172 ― 恋文 ―
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— 喫茶店「ラブ・レター」 —
マスター、ここだけの話だ。 僕にはなりたいものがあった。
(2) 2015/10/22(Thu) 23時頃
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マスターは誰かを好きになったことがあるか? 夜も眠れないほど好きになったことが?
僕は僕自身を恋愛に向く人間と思ったことが無い。 なぜならば僕には決定的なものが欠けていたからなんだ。
(3) 2015/10/22(Thu) 23時頃
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少なくとも僕は僕自身のことを、そう評価していた。 だからやればできると言いながら、一つの事を最後までつらぬくことができなかった。
と、思っていたんだけどね。 どうやら、自己評価に最近ズレが生じてきたんだ。
(4) 2015/10/22(Thu) 23時半頃
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この手紙に返事をするには、もう少し時間がかかるようだよ。
一生一人ぼっちはさびしい、か……。
(5) 2015/10/22(Thu) 23時半頃
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ところでこれを見てくれよマスター、かっこよいと思わないかい? 黒い鹿なんているんだね、初めて知ったよ。
ん?だってこれだけリアルに描かれているんだから、見て描いたに違いないんだろうな。
(6) 2015/10/22(Thu) 23時半頃
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……実は僕も黒い鹿を探しにいってみたけど、いなかった。
(7) 2015/10/22(Thu) 23時半頃
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ところでマスター、あの人はワタヌキ風花って名前なのか? ……ん?ああ、サラダのドレッシングは和風でお願いするよ。
(8) 2015/10/22(Thu) 23時半頃
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