267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】
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[ しらばなばかりであった中庭の しょくぶつたちを徐々に入れ換え、 赤やら黄色やら、 奇蹟の蒼薔薇なども、 とりどりに、 好きに、 咲いている。
自然の色であるから、 "合わない"ことは無くとも、 どうにも統制のない、 言い替えれば"自由"な、 …そんな中庭に 成りつつあった。 ]
(176) is0716 2019/06/25(Tue) 00時頃
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( 多少の濃淡の違いしか、 くろいろの瞳は映してくれないから、)
──── 理想の庭を 作ってるんだよ。
[ しょくぶつのせんせい は わらうだけ。]
(177) is0716 2019/06/25(Tue) 00時頃
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[ しろいろ、といえば、 慰めのクリスマスローズと、 まだ、 色づく前の蕾らと、
─── 集い咲く、しらぎくくらいのものだ。 ]
(178) is0716 2019/06/25(Tue) 00時頃
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もう少しかな……
[ 細かな蕾を見下ろし、 指先で硬さを確め、 開く"だろう" 紫を遠くに見ている。]
(179) is0716 2019/06/25(Tue) 00時頃
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[ 植えられなかったさくらの苗は、 この窓の向こう、 針葉樹の林の、 交ざらない何処かに ひっそりと据え、
────10年の先を 夢見ている。*]
(185) is0716 2019/06/25(Tue) 21時頃
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[ あじさいの葉は、 見た目よりもざらつく。 ──── 視界と触覚が別を伝えてくるので、 何だか、新しい発見でもしたかのように、 興味深げに 指先を這わせていた。
葉から、 茎、 然して柔かな蕾へと。 ]
(186) is0716 2019/06/25(Tue) 21時頃
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…花って、綺麗なだけじゃないんだよね。
[ いまさら、とでも言うべき呟きを 誰に聞かそうというわけでもなく、 唯、 ぽつん と 宙に浮かせた。
この視界になってから、 ばらには良く刺されるし、 葉や花の付け根に棘を持つしょくぶつが、 案外多いことに気がついた。
色のない世界に、結局は、 慣れつつあるおとこは、 …楽しんでいる、 わけではないのだけれど 世界のうちに 真実 を 捉えている。 ]
(187) is0716 2019/06/25(Tue) 21時頃
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[ 連れ出してきたのは、 やっぱりおとこだった。 半分はかんじゃさまを脱している"かんじゃさま"を "それ以外"の理由で構うせんせいは少なく、
人体のせんせいから遠く、 …半分は、かんじゃさまに足を突っ込んだせんせいは、
唯、 暇潰しに 気晴らしに、 中庭まで。 ]
(188) is0716 2019/06/25(Tue) 21時頃
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[ 葉を一枚、手にして、 振り向けば、 "様式的"な 姿。
戻った として 戻れない ことを ──── ほしはかたるから、 ]
今度は食用菊でも植えてみる?
[ 茶化すよに、 騙るばかりで。]
(189) is0716 2019/06/25(Tue) 21時頃
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[ この中庭には 繊細なしょくぶつばかりだと思っていた。
少しでも茎に傷を付けたなら、 其処から萎れてしまうような、 肥料を濃くしてしまえば、 直ぐにでも根から腐り落ちるような…
──── 唯、 このあじさいの葉ひとつとっても、
間違って口にいれようものなら、 丸一日は苦しむことになる。]
(197) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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[ そんなことを知ったのも、 書物に触れるようになってからだ。
しょくぶつのせんせい、なんて名ばかりも甚だしい。
呼ばれる、 と 同時、 足跡のよに 葉が落ちる。 ]
(198) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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[ なあに、 と 紡ぎかけたうすい唇は、 完全に防御能を失っていて、 抵抗もなく、 ゆびさきを受け入れ、 ]
(199) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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[ 口のなかに入ったものを、 押し戻す其れも無いから、 伝うゆびさきに、 大人しく従う。
従順な こどものよう。 見た目は逆だっていうのに、酷く自然に。
そのあと、 だって 子離れを促す親のようだ! ───知らないけど。 ]
(200) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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ふふ、 おとなになるってなんだろね。 十年経ったところでどのくらい変わるのかな。
── 外に、 出られるようになってたら良いのに。
(201) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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[ それだから、 中途半端な"こども"は、 おとなってなぁに? なんて 質問さえしてしまって
同時に、 とおくのゆめをかたっていた。
遠くからでは、 きっと、 さくらの " しろ "は見分けられないだろう。]
(202) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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それこそ、 ほしに願わないといけないかなあ…
[ "ササ"というしょくぶつに、 願いを下げてみようか、 それとも もみの木にでも飾ってみようか。
─── 死に行くほしでなければ、抱えてはくれないか。
幾つか指折り数えてみるも、 くろいろの空を翔しる其ればかりが、 信じられる何かにも思えて、
手の内の、数枚欠けた真実の白を 人工日光に掲げた。**]
(203) is0716 2019/06/26(Wed) 00時頃
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[ ほしに 願うなら、 ]
──── え、 おれも?
[ 大分理解が遅れた反応をしつつ… 其れもまた、 或意味、"うつくしい"死への路かもしれない。
そんな理解を してしまって。 深く訪ねようにも、しらぎくは気紛れだから、
仰せのままに、 車椅子の背を押して、 静かな 温室に戻ろう。* ]
(210) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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[ ■■■の咲く頃だ。 ]
(211) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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[ 白と 黒と 灰と、 ──── 地味な世界だ。
このときばかりは、白衣という"色"の定まった服が、 とても有り難く感じる。
以前までの己の服は、凡てが派手な其で、 今となってはその色彩の濃淡さえ曖昧で、 感覚で選ぼうものなら、 とんでもない色を身に付けることになる。
─── まあ、 自分ではわからないので、 すれ違う目線から察する訳だが…
白衣は確実に白だからいい。隠せるし。]
(212) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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[ 諸々の準備を整えた後、 いつもどおりに、 部屋を出る。
アルミのパウチを食堂までに絞りきり、 dustBOXに投げ入れ ───── ]
(213) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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[ せんせいでありながら、 "外"の調査を封じられて久しく、
毎日の習慣はひとつも変わらない。
…其でも、 おとこはあんまり変化もなく、 何時だって口は可愛くないし、 何時だって顔には笑顔が貼り付いていて、
卒もなく、 過ごしていた。 ]
(214) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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しらぎくさん ごはんだよー。
[ スープとパン、 すこしのたんぱく質。 ほとんど変わらない其れを、トレーにのせて、 苗床の扉を叩くのも、 何時だって一緒だ。
──── 時折、思い出したように、 真白の頬が感傷と共に痛む。
たった それだけ。 ]
(215) is0716 2019/06/26(Wed) 22時半頃
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…そう、 ? たしかにちょっと、 さっき ほんのすこしだけ
鋏が欲しくなったんだ。
(225) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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[ 否定もなく ちぃさな手のひらで、 柔い感傷の痕が 人肌にあたたまるのを、 とおくの だれか の感覚のように、
くろいろが 空虚を 覗き、 ]
(226) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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( 嗚呼、 確かにおんなじ色をしている! )
(227) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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[ 鈍くとも、 幾ら無責任なおとこであっても、 夢の先をねがったことも、 ほしの下で語りもした其れを、
すこぅしだけ くろいろをさげて、 …ほんのすこし の 本当の、 安堵と悔悛とを混ぜたよに、
バツの悪い わかものの顔で、 ひとつ ひとつ 頷きつ。 ]
(228) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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──── 今度の空には、
別のお願いをしないと。
[ なにがいいかな。 いわいとも、のろい ともつかない 中途半端な奴だから、 "次"の 星降る夜を願うよに、 プレゼントに迷うこどものように。
…然して、
また すこしの てごたえ みたいなものを "いきている" 地面の確認みたいなものを
黒と 白との ちぃさな姿より、 受け取っている。 ]
(229) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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そのまえに、 ──────
(230) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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おれの育てたあじさいが、 ほんとうに 綺麗なのか、…何色か、 ──── あなたにちゃんと 見て欲しいんだ。
(231) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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[ 勿論、 ごはんをたべたあとね? お気に召したらしいスープを、 silverになみなみ用意しつつ、
ほんのすこし色を取り戻した、 人肌の頬を 無器用につっていた!]
(232) is0716 2019/06/27(Thu) 00時半頃
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