣に帰る。
卵がなくなったことには気づくけど、それより先に無事なヒナへミルクを与える。]
[ある種は運良くふかふかの土の上についた。
雨を待ち、発芽の準備をする。
ある種は運悪く水の中へ落ちてしまった。
魚がそれを飲み込んだ。]
[魚の大群が水の中を行く。
あたたかな流れには沢山のプランクトンがいて、魚はそれを取り込みぬくぬくと成長する。
繁殖に適した水温のある故郷へ向かう途中、空からやってきた鳥が、底からやってきた魚の王が、陸からやってきたヒトが、魚をたくさんたくさん捕まえた。
魚群は三分の一の大きさに変わってしまった。]
[死への道だと魚は始めから決意していた。
どのみち伴侶と出会いことを成した後は死ぬのだから。
だけどどうせなら、水の中とも違う、空にあるというきらきらの中を泳いでみたかった。
それを出来る存在に強く強く憧れた。
その魚はとてもよく育っていたので、市場で非常に高価に競り落とされた。]
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