146 demi-human... 『亜人の住まう街で』
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『♪som day i w t to r awa ,to t world f mi ni t...』
[目を薄らとあける。 紫の瞳は眠そうに、僅かな朝日を映しては鈍く光っている。
どこかから途切れ途切れ、泣き声にも似た、悲愴を含んだ歌声が聞こえる。
昨日、狐と道を分けた後は特に面白いこともなく、家に帰っても来客の気配がなかったものだから、集めただけの古書に手をつけて、夜通し読書に没頭していたのだった。
膝の上で開いていた本を閉じる。 遠くから聴こえる歌声に、迷い込まされそうな、誘い出されるような気分で、それも悪くないかとぼんやり腰をあげた。
今日は、装飾屋でもひやかしに行くかね。 はたと思いついて身支度を済ませれば扉をくぐる。 ほとんど癖のように、歌ともつかないような一節を口ずさんだ。]
”i baked you a pie ” ”oh boy,what flavor of pie? ” ”pie flavor! ”
(6) 2015/01/13(Tue) 16時半頃
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[例によって人少ない通りを歩いていると、数分もしないうちに背後から体を拘束された。 影に、ではなく。色も形もある人間が3人。
後ろ手を縫われ、お前も亜人なんだろう、"影"の正体を吐け。だとか、全く無様で頓珍漢なことを言い出すので、代わりにツバを吐きかけたら顔を殴られた。
流石にカチンときたので擬態を解放して、背中から飛び出した翼で大きく空気を掻けば相手は怯む、その隙に1人の喉を掴み、尖った爪を食い込ませればそれはヒ、と息を荒げた。 迂闊に手を出せなくなったあとの2人は人外めとか化け物とか、罵倒を吠えている。
チッと舌打ちをして掴んだ首を薙ぎ払い壁に打ちつけ手を離し、羽撃いて浮かび上がれば空へ退避した。 足元から罵声が聞こえる。 こんなのをまともに相手していたら阿呆だ。
奴らの亜人への嫌悪がまたひとつ深くなっただろうがそんなことは知るか、被害者になるのは御免である。
殴られて切れた内頬と唇が痛んで、再び舌打ちした。]
(7) 2015/01/13(Tue) 16時半頃
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[こうなってしまうともはや面倒だ。 身の丈ほどある大きな黒い翼も、山羊のような角も仕舞うのは億劫だし何だか癪だ。久々に解放感にも似たような気分を感じながら、空中から装飾店を目指す。しかしやはり、久々に飛ぶと疲れる。
好き好んで人間に擬態していたわけではない。矜持を捨てたわけでもない。 だが、自尊心に捉われているものは損を掴む。だから賢く生きるだけだ。 むしろ、そうするしかなかったのだ。 きっと多くの亜人が同じようにそうであり、そして心の内を抑圧されているのだろう。
しかしそうやって大人しくしていても舐め腐られ、侮蔑され続ける。何だというのだ。 影と、人間。 真っ黒な嫌悪感が胸に走り、血の味がする唇を噛む。
目当ての家屋を見つけると、その手前に小さな人影。>>5 滑空してその前に降り立った。]
(8) 2015/01/13(Tue) 17時頃
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ヨーォ、魔法使い様じゃん 何やってんだこんなところで?影に捕まっちまうぞ
[影でなくても人間が襲ってくるかもなァ、と装飾屋の前に座り込む顔見知りの少女を一瞥しては、フン、と鼻を鳴らした。
少しどけ、と扉を背にした彼女に促しながら、取立てのようにガチャガチャとドアノブを揺らす。]
おい、トカゲ屋ァ、開けやがれ。
[少女の様子を見るに、反応はなかったようか。はて。
扉には鍵がかかっている、だが問題はない。 鉄のコインを数枚取り出して、鍵穴に押し当てる。 簡単なまじないをかければ溶けて固まり、あっという間に合鍵のできあがり。鍵を回し、一瞬の躊躇もなく中へと踏み入る。]
トカゲ屋ァーーーー シッポかじらせろーーーー
[適当にふざけてワアワア騒いでみるも、呆れたようなあの低い声は返ってこない。しいん、と 人気のない空気に、青い鳥がちち、と鳴いたか。]
(9) 2015/01/13(Tue) 17時頃
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[>>16ご飯屋さん、と彼女独特の呼称を聞けば、挨拶代わりにぽすぽすとフードの頭を叩く。]
アンタも道連れだ。 いや、共犯、ってことにしとくかなァ。
[自分を軽く咎めながらもちゃっかり一緒に入ってきた少女に、悪戯じみた笑顔を向ける。 もし店主にばれたならコイツが魔法で開けた、ととぼけてみようか、そうすれば慌てるだろうか。 なんて呑気に考えつつ、笑うと殴られて切れた口端が痛い。血の塊をぺり、と剥がした。]
おい。いねーのか。
クリス。 ―クリストフォロス・ガラジオス。
[目の色を変え、呪文を唱えるように、探す人の名を口にする。
返すは静寂。]
(26) 2015/01/13(Tue) 22時頃
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・・・なにも聞いてねーよ。
凡そどっかサンポでも行ってんじゃねーの。
[妙な静けさを湛えた空間。 ひととき、そのまま佇んだ後少女の問い>>17に口を開く。
言葉とは裏腹、確証のない不安を覚えていることに、らしくねえなと苛立って髪を掻く。 恐らくは同じ発想に至ったのだろうか、自分の服を引く小さな手からも緊張が伝わってくる。
いちど目を閉じて、開ける。 その指をやんわり剥がせば、代わりにさっき作った鍵を握らせて。空いた手は小さな頭に軽く乗せた。]
戸締りヨロシク。
アンタはせいぜいじっとしてなよ。
[傷つけたくも、傷つきたくもないのであれば。 今日は外出しても碌な事がないのは目に見えている。そんな意図を含めて言葉少なにそれだけ忠告をすると、手を振り振り、身勝手にするりと店を後にしようとしただろう。*]
(27) 2015/01/13(Tue) 22時頃
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