212 冷たい校舎村(突)
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── けどさ、
[ 困ってるんだか、笑ってるんだか、 疲れてんだか、諦めてんだか、さて。 よくわからない表情をして、 表情をつくるのもつかれた って顔だった。たぶん。]
ひとりのほうが、楽なことも あるから
[ 視線を、入間のほうに戻すことは、できなかった。*]
(220) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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部活をやめた。 突然のことで、驚かれたけれど、 理由は言わなかった。建前を考えるのも忘れてた。
顧問や部長が、話をしようと言う。 何かあったのか。悩みでもあるのか。 理由を教えてくれ と言う。 力になれるかもしれない と言う。
##
(221) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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それに、他でもない俺が、 いいから放っておいてくれ と、 強引に逃げ出してしまったから、
元・チームメイトとの仲は不良。
ああ、そういえば、チョコバナナのタダ券。 せっかくもらったのに、財布に入れっぱなしだ。
あのあたり、運動部の屋台が固まってて、 行きづらかったんだよ なあ……
##
(222) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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## ……そう、あのときは。
まだ、逃げていればいいって思っていたんだっけ。 楽に息ができる方へ。見つかるはずの居場所へ。
仕方ない。そういうふうに生まれたんだから。 そういうふうに、なったんだから。
選べるなら、俺だって、 みんなと同じを選んださ。……たぶん。 ……想像も、できないけど。* ##
(231) 2017/03/11(Sat) 01時頃
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── 現在:3年3組 ──
……俺、もうちょっと待ってる 誰か、戻ってくるかもしんねえし
[ よっぽど冷静な古辺の返し>>226に、 何も言い返せなくて、納得してしまったから、、 俺は、そう言って、自分の席へと向かう。
ほら、英語教えてやったときと一緒だって。 授業の内容を丁寧にまとめて、 過去問をさらって、予想を立てるやり方。
真面目だけど、アクシデントには弱い。 そういうどんくさい人間ってこと。]
(247) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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[ 自分の席。教室の定位置にたどり着いたなら、 適当に、ノートとペンを取り出して、 おかしな点を書き付けながら、 出ていこうとする古辺>>230と理一>>245に言う。]
なんか、見っけたら、戻ってきて 勝手に帰んなよ、おまえら、マジで
[ これで誰も帰ってこなかったら、と思うと。 多分、俺は、泣く。いや、泣く前にキレる。
念入りに念押し。
最初は俺の手元を覗き込んだ水野も、 あっさりとどっかに行ってしまうから、
俺は大人しく、留守番でもしておこう。**]
(248) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 取り残されたひとり。
去り際、理一の残したかるうい返事>>326に、 なんだか、脱力してしまうけど、 どこか、ぎこちないような、気の所為のような、 静かな古辺の返答>>258のほうが、 たぶん、”当たり前”だった。
ぱたぱた と、そのあとを水野が追う。
教室には、保田那由多がひとりきり。 まあ、これだけ笑い声が響いてりゃ、 寂しくはないけど。 ってのは、嘘だな。]
(329) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 誰もいなくなった教室で、 疑問点を書き連ねて、連ねて、
”地面が”そこまで書いて、立ち止まる。 ……ない? 遠い? あいつは何と言ったっけ。
その疑問は、席から立ち上がって、 もう一度窓を開け放してみたら、すぐに分かった。
ああ、まるで、 地面なんて存在しないみたいに遠い んだな。
嫌な感じに口の中が乾いて、 身体の裏側が冷える みたいな、 あるじゃないか、そういう、生理的な 恐怖?]
(330) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ ──── ここから落ちたら、死ねる。
と、辛うじて動いている頭の片隅で、 理解して、尚、……これは、恐怖 なのか。]
(331) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 手は、足は、 何かに突き動かされるかのように、自然と動いた。
机の足元。投げ出していたリュックを手に取った。 開けっ放しの窓の向こう、白い世界へ、 果てしなく続く とさえ思える場所に、 終わり があるのか、知りたかった。
窓の外に突き出した手の中から、 さかさまになった鞄の口から、 ばら ばら と、紙が降る。
参考書や、ノートが、 白色に吸い込まれていくみたいに、 まっさかさまに、落ちてく。笑える。 パスケースも。ひしゃげた絆創膏の箱も。
果て なんて見えない。]
(332) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ けど、少し、すっきり した。 ]
(333) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ 黒いリュックは、空っぽになって、 かじかんだ指先に辛うじて摘まれたまま、 世界に溶け込んでいくように、白色をまぶしていった。
いい加減、冷えてしまった教室の空気と、 肘から先の、凍えそうな寒さに気づいて、 布の重さしかない鞄を、また机の足元に投げる。
カラカラと窓をしめて、再び閉ざした教室は、 先程より、少し、ひんやりとして、 誰か、帰ってくるまでに、あたたまるといいな と思う。]
(334) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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[ わかったこと。 おまえが嘘をついてたわけじゃない。 ── ってことくらいだよ、古辺。
なんかもう、することもなくて、 ただ、手に負えない現状 だけが目の前にあって、 ぼんやり、自分の机の傍らに立っていた。
帰還者第一号が現れた>>319のは、 きっと、そんな頃合い。*]
(335) 2017/03/11(Sat) 20時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 開けられた扉から、 ひとの良さそうな顔が、ひょっこり覗く。 その後ろから、背高のっぽもやってきたかな。
不思議そうな顔をする昴>>319に、 俺は、あー と、突っ立ったまま、答える。]
結局みんな、帰るとか、様子見に行くとか 一応、理一と古辺は、そのうち戻ってくる ……と、思うけど
[ 戻ってこなかったらシメる。 思うけどって、つまりそういうこと。
そのあたりまでは、また、日常めいた思考だった。
憂鬱そうな口ぶりで、昴が再び口火を切るまでは。]
(339) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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── 閉じ込められた?
え、玄関は。凍ってんの? 最悪、窓割れば?
[ 閉じ込められた。という、不思議な言葉。 反射的に、思いつく可能性を羅列して、 それから、思考の行き着くのは、真っ白な世界。 染みひとつつかない、真っ白な。
それに気がついた途端、俺は口をつぐむ。
学校であって、学校じゃない。 ならば、一体ここは、何処なのか。]
(340) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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……それとも、なにか分かった とか
[ なにか分かったならば、 それは喜ばしいことであるはずなのに、
不思議と、問い返す声は、重かった。**]
(341) 2017/03/11(Sat) 20時半頃
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── 回想:文化祭 ──
[ 休憩中 だった。
多めにシフトを入れてくれていいと言っても、 ぶっ通しで詰められるほど、クラスの皆は鬼じゃなく。
逆に、困ってしまっても、いた。
生憎、俺の交友関係は、 部活を軸に構築されていて、 3年、クラスに恵まれて、築いた関係も、 休憩合わなきゃ、意味ないじゃん。
高校生活3年目、 ここに来て、文化祭当日、行き場がない とか。
笑えねえ。クソかよ。]
(374) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 校舎はどこもお祭りムード。
屋台の並びには、近づきたくなくて、 ゲーム系の出し物におひとり様とかあり得ない。
ひとり満喫する勇気もなく、 人気のないほう、静かなほうへと、 悲しいことに、足は向く。
だから、鍵のかかっていない空き教室。 逃げ場を見つけた って気分で扉に手をかけた。
そこに、クラスメートが、 というか、そもそもひとがいるとか、 想像もしなかったから、扉を開く手は途中で止まって、 それから、そうっと覗き込んでみる。]
(375) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 近づいてみれば、やっぱりそれは上須賀で、
準備期間、元賀が衣装係に混じっていたころ、 行き場をなくして、仕事をもらいに行ったときと同じく、
俺は、ほんの少し距離を詰めて、 控えめに、でも、彼の名前を呼んだ。]
上須賀、……寝てんの?
[ 上須賀はサボり魔。そりゃあ、知ってるけどさ、
文化祭当日、わざわざ学校まできて、 それで昼寝してるって、相当意味わかんねえし、 「何してんの?」ってニュアンスで、俺は問いかけた。]
(376) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ それから、
彼が返事をしたとか、寝ているようだとか、 そういうの、関係なく、俺は……羨ましかった? あるいは、悔しかったのだろうか。
自分でも、よくわからないけどさ、 ひとりで悠々と、マイペースに生きてる。 そういう人間に見えていたのだ、上須賀が。
……不思議だったのかもしれない。 ひとりでいるのが嫌でも、原因は自分。 責める相手もいなくて、やるせなかった 俺は、]
……ひとりでいて、虚しくなんねえの、おまえ
[ 質問 というより、つぶやき に近い言葉を、 空き教室に、小さく 落とした。*]
(377) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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── 現在:3年3組 ──
[ 困ったような顔をして、 昴は上須賀の顔を見上げる。
ふたりは、幼馴染だというけれど、 時折、面倒を見ている側のはずの昴が、 雛鳥みたく、上須賀を見やるのが、 なんだか、面白いよな って、
……今は、どーでもいいけど。]
誰か、戻ってきたとき、 誰も教室にいなかったら、ややこしいだろ
[ 留守番? と聞かれて、俺は頷きながらそう言う。 自分の鞄を拾い上げるのを、「ああ」と曖昧に答えて、 とっとと受け取ったら、椅子にでもかけておこう。]
(379) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ そういう問題じゃない と、昴は言って>>361、
その口ぶりが、説明に淀む様子が、なんだか、 窓の外を見たときの古辺と、重なって見えた。
やっぱり、困ったように視線を彷徨わせる昴に、 どんな顔をしていいか分からないまま、 俺は、教室の窓の外を指差した。]
それって、窓の下の地面が遠い。とか、 そういう類の、どうしようもなさ だろ
[ 確認するように、半ば確信しているように、 そう告げてから、そうだ、言い方を変えよう。]
(382) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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ここは学校じゃない なら、 なあ、昴。おまえ、ここ、なんだと思う *
(383) 2017/03/11(Sat) 22時頃
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[ 説明の続きは、上須賀>>387が引き取った。
壁と同化。壊せない。殴っても。 物騒な単語が、上須賀という男とチグハグに思えて、 一瞬、想像してしまう。一体どんな顔して。
……なんて、こんな場所じゃ、なあ。 皆、フツウでいられるわけ、ねえじゃん。
見てくれば、と言うのに、 なぜか、薄く笑ってしまったのは、 もらい笑い とかじゃなくて、ただの苦笑。]
(401) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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べつに そんな、悪趣味なウソ、つかねーだろ
……閉じ込められた な
[ 言いながら、考えながら。 今するべきこと、今できることを、考えている。 まったく思いつかないんだけどさ。
閉じ込められた。誰に? どこに? ……なんとなく、わかんなくはない 気がするけど、 俺、オカルトとか、SFとか、読み物とは好きでも、 絶対、信じない主義だったんだけど。マジかよ。]
(402) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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……あと、電気も消えないだろ つかないんじゃなくて、消えない
[ 見たのか>>393という問いに、 遠回しに、肯定したつもりだった。
その口ぶりなら、きっと彼も見たのだろう。 思い出して、気持ちのいいものでもないし、 何を見たか は、言及せずに。
質問への答えを、待っていた。>>394 おずおずと、昴が口にした答えが、 うっすらと自分が思い浮かべていたものと、 合致してしまうこと への、
……安堵? それとも。 絶望 と呼ぶには、些細すぎるか。]
(403) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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うん 俺も、思った
[ 淡々と、今度は声に出した肯定。 笑うでも、泣くでも、怒るでもなく、 ただ、強張った顔は、していたかもしれない。]
── なら、誰が、死んだんだろう
[ ひとの良さそうな 瞳と、 長い髪の間から、まっすぐのぞく眼差し。
まっすぐに見据えてみても、答えは、*]
(410) 2017/03/11(Sat) 23時頃
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── 回想:文化祭絶賛ぼっちにつき ──
[ 上背のある上須賀が、 声に反応して、むくりと起き上がる。>>399 十分、予想できていた展開なのに、 どうしてなかなか、地味にビビった。
大きなあくび。眠たそうに投げ返された言葉は、 完全に、俺の想像の斜め上をゆく。]
上須賀、ずっと準備参加してたじゃん なんで当日だけ、サボろうとしてんだよ
[ 意味わかんねえ って、ちょっと笑った。
クソうるさいやつって、きっと昴か、 それか、委員長か、そのあたりだろうなと、 引きずられるように登校する上須賀を想像する。 アレ、堆チャレンジって言うらしい。ウケる。]
(421) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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なに、そんなねみーんだ 睡眠不足? 勉強しすぎじゃねーの
[ 上須賀の成績は俺より良い。 ということしか知らないし、 別に、勉強熱心なイメージもなかったけれど、
からかうような口調で言ったのは、 単純に、”受験生”しなくちゃなんねえしなって、 そういう軽口のつもりであって、
そういう調子で、いたから、 まるで不思議そうな顔をされた>>400とき、 なんだか、不意に、痛かった。どっかが。]
(422) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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……だって、上須賀、 あんまり誰かといるイメージ、ねーし
俺は、絶賛、ただのクソぼっち ……つーか、ひとりのほうが、楽とも思ったけど、 結局、フツウに、虚しいって それが、自分で選んだ結果でも
[ ベストがなくて、ベターを選んだ結果だ。たぶん。
なんの害意もないって顔の上須賀と違って、 きっと、居心地の悪そうな、もやっとした顔をして、 結局自分の首絞めてる俺は、クソダサかった。*]
(423) 2017/03/11(Sat) 23時半頃
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