29 Sixth Heaven
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[>>159香るのは、柑橘の トパーズのいろした香気なのに 若葉に似た色の少年の眸は伏せられる。 選択。重い。どこまでも。けれど。
スティーブンはパピヨンを見る。
嗚呼、彼女の器は『傲慢』だったか。 そんなことが過ぎる。
「もどっちゃいけないの?」 「みんなで」 ペラジーの声に、眉を寄せる。 ――いけないはずがない。 口に仕掛けたとき 戸口から声。]
…ラルフ
[ラルフか、「強欲」かは、瞬時に判断はつかなかったが。]
(167) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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―台所― [爆ぜた。笑みの仮面は其処にはない。
気配を察知したか どこからともなくネズミが顔を覗かせる。 それは恐らく、争いを警戒してのことだ。 システムは監視している。 器は貴重なものだから。]
……――
[自由の管理者と、 傲慢、そして強欲の器。]
ペラジー、君は 「皆で帰る」と、――此処にきたとき、 誰かと「約束」したのだろうかな。
(176) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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私は君の声を 途切れ途切れにしか聞いていないからな。 聞きたいと思っている。
[重い選択、彼に意味が届かなければ意味がないと スティーブンは考えている。
言葉交わす三人のほう、また見て。 スティーブンの側にネズミが小さく 尻尾を揺らしてくるりと回った。]
…ラルフ、酒瓶を手にするはいいが 振り回すようなことはしないでくれたまえよ。
[牽制は牽制になったかどうか。]
(177) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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―台所―
[うろたえたようなペラジーに、 スティーブンは静かに、 近づきすぎず、離れすぎぬ距離で居る。]
――……あまり引っ張ると 千切れてしまう。
[伸びるビニール紐を見て、スティーブンは謂う。 彼は、帰りたかったのだろう、と 帰れると信じていたのだろうと。 ゆるく、こぶしを握り締めた。
それでも笑う、と 「自由」の管理者が謂って出て行くのを見送り。]
(192) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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[ラルフの物言い、 酒瓶を呷るさまを見ながら。]
『強欲』、君は。
[気儘、強欲のままに振舞うか、 ぽそりともらされた言葉に 見るのはペラジー。
どこか、怯えたように見えて、支えるように、手を。]
(200) 2011/04/23(Sat) 01時頃
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[藍が青い眼を映す。 背に触れた手はそのままに。 ビニールに指先を引っ掛けるペラジーの様子を スティーブンは、見ていた。
か細く千切ること常人ならば容易いそれを 「怠惰」に7年、接続されていた青年は 伸ばすことすら僅かしか叶わない。
ぽつり、落ちるような声が聞える。 聞き逃すまいと、 『怠惰』に飲まれないようにと ペラジーの背に触れた手に僅か力が篭る。
もう手が届かないのは厭だとばかり]
(231) 2011/04/23(Sat) 18時頃
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[忘れたくない。
と、小さく零す言葉は確かな意志。 藍の眸、僅かに細められ]
だめなわけが ない。
[しっかりと青色の眼を見、 そう、謂った。]
(232) 2011/04/23(Sat) 18時頃
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…世界は 乱れるだろう 器たる君が接続しなければ 人が本来持つ欲のひとつが 回収されずに戻っていく。
それでも 君がもう一度接続されれば 君の意志はきっともう 「怠惰」の泥濘の中に沈んでしまう
[そしてきっと命絶えるまで、 戻ってはこないのだろうと思う。]
(233) 2011/04/23(Sat) 18時頃
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選択肢がある。 君は選ぶことが出来る。 世界の平和か、己の存在か。
今の言葉は、「君の意志」だろう。 忘れたくないのならば。 ――器として、接続しては、いけない。
(234) 2011/04/23(Sat) 18時頃
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外の世界はきっと厳しい。 君が長らく離れ、 忘れていた痛みも沢山ある。 それでも君が その意志で選び取るのならば、
[そう、それはパピヨンの謂うように。]
私は君を、 私の持てる力を駆使し、 支えようと、考えている。
(235) 2011/04/23(Sat) 18時頃
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――…
[頷く。 自分勝手な願いも含めて。 「怠惰」のまま、思考を止めていた 歯車が軋みまわりだす音を聞く。]
……そうか。
(238) 2011/04/23(Sat) 20時頃
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[手を触れる。 赤くビニル紐の後を残す手をとった。]
ならば。 …「外」へ。 君が君でいられる世界へ。
[システムはそれを聞いていただろうか。 ネズミは瞬きをせず くるりと柱の周りを回った。]
(239) 2011/04/23(Sat) 20時頃
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―台所―
[頷き。>>245 握り返される手を少しだけ 引き寄せるようにした。
ペラジーの見上げる先、 悔しげに唇を噛む女性がいる。
世界を思うのならば 彼女が言うことは、正しいのだ。けれど。]
――、
[丁度、そのときか。ムパムピスが台所にやってきたのは。]
(248) 2011/04/23(Sat) 21時半頃
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スティーブンは、ムパムピスに一礼する。
2011/04/23(Sat) 21時半頃
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[まわるネズミ、 彼らは、そのとき何を為すのか。]
…「器」を傷つけようとするなら 彼らは許さないだろうが、
「接続」の選択肢を与えておいて、 拒絶したときにどうするかは…
わからないな。
[――あまり、よい想像にはならないが。 杞憂ならいいと、思いながら。
(253) 2011/04/23(Sat) 22時頃
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[伸びるパピヨンの手から、 ペラジーを庇うように腕を横に伸ばし 一歩、二歩、前に立つ。 杖の下、壊れたネズミは動かなくなった。]
ひとの心は壊れるのではなくて あるべきに戻っていく、と訂正させていただきましょう。 此処では負の感情は吸い上げられていない。 いつか、戦争を起こしたときのように。 今の私のように。 今の貴方の様に。 此処に居る、人間のように。
今、此処にいて貴方は壊れているのですか。
――このシステムが吸い上げているのは人の負の心で。 本来心にあるべきものだった。 このシステムを作ったのは人間だ。 いつかこれ自体が壊れない、と 寿命を迎えないと一体誰が言えるのです――…この薄氷の上の、偽りの楽園が。
(261) 2011/04/23(Sat) 22時半頃
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――傲慢。
ええ、そうでしょうね。 私は私のエゴで、このシステムを拒絶し そして、憎んでいる。 此処にきて、負の心を吸い上げられなかった故に 知った「本当」だと、…私は思っている。 どうして、もっと彼らを引き止めなかったの、かも。
…「臓器くじ(survival lottery)」
この思考実験を貴方は知っていますか。 「人を殺してそれより多くの人を 助けるのはよいことだろうか?」
この思考実験に未だ明確な答えは出されていない。 まさに今、この世界の状態でしょう。
(270) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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思考実験に答えはない。 堂々巡り、反論に反論を重ねた議論となるばかり。
…「法」が多くのものを裁いていくなかで 生じた疑問、歪み、は 確かに 微かにだけれど、感じていたのです。
「器」が注がれた「悪徳」とされるものだって 本来はひとりひとりが葛藤し のみこんでいくべきものでは、ないのか。
それは、劇薬であるとしても。 叶うならシステムを――停止、させてでも――
[謂いながら、眉を寄せる。 ペラジーが怯えたように一歩退く。 ちらと視線を其方へ向けた。]
(276) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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――。
[ムパムピスの声に彼のほうを見て それから、ややあって、頷く。]
(282) 2011/04/23(Sat) 23時頃
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[ペラジーの側に立ち、 彼が自ら立ち上がるまではそのままいた。]
やはり、私は
[ころされるかもしれないな、と 続きは声にはせずに。]
…立てるかね。
[背後の青年へ、手を差し伸べた。]
(285) 2011/04/23(Sat) 23時半頃
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……――。
[立ち上がるのを見て、 少し、ほんの少し、笑みに似た表情。 苦味の勝ったそれ。]
いや。
[気にするな、と、それだけ。 苺を見るのに気づいて]
苺がすきなのかね、君は。
(293) 2011/04/24(Sun) 00時頃
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[パピヨンの激情を声で叩きつけられながら スティーブンは唇を引き結んだ。
頬のあざはだいぶんとひいて 瘡蓋もできているけれども 痛みは、負の思いは、沈殿する。 これがうえ、の世界なら。]
思考実験と現実は違えども 思考せねばあるはずの可能性も 見過ごしてしまうでしょう。
[彼女は孤児院を経営しているといった。 きっと、彼女の思いの向こうには面倒を見てきたものたちが、いるのだろう。]
――狂人。そうですね。 私の行動と思いはそう呼ばれるに相違ない。
[それでも。拳を握り締める。]
(302) 2011/04/24(Sun) 00時半頃
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[ムパムピスを見た。目礼、をする。 彼は、彼女の管理者だ。 激情に身を任すパピヨンを彼の言葉は 諌めることができるだろうか。 何を謂っても今の自分では駄目であろうから]
――そうか
[いちごがすき、と頷くペラジーに眼を向けた。]
食べるといい。誰もとがめない。
(303) 2011/04/24(Sun) 00時半頃
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……。
そうか。潰さないように 落とさないように 大切に
気をつけると、いい。
[何を重ねたか謂って。 そのまま歩き出そうとした、とき。
白衣に伸ばされる手に、 振り返って、目を見開いた。]
(311) 2011/04/24(Sun) 00時半頃
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……。
[足を止めて、暫しそのまま。 一度、何かを言いかけて 唇を噛むような、 その後。
躊躇いがちに、 手を、差し出すが。 繋がれたかどうか。
どちらにせよ 待機室へと 向かい――]
(312) 2011/04/24(Sun) 00時半頃
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[細い指先が触れるのに、 緩やかに握りこむようにする。
見下ろした藍は常より幾分か穏やかなものだった。
待機室に足を踏み入れる。 パピヨンがモニタに向けて訴える声を聞いた。 己もまたその合間縫って 意志を伝えようか。 静かに、硬質の 声で。]
(317) 2011/04/24(Sun) 01時頃
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[チャールズの様子を、 モニタ越しに目の当たりにするのは初めてだった。 様子も、口調も、違う。]
ミスター・チャールズ…
[眉寄せ呟く声。 彼の膝の上に座っている、少女は――]
(320) 2011/04/24(Sun) 01時半頃
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[我知らず 唇の端の傷に一度、引っかくように触れてから]
――私と、ペラジーの意志は お伝えした、通り。
――彼女は、
[眼を凝らしても、仔細には分からないところ。 モニタの映像は声さえも何処か機械音じみていたが 誰が喋っているかはわかる、けれど。 重なる影と彼の器としての役目から思うところ。
傍らのペラジーにとっては 既に馴染みの光景なのか。 反応は薄かった。]
(324) 2011/04/24(Sun) 01時半頃
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…――、
嗚呼、醜い。 …そう、…ですね。
[眉を寄せて、少しだけ眼を伏せた。 ネズミが小さく、ソファの上からのぞいている。
ペラジーの声が聞えれば 其方を見て、頷いて。]
(328) 2011/04/24(Sun) 02時頃
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[ラルフ(あるいは、強欲か)の言葉には一度目を閉じる、 似合わぬ、祈るような仕草]
原罪 と 謂うのだったな。
――生まれてきた以上 背負っているというという罪は。
だが私は 意志持つこと、それを 尊いとも思う。
(333) 2011/04/24(Sun) 02時半頃
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――…
[スティーブンは、ペラジーと チャールズが待機室で為したやり取りを知らない。 だからそれが彼への遅れた「答え」だとは、 知らないけれども。
繋いだ手は離さぬままに。]
――マーガレットにか? …分かった。
[言葉少なに頷いて。 ペラジーはどう答えたろうか。
スティーブンはそれからもう一度モニタを、見て**]
(334) 2011/04/24(Sun) 02時半頃
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スティーブンは、私が縛られるならば、コキュートス(Cocytus )だろうかな、と 低く呟いた**
2011/04/24(Sun) 02時半頃
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