76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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― 薔薇の木の下 ―
こっちにおいで、サイモン、 ああ、そうだよ。嘘をついて悪かった。
その手紙を出したのは僕だよ。 大丈夫。僕なんだ。
[巧みに薔薇は、サイモンを引き寄せる。 そう、手紙の真実など、薔薇にとってはどうでもいい。 サイモンを想う誰かが、彼に書いたのかもしれない手紙。 それに魅せられてやってきたサイモンをただ、抱き寄せることが薔薇の為すこと。 抱きしめて、口づけて、
そして、酔わせて……夢の世界へと。 身体も心も甘美な中に溶かされる彼の表情は、きっと歪んでる中にも幸福感があった。]
(0) 2013/03/26(Tue) 00時半頃
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[シルヴァの部分は、もう、止めることはない。 シルヴァは眠ってしまっている。甘美な欲望の欠片だけは、噛み千切りながら。]
――……は、 そうだよ、もっと……。
[月明かり、薔薇の木の下。 そこにいたのは、薔薇に囚われたものたち。 眠ってしまったと偽るシルヴァの欲望。 寂しさに手紙を縋ったサイモン、
もう一人、薔薇の声を聴いた誰かもいたか。 ともかく、響く水音。細い身体が妖艶に快楽にと溶かされていく時間は、ひどく長かったはずなのに、
それでも、まだ、夜は明けず…。]
(1) 2013/03/26(Tue) 00時半頃
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はは
[精魂、快楽にまみえたサイモンがそのサイモン自身の部屋にあられもない姿で戻り、冷めない眠りについた頃。 彼自身も、欲望にまみれた身体をその薔薇の下に横たわらせていた。]
(2) 2013/03/26(Tue) 00時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/26(Tue) 01時頃
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――……ロシェ。
[冷たくもある土の上。 その口は、ふと、同級生の名前を呼んで、うっとりとした表情を浮かべた。 叶うことなど、考えたこともない淡い想い。
そう、彼のような髪をもてたなら、とても幸せだろうだなんて…。今は自身の欲望と泥に汚れた髪を見て思った。 微睡む意識、混濁の中に。きっと、この冷たさに連想しただけだろう。
そして、春はまだ、遠い、むしろ、もう、来ないだろうと感じている。 冬のような、冬のような……。**]
(6) 2013/03/26(Tue) 01時頃
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――……ああ、可哀想なサイラス。
[青の眸から流れる光を細い手首は追い、指先に光を移す。 呼ばれた名前に、笑んだ顔は、その有様とはかけ離れた輝きをもって、 手首はそれから、彼の髪を弄ぶ。]
(11) 2013/03/26(Tue) 08時頃
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[彼を受け入れ、彼と交わす会話は、薔薇のゆらめきに溶け、 ただ、泣く子を宥めるように、 そして、泣く子を寝かしつけるように、 でも、それは、淫らなまぐわいの元に。]
かわいそうな……サイラス。
[その細い体躯は、幾度目かの情事に、軋み、身体自身は、限界の痛みを発するも、薔薇はそれに構うことにない。 ただ、泣く、眠れる子が眠れるように、 優しさだけを注ぎ、そのすべてを受け止めた。]
(12) 2013/03/26(Tue) 08時頃
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[それが、愛というものに、見えたかもしれない。 いや、ともすれば……。**]
(13) 2013/03/26(Tue) 08時頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/26(Tue) 08時頃
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[声に気づくと、その表情を流しみて]
落ち着いたならいくといい。 また、耐えきれなくなったらおいで。
[やはり優しく髪をすいた。]
(21) 2013/03/26(Tue) 11時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/26(Tue) 11時半頃
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[サイラスとの情事のあと、 彼は立ち去ったか否か。
薔薇の眸はサイラスから反れ、 茂みの向こう。
銀色の影を捉えた。]
(24) 2013/03/26(Tue) 12時頃
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ロシェ・・・・・・
[掠れた声で、 シルヴァの愛おしい同級生を薔薇は呼ぶ。]
ロシェ・・・・・・ ロシェ・・・・・・
[名前を繰り返し]
(25) 2013/03/26(Tue) 12時頃
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[薔薇は問われて微笑む。 本当に君かという問いに答える気はない。 ただ、月明かりの下、血の匂い性の匂い、そして植物の青臭い香り。 それらを薔薇の芳香にくるみ、細い手首はゆらり彼を求める。]
寒いよ。ここは冬なんだ。
(31) 2013/03/26(Tue) 12時半頃
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[目の前で膝をつくロシェに、 新緑の眼は細まって。 吐き出す言葉には薔薇の香の魔性を。]
なにをしてたか。 見てた?
[手は取られないから、その髪に指先を伸ばす。]
君と僕がしたいことをしていたんだよ。 ね。そうでしょう?
[薔薇は、笑うのではなく、 その時は乞うような顔で。]
シルヴァが君の髪に触れたいって。 冬の氷のように綺麗だから。
[眉を寄せ、]
(35) 2013/03/26(Tue) 13時頃
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ロシェ・・・・・・ 寒くて痛いよ。
でも、愛おしい。
[かすれた声は、必死に。 ああ、それは薔薇か。シルヴァか。 それとも薔薇を被った欲望か。]
行かないで。
[懇願の響きを、絞り出した。]**
(36) 2013/03/26(Tue) 13時頃
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>>38>>39
ロシェ……。
[大地に横たわっていた身体は、その暖かな腕に起こされる。 その胸、頭押し付けるように、抱かれた時、 熱いため息は零れ、そして、彼は、銀髪の主に擦り寄るように。]
痛くても、寒くても、 いい……と思っているけど、 君はあたたかいね。
[逃がしたくないと、その縋る手に、力を込めた。]
(70) 2013/03/26(Tue) 22時頃
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ブレンダは、ふと、流した視線の先、ゲルストナーらしき人物が見えた。
2013/03/26(Tue) 22時半頃
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あ……。
[ロシェの腕の中、 見えたのは、ゲルストナーの姿。
その顔を表情をはっきりと見ることはできなかったけれど…。 走り去る姿に、眉を寄せた。
だけれども、ロシェを掴む手をすぐに緩めることはできず…。]
(75) 2013/03/26(Tue) 22時半頃
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[でも、瞬時蘇ったのは、 薔薇ではなく、シルヴァだった。]
ロシェ……。 向こうに、ゲルストナーがいたよ。
こちらを見て、どこかにいったよ。
[手は離せない。 なぜなら、行かないでほしいから。
でも、同時に……。 シルヴァとしても、わかっている。 己の汚れたこと。]
ロシェ……。
[身体は、支えているのが、そして、立ち上がっても、一人ではもう歩けないほど…。 だから、彼が行くなら、追いかけることなど、無理だ。]
(78) 2013/03/26(Tue) 23時頃
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ロシェ……。 ありがとう。
[そう 淡い、まだ淡いけれど、片想いしている。 その髪の主に。 銀色の髪に、自分にはなかった美しさに……。 皺だらけの、くすんだ、掠れた、髪と肌、 それを見ても、汚らわしいものをみるような 眸は送らなかった同級生へ。
そして、同じく、走り去った同級生にもある憧憬の念。]
ああ……。
(80) 2013/03/26(Tue) 23時頃
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[その時、シルヴァである意識が薄れる。 そう、薔薇として、薔薇の言葉を偽る彼自身が…でも、それを振り切ろうと首を軽く振った。 意識が混濁する。]
ロシェ……僕を……捨てて。
[知っている、サイラスに薔薇としての彼が何をしたかを。 魅せられた毒を濃くした。欲望の元に、彼の理性を……。]
僕を捨てないと……君は、 きっと……酷い目にあう。
[行って欲しくない。 薔薇の部分の指はその服を離さまいとする。]
――……君が好きだから。 僕を捨てていって……。
[同級生へのほのかな想いは本当で。 搾り出した言葉。その意味に、自身打ち震え始めた。]
(82) 2013/03/26(Tue) 23時半頃
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ブレンダは、カタリカタリ…と、身体は震え…。ふいにぽろりと、涙が流れた。
2013/03/26(Tue) 23時半頃
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寒い……。
[その時の声は、シルヴァか薔薇か。 ともかく、濡れた眸でロシェを見上げ。]
君はとても、素敵な、人だよ。 ああ、君は、僕を、助けてくれる?
こんな僕を……。
[吐く息は白い。 ああ、ここは、寒い。 冬のように、冬のように。]
ああ、僕に春は来るかな。 薔薇が咲く季節は、訪れるかな。
[薔薇は、ロシェの髪をまた手にした。]
(86) 2013/03/26(Tue) 23時半頃
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ここで、何があったか。 知りたいなら、
部屋に連れていって…。
[今、振り切らないのならば、 もう、欲望の虜にするつもり。 そう決めた新緑の眸は妖艶に輝いた。]
(87) 2013/03/26(Tue) 23時半頃
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>>90 あ……。
[返る返事はあまりにも素直。 軽々と持ち上げられて、驚きの顔のまま、次にはその肩口に手を回す。]
ロシェ……。
[春がくると語る彼に、 雪ノ下から誰かが覗く感覚もしたけれど…。 そのまま部屋に運ばれて、ベッドに下されたかもだけれども、絡めた腕をほどこうとはしない。
ただ、そこにいるのは、美しい金髪と、ふくよなかな肌を持ち、薄紅の唇、
そして、抱かれ、ロシェをうっとりと見つめる新緑の眸。]
(92) 2013/03/27(Wed) 00時半頃
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― 自室 ―
[眸はロシェの顔を見つめ、その頬に唇を寄せた。 すり寄る感覚、耳元に、薔薇のかすれ声は続く。]
――ロシェ、 キスして……。
[願いを告げる。]
キスしたら、暖めてほしいんだ。 ねぇ……。
[指はロシェのシャツにかかる。]
僕を暖めて……。
[彼が戸惑ったとしても、指の動きはもう、止まらない。 シャツを肌蹴させれば、その胸にある突起に指を這わす……。]
(94) 2013/03/27(Wed) 00時半頃
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ロシェ……僕と、 僕と、夢をみて……。
[ロシェの表情が、薔薇の香りに侵されていること、わからないわけがない。 そして、シルヴァの恋慕を利用し、薔薇は、ロシェに口づけをせがみ、奪っていく。 その身体の衣類を剥ぎ取り、銀の髪を素肌に散らせる赤は、確実に欲望の毒を秘めて…。]
好きだよ……。 僕のことも好きだといって。
[手練手管の薔薇の前戯は、おそらく、色めいた経験がなさそうなロシェの身体を優しく、でも、快楽を感じた場所を的確に愛撫した。 その声が欲に満ちたものになれば、うっとりと、まら、彼自身の美しさも満ちて……。]
(99) 2013/03/27(Wed) 00時半頃
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――……お願い、 僕を君のものにして……。
[その箍が外れるように、 彼自身の欲望の標的が己に向いてくれるのを願って……。
薔薇の濃厚な呼気は、部屋全体に溢れ た。**]
(100) 2013/03/27(Wed) 00時半頃
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ブレンダは、細い腕は、ロシェを欲望の淵に引きずり込んでいった。**
2013/03/27(Wed) 00時半頃
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[彼は悦楽の呻きの中、 元の身体では感じることのできなかった快楽の中に、おぼれていく。
その営みはいつまで続いたか。 ひたすら限界を求めるがゆえ、薔薇はその身体がひどく疲弊したのを感じれば、その身体、捨て去ることに迷いはない。]
ああ
[潤いのある肌も、きらめく髪も、輝く新緑の瞳も、 もう、彼との営みが終わるころに、その輝きはない。
あるのは、もとの、 いや、それ以上に枯れてしまった、身体。]
(115) 2013/03/27(Wed) 13時頃
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[藁のような髪、くすんだ、そして、青黒く乾燥しきった肌、枯葉色の眼にもう輝きはない。
そして、声も出せず、 動くこともままならず、
そのまま、ぼんやりと宙を見ている。]
(116) 2013/03/27(Wed) 13時頃
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ブレンダは、息は薄くも途絶えることはない。**
2013/03/27(Wed) 13時頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/27(Wed) 13時頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/27(Wed) 17時頃
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[薔薇は、もう、その場にはいない。 その華奢な身体が壊れる寸前までに行った淫猥な行為を糧とし、 その身を肥やそうとしている。
今、ロシェの目の前にいるのは、 薔薇が栄養を吸い取った滓だ。
名は、シルヴァと名乗る声ももう、持たないだろう。]
(121) 2013/03/27(Wed) 19時半頃
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妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/27(Wed) 19時半頃
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[ロシェの様子はどんなふうだろう。 けれど、薔薇がいないあと、まるで白痴のような表情で、彼はぼんやりしていたが、
ロシェがその場を離れるなら、一言、空気のかすれは、]
――……ごめん、なさ……。
[それだけ告げて、一度瞬いだ。]
(122) 2013/03/27(Wed) 20時頃
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ブレンダは、薔薇は、甘い欲望に、枝につく蕾を膨らませている。
2013/03/27(Wed) 21時頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/27(Wed) 23時頃
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