172 ― 恋文 ―
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―閉店間際の、―
[もう少し話をしてみたかった、と名残惜しむ余裕もないまま帰社した日から数日。 急げば閉店までに何とか間に合うという時間に仕事が終わった。 部活が忙しいという彼女があれからラブ・レターに行ける日があったかどうかもわからないのに足を向けてしまうこの気持ちは何だろう。
あの日。 もしかすると彼女は自分宛の返事を持っていたかもしれない。 それならば、届くのを待つのが「文通」の正しい形だろう。 だが、男の手には、あの日去り際に見た彼女の頬の色>>4+22のように赤味の強い肌色のレターセットがあった。新色である。]
(13) Ellie 2015/10/25(Sun) 21時頃
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[店に着いた時、そこには微かなオレンジの香り。 香りだけ、それもそうだ、もう遅い。 いきなりの「三度目の奇跡」は難しかったかと、それでもどこかで期待していた自分に気づけば苦笑が漏れた。]
コアントロー入れて、マスター。
[老人の含みのある笑みで察するに、この香りは、きっと陽香のもの。 ほら、茜色が近づいてきた―――――]
(14) Ellie 2015/10/25(Sun) 21時頃
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[予想はしていた。 というより、期待していた。 マスターから運ばれてくる茜色があの日見かけたものだと。 待ち望んでいた筈の珈琲よりも先に手紙を開封していた。 ふ、と目が細まり、口許が緩やかな弧を描く。 読み終えてから飲む一杯は、甘い味がした。]
マスター、もう閉店前だし、少しだけ返事を書く時間をください。 さっきのと、合わせて渡してほしいんだ。
[返事が行き違ってしまわないように。 鞄に入れたままの、先程渡したものと同じレターセットから一式を取り出して。 ペンは相変わらず仕事で使うボールペン。]
(28) Ellie 2015/10/26(Mon) 02時頃
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[肌色の手紙を送ってから数日、相変わらずラブ・レターに行く時間は取れなかったが、陽香の高校へは仕事に赴いた。 都合よく出会う、なんて事態は起こらずに、淡々と商品補充をしては帰る日々だったが、店員との会話で、演劇部の学校上演の話を聞いた。言われた通りポスターに眼をやると、その日はちょうどここに来る日と重なっている。 直帰にすれば、観て帰る事ができるだろう。 彼女がどんな演技をするのか楽しみにして過ごす数日は、いつもより毎日が退屈ではなかった気がする。
そして学校上演当日。 仕事モードからの切り替えとして、許可証とネクタイを取った。 席は真ん中の辺り。 上演開始のブザーに思わず肩をびくりと震わせて、自分が舞台上の役者よりも緊張している事に気づいて苦笑した。]
(103) Ellie 2015/10/27(Tue) 00時半頃
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――――……
[「瑞々しい」という表現がぴったりの芝居だった。 「高校生」とはこんな恋をするのか。 舞台で「生きる」彼女は華やかで可愛らしく、微笑ましく見ていたものだが。――恋心を告げるシーンで魅せた「女」の表情に心がざわついた。 一足とびに「大人」に近づかれたような。 動揺が収まらないまま舞台は大団円を迎え、男は立ち上がって拍手を送った。 演劇の事は知らないが、舞台上の彼女が「素晴らしい女優」である事はわかる。 きっと全国大会も役を楽しめるだろう。 そんな風に打ちこめる世界がある事が羨ましかった。 その世界を一緒に見られる若者でいられたらどんなにか良かっただろう。 そう思えば少しだけ切なくて、その日はそのまま帰宅した。]
(104) Ellie 2015/10/27(Tue) 00時半頃
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[それから数日後、ラブ・レターに行くのはやはり閉店後で。 制服姿は見当たらなかった。 文通がなければ、時間的に無理してまでここに来る事はもうなかったかもしれない。 運ばれてきた茜色を見るだけで、嬉しいと思ってしまわなければ。 返事を書いて渡す時間すらないのがもどかしい。
――その「返事」を持参したのは、ちょうど女の子ふたりが話し始めた頃合だっただろうか。]
(106) Ellie 2015/10/27(Tue) 00時半頃
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[同席者に会釈をして、陽香に封筒を差し出す。 少し離れた席にひとりで座った。 頼むのは勿論コアントローコーヒー。 彼女はその場で手紙を開くだろうか。 読めばきっと、豊田の心が未知の感覚に動いている事が知れるだろう。 そう思えば怖い。 人はこんな怖い思いを経て、幸せを手にしているのか。 いや、幸せになれるとは限らないのだが、その前段階だけでも知ることができたのだから、きっとこれからの男の人生は違ったものになるだろう。]
(107) Ellie 2015/10/27(Tue) 00時半頃
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「三度目の奇跡」に乾杯。
[カップを掲げて、男は陽香に向かって微笑む。 それが「男」の表情である事に、男自身はまだ、気づいていない。**]
(108) Ellie 2015/10/27(Tue) 00時半頃
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