207 愛しの貴方を逃がさない。
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[緩慢な動作で身を起こして、目を瞬かせている少女の姿。 電池が切れかけている人形みたいだと思ったのはさておいて。
指し示された皿の周りには、慌てた名残か、 少々スープが零れていたけれど、食べるのに何ら問題はない。 スプーンで掬って、少女の口元に運んでやれば、 彼女は食べてくれたかな。出来ることなら、他の料理もたべてもらいたい。 きっと、君が大好きな味に、よく似ていると思うよ。だから、]
スープだけだと、お腹は膨れないよ。 他の料理も食べて。疑うなら、俺が毒見でもなんでもするから。
[そう、勧めてはみたけれど、 さて、それは聞き入れてもらえただろうか。**]
(9) ふゆのひと 2017/01/25(Wed) 23時半頃
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[スープを飲み込んで動く喉に、 ゆるりと料理を眺める赤色の眼差しに、 そして、抱きかかえた腕から伝わる温度に、 何故だか、ひどく泣きたい気持ちになった。
かといって、彼女の主張を受け入れるかと言われれば、 それはまた別の話で。]
ダメだよ。 だって、今、卯月ちゃんを返したら、 もう二度と会えなさそうだからね。
[彼女が離れるか、あるいは、自分が彼女に告発されるか。 どちらにせよ、それは好ましいものではない。]
(26) ふゆのひと 2017/01/26(Thu) 22時頃
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[けれども、そうだな。 浮かんだのは、小さなウサギ、白い肌に浮かんだ歯形、 それから、力なく倒れた彼女の姿。
顎に手を当てる。暫しの思案ののち、再び、口を開いた。]
一か月、いや、一週間でいい。 一週間だけ、ここで、俺の料理を食べて過ごしてほしい。
それが終わったら、卯月ちゃんをおうちに返してあげる。 俺のことも、煮るなり焼くなり、好きにするといい。
[どうかな、と、彼女の反応を窺うように、赤い目を覗き込んだ。 どうだろう。彼女にとっても、悪い話ではないはずだ。]
(27) ふゆのひと 2017/01/26(Thu) 22時頃
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[どういう風の吹き回しかと問われれば、 彼女の可愛らしさにほだされたとでも言っておこうか。
あぁ、もちろん、嘘じゃない。 突き刺さるような警戒が、自分の料理に (少しではあるけれど)ほぐれただけで、舞い上がりそうになる。 もっと、自分の料理を食べてもらいたい。 彼女が望むなら、何だって作ろう。
それくらいに、俺は、彼女にほれ込んでしまったらしい。]
(28) ふゆのひと 2017/01/26(Thu) 22時頃
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[渇きを訴える喉を摩る。 襟の下、無数の蚯蚓腫れが、ぴり、と痛んだ。*]
(29) ふゆのひと 2017/01/26(Thu) 22時頃
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― 終わりの前の日―
[一週間というのは、長いようで、短い。 朝ごはんを食べて、ランチを済ませて、夕食を済ませる。それで一日。 繰り返せば、あっという間に一週間は過ぎる。 まだ振る舞えていない料理が数多くあるというのに、 終わりというものは容赦なく訪れる。
尤も、そういう約束だったから、仕方ないよね。 包丁を握った逆の手で、渇きを訴える喉を掻く。 長引かせるのは、お互いの為にならない。そうだろう?]
(48) ふゆのひと 2017/01/27(Fri) 23時頃
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[終わりの前の日、 文字通りの最後の晩餐は、彼女の大好きなシチュー。 あの店に来てくれた時も、注文してくれたよね。
ホワイトソースは勿論、玉ねぎの炒め具合にまでこだわった、 まさに、彼女の為に作り上げた料理。
彼女はそれを口に運んでくれたかな。 どちらにせよ、夕食の席で、俺は口火を切ることになったと思う。]
(49) ふゆのひと 2017/01/27(Fri) 23時頃
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卯月ちゃん、ひとつ、お願いしてもいいかな。 図々しい、って、思われるかもしれないけれど。
[前置きと共に、視線を遣ったのは、 未だ籠の中にいる、白いウサギ。 キャベツを食む彼ないし彼女を顎で示して、話を続ける。]
(50) ふゆのひと 2017/01/27(Fri) 23時頃
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あのウサギを、君の家で、 俺の代わりに育ててあげて欲しいんだ。 どうもね、俺にはなついてくれないみたいだからさ。
[胃に収められた同胞の臭いを嗅ぎ取っているのか、 元々、動物との相性がよろしくないのか。 終始、自分に懐くことのなかったウサギは、 よく似た容姿をした彼女に対しては違うらしい。
鎖の外れた、卯月の足を見る。 幾重にもかけられた鍵のせいか、契約を守っているのか、 或いは、試みたものの、失敗したのか。 この日まで、彼女がこの家から出ることはなかったと思う。]
(51) ふゆのひと 2017/01/27(Fri) 23時頃
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他に当てもないし、あの子は君に懐いているみたいだから。 だから、どうかな。
[嘘だ。当てがないわけではない。 写真家の友人も、或いは店の唯一の従業員もいるけれど、 こう言わなければ、彼女は肯定しないだろう?
赤い眼差しを伺うようにして、首を傾げて。 沈黙の中、ウサギの檻が揺れる音が、やけに響いた。*]
(52) ふゆのひと 2017/01/27(Fri) 23時頃
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やだなぁ。 卯月ちゃん、俺を通報する気ないの?
[様子を見に行く、なんて、変な話だ。 会いたくもないだろう相手に対して。 それに、]
そもそも。 何で俺が、ウサギを飼ってたと思う?
[伏せた瞳は、こちらに向けられたかな。 ガーゼと包帯が巻かれている噛み痕は、未だ痛むかな。
多分、察しの良い卯月ちゃんなら、気付くんじゃないかな。 少なくとも、愛玩動物として飼っていたわけじゃあない。]
(71) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 16時半頃
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[さて、ここでひとつ、懺悔をしよう。 確かに、昨日までの彼女の食事に対しては、何一つ奇妙なことをしなかった。 これは、本当の話だ。
けれど、今日のメニューは。 彼女のシチューの皿に対しては、違うと言ったら?
分量を間違えてさえいなければ、そろそろ効いてきたんじゃないかな。 あぁ、少しの間、眠るだけだ。彼女がふらつくようなら、毛布に運ぶくらいはしようか。]
(72) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 16時半頃
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おやすみ、卯月ちゃん。 良い夢を。
[きっと、朝には目が覚める。 その時には、君は自由だ。**]
(73) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 16時半頃
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―終わりの朝―
[喉が、渇いた。 無意識に喉元を掻き毟っていた片手を戒めて、再び野菜を切り分ける。
夜を徹して、台所で作り上げる料理は、それは多種多様。 シチューはもちろん、ムニエル、肉じゃが、ハンバーグ、などなど。 それらは全て、ウサギのような少女の好物。 彼女の大好きな、母親の料理に似せて、作り上げたもの。
きっと、少女の口に届くころには、どれも少し冷めてしまっているだろう。 ごめんね。けれど、何が食べたいのか、聞くことが出来ないからね。 せめて、最高の料理で彼女に別れを告げたい。そう思った。]
(81) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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[小さなテーブルに、所狭しと料理が並んでいく。 漂う香りは、きっと食欲をそそるだろう。 満足げに笑ったシェフは、喉を、がり、と掻く。蚯蚓腫れが、また増える。
最後の一皿を作り終えたときだったろうか。 合図とばかりに、朝日が部屋を照らした。 あぁ、もう、時間が経つのは本当に早い。 早く、全てを終わらせないと。
一週間も我慢していたんだ。そろそろ、限界が近い。]
(82) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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[ルーズリーフ一枚に書かれた、簡素なメモ書きと、小さな鍵。 向かいの席にそれを置いてから、自分も反対の席に着く。
そうして、喉を掻き毟っていた手を、ぴた、と、止める。 もう片方の手に握っていたものを、くる、と、半回転。]
(83) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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[シェフは、握っていた包丁を、 喉元の蚯蚓腫れたちを真っ二つにするかのように、 自分の喉元に突き立てる。]
(84) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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[ぐら、と、身体が傾く。 派手な音を立てて倒れた人間に驚いたのか、 がしゃんと檻の中、ウサギが跳ねる音がする。
ほんのり湯気を立てた料理の皿の下に、 赤い液体が流れて、鍵と、メモ用紙の隅を汚していく。 もうすぐ目覚めるであろう、彼女へのお別れの言葉が、赤く染まっていく。]
(85) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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[喉元からせり上がってくる液体の味は、酷く、苦い。
皮肉かな、大量の美味しそうな料理たちを目の前にしても、 化け物が食べたいと思ったのは、最後に頭に浮かんだのは、
白い容姿に赤い目をした、あの少女の姿だったのだ。**]
(86) ふゆのひと 2017/01/28(Sat) 22時頃
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