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良いのよ、ピスティオ…
私はもう、疲れました。あの人の元へいかせて頂戴…
……。
慣れないことはするものじゃありませんね!
せめて一匹くらいはと、思ったのだけれど…
せめてあなたのちからにと、思ったのだけれど…
ピスティオ…生きて頂戴。
ベッキー!
ピスティオをよろしくおねがいするわ […フフッ]
[そうして、女は扉の向こうへと連れ去られた。]
ほほほ…
いやね!ウチの息子ったら。
あんなに取り乱して…なんて心もとない、跡取りね……
[そして女は結社員へと振り向き。]
さあ。
あなたには、あなたのお仕事があるわね。**
![]() | 【人】 牧人 リンダ― 早朝:リンダの部屋 ― (28) 2018/07/31(Tue) 21時頃 |
![]() |
![]() | 【人】 牧人 リンダ― 朝:ロビー ― (34) 2018/07/31(Tue) 21時半頃 |
![]() | 【人】 牧人 リンダ[イヴォンが結社員に連れ去られた後、その異変に気づく。 (36) 2018/07/31(Tue) 21時半頃 |
![]() | 【人】 牧人 リンダ[知らない男達に囲まれる、よく見知った女性。 (37) 2018/07/31(Tue) 21時半頃 |
![]() | 【人】 牧人 リンダ[糸が切れたように床に崩れ落ちる。 (38) 2018/07/31(Tue) 22時頃 |
酒って、元気いっぱいで、胸を張って、お喋りしてのむものだと思ってた。
けど、モンドさんは、痛そうだ…。
泣いてないのに、泣いてるみたいだ…
ティオ…兄ぃ?
どうしてそんなに拳骨を握りしめているの?
どうしてノアおじちゃんをそんなふうに呼ぶの?
どうしてそんなに…怖い顔をしているの?
ねえ、ティオ兄ぃ。
遊びにいこうよ。川に飛び込んだり、魚とったりさ。
竿と糸で魚釣りするやりかた、教えておくれよ。
ねえ…
ねえ…。兄ぃは。もう、笑わないの、かなあ?
[固い表情のティオ兄ぃをみているのがつらくて、俯いて…涙が散った。
もう泣いてはいけない。泣いてはいられないと誓ったのに。今は涙が止まらなかった。
]
─ユージンの部屋─
[部屋の中には、暗がりがある。]
[部屋に来た誰にも、きっとそこには暗いものがあるとしかわからない。]
……
[寝台の影、床の上。べちゃりとした粘度のある赤い赤い赤い海のその上に、
「ソレ」は、長身の膝と腰を折ってだらりと長い両腕をだらりと床につけて、裂けたような首をグラつかせ、腹部からもだらだらと──今も、血を流し続けていた。
じわりと、幻のように暗い血が床に広がっていく。]
[陽気な男の顔は、俯いて、陰になって見えない。
ちょうど、帽子をかぶっているときのように。]
[そうして「それ」は、]
ァ
[それは音にならない声。けれど喉に空いた穴からひ、と引き攣れるような空気音めいた音を伴って]
イ
た
イ
["呻いて"いた。]
[いたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたいいたいいたいたいいたい]
[モンドが来たときには、まだ"寝転んでいた"。
ただ、それは。
その肉の塊は、あまりに赤かった。
それは、あまりに無残だった。]
[麻酔もないまま、体の奥を弄られるということがどういうことか、わかりたくもなかった。
ただこれまで感じたことのない痛苦だった。
痛みだった。
それしか考えられないくらいの、
声も出せなくなるくらいの。
リンダが赤いと表現したのも、
なるほど頷ける話だった。]
[────まともな、思考が
残っていればの話だが。]
[首を落とすために、頭だけを前に差し出したような、違和感だらけの不自然な恰好をした男の、顎からどろりとした赤黒い液体が伝って床に落ちていく。]
[誰が訪れても、その姿は見止められることはない。ただ、そこにあるだけだ。]
[ 『いいよー。気にしないでって。
…… 覚悟はしてたよ。』 ]
[いたい]
[いたい いたいよ]
[ああ 見てたよ。サイモンのことも]
[いたい] [思考が軋む]
[覚悟ってなんだっけ]
[思考が溶けていく]
[崩れていく。壊れていく。失われていく。
頭の中に、泣いている声が怯えている声が不安そうな声が。
繰り返し繰り返しリフレインしている。
もう泣いていないだろうか。
── 怖がってはいるかもしれない。
不安そうな、怯えたような、
それは、弱い弱い──人間の声だった。
強がって、まともでいようとするさまが、
綺麗でいようとするさまが、かわいそうだった。
誰かを殺してしまうことに怯えるのだって、
怖いと思うのだって、疑うのが、嫌なのだって、
だって、すごくすごくあたりまえのことだ。]
[普通の人間なら。
誰だって思うことだ。
お前を殺すと名指されたら、恐ろしく思うに決まってる。]
[ぇぼ。とくぐもった音がした。流れ出していく血の量が増える。ぐじゅぐじゅにされた腹から覗く赤い塊からも、ぼた ぼた。と固形物を含んだ粘度のあるものが落ちていく。]
[ああ、でも。こんなに死ぬのが苦しいなら。
──オレだって、誰かに。 たすけてほしかった。]
[ 『また機会があるよ。
じゃぁさあ、
次はラルフから誘ってほしいなー』 ]
[そんな機会は、もうこない。二度と。]
[暗がりに取り残された男の全身は、まるで赤い泥を塗りたくったように固形ぶつ交じりの汚い湿り方をしていて
いつも飄々と笑っていた口は、
薄く、半開きになったまま、
声を発するでもなく、血と呻きを垂れ流している。]
[ ああ。でもそれも、天罰なんだろうか。
ワンダを殺したことの。イヴォンを殺したことの。]
[── 知らないところで、他人が死んでも。
そんなことは知らないと、
人狼を見逃したことの。]
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