237 それは午前2時の噺。
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[なにこれ。なにこれ。なにこれ。何がいるの。
わたしたちが隠れた茂みのすぐ真横、何かを引きずるような音が聞こえる。 苦しそうな息遣いが聞こえる。……でも、真っ暗闇に包まれて、もう何も見えない。 ただぎゅっとアヤの手を握りしめ、それが通り過ぎるのを待った。 掴んだアヤの手は、ほんのちょっと震えて、手先が冷たい。]
大丈夫……大丈夫、わたしがついてるから……。
[ついているからなんだ、って言われたら困るんだけれど。 それでも、公園でわたしの手をアヤは取ってくれた。]
アヤは友達……おばけなんていない……。
[何度も口の中で呟いた。消えろ、消えろ、と強く願う。 ……やがて、音は遊歩道から田んぼの方への消えていった。]
(20) 2018/03/26(Mon) 00時半頃
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[そおっと茂みから顔を出したら……やっぱり真っ暗森。鼻をつままれても分からないほど、って比喩表現がぴったり当てはまるような。 あの変な音を出すものは何処かに行っちゃったんだろうか。 茂みにしゃがんだままのアヤの手を引っ張り上げて、服についた泥を払うと、アヤがおずおず口を開いた。]
「ともだちになってくれるって、ほんとう?」
[わたしはびっくりして目を見開いた。ここにくるまではじゃあ一体何だったんだろうって。 黙っていたらアヤはすまなさそうに「ごめんね」と言った。]
「いままで、おともだちできたこと、なかったの。 ……ねえ、あなたのなまえは?」
[わたしの手をアヤが握り返してくる。細い手。冷たい手。爪の間に泥が入った手。 なんで今更そんなことを聞くの?]
(21) 2018/03/26(Mon) 01時頃
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わたしは、エリ。
[真っ暗でアヤの顔は見えなかった。でも「そう」と返したアヤの声は、何だかひどく悲しそうだった。]**
(22) 2018/03/26(Mon) 01時頃
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くらくなると、こわいものがやってくるよ。
うそ! よるがくると、ゆめにはいって、たのしいことが たくさんになるんだから!
ほんとうに? ほんとうに?
ほんとう……、だよ。ほら、きれいないろの ことりが、おかしのおうちにみちびいてくれる はずなんだから──あれは……なに…?
こわいものが、やってきたんだよ!
[ヒッ。 掠れた息を飲みこんで、座り込んだまま自分で自分の肩を強く抱きしめる。 現実には恐ろしい妖怪なんている筈無いと分かっていても、自分の指先さえ見えないこの闇の中では僅かな物音でさえ、悪いものの気配のように錯覚してしまう。]
(23) 2018/03/26(Mon) 01時半頃
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[手で肩を擦りながら右に左に首を巡らせるけれど、視界を助けるような光源は見当たらなかった。 完全なる、闇。
鎖された闇の中で急速に失われる平衡感覚。 今自分が立っているのか座っているのか、前と 後ろと右、左、どちらを向いているのかさえ あやふやで、不確かで──酷く不安になる。]
……あっ、
[チリン。 微かな鈴の音。聞き覚えのあるそれは、ヨムマジロ君のキーホルダーに付いたものだとすぐに思い至る。 先程慌ててポシェットに入れた時に、しっかり仕舞えていなかったのだろう。座り込み、不安に身を震わせる内に不安定に引っ掛かっていただけのそれはずれていき、遂に地面に落ちたのだ。]
(24) 2018/03/26(Mon) 01時半頃
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[携帯電話は、携帯してきていない。 手元を照らせるものは、なにもない。 手探りで周りの地面を探るけれど、一瞬指先に触れた硬い物は、その指に弾き飛ばされころころと離れて行くのを感じた。]
や、やだ、どうしよう…!
[自分の周囲をパタパタと叩いて探しながら、暗闇の利点を一つだけ知った。 どんなに瞳に涙を浮かべても、滲むべき視界がないのだから困らない、ということ。]**
(25) 2018/03/26(Mon) 01時半頃
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[ 窓から眺めたととらはどこまでも暗かった。握ったままの、電気の線。悪事の証拠が重たい。月とか星とか、自然にある明かりだけが見えていて、時間が経つごとに目が慣れてゆっくり明るくなっていく。
ぺた、とそこに座り込んだ。悪い事をした。
だけどすぐに人が来ることはわかって居たから、急いでまた立ち上がる]
(26) 2018/03/26(Mon) 17時半頃
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[裏山に生い茂った木は、一片の光も通さないとでもいうように、下を歩くわたしたちに意地悪をする。 飛び出す木の根も、湿った腐葉土も、全然先に進ませてくれない。 アヤは草履だし、わたしはガラスの靴……ママの買ってくれたお気に入り。 それでも真っ暗闇に慣れてきた目に、僅かに映るものを頼りに、一生懸命アヤの手を引いて歩く。
きっと真っ暗な街に取り残されてる人たちの誰も、ここにいるわたしたちのことを知らない。 大人も、子どもも、犬も、猫も、みんな。 おうちにいる人たちはみんな、誰も気が付かない。 早く山を登らなきゃ……焦る手が、アヤの身体を強く引く。
と……ずるり、腐葉土に足を取られてアヤの身体が落ち葉の上を滑り落ちていく。]
アヤ!
[わたしの手からアヤが離れてく。 体温が 遠 く は な れ て
それから、真っ暗闇だけが残った。]
(27) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[葉っぱの滝つぼに飲まれていくように、軽くて小さなアヤの身体は私の届かないところまで落ちて行って……]
「……ごめん、サンダルがこわれちゃった」
[やがて、ぽつりと声だけが返ってきた。 冷たい風に乗って、アヤのにおいが鼻先を擽る。生臭くて酸っぱいにおいと……ブランコのさびた鎖のにおい。 アヤの無事を確認しないといけないのに、そんなことばっかりが気になった。
助けに来ないわたしに、アヤは静かに口を開いた。]
「ねえ、わたしね、おかあさんからくつをかってもらえないの すぐおおきくなって はけなくなるから。」
[生臭い風に乗って、またあの鈴の音が聞こえた気がした。]
(28) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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…… リィィィン …… 「ねえ、わたし、ともだちがいないの」
「だから、あなたのほんとうのきもちがわからない」 …… リィィン ……
…… リン …… 「わたしにはなにもうらやましいものはないよ」
「わたしをにくんでうらんでねたんでも」 ……カラ、コロン……
…… ふぅ、うぅぅ …… 「あなたはきっとみたされない」
「ねえ、おしえてほしいの」 …… シャン、シャン、カラン ……
「わたしがにくい?ともだちになりたい?……ころしたい?」
(29) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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「あなたのほんとうのなまえは なあに?」
(30) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[こういうのをきっと「息も止まるよう」っていうんだろうか。 今までアヤはちっともおしゃべりしてくれなかったから、こんなにしゃべる子なんだって知らなかったの。
アヤの姿は、わたしには見えない。でも、確かにアヤはここにいる。見えなくても、アヤのにおいがするから。 酸っぱい汗のにおい、取り換えられない服の饐えたにおい、垢とほんのちょっとおしっこみたいなにおい。]
……だって、アヤ、くさいんだもん。
[それが、わたしの答えだった。]
(31) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[うらやましくて仕方が無い、“いきてる”におい。
わたしより背が低くて、がりがりで、友達もいない可哀そうなアヤだけど、そのうちわたしより大きくなってしまう。 背が伸びて、靴が入らなくなって……わたしなんか見えなくなる。わたしなんかいないのと同じになってしまう。
だから、大人なんてバカだ。ここにわたしはいるのに、誰も気が付かない。 おばけなんてうそだ。わたしだっていつかおばあちゃんにカーディガンを編んでもらって、お父さんから髪を結うゴムを買ってもらって、ママから靴を買ってもらって……
それから、可愛い名前で呼んでもらえる。想いを込めて、成長を願って、つけた名前。
大人にも見える子だけずるい。ずるい。わたしはここにいるのに。]
(32) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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「あなたがブラン子さんでしょう?」
[ああ、でもその名前は、大嫌いなの。]*
(33) 2018/03/26(Mon) 19時半頃
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[はた、と書類に埋めていた顔を上げる。周囲を見回しても、目に映るのは先程の景色と同じもので、……気のせいか、と再度ペンを持ち、立ち向かおうとする。が、ペン先が僅かに震えを帯びて、焦点を合わせてくれない。]
「……どうかしましたか。」
ああ、いや。何でもないよ。
[震えからだろうか、手近にあった毛布を持ち歩いてくる彼女を手で制し、ほうと息を衝いた。過不足のない温度の中で纏わりついた汗が、何処か気持ち悪い。*]
(34) 2018/03/26(Mon) 22時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2018/03/26(Mon) 22時半頃
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[静かな部屋に、ごおおおと、沸き立つ音だけが響く。ケトル、怒りの湯沸かし。側には目の覚めるような黄色が特徴的な紅茶缶がある。 壁の向こう側から聞こえていた賑やかな声は、とっくの昔に奥へと引っ込んでしまった。今頃は川の字になって、夢の中にでもいるのだろう。私はというと、喫茶店で飲んだカフェオレのせいか、冷蔵庫にあったチーズタルトを食べたせいか、未だ眠れないでいた。傍に置かれたスマホに視線を落とし、ホームボタンを押してみる。ロック画面は1:59を表示するだけ。数字の後ろで微笑む彼女は、無言のままこちらを見つめている。]
あーん……くみた……
[普段は薬缶を使うので、どれくらい沸かせばいいのか分からず、そろそろスイッチを切ろうと手を伸ばしかけた、その時だった。]
きゃあっ!
[急に目の前が真っ暗になった。]
(35) 2018/03/26(Mon) 23時頃
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─ 深夜2時の、少し前 ─
本当です。 笑い皺は最後まで残るんですよ。
[ 瞬間、暗闇。 電気が消えたのだと理解するまで数秒。 暗闇に目が慣れて周りが見え始める。
漆塗りの白木の仏壇。 金箔の装飾が浮かび上がる。 葬儀場の、古い箪笥の中身のような、 立ち昇る香が染み付いた畳の匂い。
通夜が終わった後の静謐。 親族が亡くなった人と過ごす最後の場所から明かりが消えた。
其処にいた筈の人影がいない。]
(36) 2018/03/27(Tue) 00時半頃
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どちらにいらっしゃいますか?
[ 焦りを覚えた。 急に消えるなどあり得ない。 神隠し、などという妄想が頭の中で輪郭を持ち始める。 仮眠室で読んだオカルト雑誌で特集が組まれていたか。 否、今はどうでもいいだろう。]
(37) 2018/03/27(Tue) 00時半頃
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[ 繊細な文壇が在る手前手当たり次第という訳にもいかず、 じ、と視線を巡らせて探した。 見つけるより先に音が届く。 その人は畳の上に蹲って「もう嫌」と呟いた。
此処は親族が亡くなった人と過ごす最後の場所。 その場に居るのは自分とただ一人、 未だ制服も脱がない少女のみ。
あと一人、居ると言えば居る。 浮かぶ白い顔。 その人は蹲った少女の傍で沈黙を決め込んでいた。 明日には人の形では無くなり、人にしては余りにも無臭。
今日は少女の母の通夜である。]*
(38) 2018/03/27(Tue) 00時半頃
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グラスに注がれた真紅のワイン。気分を高揚させるノリの良い洋楽。ピンク色の照明が煌々と光る店内。男は美味そうに煙草を吐いてソファに身体を預けていた。端麗な顔立ちをした美しい女性が、艶めかしく男の頬に触れる。豊満な胸を男の身体に押し付け、唇を重ねる。女は男の瞳を眺めた。黒だ。吸い込まれてしまいそうほど、どこまでも深い黒。
「気分はどう?」 「最高だ」
一條聖司は口角を上げた。目は一切笑っていなかった。斗都良町出身の国会議員。聖人君子とまで呼ばれるこの町のスター。 一條がこの店を行き付けにしていたのは3年前。店を貸し切り、1番人気の女を自分好みに仕上げて抱く。これが本当の一條。女は思う。何がスターだ、何が聖人君子だ。ここにいるのは税金で女を抱く傲慢な男。人のありのままの姿とは、ロクでも無いものだ。 チリンと鈴の音が鳴った。扉にぶら下がるヨムマジロ君のキーホルダーが音を立てたのだ。 店に入ってきたのは、七三分けの男。髭面で髪はボサボサ。服はシワだらけ。黒縁眼鏡の奥で光る瞳は濁っている。一見浮浪者にも思えるが、首にかかっている一眼レフがそれを否定していた。
(39) 2018/03/27(Tue) 00時半頃
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「誰かと思えば低俗雑誌のカメラマンじゃないか」
一條はくっくっ、と小刻みに笑う。店内のバックヤードにいた護衛が騒ぎを聞きつけた。男が2人。スーツを着ていても筋肉質な体格だと一目でわかる。2人は一條を庇うように前へ出た。
「どうした、迷子でもなったか?」 「スクープを撮りにきた」
それを聞いて、一條は腹を抱えて大笑いした。グラスのワインを飲み干した後、思い出し笑いをして口から吹き出した。
「三割方ァ、ジャーナリズムを気取るのは良いが、どうなるかわかってんだろうなあ?」
一條が合図をすると、三割方とは2倍近く体格差のある屈強な男2人がジリジリと距離を詰める。しかし、三割方は動じることなく、ただ壁に掛けられている時計だけを見ていた。
「お前こそ、わかってんのか」 「何が?」 「もう2時だぜ」
(40) 2018/03/27(Tue) 00時半頃
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ぶづ、ん──────
「な─────」
突然の暗闇に包まれる店内。一瞬にして鋭い光が差す。フラッシュだ。男がカメラを片手にシャッターを切り続けている。まずい、と声を漏らして一條は顔を伏せた。屈強な男達が光を頼りに三割方へ殴りかかる。チリン、とまた微かな音が鳴った。同時にけたたましい打撃音がした。
「アタタタタタタタタァァァ!!!」
男が真後ろにぶっ飛ばされ、カウンターに並べられたボトルが一斉に床に落ちる。ガラスの割れる音と男達の断末魔と女の悲鳴がハーモニーを奏でる。
「おい! 一体何が起……」
一條がわずかな光の中で見たものは、鼻先に迫る金属バット。三割方は歯を食いしばり、全身を躍動させ、渾身の力でバットを振り抜いた。一條の顔に直撃する。ゴキンッ、と前歯が折れて意識と共に何処かへ飛んで行った。三割方は金属バットを捨て、カメラのフォルダやを確認する。そこには、金属バットを振り抜く三割方と一條の顔がへこむ瞬間が激写されていた。
「どうだった? 俺のスイング」 「三割バッター、みたいですね」
カメラの光に照らされながら、2人は微笑んだ。
(41) 2018/03/27(Tue) 01時頃
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一條聖司黒幕説を確証するのは簡単だった。取材は直接本人に聞くに限るという六掛の言葉を元に、ガールズバーへ足を運んだ。すると、一條は勝手に勝ち確だと思い込んでペラペラと真相を語った。元々、一條の親父はいわゆるフィクサーであり、莫大な資産と忠実な手下がいた。一條には総理大臣になるという野望があり、まずはメディアの情報源にクギを刺すことにした。一條を嗅ぎ回る者は例外なく始末された。 真相はわかったが、三割方は一條を出し抜くプランは思いついていなかった。一條の刺客からどうにか逃げ延びるので精一杯だった頃、ループのとある法則を見つける。それは午前2時に必ず大規模な停電が起きるということ。この謎の停電が、一條を出し抜く2人にとって唯一のチャンスだった。
「お前こそ、わかってんのか?」 「何が?」 「もうすぐ2時……あ、ちょっ、あと1分くらい待ぐふぉ」
試行錯誤を繰り返し、何度も死にながら一條と対峙した。六掛の動きから一條の台詞の長さ。停電後の対応までを計算に入れて動く作業は映像編集者さながらだった。こうして緻密に計算された時間と動きが全て一致し、ようやく2人は今に至る。
(42) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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[床を這いながらスマホと猫を探す。ぺたぺたと床を触りながら。え〜ないしいない…。パソコンデスクのまわりにもなかったし、なんなのもお…。
ふわっ
手に触る感触があって、ラディ?と思った。 ふわふわ、か〜〜わいい感触がする。可愛いぞこれ、かわ、 ふわ…、 あれ?]
なっ なに!?
[ばっと手を引く。この部屋に猫はラディしかいないはずだった。ラディは短毛種だ、今のは確実に長毛種の手触りだ。あれは…猫?だろうか。どうだろ。わかんない。 ただ、ふわりとさわりとその柔らかな毛並みに指先が沈みふわふわと心地よい毛触りが手にさわった。長毛種の猫を触った時の様な幸福感。最近触ったから間違いない。]
ら、らでぃ じゃないわよね? ラディ〜〜〜
ねえ、ラディ? どこお?
[声で呼んでみる。再び手を伸ばす勇気はなかった。]
(43) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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[どんっ どたたたた、てとてて…]
(44) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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[足音が聞こえる。これは猫の足音だ。この、少し重い音。のったりとした足音は間違いなくラディのものだった。はあ、体重ののった足音さえも可愛い。 あの方向にラディはいるのね?そう思って手を伸ばす。]
ら〜〜でぃ〜〜〜〜
[伸ばしながら、ドンッと感触があったのは、次は背中の上だった。]
ぎゅえ
[人間をつぶしたみたいな声が出た。(ただしい) ああ〜〜背中に猫の体重を感じる。四か所だ。これは四足だからだ。ぽつぽつぽつぽつと体重が分散されているものの、足先が小さいせいで地味に痛い。でもここで足踏みされるとめちゃくちゃに気持ちが良いのだ。猫マッサージというやつだ。 しかしこの重さも可愛いな。猫は体重を感じるだけで可愛いって思う。う〜んこの少し重めだけど全然軽いこの感覚。猫に乗られた人にしかわからないと思う。体重が可愛い。そんな感覚。ああでも、]
う、うごけなくなるから、…
(45) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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[四つん這いなうえに背中に猫だ。手を伸ばす事すら困難だった。ぐぬぬ。でもかわいい。 あ、ラディってば背中の上で座るポーズに変更したわね。四足の感覚から大きな丸い温もりへと変わった事で解る。その円形の温もり…とてもかわいいし、あったかいをこえて暑くなってくるけど猫はそんな事お構いなしだ。]
ラディってば〜〜
[それでも動けない。だって動いたらびっくりして飛び退いちゃうでしょ。そんなの可哀想でしょ??]
らでぃ〜〜〜 ら〜でぃ〜い
らでぃ〜〜
[名前を連呼する。なぁーお。という返事が返ってきた。あっむりですめろめろです。解った暫くこのままの体制で甘んじます!!! ――にしても、さっきの長毛は何だったんだろう…。]
(46) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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…ラディ、 なんか… なんか、他にも なんか いる…?
[なんて、思わず猫に聞いてみて―――…]
(47) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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な゛ァ〜〜〜オ
(48) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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[返ってきたのは、大きな大きな 聞き覚えの無い *猫の 声*]
(49) 2018/03/27(Tue) 01時半頃
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