261 エイプリル・トフィーの融解点
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[(もしも俺と同じことを考えた奴がいたなら、きっと未来は絵にかいたような明るさでは照らされない。 地獄にわざわざ飛び込んでいくような真似をして、きっと誰からも叱られるに違いない。 きっと、きっと。きっとと考える未来にも希望がない。
でも死ぬにも地獄だし、生きるにも地獄なら、 その先の地獄が残らない方が幸せに違いない。
だから笑えよ、お嬢様。 そんなに泣いたって何も変わらない。
何かを変えられるのは何かを捨てられる奴だけだって、使い古された言い回しさえもこの耳に届かなかったのか。)]
(0) 2019/03/28(Thu) 22時頃
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[(下着のまま机の聖書を取り出してみて、何枚か捲ってすぐに閉じちまった。昔から有難い話は耳を通り抜けるんだ。どうせ聞いたところでお腹がいっぱいにはならないんだから。 ずっと皺が寄ったままの体操服にも、穴が開いても変えられない運動靴にもずっとうんざりだから。だから、
布団にもぐって枕を抱きしめたらそのまま寝息をたて)]
(1) 2019/03/28(Thu) 22時半頃
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[(ぐえ。
さわっちゃったさわっちゃった。とうとう彼の腿に着地できたのに口を刺さずに飛び立った蚊は、ほんの少しきょとんとしながら両手を擦って机に降りた。押しの強いメスは引かれるものだとどの雑誌を盗み見したのか知るところではない。)]*
(2) 2019/03/28(Thu) 22時半頃
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[ 終止符を打つ権利が]
(3) 2019/03/28(Thu) 22時半頃
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あ、また流れ星が見えますよ。 ほらお嬢様。綺麗ですね。
[声をあげた。先走った小さな欠片たちはいくつか地球に降り立っているらしいが、指先でなぞったそれは途中で燃え尽きたのか、半端に光を残したままに忽然と消え失せる。
最早先月とはその価値も変わっていた。願いを叶える星々は今や恐怖の象徴となり、予兆として降り注ぐ隕石は悪戯に人々の心を突くばかりだ。一時は誰も彼もがその奇跡に胸を躍らせたものだが、事態と状況が変われば斯様に疎まれるものか。
手入れをする者が早々に去った石畳の上で、それでも居残っている私とお嬢様の距離は然程離れていなかった。星々が開けるほどの隙間は詰められ、手を伸ばせば届くほど]
(あんまりそうは思わないけど。あっちに流れたのも、またどっかの国に落ちるのかな。 ……あ、見てこれ。「個人シェルター格納権 オークション」だって。どう考えても詐欺なのにね。)
そーですね。払う側も貰う側も、わりとどっちでもいいんじゃないでしょうか?
(そーかもね。)
[他愛のない会話だ。それこそ世界が滅ぶと知る前と変わらず]
(37) 2019/03/30(Sat) 00時頃
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[もう1月も経たずにこの邸宅は消え失せる。 頑なに学生服を脱がない女の子も、その未来も過去も何もかも。
個人スペース確保のため、電子端末の幾つかと必要最低限の荷物以外を持ち込む事は禁止された。生活必需品含め15kg以下の思い出が重いのか軽いのか、私には判断はつけられない。
事前収納に同意した人々が地下に入っていくのを眺める機会もあった。何人もの警備員に守られた大荷物に、それでも罵声と石は飛んできたのだ。 最期にやることが尚他人を蹴り落とす行為なんてあんまりに無意味だというのに、意味を持たない人々は無意味なまま死んでくのだろう。
中には中指を立て、中には逃げるように駆け込んで、中には民衆に深々と頭を下げて。 本当に、何故。 何故彼らは選ばれたのだろうか。]
お嬢様は随分と落ち着いておいでですね。
(それ皮肉で言ってる? ……別に、納得いってるわけじゃないけど)
[抱えた膝を引きつけて、戻して。 反動の勢いで立ち上がったのを見上げた]
(38) 2019/03/30(Sat) 00時頃
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(一番可愛い時って女子高生の時って言うじゃない。だったらそこで終われるなんて ある程度幸せなんじゃない。華のJKよ、JK。逃げることなんてなかったわ。)
じぇーけ……確かに、そういう意見も聞かなくはないです。
[確かに彼女の髪は透き通り、夕陽に照らされてキラキラと輝いていた。絶世の美女というわけではないが、学校ではモテていると言われても違和感は感じないほど。
最も美しい時を固めるという点では絵も写真も代わりないが、最盛で時を止められるのも悪くはないかもしれない。 それで前言通り、クレームブリュレを食べてからベッドで眠るんだわ。女の子は笑って髪を掻き上げる。そういえばそんなこと聞きましたね。私は軽く返して空を見上げた。
……ふと唐突に手が暖かくなる。女の子は空を見上げたまま、手の中を弄んでいた。その頬は夕焼けに染まっていて、けれど、 奥から鋭い一番星がのぞいていた。]
(えへへ。でもね。やっぱり、 お別れするの嫌だったよ。)
(40) 2019/03/30(Sat) 00時頃
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(ねえ、どうしてラルフを殺したの?)
[私は苦笑いを浮かべたまま、愚かな女の子の持つ包丁が腹に突き刺さるのを眺めていた。]**
(41) 2019/03/30(Sat) 00時頃
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