219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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4日目の開始。
いつものように配信されるメールと、手のひらのタイマー。
――――――――――
From:Game master
subject:第4演目
二つに断たれた哀れな生贄羊
亡霊を在るべき姿に戻せ
持ち時間は90分
全員ミスなら破滅
死神より
――――――――――
(#0) 2017/06/17(Sat) 10時頃
「なあ……あの像、なんかおかしくないか?」
「そう? 見た目は全然フツウだけど」
「でもなんとなく、嫌な感じする」
「きもちわるい……」
[道ゆく人々は、「沈黙の羊像」を見てざわついている。
像が何かおかしい、気持ち悪い、怖い、という声。
像の見た目はいつもと変わらず、澄ました顔でそこに佇んでいるのだが——]
(#1) 2017/06/17(Sat) 10時頃
[UGからその像を見れば、一目で異変に気付くことができるだろう。
羊を象った銅像は、首から上が消えている。
鋭利な刃物で切り取られたかのように、綺麗に消失しており、
像の周囲には悪趣味にも赤い絵の具のようなものが散らばっている。
像の周辺にはノイズ<ミンク>が3匹ほど湧き出ており、
鋭い鎌を研いで笑っているだろう。]
(#2) 2017/06/17(Sat) 10時頃
/*
Tips:ノイズ<ミンク>
素早いイタチ型ノイズ。
細長い胴をしなやかに回転させて攻撃を受け流す。
遠距離の相手には空気を切り裂くカマイタチを放つ。
(#3) 2017/06/17(Sat) 10時頃
[……起きよ、という命令
魂を直接揺さぶらんとするような、凛とした声は、ぞくり、と意識を戻さんとする。
未だ眼は開かない。だが、魂はその宣告を聞いた]
[心が未だ蘇らないにも関わらず、身体は、死神の慈悲により……はたまた気紛れ、か、もう暫くしたら覚醒するだろう]
[未だ、声は戻らない、が。
もしかしたら、魂の呟きは、彼女に届くのだろうか]
………あたしは、何を取られたの?
[未だ、眼は開かれない。
冷たい雫が一筋、冷たい頬を通っただけ。
返答があろうがなかろうが、コンポーザーの命により、あと少しで意識は取り戻すだろう]*
[無情、しかし真実の言葉が
返答してくれるだけマシと思えばよいか。結局は、何も変わらないのだけど。
…………諦めろ、という言葉は刃となり、突き刺さる。
私が諦めたら、あの子も諦めざるを得なくなるんだろうか、なんて。
眼が覚める頃、あの子は傍に、いるのかな?]**
[まっくらな意識の海を漂う中、誰かの声が耳に入る。
それはとても哀しそうで、声の主に向かい手を伸ばそうとしたけれど体は言う事をきかなくて。
あぁ、謝らないで。悲しまないで…
ぼくはここにいる、守るから…守ってみせるから…
それでも伝えようと、かれた喉を震わせる。
それが彼女へ伝わる声になったのかは定かでない]
[その直後だろうか
ひやりとした、命令の声が聞こえたのは]
だぁ…れ……
[ぼんやりと瞼を開けば、近くに立つ誰かの影を確認できただろう。
しかし、霞んだ視界の中ではそれがどんな姿をしているのかまで把握するのは難しく、続く言葉を大人しく聞くより他はなかった]
[
自身が強い魂と表現された事に心の中で首を傾げながらも
説明されたルールをじっくり、自分の中で確認する。
ひとつ、7日間…残りのゲーム期間中を生き残る事。
ふたつ、近くに立っているだろうコンポーザーへ自分の存在価値を示す事]
(存在、価値…)
[果たして、それは自分にあるのだろうか?
―もし、はじめからそんなものがなかったとしたら
ないものを示すなんて事はできっこがない]
…まっ
[歩き出そうとする気配を察知し
まだ聞きたい事があると声にならない声でその影へ語りかけただろう]
もし…
もしも、どちらかが先にまた死んでしまったら…
その時はパートナーも消えてしまうの?
[再び自分が消滅する路を辿ったとしても、そこに彼女を巻き込む危険はないのか。
…そしてもうひとつ]
生きる権利をもらった場合、他の人に譲る事はできるの?
[ふたつの問いかけにコンポーザーは答えてくれたのだろうか?
もし答えが来なかったとしても、やがて覚醒した意識は再び生き返る為の活動を始める事だろう。*]
— 沈黙の羊像 —
[<ミンク>が群がっていた、首の無い羊像に誰かが触れたなら、
甲高い一瞬の怨嗟の悲鳴と共に、像からもやもやした何かが解き放たれる。
“それ”は、高く空に舞い上がると、風に流されながらも、
ゆっくりとどこかへ向けて、ふよふよと漂い始める。
それを追いかけて行けばやがて、「サイガワラ駅」へ辿り着き、消えるだろう。]
(#4) 2017/06/17(Sat) 16時頃
— サイガワラ駅 —
[駅のホームには、ノイズ<モル>がおり、
何かの塊をボールのようにころころ転がして遊んでいる。
よく見れば、その塊が銅像の羊の頭部であることが分かるだろう。
この<モル>はとても臆病なため、参加者の気配を感じたらすぐに逃走してしまう。
……捕まえるには、根気よく追いかけ回す以外に方法はないだろう。]
(#5) 2017/06/17(Sat) 16時頃
/*
Tips:ノイズ<モル>
モグラ型のノイズ。
床や地面に穴を掘って自由自在に逃げ続ける。
鋭い爪で切り裂いてくるほか、丸い爆弾を作って投げつけてくる。
(#6) 2017/06/17(Sat) 16時頃
[>>121<モル>の頭上を、一本の剣筋が掠めていく。
用心深いモグラは驚き、辺りをきょろきょろと見渡すが、
攻撃の出所は見えずに首を捻る。
すると、羊の首を抱えたまま、
駅のホームのコンクリートに穴を掘り、そのままもこもこと地面に潜って行く。
その素早さたるや、常人が走って追うのすら難しいほど。
コンクリート、そしてアスファルトにうっすらと残る、モグラの移動跡を辿れば、
「よみのクリニック」の裏手に辿り着くことができるだろう。
地面から顔を出した<モル>は、そこでまた首を転がし、一人遊びを再開していた。]
(#7) 2017/06/17(Sat) 18時半頃
[それなら今度の今度こそ、死ぬ訳にはいかないか…。
せっかく得たチャンスを自分のせいで失わせる訳にはいかない。
覚悟を改めようとした時
続いた答えに、少年の目は見開かれただろう。
神経の働きも鈍っていたから、実際にはわずかに痙攣を起こした程度しか動かなかったかもしれないけれど]
だめ……なんだ…
[せめて彼女だけでも生き返る事ができれば
最終の手段は、あっけなく棄却された*]
―4th dayサイガワラ永民博物館付近―
[こぽ…
こぽり…
ゆるやかに意識はまっくらな海から浮上をし
目が覚めてみれば、そこは二度目の最期を迎えた場所だった。
…もしかして今までのは悪い夢だったのかな?
なんて体を確かめてみれば、幼い体はいつも以上にどこか頼りないものに見えて。
希薄、という表現がぴったりだったのかもしれない]
…ゆめ、じゃなかったんだ
[そうとわかれば、真っ先に探したのはパートナーの彼女の姿。
周囲を見渡すと、少し離れた所に横たわる姿を確認できた。
すぐさま駆け寄って声をかけようとし、頬に伝う涙を見れば黙ってそばに座り込み、そっと手で拭い取っただろう。
真っ先に感じたのは悲しみ。
できもしなかったのに、守ると言った事への罪悪。
昨日の事も踏まえ、すぐに移動を開始した方がいいのは理解していたものの少年は彼女が目を覚ますまで心配そうな顔でそばにいただろう。
そうしてる間にいつかの親切な死神のお兄さんがこちらへ声をかけてきたようだがそれは彼女が目覚める前と後、どちらだったか*]
死神の、お兄さん…?
[声をかけてきたのは、以前にアドバイスと飴をくれた親切な死神のお兄さんで
彼女の事を聞かれれば小さくこくりと頷き]
うん…パティさん
ぼくのパートナーだよ
[ごめんなさい、パティさんの事…守れなかった…
と言葉を続けたけれど、それはあまりにも小さな声で
届いたかどうかは定かではない]
[罪悪と気まずさからこちらが黙っていれば
死神のお兄さんは語りだし。
はじめの方は知っていると頷くだけだったけれど
途中、聞き覚えのない情報に え… と声が漏れただろう]
ま…待って、ぼくそんなの知らない…
そんな事説明されてない……!
[―自分達を倒せば特別ご褒美?
ルール説明の時を思い出してみてもそんな事を言われた覚えは全くなく、一体いつの間にそんな取り決めがされてしまったのか…。
それより今問題なのは、それが意味する事は]
[目の前のお兄さんはもう、味方になってくれない]
な、なん…で…
[満足のできる答えが返ってくる訳がないのに、それでも嘘だと言って欲しくて。信じたくなくて。
だけど、目の前の笑顔や事象はそんな現実逃避を許してくれなかった]
あ…
[宙に浮きあがった石達がこちらに向かい飛んでくる。
もう、迷う暇なんてなかった]
……ッ
[とっさに彼女を庇うよう前へ立ち、両手を広げる。
恰好の的となった体に石が当たれば いっ… と小さな呻き声が上がっただろうがすぐに歯を食いしばり。
せめて彼女が目を覚まし逃げられるようになるまで時間を稼ごうとしただろう*]
[頭に直接響く、切羽詰まった願いの言葉に応え、重く冷たい瞼が開いた時、そこには自分を庇う小さな背中があった。
覚醒するまであと少し]
……丈司、君?
[彼が死神からの攻撃を防いでくれてることを悟れば、直ぐ様起き上がる。
一体何が起きているのか。困惑したが一先ずはこの状況をなんとかしなくては]
[あぁ、あの幼い言葉は現実だったのか、と。
また付き合わされるのだと]
[丈司に取り敢えず庇うことを止めるように言い、前に出れば、自分を見る死神の姿が見えただろうか
頬に残った涙の跡、彼が拭ってくれたそこに、攻撃の飛び火が走った。
本気で殺そう、というには生温い攻撃]
[彼らの話を聞くと、前に会った事があるのだろうか]
[こちらが目覚めた事で、死神は行動を変えただろうか。
話が出来そうなら、丈司を背にし、こう問いかけただろう。
何をしに来たの?と。
会話が叶わぬならば、身の安全を確保しようと、丈司の手を取り走り出しただろうか]*
[刹那、自らにも飛ぶ石。
軌道を読むのが容易だ。やはり、本気の殺意はないのだろう。
硬質化した両腕で、石を払い、身に当たるものは防ぐ]*
[攻撃の手をやめた死神は、戦わないのかと問う。
生き返る為に、と。
死神からの問いが生き返りませんか?というのはなんともおかしいもので]
………生き返る為、があたしにはまだピンとこないのよ。
生きていた時の、何かが無いみたいだから。
[その返答は、特別扱いを受けた身から出た物として、死神からの怒りを買っただろうか?
若しくは、別の感情を抱かせただろうか]
[闘うことに疑問を抱いているのは事実だ。
そんな自分が何故ここにこうして立っているのかも、また。
正直、闘えないのだ。出来ることなら、もう目覚めたく無い。
だけど、それをするには後ろにいる相方に、堪らなく失礼だと。
彼女が今立てるのは、それだけの見栄]*
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