82 【薔薇村企画】 Contagio ―共鳴―
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―自宅→空き地―
[サミュエル邸へと向かうというトレイルとは、一時別行動をとった。 その身は心配ではあったが、おそらく、最後の別れをしに行くのだろう。 主が悲しむ姿を目にすれば、平静でいられる自信はなかった。
無言のまま、静かに歩を進める。 途中、どこかへ向かうらしき主従の姿が見えた。]
キリシマ殿、トルドヴィン殿。 どこかにお出かけだろうか。
[何気なく声をかけ。 こちらはこれから攻芸との手稽古を行うことを説明する。 手稽古といっても、チアキ殿とトレイル様は弁当を持ってのんびり気分なようだが……と、穏やかに笑いながら。
その奥に悲しみが隠されていることには、気付いたかどうか。]
(223) 2013/05/18(Sat) 02時頃
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―空き地にて―
すまぬ。待たせたな。
[用事を済ませ、空き地へと現れた時には、既にいつもの涼しげな表情を浮かべていた。 得物も特に決めていないようなので>>205 自らも長槍を模した長木を携えていた。]
いつでも、仕掛けて貰って構わぬよ。
[そう、自信ありげに呟く。
8年前のことなど、いまだ知る由もなく。 ただ、目の前の青年を見ると不思議と心が騒ぐのだけは、確かに感じていた――。**]
(224) 2013/05/18(Sat) 02時頃
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卿を若輩とは思わぬよ。
[記憶がないことに加え、元より自らは意識せずに言ったこと。 彼が未だにそれを引きずっているなど、思いもよらず。]
むしろ、何故だろうな。 卿とこうしていると、懐かしい気になる。
[それは、かつてのライマーとしての記憶の名残。 手合わせの感覚は、身体が覚えている。]
(235) 2013/05/18(Sat) 12時頃
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[主の姿を意識すれば、自然と心が引き締まる。 その前で、無様なところは見せられぬと。
息を整え、長木を構える。 まずは軽く打ち合わせるように。]
(236) 2013/05/18(Sat) 12時頃
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[チラリと聞こえたトレイルの声>>239に、表情が陰る。 主もまた、彼らの死期を悟ってしまったのだろうか。]
………………。
[無言のまま、長木を振るう。 攻芸に話を聞いてもこうして普通にいられる自分は、おかしいのかもしれないな……。 そんなことを、ふと考えながら。]
(240) 2013/05/18(Sat) 13時半頃
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[武人として、また主に仕えるラーマとして、攻芸にはどこか近しいものを感じていた。 過去は知らずとも、強さを求める姿勢に共感を覚えていたものである。
だが、今は。 主と共に生を終えることの出来る彼に、奇妙な羨ましさを覚えていた。 そして、また。 最後の手合わせとなるならば、全力をもって相手をしようと。
本気で長木を構える姿に、その想いは現れていただろうか……。]
(241) 2013/05/18(Sat) 13時半頃
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――――そう、か。
[同意を得られれば>>242、躊躇いがちながらも笑顔を浮かべた。 あの既視感は、気のせいではなかったのだと。]
さ、来るがい。
[突きを受ければ、両手にじん……と振動が伝わる。 その重みがむしろ嬉しく、自然と表情が綻ぶ。]
(245) 2013/05/18(Sat) 14時半頃
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……卿は、強くなったな……。
[我知らず、そんな呟きが零れた。
打ち込みに合わせ、長木を振るいそれをいなし。 歩が止まったと見るや、それまで円を描くように動いていた先端を唸らせ、素早く踏み込む。
まるで同じ型を覚えでもしたかのような流れるような組み合いに、僅か驚きの表情が浮かんだ。]
(246) 2013/05/18(Sat) 14時半頃
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[自分は、この動きをよく知っている――? 攻芸の言葉も、それを思わせ。 身体に染み込んだ型は、何よりも過去を思わせる切欠となる。
だが――――…。]
そう、か――。
[その面には、穏やかな表情が浮かぶのみ。 少し前の己ならば、取り乱していたかもしれない。
だが、今の自分には、トレイルとの生活がある。 それを改めて、自らに言い聞かせた。]
(247) 2013/05/18(Sat) 14時半頃
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……いや。 今は目の前の相手に集中するのみ、だ。
気のせいを散らしたままで、相手出来るとは思えん。
[攻芸の言葉>>244に苦笑いを浮かべ、再び長木を構える。 視界の隅に映ったトレイルの表情に、唇を噛みながらも。
僅か離れた距離から、切っ先を突き出し、一気に間合いを詰めた。*]
(248) 2013/05/18(Sat) 14時半頃
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[記憶にはないのに、組手の感覚は確かに身体が覚えている。 どこか喜んでいるようにも感じる攻芸に、こちらも不思議と笑みを浮かべながら。
攻芸の父が亡くなった時のことは、今でも覚えている。>>1:493 が、よき指導者とは認識していたが、その相手が自身の師であったとは、最後までわからずにいた。
今、攻芸の動きを肌で感じて、初めてその可能性に思い至る。]
(253) 2013/05/18(Sat) 17時頃
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[その棒術も、体術も、何もかもが懐かしい。 過去を思わせるものに触れれば、今まではこみ上げるのはもどかしさと悔しさばかりであったが。
記憶など無くとも鍛錬の通りに身体が動くと知れば、今は、不思議と楽しさがこみ上げていた。]
――――流石……だな。
(254) 2013/05/18(Sat) 17時頃
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[腹に膝が向けば、肘を下げてその一撃を受ける。]
――――っつぅ……、
[肘で庇いはしても、その衝動は全身へと伝わる。 なるほど、流石自身を鍛えることに邁進しているだけのことはある。]
…………ふっ……。
[微かに目を細めながらも、長木を地面に突き立ててそのまま更に身を屈め。 長木を軸に掃腿――足元めがけて払うように蹴りを繰り出した。*]
(255) 2013/05/18(Sat) 17時頃
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[攻芸の父の、他のラーマに対するのとは違う接し方は、感じていた。 だが、それも聞くのが怖くて。
己は一体何なのか。 それがわからぬ故に、その視線の温かさにも気付けなかった。
攻芸が抱えていた贖罪も知らぬままに。 ただ、己が不安を抱え込むので手一杯だった。
今、ようやくそれを受け入れるだけの余裕が出来た。 それも全て、主との暮らしで得た心の安定によるものであるが――…。]
(270) 2013/05/18(Sat) 18時半頃
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[足元を狙えば、強い手応えと共に攻芸の身体が崩れる。 攻芸の手から棒が落ちるのを目にすれば、小さく息を吐いた。]
……………………いや……。
[攻芸の言葉>>262に、苦笑いを浮かべる。]
見てみるといい。 今少し打ち合っていたなら、俺が負けていた。
[そう言って、自らが手にしていた長木を差し出す。 打ち合いによりヒビが入った木は脆く、握りしめただけで崩れそうなほどだった。]
いらぬ力が入っているせいか、 それとも卿の打ち込みの激しさか……。 俺も、まだまだ修行が足らんな。
[と言いながらも、不思議と楽しそうな表情が浮かぶ。]
(271) 2013/05/18(Sat) 18時半頃
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[助け起こした攻芸と共に、主二人の元へと戻る。]
戻りました、トレイル様。
[主へとかける声は穏やかなもの。 彼の隣に腰かけ、微かに微笑んだ。]
(272) 2013/05/18(Sat) 18時半頃
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[トレイルに勧められるままに、チアキの手作り弁当へと手を伸ばす。]
チアキ殿、ありがとうございます。 いただきます。
[一息ついて弁当をいただきながらも。 先ほどの攻芸の言葉>>274を思い出せば、小さく溜息が零れた。
…………今後も仕合うことが出来れば、いいのにな……。 そう、内心で呟きながら。]
(277) 2013/05/18(Sat) 19時頃
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[主に問われれば>>276 答えるより先に、笑顔を見せた。]
えぇ。とても。
[目を細めてそう言いながらも。 主の小声を耳に挟めば、途端にその顔が真っ赤に染まった。
慌てふためく様子は、とてもそれまでの凜々しい姿と同一人物には見えないことだろう。]
(278) 2013/05/18(Sat) 19時頃
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[トレイルの言葉>>280を聞けば、鹿肉とひよこ豆を口に入れながら考え込む。]
そう、ですね……。 今度作ってみましょうか。 チアキ殿ほど上手に作れる自信はありませんが……。
[己も料理はする方ではあるが、チアキの細かい仕事には敵わない。 その味を盗むかのように、ゆっくりと味わった。]
(281) 2013/05/18(Sat) 19時半頃
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[攻芸が深めに礼をするのを見れば、思わず目を細める。]
…………どこか、出かけるのか。 気を付けて、な……
[どこか不安な思いに駆られ。 じっと、その姿を見送るのだった。]
(287) 2013/05/18(Sat) 20時頃
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ふむ、なるほど。 やはり仕込みが細かい。
[チアキから料理のコツを教わりながら。>>286 増えた包帯には、あえて触れず。
時折、僅かに目を伏せた。]
(293) 2013/05/18(Sat) 20時頃
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[食事を終え、チアキの礼を聞けば、ゆっくりと頭を振った。]
こちらこそ、ありがとう。 攻芸殿と手合わせいただいたばかりか、すっかり馳走になってしまった。
[そう改めて礼を言いつつ。 続く言葉を聞けば、悲しげな表情が浮かびそうになるのを、唇を噛んで堪えた。]
…………あぁ。こちらこそ。
[結局、別れの挨拶は出来ぬままに。 ただ、震える声を振り絞った。]
(299) 2013/05/18(Sat) 20時半頃
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[トレイルとチアキのやりとりをじっと眺めながら。
チアキの姿が見えなくなれば、主を、後ろから強く抱きしめた。]
(312) 2013/05/18(Sat) 20時半頃
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[後ろから抱きしめている為か、主の表情は読み取ることが出来ない。 だが、その声を聞けば、放ってはおけず。
彼を抱く腕に、力を籠める。]
……攻芸殿は、覚悟の上なようでした。 なれば、こそ。
[そう、静かに告げた。]
(321) 2013/05/18(Sat) 21時頃
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―回想:手合わせ前>>315―
[トルドヴィンの言葉>>315を聞けば、ニヤリと笑みを浮かべる。]
卿も手合わせしてくれるというなら、ありがたい。 むしろ、こちらから頼みたいくらいだ。
[好戦的な笑みを見れば、答えは伝わるだろうが。 彼にもわかるようにと、軽く拳を突き出した。]
―回想終了―
(323) 2013/05/18(Sat) 21時頃
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―現在:空き地にて―
[主の言葉>>324には、沈黙で返す。 肯定の意思は、伝わるだろうか。]
……色々と、教えて貰いました。
[攻芸から聞いた話を、果たしてこの人は望むだろうか。 無理には話すまい。 彼が望む時が来たならば、その時に――と心に決め。]
俺は、貴方がいてくれたからこそ、こうして人らしくいられるのです。
[それまでは、記憶も持たず、誰も信用出来ず。 今持つ心は、全て貴方が与えてくれたものだ、と――…。]
(325) 2013/05/18(Sat) 21時半頃
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[抱きしめた腕に主の動揺が伝わってきて、思わずその肩を撫でる。]
……嫌なことというか……。 いや、自分の死んだ時の話なので、元より明るい話ではありませんが。 トレイル様が望まれるならば、ゆっくりと。
あとは、師のことなどを。
[3年前に亡くなった攻芸の父のことは、トレイルも知っていることだろう。 今の今まで、師という想いすら抱けなかったが。 そうとわかった今となれば、なるほど確かに他のラーマを見る時とは様子が違っていたと。]
(327) 2013/05/18(Sat) 22時頃
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[主の瞳から涙が零れたのを見れば、それを拭うかのように、そっと唇を寄せた。]
(328) 2013/05/18(Sat) 22時頃
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えぇ……。 トレイル様に聞いていただけるならば。
[そう呟いて、抱きしめる力に手を籠める。 彼が自分に興味を持ってくれているならば、それもまた幸せで。
過去の断片は手に入れたが、既に過去の記憶に対しての興味が自分の中で薄れているのは感じていた。 今は何より、主との生活が大事だった。]
(330) 2013/05/18(Sat) 22時頃
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―空き地→自宅―
[短い距離ながらに、ゆっくりと歩く。 すっかり、このペースが馴染んでしまった。 言葉は少ないが、主の手はしっかりと握りしめたまま。
家について、主が隣に座れば。 絡められた指に目を細めながら、そっとその髪に頬を寄せた。]
(338) 2013/05/18(Sat) 22時半頃
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