237 それは午前2時の噺。
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[はあ……、公園のフェンスと思われる物体に背中を預け、虚空に息を吐く。ひやりとした夜の空気は溜息一つでは払うことも出来ずに、膝を抱えて座り込む体をゆっくりと冷やしていた。
すぐそこに有るはずの鍵は見付からない。 街頭は息を吹き返さない。 真っ直ぐに光を飛ばす車も走らない。 明かりを持って出歩く人などいるはずもない。
今は一体何時なのだろう。 自宅の時計の短針は0時を超えていた記憶はある けれど、詳しくなんて覚えていない。 闇に鎖された町は──世界は。まるで息を潜めて 活動を止めてしまったかのよう。
──仮死状態、或いは永い眠りに就いたような。
それとも、このまま緩やかに朽ちていく その始まりの瞬間に、いるのだろうか。
]
(3) katainu 2018/03/28(Wed) 18時頃
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世界は、滅んでしまったのかな。
[いつかの夜明けの言葉を、呟いた。 今度は笑いなど出てこない。
自分の中にいくつも折り重なって眠っているであろう世界たちは、どれほど手探りしても、呼んでも、応えてはくれなかった。
何も無い。
無 、 だ 。
この暗闇の町のように、真っ黒に塗り潰された世界の揺り籠は、もう空っぽなのかもしれない。 存在しないから、どれだけ探しても、呼んでも、見付からないのだ。
暗く、静かで、芯まで冷やしていく闇の中、 ぎゅっと膝を抱えて小さくなる。]
(4) katainu 2018/03/28(Wed) 18時頃
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[
見えないんじゃない。 見ようとしていないだけ。
世界は変わらずここにある。 世界は、ほら、ここにある。
良くご覧。 月明かりで、星の瞬きで 闇のその先が、見える事に──気付いて。
]
(5) katainu 2018/03/28(Wed) 18時頃
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────…朝を、待とう。
*
(6) katainu 2018/03/28(Wed) 18時頃
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───…ふ、と。 あかりが落ちた気がして緩慢に顔を上げれば、 視界の端に緑色のものが掠めたように見えた。 パチパチと瞬いて、薄ぼんやりとしたその緑色に 焦点を合わせると、それは看板だった。 座り込んだ地面から、民家の屋根や樹木らしき 陰の向こうに見え隠れする、発光するその板は 恐らく、総合病院の看板、だろう。
(28) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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「……そうか、非常用電源。」 機器のほんの一瞬の停止が生死を左右する病院は 独自の発電設備を備えていたのだろう。 闇に灯った「色」を目にすると、その場に立ち 上がり、くるりとゆっくり周囲を見渡した。
「生きてる……、滅んでなんかなかったんだ!」
遠くに見える縦に連なる灯りは、数年前に建った ばかりの新しいマンションだろうか。 冷たく澄んだ夜の空気を割いて、どこかで車が アスファルトを踏みしめていく音が聞こえる。 周囲の民家の窓の奥にも、電池が生む白い光や 揺らめく炎の灯りがぼんやりと見える気がする。
(29) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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世界は滅んでなどいなかった。 世界はまだここにある。
私が見付けた、私の見つめる、私の世界。
(30) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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……くっだらない。
[抱えた膝に肘をつき、掌で支えた頬を皮肉に歪める。 暗闇の中で自身の怯えを煽り、孤独を突き付けた、幼稚な想像たち。紡ぐ言葉すら稚拙なのはこの状況に疲弊しているから。
────けれど。
そこには確かに、この闇から生まれた自分を取り巻く世界、が広がっていた。
遠くに逃れて掴めなくなったと思った 深くに沈みこんで眠りから目覚めなくなったと思った 求めた「世界」が、闇の中には踊っていたのだ。]
(31) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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……あ、あった。
[妄想の自分がそうしたように、闇の向こうを見通そうとじっと見つめ、そうすればゆっくりと暗さに目が慣れていき、僅かな月明かりが視界に影の濃淡を付けていく。
見ようとしないから、見えない。 見る気になれば、輪郭くらいは掴めるんだ。
ゆっくりと黒に馴染ませた目で足元を丹念になぞれば、僅かに色の薄い小さな物──銀色の鍵を、見分けることが出来た。 ほっと息をついて拾い上げる。 どうやら落として転がした内に、どうにかなってキーホルダーは外れてしまったようだけれど、この際仕方ない。明るくなったらヨムマジロくんを探しに来てあげよう。
今は、兎に角自宅へと戻らなければ。 世界を描く工房へと戻り、誕生日や手紙に添えて贈られたキャンドル、棚の飾りとなっているあれらにオレンジの帽子を乗せて。 ゆらゆら頼りない光の中でも雰囲気が出て良いのではないだろうか。
暗闇が寄越した世界の影を、 真っ白の紙へ映してやらなければ。]
(32) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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[こつり、とペンの落ちる音。 じわりと滲むインクの黒。
いつだって、それが世界の始まり。
落としたペンは紙を滑り、すらりとインクが伸びていく。 これが美しい物語を描くのか、ただ泣きじゃくるだけの子供の叫びになるのかはまだ分からない。 けれど確かに、生まれようとしているのだ。
闇に閉ざされた町。 夜よりも深い夜。 やがて訪れる朝を待つ、あわいのとき。
さあ、産声を上げよう。]
(33) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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それは、午前2時の──── *
(34) katainu 2018/03/29(Thu) 18時頃
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