260 【R18ペア村】“Bloody Curse”
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[ ゆびさきにのこる "誓い"を てのひらに転して、
赤の余韻を残す十字に ぎんいろが 掛かる。 ]
(133) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ ──── 罪悪感 というのか、 少しの寂寥が ないわけではない。
御揃いの誓いを残したまま、 やみのむこうに旅立ったおんなを ……知らないわけでは なかったから。
唯、"おまえ"だってわかっていただろう。 このおとこのことを 好いていたのだから。
握り込んで くらやみに隠してしまえば ぎんいろはもう 灯らない。 ]
(134) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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──── そうだよ。 てめー が さみしいだろうから、 戻ってやってたんだから。
(135) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ 逆みたいに にんまりわらい、
サイドテーブルを背凭れに、床に座り込んだ。 膝をたて、 お行儀悪く。
頭上から柔い光が降っているというのに、 逆みたいに"おにーさん"にはなれなくて 唯、 光から 空いたひだりてを求めるよう、 ぎんいろを袖口に落とした右を 伸ばし、 ]
(136) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ この部屋がひとりには広く、 三部屋あったのだって、
抑、 直ぐに引っ越しに対応出来たのだって
きっと このおとこなりの"予防線"で 別段 狙っていたわけではなかった偶然の一致を 恰も仕組んだかのように "わるく"
痕を隠すように 手をとってやろう! ]
(137) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ その後、 夜景を見に行く と 唐突に言い出し、
あかるいよるとはいえ、 外に出た瞬間 誘ったわりに後悔したりしたのは また 別のお話。
地上の 星々の中に、 ぎんいろを 混ぜ込んだのも。* ]
(138) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ 雨が ステンドグラスを叩いている。 ]
(192) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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─── 或教会 ───
[ 古い長椅子に腰を下ろし、 やる気無げに 天井を見上げていた。
習慣的に行われている " しんぷサマの話を聞く会 "。 ……何時もは わりとサボっていたのだけれど、 流石に何回かには一回は居ないとならないので 今日は その "何回かに一回"である。
別に 信仰があるわけではないのに、 ロザリオを渡されているんだから、 きっと"この世界"も腐っている。
今、 壇上で話している偉そうな男だって、 ほんとうに神を信じているんだか、 ]
(193) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ ── そんなのは、穿った考えとは わかりつつも。
真面目に聞いていない聖職など、 熱心なひとに怒られてしまうから、と
私服で椅子に座っている辺り、 俺だって間違いなく、汚いおとなの仲間だ。 曇空じゃあステンドグラスも美しくない。 ]
(194) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ …… あい の 話をしていた。
この宗教で認められる"うつくしいあい"。 大前提は、 男女の間にあるものだ。
別段、 自分が少数派であると思ったことはない。 おんな嫌いなわけではないし、 性欲を覚えないわけでも ない。 商売女相手であれば 抱けなくはなかった。 ]
(195) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ 唯、 ──── "あいしているか"と 問われると 過去形の"いた"も付くことなく、 "あいしていない" と言い切れてしまう
同居人への当て付けに、 "おんなのつれこみ"を試してみようとも思ったが、 …単に不便だったのでやめてしまった。 まったく "ゆるせない"。
こころが狭い方だという自覚はあるが "めんどう"には慣れたような気がしていたのに、]
(196) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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「 愛とは 寛容であり、───── 」
[ 結婚式でもあるまいし。 内心で せせら笑っていた。
つまりは、きっとこの宗教において、 "あいすること"を認められていないのだ。 ─── 抑、 "あいされていない"のかも 知れない。 全く 生きづらい。 いきぐるしささえ 覚えるくらいに。 ]
(197) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ つまらない話が 終わり、 施しを受けるものたちの 背中を眺めて そのまま 座っていた。
隣に腰を下ろす誰かを 待っている。
……"一緒に住んでいるおとこふたり" "おなじ席にならんで座る"なんてことは、 どうやら 許されないらしいから。 ]
(198) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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──── 辞めてやろうかな、
[ 手首に下がるロザリオと、 てのひらに刻まれた十字とを、
頭上に掲げて 呟いた。 曇天が 落ちている。**]
(199) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ 神の愛など! ]
(251) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ 曇天を返すように、ぼんやりと、 にぶく 銀に光るロザリオが 拐われて、 ( 空の指先は、全く後を追わなかった。 )
椅子の背に頭を任せて、くろいろを見上げる。 ]
(252) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ あの、"故人"を思う度、 ……"訊ねたことば"を思い出す度、
ゆいいつ の だれか が 居なくなってしまったなら、と 頭のどこかに 危機感があって
教会に踏み入れたのは、 そう、 結局、"予防線"だったのだ。
体ひとつで だれかに必要とされるのなら、 ]
(253) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ ─── 今思えば、随分と投げ出したものだった。 ロザリオで呪いからは守られていたとはいえ、 内出血の痣も、 蕁麻疹も ずぅっと 身近で
…マゾなのか、 と言われると、 もしかしたら 否定もできない。
否、──── 嬉しくは、無かったが、 ( 何度キレたかわからないが! ) 其れで "よくはあった"。 勝手な弔いの 罪悪感だって、 消えるような気がして ]
(254) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ すこしでも あいがあったなら。 …ほんのすこしでも、その十字を 愛せていたなら、
世の中はもうすこし生きやすくて あの "あんなところ"で ふつうに居られたのかもしれない、と も、
唯、 其のとき、この くろいろは 俺を見つけてはいなかったろう。 ]
(255) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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───── ……、
[ "その程度のつまらない世の中であるなら、" そんなものは 棄ててしまって正解か。
都にいるうち、型みたいなものを 無意識に 身に付けてしまうらしい。
うえから 答えが降ってくるから ゆるすように わらい、 ]
(256) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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じゃァ、 …… お前がまた別のおんなにナンパされる前に "こんなとこ"からはオサラバしよう。
[ …結局はどこか小物臭く、ムードなんて足りない様。
そのうち、 頭上の左手と、 その 誰かのあいの痕を 茶が追い、
"其れ"はもう 棄てたのに 年月までは どうしようも ないのか
不意、 ]
(257) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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───── そうだ。 ゆびわを 買いに行こう。
[ ゆびさきは ロザリオを追わなかったが、 拐った左手を 追い、
喩え その銀色を取り落とそうと、気にもせず 誓いの 痕を 隠すようにまた 手を取ってしまおうか。
いつか の 左の爪痕は、 とっくにもう 消えてしまっていたから** ]
(258) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ 布を叩く音がする。
あれから、片手はずぅっと左手をとっていて、 傘のお陰で両手とも空かないものだから、 時折 雨の石畳に靴底を滑らせ、 ( こんな日に革靴なんてものを選ぶから! ) ─── 頻繁に手を引っ張っていた。
スマートさが足りない。 ]
(298) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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[ 唯、 店は決めているんだ、と 先導する方向だけは明確で、
……おもたい銀色を 置いてきたからか、 随分と早足でもあった。
傘の向こうに 半分 表情を隠しつ、 ── 其れでも ベッドで なんて! そんな話を聞いてしまえば 足取りさえ踊った!
つめたい雨の日だというのに、 濡れる足先ばかりが冷え 厭に体温が高く感じる。]
(299) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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[ そりゃァたのしいだろうおとこに背を向けて、 ( それでも手ばかりは離さないで! ) あっち! と 雨音に消されない尖声で方向を示し …立ち止まったおとこに 結局は 振りかえる。
器用にも片眉を上げ、 この 息付くような間 を、 ]
(300) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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[ 冗談でさえ、寂しい、とも愛しているとも …そんな風には 言えないが、
どうせ気の効かない男であるので、 行動で分かれって顔をするし ──── 赦されないから、 なんてそんな理由は 今さっき棄てて来たから。
揃いの指輪が 揃いの指にあるってことは、 そういうこと だろう。きっと。
「 俺は初婚だけどな。 」と、 "からかい"の方を受け止めていた。 かたちにこだわる おとこなので。
にんまり じゃァない もうすこし "おとな"寄りの 笑みで。 ]
(301) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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[ その後、おんなばかりの店のなか、 "本当に"言われてしまったり、 自分でも知らないようなサイズなんかも 言い当てられたり してしまえば
"おとなのよゆう"なんて吹っ飛んでしまって 始終キーキー喚いたようだったのは……
誰かのプライドのために語らないでおこう* ]
(302) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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─── 或部屋 ───
[ うるさいノックの音に うすく扉を開けた。 近所迷惑なので 何度も叩くのはやめていただきたい。
向こうには たしか "しっていた"顔。 "お前の"が落ちてた とか、 此処のところ仕事に来ないで とか、
そんなことを言っているようには 思ったけれど、 Sii、 と 指をたてて 黙らせてしまえば ]
(303) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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いま 指輪交換 終わったとこだから。
[ "煩い御客様はご退場頂ける?"等と 大変高慢に にんまりと、
後に "そりゃァしあわせそうに"と語られる、
分かりやすい男の苛つきをこめかみ辺りに貼り付けて とん と "モブ"を叩き出し、
誓いのぎんいろを みせつけてやった! ]
(304) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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[ 騒々しく 扉が閉じる。 "いらない"世界を 叩き切る様に* ]
(305) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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