190 【身内村】宇宙奇病村
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人
狼
墓
少
霊
全
ワクラバに1人が投票した。
エスペラントに5人が投票した。
エスペラントは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ワレンチナが無残な姿で発見された。
亡霊
今夜、人狼に殺された人は人狼になる。また、襲撃を実行した人狼は命を落としてしまうだろう。人狼となった者は報復行動を行わない。ただし、命拾いをしたならば人狼にはならない。
一匹狼は亡霊を作らない。
現在の生存者は、ミツボシ、イースター、ワクラバ、アシモフの4名。
エスペラントの声が宇宙の暗黒へと遠ざかり、ワレンチナが目を覚まさなくなって……2週間が経つ。
次元航法装置は修理の目処がついていた。ワクラバやイースター、ミツボシの努力によって部品の代替を作り、チェックし、失敗し、それを繰り返してやっと何とかなりそうだった。
食糧の備蓄や酸素を作り出すためのエネルギーは、次元航法装置のエネルギー充填を考えると……人数が減ったため予定よりもっているが、限界は見え始めた。
(#0) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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― 2週間前 / 自室 ―
――、
[自室の壁を、強く殴りつける。]
[後手に回るにも程があった。 サイバーセキュリティが専門の自分が居ながら、船内AIにシステムエラーが生じた。]
[もっと早くAIの復旧に着手して成功していれば、AIの補助により船外活動の危険性を下げられていたかもしれない。]
……最悪だ。
[拳の痛み以上に、胸奥から込み上げる吐き気が不快だった。]
(0) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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― 2週間前:倉庫 ―
[ブーツを苛立だしく踏み鳴らしながら、倉庫内に眠る機材を睨むように吟味する。あの直後、エスペラントを救うためのあらゆる手段を立案、協議し、可能であれば試みたものの、いずれもが失敗に終わった。無情にも時間だけが悪戯に経過していく。『無茶はするなよ 諦めよ』師と仰いだ男の、最後の教えが頭の奥で鳴り響く。] ……ちくしょう!ふざけるな! こんなのってねぇぞ!!
[胸の底からわき上がる怒りと焦燥。ワクラバはきつく握りしめた拳を振り上げ、そして、とまった。この拳を何に、誰に振り下ろせばいい。決まっている。そんなものは1人しかいない。ワクラバは、腕を降ろし、その拳を自身の左頬に叩きこんだ]
[唇が切れ、鼻から出血した。目の奥がチカチカする。エスペラントが居なくなった今、やるべきことはなんだ?脳裏に残されたクルーたちの顔が浮かぶ。イースター、アシモフ、ミツボシ、そして―]
……ワレンチナ
(1) 2016/05/20(Fri) 01時半頃
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― 2週間前:ワレンチナの自室 ―
[それは一見すると、ごく普通に眠っているようだった。 声をかけて、頬を叩き、肩を揺さぶる。 それでも、ワレンチナが目覚めることはなかった。]
へへっ……なんだよ。せっかく来てやったってのによ。
[横たわるワレンチナに腕をまわし、その身体を抱きしめる。 穏やかな息づかい。心臓の鼓動。暖かく柔らかな感触。 ワクラバの中で、何かが震え、弾けた。]
(2) 2016/05/20(Fri) 02時頃
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[首元に手をあて、フェイスカードを取り外す。 醜くただれた素顔が空気に晒された。 一瞬の躊躇。そして、ワレンチナに顔を寄せる。
唇と唇が触れ合った。
ワクラバの頬に、熱い涙が伝う。 今の今まで、堪えてきた涙が、溢れ出した]
……やっぱりダメかい? 俺じゃあ、お前さんの"王子様"にゃ、なれねぇって? つれねぇなぁ……ワレンチナ。
[涙が流れるまま、静かに寝息をたてるワレンチナをきつく抱きしめた]
(3) 2016/05/20(Fri) 02時頃
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― ワレンチナ搬送の翌日:ワレンチナの自室 ―
[ワレンチナの個人端末に触れる。電源は入ったままだった。Remdaに関して隠された事実があるとすれば、それは巡り巡って、La=Sta=Demonicの利益にもつながるだろう。ワクラバの正体をワレンチナが知ったら、どのような顔をするだろうか。胸の奥がズキズキと痛む。聞かなかったことにして、忘れてしまおうかと、何度も考えた。だが、もしも、Remdaを持ち帰る本当の理由が、ワレンチナにとっても悲願であるのなら――
キーを叩き、Remdaに関する一連のデータにアクセスした。警告と共に出現した、セキュリティコード入力欄に『iamwhatiam』とタイプする]
……『在るがまま』か。 お前らしいぜ、ワレンチナ。
[認証が終わり、Remdaに関する事実がモニターに表示された―]
(4) 2016/05/20(Fri) 03時半頃
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― レクリエーションルーム兼食堂 ―
Mr. Moonlight〜♪ You came to me one summer night〜♪ And from your beam you made my dream〜♪ [耳にしたイアフォンから、軽快な音楽が流れる。充填機用エネルギー配管の23度目の試作を終えたワクラバは、昏睡しているナユタ、シルク、ワレンチナ、3人を見舞った後、食堂に訪れた。
食料棚を漁り、補助食糧のカロリーキャンディを口に放る。イースターがバーチャルで食事を取る際に舐めていたものだ。例のキノコ料理は、まだ試してはいない。]
さて……どうすっかな…
[食卓の上に図面とテキストを広げた。あれから2週間半。食糧の備蓄。動力の燃料。謎の昏睡。考えるべきことは多い。キャンディを舌で転がしながら、段取りを決めると、まず便箋を広げ、ペンを手に取った]
ハローCQ
(5) 2016/05/20(Fri) 04時半頃
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― 医務室 ―
よぅ、アシモフ。手、空いてるかい? 悪ぃが、またメンタルチェックしてもらいたくてよ。
[ワレンチナを医務室に寝かせてから、しばらく、ワクラバは荒れた。普段は抑えている感情の起伏をコントロールできない。怒り、叫び、泣いた。]
······面目ねぇ。あんときは、情けねぇ姿みせちまったな。 あんたの方が、よっぽど大変だってのによ。
なぁ、顔色が悪いぜ?養生はしてくれよ? あんたに倒れられたら、それこそお手上げだからな。
[ここ最近のワクラバは、いつにも増して饒舌だった]
(6) 2016/05/20(Fri) 15時頃
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― 医務室 ―
[ワクラバの声が聞こえるとアシモフは医務室の奥から出てきた。彼は最近よく、医務室奥で薬液に浸かったままのヤンファに話しかけている。]
やあ……メンタルチェックか、いいよ。
[その毛並みは荒れ、髭は折れ曲がり、尾は乾ききっている。 ヴィジョンモニタのチェックボードを出し、いくつかの器機につながったコードを引っ張り出してきた。]
情けないなんてことはないさ、当然デよ……人として、当たり前さ。
ああ、ありがとう……大丈夫、ぼくは丈夫なんだ。それが取り柄なんだからさ……大丈夫。
[細いコードの先はとても薄い円形のシールタイプになっている。それをワクラバの額や喉、胸部、腕につけていくつかの質問を始める。 しかし、結果はわかっている。]
(7) 2016/05/20(Fri) 16時頃
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……なんだったらリーマスかジプレキサでも出しとこうか、安定薬さ。
[『一部情緒不安定』。それがここ最近の結果だ。異常ってほどじゃない、こんな状況だ。 しかし。アシモフはわかってきた。
――おそらく、次に眠るのはワクラバだ。]
(8) 2016/05/20(Fri) 16時頃
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[だが、彼にそれを告げてはいない。意味が無い。 症状の予測がついても、治療ができない。感染を防ぐ方法もわからない。幸いにしてまだ二週間、彼が眠ることはなかった。 ならば、黙って観測することが一番有益だとアシモフは判断した。]
(どうせこのままじゃ……全滅だ)
[航法装置が完璧に直るまで、ワクラバが欠けてもイースターが欠けても帰還はほぼ不可能になるだろう。 自分の船員としての無力さをまた感じる。]
(9) 2016/05/20(Fri) 16時頃
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(ぼくは感染の拡大を防ぐんじゃない、こうなってしまっては……) (治療法を見つけなければ、帰る意味が無いんだ)
[だから、治療のために犠牲を厭わない。治せないのならば帰れなくたっていい。 アシモフは既にそう考えるまだ追い詰められていた。]
(10) 2016/05/20(Fri) 16時半頃
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おぅ、もらってくぜ。ありがてぇ。 これ目当てに来たようなもんなんでな。
[処方された安定薬を受け取り、懐に入れた。どれだけ効果があるのかはわからない。]
こっちが無茶できるのも、あんたが船に居てくれるからだ。 感謝してるぜ。ありがとな。
[らしくもないことを言う、と心の中で自嘲する]
目処がたって、こっちはちょいとばかり余裕できたんでな。 力仕事が要りようなら呼んでくれ。こっちもそれだけが取柄でよ。
[それだけ言うと、医務室を後にした。やつれきったアシモフの姿に胸が痛む]
(11) 2016/05/20(Fri) 20時頃
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― コンソールルーム ―
[イースターが居る頃合いを見計らって、ワクラバは自動扉をノックした。彼女の責任感の強さは、この航海を通して充分に理解している。それだけに心配だった。中から返答があれば、扉を開いて中に足を踏み入れる。]
……よぅ、試作品の実験データ、そっち送ったぜ。 もう見てるとは思うが、まぁ、一応な。 今度こそ、なんとか様になってるはずだ。
あー……なんだ。こんなときだがよ。 イースター、おまえが居てくれて心底助かったぜ。 スキルもそうだが、メンタル的にな…… ありがとよ。
[自然と口から出た言葉に自分でも驚く。今日は、相当にウェットな気分らしい。ばつが悪くなり、頬をコリコリと掻く。]
(12) 2016/05/20(Fri) 21時頃
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おっと、そうだ。 話は変わるがよ、ちょいとこいつを見てくれねぇか?
[懐から設計用ノート型端末を取り出し、イースターの前で開いてみせた。モニターから、ある装置の立体図面が投影され、中空に像を結んだ。ワクラバは、指でモニターのパネルに触れ、図面をクルクルと回転させる]
動力炉の変換機だ。Pavr=opetyの土産にもってきたエネルギー結晶(>>1:149) あれをうちの動力炉の燃料に使えねぇかと思ってよ。
事前調査で、設計の基礎はだいたい出来てんだ。あとは補正かけて最適化すりゃ、まぁなんとかなるだろうよ。La=Sta=Demonicのトップシークレットなんだが……。へへっ、この際、知ったこっちゃねーな!
[Pavr=opetyから採取したサンプルを利用する。ワレンチナの発案(>>2:9)から着想した考えだ。決断するのに長らく時間を要したが――
ノート型端末を閉じ、イースターに差し出す]
検証、頼んだぜ。俺は、ちょいとミツボシをメンテしてくる。ながらくほったらかしだったからな。おっと、セクハラなんて言うな?
じゃあな。
[それだけ言うと、ワクラバはコンソールルームを後にした。ミツボシの姿を探す。]
(13) 2016/05/20(Fri) 21時半頃
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-倉庫-
[電力は大変貴重なものでしたので、ワタシは倉庫の片隅に座っておりまし。 あれだけ賑やかだった船内はいつの間にか静けさに包まれ、寒々とした気配に押し潰されてしまいそうに思えます。 皆様の疲労もピークに達しようとしていました。疲れを知らないワタシこそが今動くべきだったのですが、ワタシには、この船のことは、 いえ、ワタシを取り巻くなにもかもがわからないのです。
エスペラント様が居なくなった時。ワタシはにいますと言葉にしました。なのに、エスペラント様は暗い星空のなかに吸い込まれてしまいました。 皆様がエスペラント様を助けようとする間も、ワタシは見ていることしか出来なかったのです。 誰も彼も一人にしないためには、ワタシは、皆様の出来るあらゆることを出来なくてはいけないのです。
矛盾しています。
誰も彼もを一人にしないために作られたのに、なぜワタシはなにもできないのでしょうか?
無力感という機能は、ワタシから電力以外の動力を奪っていきます]
(14) 2016/05/20(Fri) 22時頃
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― 倉庫 ―
[搬入口から顔をだし、薄暗い倉庫内を見渡す。Remdaの泳ぐ巨大な水槽がほのかに赤い輝きを放ち、倉庫内はうっすらと桃色に染まっていた]
……ミツボシ、いるか?
(15) 2016/05/20(Fri) 22時頃
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>>15
ワタシはここにいます。
[物思いに沈んでいたからでしょうか? 不意のワクラバ様の声に驚きました。視覚を繋ぎ、体のあちこちにエネルギー巡らせ、ワタシは立ち上がりました。 立ち上がると、生体部品のいくつかが強張っているのがわかりました。そのままにしておくわけにもいかず、ワタシは小さく伸びをしました。体を動かすと、それだけでいくつかの機能が付随して起動します沈んでいただけの思考が泡のように浮かび上がります]
ワクラバ様、いかがなさいましたか?
(16) 2016/05/20(Fri) 22時頃
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[ミツボシの声を耳にして、ほっと安堵する。ついで、ミツボシが伸びをする仕草を目にして、思わず笑いが漏れた]
おっと、すまねぇ。 昼寝中だったか?
[ミツボシの方へ、ゆっくりとした歩調で近づく。こうして話をするのも2週間ぶりだ]
いや、別に用ってわけじゃねーけどよ。 しばらく、構ってやれなかったろ? メンテナンスでも、してやろうと思ってな。
それとも……シルクじゃねーと、やっぱり嫌か? なら、まぁ、話だけでもよ。
[薄暗い倉庫のせいか、水槽の灯りによる影の具合か、ワクラバの眼には、目の前のミツボシが落ち込んでいるように映った。]
(17) 2016/05/20(Fri) 22時半頃
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>>17
メンテナンスは、必要です。ワタシは壊れています。 ワタシは、誰も一人にしないために作られたのに。 ヤンファ様にも、シルク様にも、ワレンチナ様にも、エスペラント様にも、付き添う事が出来ませんでした。
[何故でしょうか、気が付いたらワタシは、ワタシが隠していたことの一部を言葉にしていました。ずっとしこりになっていた言葉にならない機能が、今は作動しなかったのです]
ワタシは看取るために作られたと、自己を定義しています。 機能不全を起こしています。
(18) 2016/05/20(Fri) 22時半頃
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……看取る?
[ミツボシの口から発せられた言葉に、おやっ、と目を細めた。この調査船に付属している汎用アンドロイド。そう聞いている。誰から?わからない。]
確かに、星間航行に事故は付き物だがよ……
[いつかの様子を思い出した(>>2:19)あのときから、ミツボシは、独りで苦しんでいたのではないか?]
……オーケー。必要ってんなら、はじめよう。機能不全と聞いちゃ、黙ってらんねぇしな。まぁ、そこ座れよ。ああ、床じゃねー。椅子があんだろ?そう、それだ。意外とクッションきいてんだぜ。
[倉庫の道具棚から、メンテナンス用の器具を取り出す。腕のバングル型端末を取り外し、小型スピーカーにつないで、スイッチを押した。スピーカーから、ゆるやかなバイオリンとピアノの戦慄が流れる。]
へへっ……なにはともあれ、これがなくっちゃよ。
[何世紀も前にEarthで作曲されたレガシーミュージック。"ジャズ"というタイプだそうだ。]
……さて、聞かせてくれや、御嬢さん。 おまえを、どう治してやればいい?
(19) 2016/05/20(Fri) 23時半頃
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[ワクラバ様に言われるままに、椅子に座りました。クッションが効いているといわれた通り、その椅子はワタシの足の内側の潤滑油の流れを作って、阻害することはありませんでした。
何を、治していただけば良いのでしょうか? ワクラバ様の問いに、ワタシはしばし迷ってしまいました。 ワタシは壊れています、作られた目的を達成できず、皆様の役に立ってもいません。 何らかの機能が阻害して、言うべきことを言葉にしてもいません。
黙ってしまっていては、メンテナンスのやりようがないのです]
わかりません。
[迷いましたが、ワタシはそう言葉にしました]
ですが、ワタシはワタシが作られた目的を達成できず、皆様のお役にも立てず、ここにいるだけです。 壊れているのだと、判断します。
(20) 2016/05/20(Fri) 23時半頃
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[これ、とワクラバ様が鳴らした音は、不思議なものでした。聞いたことのない、自然のものでもない音がなにかを伝えるでもなく続いています。ふと、一部の機能がその音に吸い寄せられているのを感じました。その音は、ワタシの無力感や恐怖という機能を通り越して、或いは、同調して、ワタシを引き付けました。それの呼び名を、ワタシは知りませんでした。 その音の波が確認できるわけでもないのに、視線は自然とスピーカーに向きました]
(21) 2016/05/20(Fri) 23時半頃
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[ミツボシの背中に手をあて、プラグ挿入口のカバーを1つずつ丁寧に開いてゆく]
わからねぇ……か。そうだよな。 『月』ってのは、なかなか見えねぇもんだ。 一緒だな、ミツボシ。俺もそうだ。 なにをどうすりゃいいか、わからなくてな。 ずっと、じたばたしてるぜ。 お前の言うところの、機能不全……まぁ、壊れちまってるんだな。
[簡易検査キットから延びるコードのプラグを挿入口に挿そうとして、手が止まった。挿入口にプラグが入りそうもない。規格が異なるのだ。]
先生……エスペラントが答えた、あの質問(>>3:67)。 お前の機能不全ってやつお関係してんのかい?
(22) 2016/05/21(Sat) 00時頃
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[ミツボシがスピーカーに目を向けている。アンドロイドも音楽の好みがあるのか、興味の沸くところではあった。]
レガシーミュージックってやつだ。 今流れてるのは『Fly Me To The Moon』ってタイトルらしい。 誰の曲か、わかりようもねぇけどよ。悪かねぇよな?
(23) 2016/05/21(Sat) 00時半頃
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>>22
関係、あるのでしょうか。
あるのだと思います。
皆様がもしも、自分の意志ではなく、何らかの機能でワタシと接してくださっているのなら、やはりそこに違いはあるのでしょうか、そう思ったのです。 皆様とともにいることで作られたいくつもの機能も、皆様とは違うものなのでしょうか? あの時、そう思ったのです。
ワクラバ様に名付けていただいた、あの照れという機能も、プラグラムにすぎないのでしょうか? そう思ったのです。
このような疑問を抱くこと自体が、ワタシの機能不全の原因なのかもしれません
(24) 2016/05/21(Sat) 00時半頃
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>>23
……はい。
(25) 2016/05/21(Sat) 00時半頃
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[ワクラバは、何も言わず、プラグ挿入口の周辺を布地でそっと拭う]
そうだなぁ……あるとしたら、そりゃ先生の言った通りだろうよ。(>>90) 違いがあるとすりゃ、自分の中にだ。エラーが起きて、スタックしちまえば、まぁ、機能不全にもなるぜ。
[綺麗に吹き終わったことを確認すると、カバーを1つずつ丁寧に閉じてゆく]
なぁ、ミツボシ。俺にも、与えられた『機能』ってのがあってよ。
[言いよどみ、言葉を切る。視線を横に逸らすと、赤い水槽にクラゲが揺蕩っているのが見えた。ピアノの戦慄が耳に心地よい。背を押されている気がした。]
(26) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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この惑星調査船に搭乗し、クルーの信頼を得ること。Pavr=opetyに知的生命体が存在していた証拠を偽造して、持ち帰ること。それが、La=Sta=Demonicから与えられた、俺の『機能』だ。 その証拠をもって、MDMA種がPavr=opetyに栄えた種の子孫だと主張して、Pavr=opety所有権を根こそぎぶんどる。そういう筋書きだ。 俺は、ただ黙って『機能』をこなせばいい。そうすりゃ、母星の工作員を辞められる。晴れて自由の身ってやつだ。
[そこでワクラバは気付いた。スピーカーにつないだバングル型端末。通信機能をオフにしていない。チャンネルを合わせれば、イースターとアシモフの端末にも、この音声が流れてしまうだろう。なぜ気付かなかったのか、自分でもわからない。ワクラバは、動ずることなく、言葉をつづけた]
……そうだ。俺が、この船のユダ(裏切り者)だ。
(27) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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― ―
『一体何なの! 本当に…本当に気味が悪い!!』
[ああ、]
『……ッ! 何なのよその目ェェ!!!』
[またあの頃の夢か。]
『この欠陥品!! アンタなんて創らなければ良かった!!』
[私を捨てて姿を消す直前の母の形相と言葉は、未だ深く、私の心に刺さり続けているらしい。]
(28) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[私の母星――Barc=Dn=Paraは、総合的には経済、技術、物質的に恵まれた星と言える。 少しだけ貧富の差がなんかが問題となる事もあるけれど、貧しいとされる層でもそれなりにヒトとしての尊厳を保って生きられる程度には。]
[そんな星を、四半世紀ほど前に恐ろしい風土病が襲った。 それは女性が罹患すると高確率で不育症を引き起こす物で、何より危険なのはその感染力だった。 最近ようやく治療法らしき物が見つかったらしいが、今では生粋のPara人女性のうち4割がこの病を抱えているらしい。]
(29) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[この事態に、Barc=Dn=Para統一政府の対応は珍しく迅速だったと言える。 当時すでに技術としては確立していた、受精から生産までを複数の段階に分けて専用の機器内で管理する『重層培養』の方式を推し進める事で、人口の急激な減少を食い止めた。]
[しかしそれでも、初期は不確かな技術による培養が蔓延ったために事故が絶えなかったらしい。 私の母も病に感染し、それでも両親は愛の結晶として子供を作る事を選んだが……残念ながら「貧しいとされる層」だった両親が立派な病院を頼ることはできず、ヤブ医者しか選べなかった。]
[その結果が、表情を作る機能の無い欠陥品――私だったらしい。ご愁傷様な事だ。 19年生きてきて他に身体の不調を覚えた事も無いので、本人からするとそこそこアタリだったと思うのだけれど……あの人たちはそう思えなかったようで、私が10歳を迎えた日の朝に姿を消していた。]
(30) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[その後の私は少々荒れたもので、気付くと世間から爪弾きにされた連中とつるむようになっていた。 皆、自分と同程度かそれより不幸な境遇のため、子供ながらに同族に囲まれて安心できたのだろう。]
[そこで私は、生きるため、仲間に捨てられないため、善くない技術を身に着けた。]
[最初は、しょぼい店の簡単な電子ロックをこじ開ける程度だった。]
[次第に、大きな企業の警備システムを掻い潜れるようになった。]
[国営銀行のシステムに攻撃を仕掛けたところでお縄になったのが、12歳になる少し前の事だ。]
(31) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[更生施設にでも放り込まれるのかと思っていた私は、お国のよくわからない部署の長い肩書きを持った偉そうな人の前に連れて行かれた。 国家間のサイバー戦争に後れを取らないためのスペシャリストとして、私の技術とセンスを見出したとの事だ。 今も昔も、セキュリティを強化するには攻撃者上がりの有識者を取り込むのが近道らしい。 ちょっと派手にやりすぎた私はそれまでの名を捨てさせられ、「イースター」と呼ばれるようになった。 両親が最初は私の誕生を祝って付けたらしい「クリスマス」という名は戸籍から消え、両親が私にくれたもので残るのは、普通よりはだいぶ優れているらしい才能ひとつだけとなった。]
[……その才能だけで今を生きているようなものなので、実は私は両親をあまり恨んでいない。 もしまた会えるなら、私の稼ぎで飼ってやっても良いと思う程度には許している。]
(32) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[私は社会の底辺から国直轄の部隊へと生きる場を替えた。 強制的とは言え新しい人生を与えられた形となったため、今度は無表情なりに親しみを感じさせる会話もできるよう努力もした。 キャリアを積んで惑星連合の連立調査団の一員として選抜されるに至って、そして今は――]
(33) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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― 少し前 / コンソールルーム ―
[私は、ノックの音(>>12)に目を覚ました。 ……寝落ちていたようだ。 そう、今はこの、あるいはグレていた頃よりもクソみたいな状況の真っただ中。 そりゃあ夢見も悪くなるってもんだ。]
……どうぞー。
[共有空間なのだから好きに入ってくれて構わないのだが、ここに陣取って私室のようにしていた私が言う事でもないか。 扉を開けて入ってきたのはワクラバだった。]
ああうん。データは見たよ。
[寝落ちる前に。]
数値的には問題無いと思う。 まったく、この船の限られた資源の中でよくぞまあ、って感じだよ。
(34) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[素直にそう思った。だから褒めた。 そうしたら、なんだろう、気でも良くしたのだろうか。 ワクラバが気持ち悪い事を言ってきた。]
……どしたのさ、ワクさん。 こんな時っていうかどんな時でも驚くよ、柄でもない。
それに、お互い様じゃないかな。 私だってワクさんが居てくれてだいぶ安心できるもの。
[嘘だ。 私はちょっとだけ嘘吐きで、しかもキャラを作ってる。 それも、私の10倍近く生きてる――生きてたジジイの目を欺けてた程度には。 他人と話すだけで気を使うし、一人の方が楽に決まってるじゃないか。]
(35) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[それに、私はこの男が嫌いだ。 話の端々から、私なんか可愛いくらいに悲惨な状況に身を置いていたんじゃないかと思う。 なのになんでコイツはこうも自然に真っ当に、頼れる兄貴分として振る舞えるんだ。 良い師に巡り合えたから? 改心した? こっちはこれまで特に反省も更生もする事なくここまでこじらせてるのに。]
(36) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[嫌いと言えば、私はあのジジイも嫌いだった。 話は面白いし、なんか雰囲気もその歳に恥じないだけの雰囲気も持ってて、そりゃああんなのに導かれりゃ生き方だって変わるだろうさ。 なんで荒れてた頃の私の前に現れてくれなかったんだ。 アンタに出会ってれば、私はもう少し矯正されてたかもしれないのに。 いや……今からでもたまに説法の一つや二つ聞けば何か変わったかもしれないんだ。 でももう、それもできなくなった。]
(37) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[嫌いな奴ばっかりだ。 自分の無力さを痛感していても私なんかを気遣ってきた男女も。 純真な魅力を持ってて、傍から見ても将来に期待したくなるお子様も。 小さな体にきっと大きな使命を自らに課してるであろう雰囲気を持つネズ公も。 自身がマルチな才能を持っているのに、他の人たちに本気の尊敬を向けてた若作りのババアも。 適当なことばかり言って、その裏に深い知性と冷静さを持ったf*ck'nプリン野郎も。 ヒトでもないくせに、「そうすべきだと思うから」「皆の役に立ちたい」だなんてご立派な思考を身に着けたアンドロイドも。]
(38) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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[――畜生かよ私は。]
[昔の事を思い出した直後だったからか。 碌に成長もせずここまで来てしまった自分の卑小さを痛感して。 その分、この旅で触れ合った皆がやたらと眩しく見えて。]
[でも、何故か厭な気分じゃない。 まだまだ皆を嫌いでいたいと思う気持ちがどこかに有るからこそ、]
(39) 2016/05/21(Sat) 01時頃
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(>>12)
……こちらこそ、ありがとうね。 本当に助かってるよ。
[たぶん私は、まだ頑張れている。]
[それに私は、死ぬときはキノコの苗床になって死ぬと決めているんだ。 だから、こんなところで死なないために。 皆で一緒に帰るために、最後まで頑張ろう。]
(40) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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(>>13)
ん? なになに?
[ワクラバが投影した立体図面を眺めて首を傾げた。 続く説明――なるほど、動力炉の変換機か。]
……ガチなヤツじゃないか。
[トップシークレットって簡単に言うけれど。 よりによってLa=Sta=Demonicがこの技術を他に先んじて手にしたら、一気に警戒度跳ね上がるんじゃないか。]
ああ、うん。 私でどこまで検証できるか解らないけれど…… 賭けてみる価値、十分にありそうだ。
[差し出された、無事に持って帰れれば恐らく凄まじい価値になろうデータが入った端末を受け取った。 ……無防備だなあ。無防備すぎて勘繰りたくなる私が厭になる。]
(41) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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……そうだね。 ミッちゃんのメンテ、よろしく頼むよ。 本人はどう言うかわからないけど、頑張ってくれてたからね。
ついでに、覚えてたら「ご協力ありがとうございました」って伝えておいてくれる?
思ったより時間かかったけど、この二週間でミッちゃんのAIの解析は終わったよ。 この後、部屋で船内AIの修正作業に入ろうと思ってる。
[言いながら、出て行くワクラバを見送った。 次元航法装置も復旧の目処が立ってきたし…… そろそろ、おイタをしてくれたバカAIの性根を叩き直してやらなきゃな。]
(42) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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― 現在 / コンソールルーム ―
(>>27)
……ワクさん。
[変換機の検証の件で通信開こうとチャンネル回したら、途端これだよ。 て言うかメンテナンスしてるんじゃなかったのかよ。 さすがにびっくりするからやめて欲しいなまったく。]
えーっと……ぶっちゃけトーク大会開催中? 私あまり秘密とか無くて混ざれないけど、聞いててオーケーなヤツかい、これ。
(43) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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>>27
[ワクラバ様のおっしゃっている利権のことは、よくわかりませんでした。ですが、ひとつだけ、ワクラバ様も、ワタシと同じように嘘をついていたということがわかりました。罪悪感という機能を抱いていることがわかりました。 これは、共感という機能でしょうか?
既視感を得ました。もうずっと昔のことです。 寄生体に寄生され眠ってしまう人や、それとは関係なく、病気や老いで死んでいく人たちは、皆、今のワクラバ様と同じように、ワタシに何かを残そうとするのです。 懺悔というのだそうです。
ひとつ、疑問がありました。 裏切者とは、害をなすものだと聞いたことがあったからです]
ヤンファ様の事故も、ワクラバ様が仕組んだのですか?
>>2:61 [もしもそうなら、イースター様はお許しにならないのではないか、……ワタシは、心配したのです]
(44) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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― 医務室 ―
[ワクラバが去ってから、答えぬヤンファの前にまた立っている。 彼女の揺蕩うポッドに背中でよりかかるようにして。]
なあ、ヤンファ……ぼくは見つけたんダ、あの病状の真実をさ。 あれは……精神疾患だ。それも特殊な感染性の。 そんなもの、ぼくたちの知る宇宙には無かったろ? Pavr=oprtyの風土病である精神疾患。それがぼくの回答だ。
[ヤンファにも見せるようにヴィジョンモニタを眺めている。 そこには、Ollovaの群れの映像。]
でも、その回答じゃ赤点だ。 なあ……こいつらだったら全部わかってたりしないのかな?文化を持つ群れなんだろウ? 教えてくれよ、彼らと交信する方法をさ……ぼくなら仲間みたいなもんだ、きっと教えてくれるさ……。
(45) 2016/05/21(Sat) 01時半頃
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[ミツボシの質問には、静かに首を横に振る]
いや、その必要なんざなかったぜ。ガチの証拠を先生が見つけちまったからな。あの惑星に、知的生命体がいたってことのよ。後はもう無事に帰れば、それで俺の『機能』は達成。パイロットとして先生を送迎して、証拠品に便乗する。楽な仕事のはずだった。
と言いてぇところだがな。そうもいかねぇんだ。 俺の機能不全はな、ミツボシ。彗星がくる前から始まってんだよ。『機能』ってヤツが、俺の自由意思と不適合を起こしちまった。エラーばっか溜まって、胸のなかがどんどん苦しくなるのさ。いっそ、帰らねぇでこのままどこまでも飛んで行こうかと思ったぜ。
(46) 2016/05/21(Sat) 02時頃
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[そうやって呟いていると、傍受はオープンになっている通信回線の会話が聞こえてくる。ワクラバとミツボシの会話。(>>27)]
……。
……ふふ、ユダか。 信じるものを裏切った男、信じたからこそ裏切らざるを得なかった男……いったいワクラバ、君は何を信じ何を裏切ったっていうんだろうネ。
真実の裏切りは、ぼくだ。期待を裏切り、帰還を望まず、今も真実を伝えずにいるままの……ぼくは……。
[通信はこちらからの言葉を送るようには開いていない。 するとアシモフは寄りかかっていた背中を離し、よろよろと歩き出す。 医務室のいっぱいになった寝台に寝たナユタ、シルク、ワレンチナの顔を眺め、部屋をあとにした。]
(47) 2016/05/21(Sat) 02時頃
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>>46
良かった。
[ワクラバ様の告白の返事としては変かもしれませんが、ワタシはその時にそう思ったのです。そしてこうも思います。]
ワタシに話すことで、エラーは修正されますか?
[そうであればいいと思います。]
イースター様が仰っていました。 嘘のひとつやふたつくらいついてくれなきゃがっかりだ。です。
(48) 2016/05/21(Sat) 02時半頃
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[共感、という機能は不完全です。ワタシにはワクラバ様の苦しみのすべてを理解することはできませんでした。しかし、何度自問しても、こう思うのです]
ワクラバ様が、皆様が、嘘をついていたとしたら、ワタシの何かは変わるでしょうか?
[この船に乗って得た機能はやはり偽物になってしまうのでしょうか? それは嫌です。 だから。 エスペラント様が仰っていました。答えはワタシの中にあります。 でしたら、ワタシは、その答えを自由に決めていいのです。自分で決断していいのです]
変わりません。
皆様がどんな嘘を抱えていようと、ワタシは変わらないのです。
[そうして、わかりました。 ワタシが変わらなければ、それでいいのです。ワタシの出自を知って、ワタシを忌避しようと、それで一人になってしまおうと、ワタシが、皆様を仲間だと思っていれば、それでいいのです]
たとえすべてが仮初の関係だったとしても、ワタシがそう決めたのなら、そこに違いはありません。
(49) 2016/05/21(Sat) 02時半頃
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>>46
[ですから、ワタシは皆様にここにいてほしいと思うのです。]
帰らないでどこかへ飛んでいこう、などといわないでください
(50) 2016/05/21(Sat) 03時頃
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[ミツボシの発した言葉に、心の奥底が震えた。思わず、背後からミツボシの肩に腕を回し、抱きしめる]
……っかやろう。仮初だぁ? なら……こんな痛みなんざ、感じねぇってんだ。 ちくしょう……。
[声が震えた。目元と鼻先が、しだいに熱を帯びていく]
へっ、機能不全。なんてこたぁねぇ。 俺が変わっちまったんだ。機能をうけつけねぇ仕様になっちまった。 変えちまったのは……シルクだ。
遠くの星しか見てねぇ俺が、足元の『月』を見つけちまった。 くそったれ……気づかなけりゃ、そのまま踏みつぶして飛べたってのによ。
[繭の外を知らないというシルク。手紙を交わすなか、外の世界を伝えようと、身近な物に目を向けるうちに、ワクラバは、それまで見過ごしていた世界を目の当たりにした。この船内でシルクと出会い、言葉を直に交わす間にも、その変化は大きくなった]
[スピーカーから流れる、穏やかで力強い旋律。文通を始めるまで、ワクラバは"音楽"というものが存在していることすら、知らなかった]
(51) 2016/05/21(Sat) 03時半頃
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(>>50) ……言わねぇ。ああ、もう言わねぇさ。腹括ったぜ。 ミツボシ、お前と、この船のクルー、あいつらのためならなぁ、 俺ぁ、La=Sta=Demonicのクソ共を敵に回したって怖かねぇ。 なにがなんでも、お前たちを護る……そう決めたんだ。
だから、なぁ……ミツボシ。 苦しんでるお前を見てると、俺ぁ……どうしようもねぇんだ。 俺みてぇに、誰かに背負わされた『機能』でのたうってるんじゃねぇかと思うと、よぉ……
(52) 2016/05/21(Sat) 03時半頃
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[船内工具と規格の合わないパーツ。思い出せない出会いの記憶。微かな違和感が陽炎のように頭の片隅で揺れはじめる]
聞かせてくれねぇか?その『機能』のこと。お前のこと。 情けねぇが、俺ぁ、お前のこと……なにもわかってられてねぇ。 そんな気がして、しょうがねぇんだ。**
(53) 2016/05/21(Sat) 04時半頃
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>>53
[ワクラバ様に請われ、ワタシは小さく頷きました]
ワタシは、誰も彼もを独りにしないために作られました。 ワタシが作られた星では、寄生体とワタシを作った人達が呼んでいた何かが原因で、滅びを迎えようとしていました。 数少なくなった、ワタシを作った人達が恐れたのは、滅んでしまうことだけではありませんでした。 一人で、誰にも知られずに眠るように死んでしまう。そのことを恐れたのです。 ワタシは、ワタシを作った人達に添い続けました。 ワタシはその中でたくさんの嘘を聞きました。 ワクラバ様のように、懺悔という機能を使われる方もいました。ずっと一緒にいようと仰った方もいました。しかしその方も、眠る間際にあれは嘘だったと仰いました。 最後の一人を看取った時、ワタシは一人になりました。ワタシを使う者がいなくなったので、ワタシはひとつのモノとしてあの星で朽ちていくのだと知りました。
(54) 2016/05/21(Sat) 16時半頃
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どのくらいの時間が経ったのかわかりません。 使われなくなった機能は徐々に失われていきました。ワタシはそれでいいと思っていました。
あの日のことを考えると、もう遠い昔のような気がします。 ワタシが一人になってからの時間より、皆様と出会ってからの時間のほうが、ずっと長いような気がしてきます。 その日、真っ暗な空を引き裂いて、皆様が落ちてきました。 この船が、ワタシのいた星に降りてきたのです。 中から、ワタシを作った人達と同じようににぎやかな人たちが出てきました。 その時、すべての機能がまた動き出したような気がしました。ワタシを作った人達が、ワタシに唯一備えた機能。 感情、と呼ばれるものです。 どうしようもありませんでした。 居てもたってもいられず、ワタシは皆様の船に向かいました。 それでどうしたいのかなど、考えていませんでした。
(55) 2016/05/21(Sat) 16時半頃
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皆様に接触してみると、不思議なことが起こっておりました。 皆様が、ワタシのことを既知の、仲間だと誤認しているのです。その時はそれが何かわかりませんでした。 ワタシを作った人達が、最後にワタシを一人にしないように、そのような何かを用意したのかと思いました。
ナユタ様が倒れられた時に、それは違うのだとわかりました。 寄生体が、ワタシとともにこの船に乗り込んでいたのです。いいえ、おそらく、寄生体はワタシがワタシを作った最後の一人を看取った時から、ずっとワタシとともにあったのです。 寄生体は皆様に寄生するための時間を稼ぐために、ワタシを仲間だと誤認させたのです。 寄生体は精神に巣食います。そのようなことも可能だったのでしょう。 ワタシは、皆様の好意に甘えながら、皆様を陥れていました。 しかしどうしても、それを伝えることができませんでした。
今わかりました。 ワタシの行動を阻害していたのは、幸福という機能でした。ワタシはその機能をどうしても手放せなくて、ずっと、皆様に嘘をついていました。
(56) 2016/05/21(Sat) 17時頃
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[通信回線から聞こえっぱなしの会話。(>>54) それは、アシモフの足を速くした。4足歩行で手足を動かしながら、疲弊した脳が光を得たように動き始める。]
― 食堂兼レクリエーションルーム―
寄生体、だって言ったな……?!
[半自動扉の開ききる前に飛び込んできた。]
(57) 2016/05/21(Sat) 18時半頃
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寄生体……しかしこれは精神疾患だ。寄生虫ではない、それは各員のオールチェックをしていることからも違うっていうのはわカる。だから、つまりこの疾患は、精神に寄生する「何か」の仕業、ってことなのか……!!?
[ワクラバとミツボシの間に喋りながら入っていく。その目は真実に近づいた喜びと、倒すべき敵を睨みつけるような強さがあった。]
(58) 2016/05/21(Sat) 19時頃
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精神寄生による疾患、そういうことなら説明はつく。聞いたこともないけれど、にわかに想像はし難いけれど、納得はできてしマう。 しかし……だったらどうする……?寄生虫の治療は薬か外科手術で摘出することが基本だ。精神……そこから取り除く方法とは……取り除いたところで、次に感染しないのか……?
[話しかけたというわけではないようだ。二人の間に入っていきつつも、また一人俯いてぶつぶつと考えながら呟いている。]
(59) 2016/05/21(Sat) 19時頃
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― → 自室 ―
(>>56)
[ババアが必死に引き抜いたAIモジュールとメンテナンス用端末を接続しながら、私は開きっぱなしの通信回線から届く声を聞いていた。]
……私たちがその「寄生体」とやらにミッちゃんの事を誤認させられてる、って事は。 症状の進行が遅いってだけで、私たちもとっくにヤられてるって話だよね。
[医務室で寝こけてる連中同様、私も寝落ちたままいつ目を覚まさなくなっても不思議じゃないって事かよ。 悲惨すぎて笑えてくる。 笑えないけど。物理的にも。]
(60) 2016/05/21(Sat) 20時頃
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[曲の合間に入り、スピーカーからの音が消えた。一時の静寂が二人の間に流れる。
寄生体。創造者。嘘。誤認。ミツボシの機能。孤独。告白の言葉が、ワクラバの中で激しく交差し、感情を強く叩いた。その中でも、一際大きく心を揺さぶったのは、あるひとつの、ノイズ交じりの掠れた光景]
(61) 2016/05/21(Sat) 20時頃
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······っかやろう!
[感情はすぐさまシンプルな形に収束した]
ばっかやろう、ミツボシ!水くせぇぞ! 言ったら、見捨てられるとでも思ったか! させねぇよ! 途中乗車だろうが、もうお前は立派な俺のクルーだ! 独りになんざ、絶対させねぇ!
[ミツボシを抱きしめ、励ますように背中を強く叩いた]
(62) 2016/05/21(Sat) 20時頃
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……ん?
[ふと、頭に浮かんだ一つの仮説。]
いや、待て。待って。 そういう、事か……?
――――、…… ヘイ、モフっち。
聞こえる? 聞こえてる? ミッちゃんとワクさんの会話は把握してる?
ちょっと、話しておきたい事というか、思い付きというか…… いや、見当外れっぽかったら無視してくれて構わないんだけどさ、
[どうも最近やたらと思い悩んでる様子のネズ公……この船で最も医学に長けたそいつに、私は通信を飛ばした。]
(63) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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[すると、倉庫の半自動ドアが開き、隙間からアシモフが滑り込んでくる。]
おう、アシモフ!ナイスタイミングだ! 寄生体。そうだ、そいつをぶっつぶさねぇとな!
よぉ、ミツボシ!なんもできねぇなんてあるか! お前がみんなを救えるかもわかんねぇだぞ!? なんでもいい!教えてくれ! その寄生体ってやつのこと! いまどこにいる!?どうすれば覚める!?
(64) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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>>60
[イースター様の声が、ワクラバ様の通信回線から聞こえてきました]
おそらく、皆様が寄生されているとは、まだ言えません。
[誰に言うでもなく、ワタシは続けます]
寄生体は、人の精神に寄生するとその人から何かを奪います。そうして満足すると、宿主を乗り換えます。置いて行かれたものは、その奪われた何かによって、昏睡するのです。 ワタシを作った人達は、そうして一人ずつ、長い年月をかけて、いなくなりました。
(65) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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(― 倉庫 ―)
[浮いたままのヴィジョンモニタから聞こえてくるイースターの声。(>>63)]
オーケイオーケイ、聞こえてるよイースター。
……感染の判断はある程度できる……つまり取り除くことが可能なら次に感染したかを判断はできるから、まず取り除くことが重要だろうか……?いやそのためには人数が足りない、被験体が欲しい……。
[イースターの声に答えつつ、ぶつぶつとまだ呟く。]
(66) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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>>62
[ワクラバ様に抱きしめられ、ワタシは思わずあの機能を使っていました。 嬉しい、という機能に付随して、冷却の必要などないのに、ワタシの体の各部は、蒸気を噴き出していたのです。 照れ、と呼ぶものです。あるいは、恥ずかしい、という機能でしょうか]
(67) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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>>64
[ワクラバ様の言葉に、急激に体が冷えるのを感じました]
……わかりません。 ワタシを作った人達も、それがわからずにいなくなってしまったのです。
(68) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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(>>66)
[返答が有った。何やらぶつぶつ言っているが、取り敢えず私の考えを伝える事にする。]
……いや、ね。 船内AIがおかしくなったのが、どうしても疑問だったんだ。 タイミング的には例の彗星の後――って感じで、何となく釈然としないのにそのままになってたんだけど。
……実は、どこもおかしくなってなかったんじゃないか、って。 今、ちょっと思ってさ。
何と言うかさ、あのシステムエラー騒ぎの時。 単純な故障って感じじゃなくて、小狡い計算で私たちを的確に殺そうとしてきてたじゃない。
本来、調査団を守るべきAIが、私たちを殺そうとする理由、ひとつ有るな、って。
……未開の星系から、未知の脅威を、私たちの星系に持ち帰らせない、ため。 私たち以上に優先度を高く設定された――私たちの母星を守るため、だったんじゃないかな、と思ったんだ。
(69) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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えーっと、だから、言いたいのは。
……この船のAIは、かなり早い段階で、「寄生体」とやらを検出できていたんじゃないかな、って事。
調査直後のバイタルチェックとかはAIも参照してるだろうし、他の要因もあるのかもしれない。
……まあ、本当に思い付きだから、実際はどうかわからないけど、仮にそうだとして。
AIが寄生体を検出した瞬間の判断基準……そのログや分析結果を抽出することが、もしできたら。 それは、モフっちが寄生体とやらの事を調べるのに、役に立つ?
(70) 2016/05/21(Sat) 20時半頃
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(>>69)
……。
[驚いた。なるほど、と思った。]
つまり、あの時点でAIはその……精神寄生体の存在に気づいていたってことカ。 ……システム的には有り得ない話じゃないが。
[管理AIにそんなものを見つけられるのか、という疑問はあった。]
(71) 2016/05/21(Sat) 21時頃
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[(>>70)]
できるのカい……?! いや、もちろんAIがそれを検出できていたという前提だろうけれど、データはあるだけあった方がいい。どんな病気だって、その正体を突き止めないことにはどうにもならないんだから。
(72) 2016/05/21(Sat) 21時頃
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[寄生体を検出したデータがあれば、それは感染経路を推測する参考データになる。感染経路がわかれば、それを予防できる。少なくともこれ以上の犠牲者を出す事態にはならない……!]
(73) 2016/05/21(Sat) 21時頃
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(>>72)
私もだいぶ荒唐無稽な事言ってると思うから、どうかな、ってとこだけど…… 仮にビンゴだったら、データ自体は暗号化されてアーカイブされてるはず。 今は止めてるAIを復旧されれば、簡単に読めるようになるよ。
1時間ほど待ってて。 ヤンファお姉様が引っこ抜いたAIモジュールを、これから直すから。 ……さっきの思い付きが合ってたら、直すって言うかむしろ私たちに都合良くブッ壊すって事になるけど。
[私にとっては、そっちの方が俄然やる気が上がるってもんだ。]
じゃ、ちょっと集中するから暫く黙るよ。
(74) 2016/05/21(Sat) 21時頃
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(>>74) [アシモフには何をどうするのか検討もつかなかったが、とにかくイースターが頼もしく見えた。]
わかった、よろしく頼むヨ。
[状況が進み始めた。なんて優秀な隊員達だろうか。自分がどれだけ助けられているか。]
(75) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[ミツボシの返答(>>68)に、ただ静かに頷く。] ……そうか。悪い。 一番歯がゆいのは、お前だってのにな。
……その、奪われちまったものがなにか。 それがはっきりすりゃ、治療できるかもしれねぇ。 まずはその、寄生体探しだな。
[アシモフに視線をうつし、頷く。] 話は聞いてたぜ。そのクソAIを使って、なんとかなりそうかい?
(76) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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― 自室 ―
[作業用BGM代わりに通信は開いたまま、私はメンテナンス用端末に向き直る――前に、集中するための準備だ。]
[まず、服を脱いだ。全部だ。全裸だ。]
[私は決して変態じゃない。 これは単に、身に纏わりつく余計な感触を絶って集中するためだ。 実際、私の部隊ではオペレーションルームで常に全裸という奴らだって何人もいる。 良識派の私はさすがに一人の時にしか脱がないけど。]
(77) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[こちらを向いたワクラバ(>>76)から目だけつい逸らしてしまう。]
寄生体探しか……。 今、どこにそれがいるのか、誰に寄生しているのか……それについては検討がついてるんだ。 問題は、どうしたら、どういう時に感染するのかって方サ。
[少しでも話題をずらしたく思った。]
(78) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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>>76
[ワクラバ様の言葉に、ワタシはうなずきました。 ワクラバ様は、倉庫に戻ってきた時とは別人のようでした。ワタシはそれを、嬉しく思いました。 停滞していた時間が、動き始めるのを感じます。 よどんでいた空気が、動き始めるのを感じます。 この先に何があるのかわかりません。それでも嬉しく思うのです]
(79) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[目をそらしたアシモフに、おや、と思う]
……さすがだぜ、アシモフ。 それが、あんたじゃなけりゃいいんだがよ。
(80) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[次に、頭に繋がっている方の個人端末で、一つのファイルを起動した。 特製バーチャルキノコだ。]
[それも、ジジイやワクラバへ前に送ったような子供騙しじゃない。 子供のキノコ嫌いを矯正できる程度じゃ、私の脳のリミッターは騙せない。]
[感覚データの配合自体はここ数日の空き時間で組んだ急拵えだけど、私のシマでも持っているだけで怖い制服の奴らが飛んでくるヤツだ。 宇宙まで飛んで来れるもんなら来てみやがれ、って話なので、今回はこういったドーピングだって使ってやる。]
(81) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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フゥ……
(82) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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イースターは、寝不足で淀んでいた思考が急激に冴えていくのを感じた。
2016/05/21(Sat) 21時半頃
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(>>80)
ああ、そうだネ……ぼくが倒れたら、皆を起こす人がいなくなるからね。 ぼくは、倒れるわけにはいかないよ。皆のためにも、誰を犠牲にしても……。
(83) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[良い感じにキノコが美味くなってきたところで、改めて作業用端末へ向き直った。]
[AIモジュールのプロテクトは既に解除済み。 そもそも軍事用でも無く、あまり攻撃を受ける事を想定していないから守りも最低限だった。 私にとってこんなの相手にもなりやしない。]
[私が一番苦労し、時間がかかったのはむしろ、ミツボシのAIを解析する方だった。 その出所を聞いた今としては納得できるが、見た事も無い造りのそれを解き明かすのは、突然知らない星の遺跡に放り出されて、時代も文明も知らぬままに文字を読み解いていくような作業だった。]
[判断基準のシンプル化を事前にしておいたのが効いて、2週間でようやくその肝心な部分のみ拾えたというところだ。]
(84) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[その、ミツボシから拝借したデータを、AIモジュールへと組み込んでいく。]
[船員を害するようなフローにアタリをつけて、一部を上書いていきながらも機能自体は決して殺さず。 不整合を起こしそうな箇所も潰していって――]
……、……
(85) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[こうして改竄をしている時間を、私はプログラムとのコミュニケーションとして捉えている。]
[弱い箇所、敏感な急所を、いやらしく突く。] [手が出せない箇所、反応の悪い点には固着しない。]
[主導権は完全に私にあった。 相手の隅々まで意地悪な目で眺めながら経験と勘で要所を責め立てていく内に、快楽物質が分泌される。]
[……セックスで良いんじゃないかなこれもう。私、裸だし。]
(86) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[だからコイツも私がひん剥いてやるんだ。 私の前に、全部晒して見ろよ。]
……、……
[プログラムとサシでのコミュニケーションは、私を偽る必要が無くて気持ち良い。]
[親に捨てられた私が、気付けばこんな事に手を染めていたのも、きっと代わりとなる何かとの濃密なコミュニケーションを求めて――]
(87) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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…………………… ブォェロロロロロロ
[ビチャビチャと、口から床に水分が垂れる音とともに、急激に落ち着く。 チクショウ、久々すぎてキノコの配合トチったみたいだ。 折角の良い気分が台無しだ。]
……オ゛ェッ
[端末やモジュールに吐瀉物がかからなくて良かった。]
(88) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[それから数分? 数十分? 頭がグルグルしてて定かではなかったけど、]
――……AIモジュールの直し、終わったよー。 ちょっと動けないから、誰か取りに来て、これメインコンピュータに挿してきて…… [完成と共に崩れ落ちた。 うっかり吐瀉物に顔を突っ込む事になって、本当に最低な気分だったけれど、どうにか皆へと通信を飛ばす。]
[あー……服着てないな。まあ 良い …か。]
(89) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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― イースターの自室 ―
[通信を受けたワクラバが、ズカズカと足を踏み入れた。全裸で吐瀉物めがけ突っ伏しているイースターの姿にギョッとする。]
おぅおぅおぅ……過激じゃねーか。 なんだ、AIとヤったか? それともキノコでトんじまったか? あとでアシモフ呼んでやるよ。寝てな。
[AIモジュールをメンテナンス用端末から取り出し、懐に抱えて、部屋を出る。と、再びドアから室内に顔を覗かせた]
いいもん見たぜ。役得ありがとよ。 へっはっはっ。
(90) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[(>>90)ワクラバから連絡をもらいイースターの自室へ、ミツボシに手伝ってもらって介抱してやることにする。命に別状は無さそうで何よりだ。 何で全裸なのかは疑問だったが。とりあえずそのまま医務室へと運ぶ。
AIモジュールのことはワクラバに任せ、感染経路がわかった時にとる手段に頭を巡らせた。]
(91) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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|
(精神に寄生するもの……それの摘出、もしくは根絶か……)
(現在寄生されている人が手遅れかどうかも問題だが)
(……何かを、犠牲にしてもやらなきゃならない)
[――アンドロイドに寄生され得る精神はあるのだろうか?]
(92) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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|
― コンピュータールーム ―
よぅ、クソAI野郎。 イースターに調教されて素直になったか? またオイタしたら、今度こそぶっ壊すからな。
[メインコンピュータ内部に受け取ったAIモジュールカードを挿す。しばらくのロード時間の後、無数にあるランプが瞬きを開始する。アシモフに通信ヴィジョンモニタを送った]
オーケー、AIモジュールをセットした。 あとは頼んだぜ、アシモフ。
[今、自分のいる場所で、ヤンファは倒れていた。今更自分だけ助かろうとは思わない。生還するのなら、全員一緒にだ。もちろんヤンファも― ]
(93) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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― 医務室 ―
……任された!
[(>>93)ワクラバのGOサインが来た。開かれたヴィジョンモニタに映るデータと命令コマンドの嵐。 それを見続けながら手元のコンソールを叩き続けた。 時間があるわけじゃない。今感染している……おそらくワクラバは、いつ眠ってしまうかわからないのだ。その前に、何とかしておかないととれる手段がまた一つ減ってしまう。
AIが危険を検出した時の記録。ヴィジョンモニタが十も二十も浮かび上がった。映像記録、音声データ、サーモグラフ、定時バイタルチェック、質量記録、エネルギー測定、可能性の羅列……。 それを自分のできる限り最速で、精査していく。
流れるデータと思考とともに、時間ばかり費やしているように思えた。どれだ、どれを危険だとAIは思った。]
(94) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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―医務室―
[ベッドに寝かせたイースター様を見て、不意にワタシはまたあの既視感を覚えました。ワタシはずっとシルク様にもワレンチナ様にも会いに来ていませんでした。罪悪感という機能のせいでした。 どうしてその記憶を参照できなかったのでしょうか? あるいは、ワタシの記録も、寄生体に改ざんされていたのかもしれません]
もうずっと前にも、こうして誰かに付き添っていたことがありました。病室には誰もいませんでした。話をすると、寄生体に感染してしまう恐れがあると、お医者様はその方を避けていました。その方が寄生体に取り付かれているとは限らないのに、です。 その方は、ワタシに「お前にだったら言っても大丈夫だね」と笑いました。 「お前にうつすために、ワタシはお前と二人きりでいるのだから」と。 そのまま、その方はだれにも相手にされず、お亡くなりになりました。 最後の言葉は、 「そんなことじゃ、寄生体に選んでもらえないよ」 でした。
(95) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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今のワタシは、どうでしょうか? 皆様より、 照れ、という感情を教えていただきました。。 不安は、いつもワタシの隣にいました。 幸福を、ワタシは捨てることができませんでした。 決断ということを行うことができました。
今なら、寄生体はワタシを選んでくれるでしょうか? 人間と一緒になれているでしょうか?
(96) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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[ミツボシの声にアシモフは振り返らなかった。ヴィジョンモニタにずっと目を走らせながら、耳だけを向けていた。ミツボシの出自、そこにはきっとヒントがあるはずだと思ったから。]
(話をすると、寄生体に感染してしまう恐れがあると――)
……これかっ!
[問題は彗星の時間よりずっと前だった。 ナユタとシルクが話している映像データがあった。場所は船外活動準備室。彼が倒れていた時間とは全然違う時だが……。 ナユタがシルクに何事か話している。そう、何事かだ。 何かは、ノイズでわからなくなっていた。 音声データが壊れている箇所なんてこの近辺では見当たらない。映像も、微かに乱れがあった。エネルギー値もよく見ればおかしい。]
ここでAIは想定外の危険性を検出したってことか……!
[たいしたもんだな、と場違いに思った。]
(97) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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話をすると……なるほどね。 どんなことを話したかってのも問題だが……表情を察するに無意味な日常会話じゃなさそうだ。 ナユタが何か……言いづらいことをシルクに伝えているように見えるな。
[映像を必死で調べる。頼る手段が推測しかないのは苛立たしいことだったが、仕方ないと諦めていた。
それから、長く一息を吐いて……ミツボシに向き直る。]
(98) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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……ふー……助かったよ、ミツボシ隊員。
……。
[答えるために考えた。]
……人間と一緒、か。 ……実際のところ、ぼくは君をよく知らない。この船に乗り込んできてから、ぼくとはあまり話してないだろう?ぼくはここに篭もりきりだったしネ。 だから、君に対しては騙されていたな、という思いが強いんだが……まあそれも君のせいじゃないってことだし、それはいいんだ。
[どう考えをまとめたものか、どう告げたものか、悩んだ。]
……まあ、ぼくから見て君はアンドロイドらしくはないよ。 人間らしいかどうかは、他の隊員に聞いた方がいいナ。ワクラバとかにね。
[だけど、とまた一息いれて]
(99) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 医務室 ―
[コンピュータールームから戻る道すがら、自分にできることを考えていた。ふと、思い立ち、医務室に入る。寝台に並ぶ3つの保護膜。]
……目覚めの一発に、なんて言ってやるかな。
(100) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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君の人間らしさに、ぼくは賭ける必要がある。
[強く、ミツボシを見た。]
君に、感染させる。 ぼくは隊員たちを守るために、そう選択する。
[通信はオープンだ。皆に聞こえているだろう。]
(101) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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>>101
[この船のお医者様として、アシモフ様には考えがあるようでした。なにより、ワタシはそのために作られたのです。ですが、そんなことは関係ありませんでした]
ワタシは皆様の役に立ちたいと、決断しています。
(102) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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[ワクラバからミツボシへ通信が入る]
よぅ、ミツボシ。 コンソールルームに来いよ。遊ぼうぜ?
(103) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 自室 ―
(>>90)
まあ、どっちもかな……
[畜生、良い勘してやがる。]
これ見て役得と本気で思えるならワクさんだいぶ業が深いよ……
(104) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 医務室 ―
[ベッドに寝かされたが、込み上げる吐き気でちょっと寝られそうにないなこれ……]
取り敢えず、問題無く動いたようで何よりだよ……
[ワクラバがAIモジュールを挿したのだろう。 順次、船内の管理が復旧しつつあるようだった。 エネルギーを節約しなければならない現状、一部の機能はセーフモードを維持せざるを得ないけれど…… まあ、その辺の管理もAIが上手い事やってくれるはずだ。]
……、……
[ネズ公が、早速過去の記録を参照してる。 もう、私が何か言っても邪魔になるだけだろう。]
ウォェ……
[暫くはベッドでのたうち回るくらいの事しかできそうにない。]
(105) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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(― 医務室 ―)
[医務室に入ってきたワクラバに息を止めるが、告げることを決断する。]
これまでの記録、シルクとワレンチナ、ワレンチナと誰が話したか……それを確認していけばわかるだろうが…… おそらく今の被寄生者はワクラバ、君だ。
[それから、ミツボシに向き直るも、視線を逸らした。]
……ありがとう、とまだ言っていいかわからない。 ぼくのこの提案は、今の君とって酷かもしれないからだ。
この精神寄生体の脅威を取り除くには、根絶するには……ミツボシ、君に感染させて、そして君の精神を、心を、寄生体と一緒に消してしまう手段しか今のぼくには思いつかない。 ……フォーマットするんだ、君を。
(106) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― コンソールルーム ―
[メインコンソールの操作盤をタップし、マニュアルモードを立ち上げる。シートのアームレストがスライドし、コントロールスティックがせり出した。眼前に、各種計器類を示すヴィジョンモニタがポップする。]
オーケー、ワクラバ様のドライビングテクニックをご披露だ。 即で、お前に俺のスキルを叩きこんでやる。
[専用端末シールを身体の関節部に貼り、シートに腰を下ろす。ルーフから放たれる網の眼状のレーザーがワクラバを照らした。]
モーションキャプチャー。便利なもんだぜ。口で言うのも面倒くせぇことを全部データ化できる。眼と身体の動き。タイミング。速度と転舵角。ミツボシ、アンドロイドのお前なら、入力データを完璧にトレースできるはずだ。
もし俺が眠っちまったときは、お前がこの船のエースパイロットだ。AIの機能は弄った。ここぞって出番があるはずだ。こればっかりは、アシモフにもイースターも無理だろうからな。
[パイロットテクニック。密かに『父』と呼んだ男から、最初に譲り受けたもの]
安心しな。俺に身をゆだねてくれりゃあな、 次元の荒波だろうが、デブリの嵐だごうが、乗り切れるようにしてやるぜ?
(107) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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イースター、やってくれるだろ?
[目を覚ましてはいるらしいイースターの気配(>>105)に声をかける。体調は回復してないだろうが、彼女を頼るしかない。 目は、逸らした。]
(108) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 医務室:コンソールルームに向かう前 ―
[アシモフの提案(>>106)に目を見開いた]
はぁ!?何言ってやがる!? フォーマットだと!?
(109) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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>>106
酷、だとは思いません。 ワタシを作った人達も、似たようなことを考えていたはずです。ワタシは、それを今度こそ受け継ぐだけです。 アシモフ様、お気になさりませんよう。
(110) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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てめぇ、アシモフ!ふざけてんのか!! そんなんじゃ意味ねぇだろ!? ミツボシにうつして消して終わりだと!? 眠っちまった3人はどうなんだよ!? そのまま見捨てておしまいか!?
そんなんじゃ……俺たちがいる意味ねーだろ!? アシモフ、あんた、それでいいのかよ!? 治療法見つけてるんじゃねーのかよ!
そんなんじゃな! 俺らは、ただのチンピラと、ネズミと、キノコ女どまりってことじゃねーか!!
(111) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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>>109
[通信から聞こえるワクラバ様の声は、どこか楽しそうですらありました。遊ぼうぜ、というその言葉にワタシはとても惹かれました。ですが]
ワクラバ様はお眠りになりません。 たとえ、どこかへ飛んでいきたいと願っていても、この船を導くのはワクラバ様なのです。 申し訳ありません。 一緒に遊ぶことはできません。
(112) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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(>>106) ミツボシにうつすってんならな! まずは俺をモニタリングしろ!
俺からミツボシにどううつるのか! 俺から何が奪われるのか! それを観察して、そのちっせぇ脳みそで考えてからでもいいだろがよ!
(113) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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[(>>109)ワクラバの声は、当然だと思った。だが、それでも引き下がれない。]
そうダ……寄生体ごと、全部消すんだ。 ぼくが考えついた結論はそれだ。最善の対処だ。
[そうして続く声に(>>111)小さな体で、強い意志で、顔をあげワクラバを見据えた。]
……わかってる、治療はまた別だ。フォーマットは、感染源の根絶のための、最終段階の話ダよ。 治療については……これも賭けになるが、ひとつ、考えがあるんだ。
(114) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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(>>113)
ミツボシに寄生させる前提上、ワクラバ隊員には一度眠ってもらうしかない。それについては申し訳ないと思う。 そして、モニタリングもさせてもらうつもりだ。 これまでのデータと、君のモニタリングを通して……可能性はあるんだ、治療の。
[そう言うと医務室奥の壁を開けて、ヤンファの入ったポッドが見える。そこに置かれたままになっている携帯端末のモニタには、Ollovaの群れの映像と、解析データがあった。]
(115) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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そいつぁ……
[Ollovaの群れに目を見開いた]
へへっ、なるほどね。 こいつぁ、あのヤンファの婆さんに、礼いっとかなきゃな。 まったく、頭が上がらねぇぜ。
アシモフ。俺のタマ、おんたに預けるぜ。 好きに使ってくれ。
(116) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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(>>108)
……本当にそれしか無いの?
[胸糞悪いったらない。]
無いなら、私はやるんだろうね。 自分が助かりたいから。
モフっちの意思に従ってとか ミッちゃんが自分で望むからとか
そういうのじゃなく、他に手が無ければ私はやるだろうさ。
……本当、畜生だな。
(117) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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……ヤンファの研究していたOllovaには、振動と同調という特徴がある。 わかるかい?個体が他個体を同調させるんだ。いわばそれは、感情を呼び起こすってことでもある。
[もちろん、実験すらしてない。仮定でしかない論だけど、賭けるしかない、と付け加えて。]
振動は波だ。つまり……
――データを波にして、ミツボシから寝ている皆に届ける。
(118) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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ワクラバ……すまない。 君も、皆も、イースターも……ぼくが背負うよ。
(119) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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[アシモフの決断的な表情に頷くと、ミツボシのほうへ振り返る]
(>>112) よぅ、ミツボシ。 まだ時間はあるみてぇだ。 つれねぇこと言わねぇで、遊ばねぇか? 教えてぇことがあるんだ。(>>107)
(120) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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皆様、おやすみなさい。 また、あした。
(121) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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そしてミツボシ、すまない……
ぼくは、無能な医者だ……君を、真実の意味で救うことは、できないんだろうから……。
(122) 2016/05/22(Sun) 00時頃
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