158 Anotherday for "wolves"
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─集会場まで・続き─
[お医者様は、飼い猫のことを口にされていました。>>0:409 今頃何処で油を売り歩いているのか>>0:394 きっと鳴き声一つ上げず、けれど逃げ出すこともせず 茶色の毛並みとラズベリーのリボンを揺らして どこかを気侭に歩いていることでしょう。]
……!
[それから、突如現れたのは猫のような方。>>0:416 あまり深く関わることがなかったけれど いつも酒場の近くで、乱闘騒ぎを起こしているのを目にします。 腕っ節の強い、なんてふうには思えませんが いざとなるとお強い方なのでしょうか。 会釈のように頭を下げてみましたが それを見ていてくれていたのかどうか。]
(6) 2015/05/11(Mon) 04時半頃
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[それからまた、沢山同行する人が増えて増えて。 そうなれば、華もなければ影も薄い私は そっと列の一番後ろで、みんなの後を付いていくことになるでしょう。
賑やかな各々の会話を耳にしながら。 このまま集会所ではなく、宿屋に向かっていけたなら。 先ほど頂いたような甘く優しいお茶を>>0:417>>0:419 きっとルパートさんは振舞ってくれるのだろうって。
心が痛くなるような、そんな話し合いから 逃げ出したいと思ってしまう弱い心が見せる 甘い紅茶のような幻想に少しだけ身を委ねてしまいました。]
(7) 2015/05/11(Mon) 04時半頃
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[音楽隊のような列が、真っ直ぐに進んでいきます。 一番最後を歩く私に、黒い獣とその『弟さん』が そっと話しかけて来てくれたときには ふっと微笑みかけて、声ならぬ声をはくはくと発し 一度頭を下げてから、彼を見上げて微笑んでおりました。]
……………。
[列は聞こえ始めた歌に導かれるように。 重い集会場の扉を開けるのでありました**]
(8) 2015/05/11(Mon) 04時半頃
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─集会場─
[ジョスランさんに抱かれていた猫を受け取って 私は部屋の隅に腰をおろしました。 長様が静かに話し始めます。
耐えていればいいと、彼は謂いました。 時が解決してくれると仰られていました。]
…………。
[それはほんとうに、そうなのでしょうか。 黙っていることは、いつの間にか得意になっていました。 耐えることは、いつの間にか当たり前になっていました。 日々と変わらずに過ごすことで 昨日までと同じ日を過ごすことが出来るのでしょうか。]
(28) 2015/05/11(Mon) 11時半頃
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[長様が謂うのであれば、そうするべきなのでしょう。 静かに時が過ぎるのを待ち、 ゆっくりとこの噂話が朽ちていくのを黙って耐えれば、 きっと、きっと、また。]
……、…───。
[みんなが、不安にかられない明日が来るのです。 きっと。
……、きっと。
私の右手は、喉元に触れていました。]
(29) 2015/05/11(Mon) 12時頃
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[長様が部屋の奥へといってしまわれてから 誰がはじめに動き出したでしょう。 私はゆっくりと立ち上がると、一人の男の人の前に足をすすめました。 彼はどんな風に長の話を聞いていたのでしょうか。]
……、……。
[挨拶のように会釈を向けるのは 不思議な研究を続けていらっしゃる、レオナルドさん。 私の唇は声を奏でてくれなどしませんから 彼の手を指差して、開いていただけるように動作で示します。
手を差し出していただけたなら その手のひらの上に、細い指先で『声』を落としていくのです。]
(30) 2015/05/11(Mon) 12時頃
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「お訊ねしたいことがあるのです。」
[人間を研究していらっしゃる彼だからこそ。 聞いておきたいことがありました。]
「後で、お伺いしてもよろしいですか?」
[お忙しい片でしょうから、時間はいつでも大丈夫だという旨を付け足して。 私はこてりと、首を傾げてみせるのです**]
(31) 2015/05/11(Mon) 12時頃
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─集会所─
[私の右手は、そっと首元を押さえていました。 不安なことがあるとやってしまう、癖のようなものです。 レオナルドさんへと落とした『言葉』は しっかりと拾ってくださっていました。>>134 向けられる瞳と、私の瞳は上手く合わないかもしれません。 私の瞳は駱駝色の重たいカーテンに阻まれているのです。]
「はい。ではここでお待ちしております。」
[そう、また掌に告げました。 優しげな、柔らかなレオナルドさんの声に微笑みを返します。 あんな話し合いの後ですから、きっと気遣ってのことなのでしょう。 優しいお方です。 だったらきっとお尋ねしたいことも、教えてくれるんじゃないかと。 私は、そう思っています。]
(245) 2015/05/12(Tue) 01時半頃
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[私はレオナルドさんからも離れ、そして散り散りに集会場を後にする みんなをじっと見つめていました。
すぐにでも、教会か宿屋に顔を出して 終わったよと、たったそれだけを『人』の彼女に伝えに行きたかったのです。 けれどそうしなかったのは、レオナルドさんへ聞きたいことがあったから。 彼は人間の研究をしているのだと聞きました。 だから、尋ねて答えを頂いてから 彼女のところへと向かいたかったのです。
教会で彼女の名前が落とされている頃>>229 私は集会場の隅に、そっと座っておりました。]
(250) 2015/05/12(Tue) 02時頃
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[集会所にはまだ誰かいたでしょうか。 本屋さんや、或いはドナルドくんがまだ居たようなら 見えないだろう瞳を向けて、そっと微笑んで見せたのです。]
……──、…。
[そして少しだけ天井を見上げるようにして。 はくはくと、唇を動かして見せました。
メアリーさんが、歌を聞きたいというものだから>>63 聞かせて上げられないことを知りながら それでも出来るのかと、試してみたくなったのです。
結局はかすかに息が漏れる音がするだけで 音も何も、紡ぐことは叶いませんでした。]
(253) 2015/05/12(Tue) 02時半頃
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[にゃあと鳴いたのは、抱いていた私の飼い猫でした。 私の代わりに歌うように、けれど気まぐれにたったの一声。 それは静かな集会所に、よく響いては消えました。
誰かの記憶の中にある笑い声さえ>>140 今の私には出すことも出来ません。
幼い頃、か細いながらも出していた声は 何処に置き去りにしてきたのでしょう。 どうして忘れてしまったのでしょう。
はあ、と。 私は少し溜息を吐きました。]
(254) 2015/05/12(Tue) 02時半頃
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[視線を感じて、はっとその方向へと顔を向けました。 そこには本屋さんの、ベネットさんの微笑む顔があったでしょうか。>>256
空中に音のない声で歌うなんて、恥ずかしいことを どうして人前でやってしまったりしたのでしょう!
慌ててぱたぱたと手を振って見せたのは 忘れてくださいの合図だったのですが。 それだけではきっと伝わらないかもしれません。]
…、……〜〜!
[私は抱き寄せたもふもふの毛並みの中に 顔を埋めて隠しました。]
(258) 2015/05/12(Tue) 03時頃
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[歌が歌えれば。
それは本当に本当に小さい頃。 グレッグくんに手を引かれ、ドナルドくんの後ろを歩き。 遠くからクラリッサさんや、同い年の子達を見ていた、そんな頃。
唄をうたう人になりたいんだと、 私はオーレリアちゃんに夢を話したことがあります。 それもたったの一度きり。 たったの、一度っきりのことです。]
(260) 2015/05/12(Tue) 03時半頃
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[今ではすっかり声を喪ってしまいました。 だから、メアリーさんが聞きたいといってくれるような歌もうたえなければ 『唄をうたう人』にもなれません。
重苦しい前髪に、声も出せない村娘。 華もなければ可愛くもなく、綺麗なんてとてもじゃありません。 だからきっと、ベネットさんから聞こえた言葉は きっと聞き間違いなのでしょう。 きっとそう、きっとそうです。
ぎゅうと顔を押し付けて猫を抱きしめていたものですから 潰されてたまるかと、飼い猫は腕をするりと抜けて またどこかへと、逃げていってしまいました。]
(261) 2015/05/12(Tue) 03時半頃
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[それからどのくらいがたったでしょう。 やがてまた集会所の扉が開かれ、そこに目的の方が現れたなら。 私は立ち上がり、ぱたぱたとスカートの埃を払ってから 研究者さんの傍へと近寄りました。
掌に書くにはきっと言葉が多いでしょうから 近くのものを少しだけ拝借させて頂いて 紙とペンを手に取ると、そっと文字を認めました。]
(262) 2015/05/12(Tue) 03時半頃
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「大切な『にんげん』の友人がいます。 とても優しい、いいこなんです。
だからこそ、きっと、怯えていると思います。 私や、私達を見て、怯えたことを悔いているんじゃないかとおもうんです。
そんな友人に、私は。 何をしてあげたらいいのでしょうか。」
[そこから先を書くのは、少しの勇気が必要でした。]
(263) 2015/05/12(Tue) 03時半頃
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「『じんろう』の私が『にんげん』の友人に なにをすれば、どうすれば 私は、私達は怖くないからと。
友人を安心させてあげられるのでしょうか。」
[だって、やっぱり考えるだけでも悲しいのです。 流れる血がたった少し違うだけ。 何も変わらない、私も、私達も、彼女も、村の人々も。]
(264) 2015/05/12(Tue) 04時頃
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[何も変わらないのに、疑念や恐怖の瞳を向けられるのは とても、とても悲しいことだと思うのです。
黙って耐えるのではなく。 きっとどうにか、きっとなんとか 軋み始めたこの天秤を、元に戻すことはできないのでしょうか。
『人』の研究をしていらっしゃる方ならきっと 佳い答えを、教えてくれるのではないかと思って。 きゅうと、話せない唇を引き結んだまま 彼の答えをただ、待っているのです**]
(265) 2015/05/12(Tue) 04時頃
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─集会所─
……、……。
[きゅうと引き結んだ唇が解かれるのは どれ程たってからであったでしょう。 『人』を研究する方は、何か佳い答えをくれたでしょうか。
どんな答えがあったとしても、私はきっとお礼を告げたでしょう。 そして、やわらかく微笑むとゆっくりと頭を下げました。]
「ありがとう、レオナルドさん。」
[手のひらにはそう、刻んで。]
(379) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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[それから私は、そっと集会所を後にします。 ここへ来たときよりもきっと、足取りは少し軽かったのだと思います。
話し合い、終わったよ。 ドナルドくんに貰った首飾り、綺麗だね。 もしかしたら、あなたのこと好きなのかもしれないよ。
何事もなかったように話せばきっと、彼女も。 いつものように話してくれると思ったから。 似合ってるとちゃんと告げられなかった首飾りのはなしも 年頃の女の子なら誰だってする恋のはなしも。]
(384) 2015/05/12(Tue) 22時半頃
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─教会─
[私は、教会の扉を開けました。 きっと彼女はここで祈りを捧げているのだろうと。 いつの間にか、駆け足になっていたからでしょう。 少しだけ息は上がっていました。]
……、…───。
[そこに、彼女の姿はありませんでした。]
(396) 2015/05/12(Tue) 23時頃
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[私は小さな教会のなかをくるりと見回しました。 それでも、人影ひとつ見つけることは叶いませんでした。
ほんの少しだけ佇んで彼女を待ってみたのだけれど 外はもう陽も沈むような頃合い。 きっと今日はもう家に帰ってしまったのでしょう。]
……、…。
[また明日。 また、明日お話しすればいいのです。 だって私たちは『またね』って、約束したのですから。]
(402) 2015/05/12(Tue) 23時頃
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[永久に叶わぬ、約束を。]
(404) 2015/05/12(Tue) 23時頃
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─どこかへ向かう途中─
[私はとぼとぼと歩いていました。 その道の途中で、メアリーさんとクラリッサさんを見つけます。 抱き合う二人はいつもだったら、微笑ましいものに見えたでしょう。 なのにあんな集会の後であったからなのか。 二人の纏う空気が違ったからなのか。 どこか胸を抑えるような、寂しいような。 そんな気持ちになる光景でした。]
……、…。
[サイラスさんとジョスランさんが声をかけていました。 私もと思いましたが、かける声を持ちません。 遠慮気味に少しだけ上げかけた手を下ろし みんなに声をかけられぬまま、私はまた歩き始めました。]
(436) 2015/05/13(Wed) 00時頃
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─宿屋─
[私は扉を開けて、カウンターの隅に腰掛けます。 まだ彼女がここでお手伝いをしているんじゃないかと思ったのですが 姿はやはりみつかりません。 御主人へも、甘いお茶のお礼を告げたかったのですが 丁度、何処かへ出掛けてしまった後のようでした。]
……、…。
[くるりと店の中を見回します。 誰かは誰かと、話したり食事をしたり。 『人』の姿はやはり少なかったように思います。
はあ、と小さな溜め息を溢し。 暫くはカウンターの木目を、ただじっと見つめていました。]
(449) 2015/05/13(Wed) 00時半頃
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…、…──。
[木目を見つめていれば、馴染みのある声が落ちてきました。>>457 顔を上げれば、幼馴染の顔がそこにはあって 探している彼女のことを、告げてくれました。 幼馴染だからでしょうか。 言葉なくとも、こうして判ってくれるのは。
うん、と頷きを返します。 もう遅くなったこんな時間ですから、きっと家へ帰ったのでしょう。 そう思い込もうとすればするほどに、何故でしょう。 嫌な予感がついて回るのです。 明日また会える、そう信じて私はもう一度頷きました。]
………。
[食事を進めてくれる言葉には、少しだけ考えて。 人差し指と親指で小さな隙間を作って見せました。 「少し」の意味でしたが、きっと伝わっているでしょう。]
(470) 2015/05/13(Wed) 01時頃
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[視線は、しっかりと感じていました。>>465 私が向けるのは、駱駝色のカーテンの下の瞳です。 何かご用があるのかとも思いましたが、私ではなくサイラスさんか はたまたそちらに歩みを進めた、不思議なアルカイドさんのほうだったのか。 不思議そうに首を傾ぎます。
足元で大人しそうにしている彼のお兄さんに小さく手を振って見せてから 私は木目に向かったのです。]
(475) 2015/05/13(Wed) 01時頃
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[ベネットさんにも、短く声を掛けられました。>>476 どうしてでしょう、少しの気恥ずかしさが過ぎります。 口をはくはくさせるだけの、音なき歌を聞かれたせいでしょうか。 挨拶の変わりにする会釈も、どこかぎこちなくなってしまいました。 恥ずかしいのだから、仕方ないのです。]
……、…っ!
[更に俯きかけた時、足元には暖かく寄りそう獣の姿。>>479 寛いでいるようなので、追い払うわけにもいきません。 何より足元からではありますが、その温かさは 今確かに、不安を解いてくれる一つでもありました。
弟さんの弁明の気持ちも知らず。 私はそっと手を伸ばし、その毛並みを数度撫でました。]
(486) 2015/05/13(Wed) 01時半頃
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[顔を上げれば、駱駝色の前髪がふわりと揺れます。 ですがその奥の瞳の色までは見えないでしょう。 ドナルドくんも、グレッグくんも、きっと忘れてしまっています。 声を喪うと同時に閉ざされたその色は、誰の記憶にも、きっと。]
……、…。
[明日は早めに起きようと思いました。 早く宿屋に向かって、一番に朝の挨拶をしよう。 そう決めて、漸く少し心が軽くなったような気がしました。
ホットミルクも用意してくれるという幼馴染には>>480 少し驚いたように唇を開いて。 それから手で口許を押さえると、くすくすと笑ってしまいました。
気にかけてくれているのでしょう。 その気遣いが嬉しかったのです。]
(490) 2015/05/13(Wed) 01時半頃
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[足元の大きな獣の毛並みを撫でながら>>489 この獣が、ただの獣であるのかそうでないのか 『兄さん』と呼ばれているのなら、と考えたりもしましたが 随分と寛いでいる様子に、それは次第と思考の方向を変えていきました。
私の飼い猫とは、やはり随分と違うようです。 あのこは本当に懐いているのかいないのか。 気付けば居たり、離れていったりと、本当に猫そのもので。 今頃何処でそのリボンを揺らしているのでしょうか。]
(501) 2015/05/13(Wed) 02時頃
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[ぼんやりと考え事をしていたせいでしょう。 厨房に入る幼馴染の声に、私は頭を上げました。>>502
それでも駱駝色のカーテンは揺れるだけで その色を見せることはありませんでした。 例えばここで気障ったらしく、綺麗な色だったと謂われたら きっと、俯いてしまってもっと隠してしまったでしょう。 分厚いそれを上げて見つめ返すなんて そんなことが出来る性質ではなくて。 それでも。幼い頃。 腕を引いて歩いてくれたあの頃を思い返しながら。 私は彼に頷いて返すのです。
温かなミルクを待つ間。 右手は首元ではなく、ふわふわの毛並みを撫ぜていました。]
(510) 2015/05/13(Wed) 02時半頃
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…、……。
[新たにかけられる声は、ここの御主人のものでした。>>509 はっと佇まいを直すと、小さく頭を下げて見せます。 行き来する視線が、ジャムの小瓶と私を繋ぎます。]
「おちゃ、ありがとうございました」
[掌に書きたくとも、ここからでは指が届きません。 書くものを持っているわけでもありません。 ですからゆっくりと唇を動かし、一音一音区切って 声なき声を紡いだのです。 お昼に出された甘いお茶の味を思い返しながら ふっと、微笑んで見せました。]
(513) 2015/05/13(Wed) 02時半頃
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[店主の柔らかな微笑みがこちらへと向かいます。>>514 私も同じように微笑んで返しました。 彼は、不安を解いてくださるような、そんな優しい表情でした。 だから、メアリーちゃんやグレッグくんが少し羨ましく思います。
私にはそんな風に安心をくれる両親がいません。
とても遠くで、離れて暮らしているのです。 幼い頃は、一緒に居てくれました。
離れていってしまったのは、どのくらい前だったでしょう。
思い出そうとして、ふわり。 駱駝色のカーテンが揺れていました**]
(519) 2015/05/13(Wed) 03時頃
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