266 冷たい校舎村7
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……なんだろね、こぇ、
[ ──これ。って、天井に手を伸ばして、 それらを示そうとしたときに、
隣で上体を起こした気配>>336がして、 ああ、白い世界は半分になった。
頬を摘ままれる感触がして、 発語しかけていた語尾が捩れて、 そうしてる指が視界に見切れる。]
(345) 2019/06/13(Thu) 20時半頃
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……ここにいる? ……同じもの見たら、君が、 何してるかわかるかな、と思って。
[ 生きていて、何してる? ──ここにいる。
それ以上というものがなくって、 僕はその状態のまんま、微かに笑った。]
(346) 2019/06/13(Thu) 20時半頃
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[ それから、ゆっくりと上半身を起こす。
目の前にある顔は眠たそうで、 いつもの溌剌としたのと違う、 どこか間延びした動作や口調。
それを視界に捉えながら、 僕は手を伸ばした。黒い髪に指を通そうと。]
……目が覚めた?
[ そのまま、目にかかりそうな前髪を、 わしゃ、とかき分けるように撫でようとした。
いつだって、指先は受け入れるもので、 自分から振れるということを知らないので、 加減が下手だったなら申し訳ない。]
(347) 2019/06/13(Thu) 20時半頃
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……眠ってるみたいだったから。 拓海くんこそ、どうしてここに。
やっぱり、あまり眠れなかったんじゃない? 体調が優れないなら、休んだ方がいいと思う。 …………ほら、保健室とかで。
[ ……お昼寝中だったのか、 それとも体調が悪いのかとか、 この目からは分かりづらい部分があったので。
贅沢使いをご所望のクラスメートも、 体調不良者には親切にしてくれるだろう。 ──と、僕はそういう人だと思っていたので。
ひとつ、そんな提案をしながら、 熱がないかくらいは、確かめられたかな。]
(348) 2019/06/13(Thu) 20時半頃
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……どうする?
[ 様子のおかしい友人を見つけたら、 無理にでも引っ張ってくのが正解でしょうか。
そういう気にもならなくって、 どうしますかと僕は問いかける。
もう少し落ち着いたら、 あるいは移動をするのなら、
見つけた人形について告げるべきだろうと、 うっすらそんなことも考えながら。*]
(349) 2019/06/13(Thu) 20時半頃
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──現在:4階 3年1組──
ここに寝っ転がってた。 ……寝心地はよさそうに見えないし。
[ 充分不思議だったよ。>>355と、 問いかけにはそう答えよう。
延ばした指先に、 驚いた>>355ような様子に、 僕は少しは躊躇したんだけれど、
結局無言のまま手を伸ばしたのだ。]
(385) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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……うん。へんな感じですねえ。
[ 間延びした相槌を打ちながら、 熱を帯びた額を指先でなぞった。
熱いなあ。って思うのと一緒に、 ここは寒いからなあ。とも思う。
暖房がきいているとはいえ、 この校舎は寒い。冷たい。風邪をひきそう。
半分眠ったままらしい人間が、 そのまま覚醒する様子は見られないので、 やはり、休んでもらった方がいいのでしょう。]
(386) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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……そっか。 高本くんと拓海くんがなんて珍しいね。
[ 仲の良いという印象のふたりが、 じゃれあいのような喧嘩はしていたって、 本当に喧嘩をしている印象は薄かった。]
体調もよくなさそうだから、 そのことは気分がよくなってから、 考えた方がいいと……あ、気を付けて。
[ ……人形にぶつかることを気にしたけれど、 なんてことはなく跳ね除ける仕草>>358。 また白色がぶらんと揺れる。赤を散らして。]
(387) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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──現在:保健室── ……保健室までついてくよ。
[ 色がうるさい。そうだっけ?
とにかく僕はそう言って、 白色にちらつく赤をそうやって、 捉えられなくもないんだろうと考え、 僕は病人に先を歩かせ>>359ている。 文字通り”ついていった”わけだけれど。
……僕は彼の後ろをついてくのが好きだし、 面倒見のいいほうじゃないので。 介抱ってのもよくわからないのだ。
ひとまず、道案内まで。 ベッドに腰かけた養拓海>>359の近くで、 僕は雑な手つきで保健室の棚を漁っていた。]
(388) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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宇井野くんが。そっか。 僕は灰谷さんを見つけたので、 七月さんと轟木くんと体育館に。
[ ふたり。と思った>>318記憶が蘇り、 あれは宇井野くんだったんだな。と思う。 どんどん減っていっちゃうだな。
そういうことを、淡々とした声音>>360に、 僕もまた、そういうもの。って風に。
そう思ったあたりで、目当てのものを見つけて、 ベッドの上の病人に1枚差し出しましょう。]
冷却シート、一応貼っておきなよ。
[ 相変わらずぼんやりした調子のその人のつむじを、 立ったまま、見下ろしながらつぶやく。]
(389) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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……あのさ、拓海くんは、 断れるうちに断れって言ったけど、
いやなことなら、僕は、 とっくに断れないんだとしても、 見捨てて逃げてしまえばいいと思うよ。
[ 昨日の。そして、今朝の会話を思い出し、 ゆっくり眠るんだよ。というような調子で、 静かに、そうつぶやいたんだろうけど、
それが、ぼんやりとした彼の耳に、 果たして何割届いたのかはわからない。
引き留められないのなら、 最後に「おやすみ」とだけ笑って、 また、冷えた廊下に消えるんだろう。*]
(390) 2019/06/13(Thu) 22時頃
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──少し前:体育館>>374──
……轟木くんは、 はっきりと言ってくれるから、 僕はそれに助けられていると思う。
[ 数度翻訳をかけたような、 ぎこちない文章を僕は大まじめに吐いた。
大まじめに言ってみて、しっくりきたので、 うん。というふうに僕は笑った。
それは、例えば灰谷彩華との、 分かり合えないことを前提とした、 付き合いの長さゆえの気安さとか、 そういうものとも、また少し違って、]
(393) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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[ 探してやる。と轟木颯太>>375は言った。 同意を得られるのはいつだって嬉しい。]
……うん。
[ 僕はそれにもそう言って頷き、 突然さらに会話が下手になった気分である。
けれど、付け足す必要のある言葉は思いつかず、 僕はやっぱり基本は微笑んでいるものだから。]
……手厳しい。
ただ、僕からすれば、 本当に機嫌がいいことも多いんだ。 ……それは、嘘じゃないよ。
(394) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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それに、僕は、 たまに轟木くんが笑ってくれると嬉しいし。
[ 真顔と笑顔の間に僕は言う。 ため息>>376を受けてのことだった。
そして、それでは。というふうにふらふらと、 その場を去っていったことだろう。*]
(395) 2019/06/13(Thu) 22時半頃
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──現在:保健室──
[ 保健室の窓からも、 降り積もり続ける白色がよく見える>>396。
お疲れ。短い言葉で綴じられる、 僕らの奇妙な行い。死体の運搬ごっこ。 あるいは弔いごっこ。あるいは。
かわいそうと思えない。って、 言ってくれれば、僕だって、 自分の比重のアンバランスさに、 気づけたかもしれないのに。]
(406) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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[ お薬も自信を持って渡せない、 健康な生き物でした。臨時の先生は。
……看病には慣れていないんだって。 自分でシートを貼るまで見届けて、 ベッドに潜り込むまではそこにいようと、
…………して、]
(407) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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[ 微笑む養拓海>>399を、 僕はただその場に固まって見ていた。 その笑顔が見慣れないものに見えて。
……身に覚えがある。 と勘違いしそうな言葉>>400が続いて、 僕は、本当に黙りこくっていたんだ。
そう。問いかけ>>401が投げられても。 彼がゆっくりと首を横に振り、 逃げるみたいにベッドにもぐりこむまで。
僕は、そのままの姿勢で、 ただ、頭の中で文字を捏ね繰りまわして、]
(408) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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家族。爛れた指先。暗い眸。 白い壁。カーテンの隙間から覗くもの。 ……あの、暗いガレージの奥には何があったんだろう。
(409) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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また明日って別れた、あの場所が、 記憶の中でぐずぐずと歪んでいく。
(410) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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……社会が滞りなく運営されゆくために、 必要があって設定された、ひとつの仕組み。 僕らが生きる社会に、偶然存在しただけの。
(411) 2019/06/13(Thu) 23時頃
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あるいは、醜くて可哀そうな生き物。
(412) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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[ 布団をかぶってしまったあとだから、 僕はただ盛り上がった布に向かって、 姿勢を正して言葉を吐き出していた。]
……僕の家族。
[ 拓海くん。と僕は名前を呼んだ。
慰めるんでも、何かを説くんでもなく、 ただ、知っていることを言う。みたいに。]
知ってるよ。 誤解がとけたらどうなるかも。 ……たぶん。きっと。
[ 自分の声がいつもより固く響くのを、 静かな保健室で、この耳で、聞いていた。]
(413) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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……何もかも、わからなくて。
(414) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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ばかみたい
(415) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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途端に、何もかも分からなくなって。
(416) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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僕は、部屋の反対側。自分の机の引き出しから、 彫刻刀やカッターナイフを掴み取って、 それらをすべて、ばらばらと姉の前に広げた。 代わりに、姉のメイク道具が床に落ちて散らばって、 割れたアイシャドウがカーペットに散った。
(417) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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姉は、ただじっと僕を見ていた。 奇怪なものを見る目つきをして。
(418) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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どうして姉は僕の顔を、 ぐちゃぐちゃに切り刻んでくれないんだろう。 そう思うのと、同時に。
(419) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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明日からどうして生きよう。と思う。 howじゃなくてwhyを使う疑問として。 この瞬間から、何を理由に生きていこう。
(420) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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……僕もね、なんでもないよ。 おやすみ、拓海くん。よく眠って。
[ もう眠ってくれていたらいいのに。
そんなことさえ思って、立ち上がり、 僕は保健室の外へと出ていった。
念のため、保健室を使っていると、 ことわった方がいいのかな。とか考えて。*]
(421) 2019/06/13(Thu) 23時半頃
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