254 【突発R18】クイン・エルヴィニアの宮殿
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―翌朝― [昨晩は、愛しい少女をただただ夢中で求め続けて。 気がつけば夜明けを通り越した 眩い光が明かり取りの天窓から差し込んでいた。
どれほどの時間、彼女と交わっていたのか、 何度彼女の奥(なか)に精を迸らせたのか、 もはや定かではないけれど]
……おはよう、カナエ。
[傍らに抱いた愛しい人にそっと唇を寄せる。 ただ、肌を触れ合わせるだけでこんなにも幸福感が込み上げてくるなんて知らなかった。 ここに来るまで、彼女に出会うまでは。
目覚めた彼女の赤くなった顔も、緩んだ頬も>>0 その全てが自分のものだと思うと、 なんだか胸のあたりがぽかぽかと温かくて、 いつまでも眺めていられるけれど。 どうやら、彼女には何か気がかりなことがあるらしい>>1]
(14) kiska 2018/12/04(Tue) 23時頃
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友達、か……。
[彼女と同じく、異世界からやってきた人間のこと>>1 その人のことが気にかかるらしい。 それと、もしかしたらもう一人、友人がいるかもしれないことも]
いいよ、いってらっしゃい。
[ふと、思い出したのは。 昨日話をした小柄な、だけど気高く賢くて 愛らしかった、星の瞳の少女のこと。
あれから、彼女はどうしただろう? メアリーは……あの少女は、恋を見つけることが できただろうか? 幸せを、見つけることができただろうか?]
(15) kiska 2018/12/04(Tue) 23時頃
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僕も、少し宮廷内を歩いてくるよ。 何かあったときは部屋に戻っておいで。
[いってらっしゃいと、両頬に口づけを落として 彼女を見送ってから自身も廊下へ出て歩き始めた]*
(16) kiska 2018/12/04(Tue) 23時頃
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―回想・夜に生きる者の話―
[あのエルフの屋敷から戻って暫く経った頃。
あの日、エルフの屋敷で大人たちを見失って迷子になったときは、それはもう不安で心細かったものだけど。 喉元過ぎればまた、どうにか大人たちの目を掻い潜って、領地を囲む森の外へ出ることはできないものかと画策していた。
僕らの住まうノクスフィグラの領地は深い森に覆われていて、土地勘のない者を迷わせる。 知らずやってきた旅人や、ノクスフィグラの許可を得ていない者たちは数日間森を彷徨った後、再び森の外へと放り出される。
この森は、余所者を寄せ付けない。 そして、森の中は決して強くはないとはいえノクスフィグラに従属しない魔物もいるのだから近づいてはいけないと、父や母からは 口酸っぱくそんなことを言われていた]
(23) kiska 2018/12/05(Wed) 00時頃
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[しかし、僕は相変わらず、そんなことを聞くような聞き分けの良い子ではなかった。
既に前回のエルフの屋敷の件で前科持ちになってしまった僕は、周囲からだいぶ警戒されてしまったけれどそれでもどうにか目を盗んでこっそり森の中へ探検に出てしまった。
そして数時間後。 森について何の準備もなく飛び込んだ僕は例によって森の中で迷子になっていた。
正直に言えば、油断していた。 純正のエルフに限らず、僕らにとって森というものは親しみ深いもの。 物心つく前から、僕も屋敷の近くの森を遊び場としていたから、森に対して危機感も恐怖感も持つことはなかった。
それが災いしたのだろう、 領地の外をぐるりと囲む森はあっさりと僕を迎え入れ――そして迷わせた]
(25) kiska 2018/12/05(Wed) 00時頃
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[気がつけば、あたりはすっかり暗くなっていて。
すっかり歩き疲れた僕は、近くの木の根元に腰を下ろして蹲っていた。 このまま、もう戻れないかもしれないと、そんな後悔が浮かんできた頃だったか。
ぱき、と乾いた木の根を踏む音が聞こえた。 その音に顔を上げれば――その先に見知らぬ大きな男が立っているのが、見えた。 木々の隙間から見える、大きな人影と背に流れる黒い髪。
知らない大人と出会った恐怖心よりも、人に会えたという安堵感のほうが勝ってしまって。 気がつけばその男に縋りついていた。 今思えば、男も自分にしがみついてきた子供にはさぞ困惑したことだろう]
(26) kiska 2018/12/05(Wed) 00時頃
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[どうにか男に事情を説明して、そうして、彼に連れられて森を抜けた先の屋敷まで連れて行ってもらった。
あの頃はわからなかったけれど、今思えば迷子だった僕を連れていたことで、「ノクスフィグラの許可を一時的に得た」状態だったのだと思う。
僕を連れた男を見た父は男に数日間滞在する許可を出して、息子の恩人として、また客人として丁寧に迎え入れた。 その間、僕は彼にずっと懐いて離れなかったと召使たちは口を揃えて言う。 僕も彼が外で見てきた景色について、かなり質問攻めにした覚えがあるからそれはきっと事実だ。
――…「シュロ」という彼の名前は忘れていないし、また、いつかどこかで会えたら嬉しいと、そう心から思う]**
(27) kiska 2018/12/05(Wed) 00時頃
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[暫く中庭を散策しながら、 これから先のことについて思案する。
彼方の世界にいるカナエやメアリーの家族と 彼らに対する補填について。 恐らく女王陛下のほうでも十分な保証は 与えてくれるだろうと思う。
それとは別に、僕自身が 彼女たちに何ができるだろうと そんなことを考えながら、散策を終えて宮廷内へ]
(45) kiska 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[歓待室のほうへ向かえば、 テーブル席には男たちが二人 腰を下ろしているのが見える>>42>>43]
……。
[その片方、黒髪の偉丈夫に見覚えがあって。 思わず、相手を二度見する]
…………、シュロ?
(47) kiska 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[子供の頃、懐いた相手だ。 何よりあの長い黒髪は忘れようもない。 あの頃の自分はとにかくやんちゃ盛りで 森の外からやってきたヴァンピールの彼に よくくっついて回っていた。
別れ際、余りにも聞き分けなく彼の背中に 引っ付いたものだから、父母から再び きつくお叱りを頂いた。
そのとき、なんと言われたのだったか。 「いつか行き合えたら酒を飲もう」と、 確か、そう言われたはず。 ……今思うと、なかなかに 恥ずかしいことをしたものだと思う。 たぶん、迷惑をかけてしまっていただろうな]
(48) kiska 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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……。
[ふと、首筋に手を当てる。 思い出すのは、子供の頃に見た夢。
夜が白む頃だったと思う。 人が近づく気配に薄らを目を開ければ、 あの数日間で見慣れた黒髪の彼が枕元に立っていて。 彼が此方に近づいたと思うと、首のあたりから 何か温かい、気持ちの良い感覚が 此方に流れ込んできて…そこから先はよく覚えていない。
そういえば、カナエの首筋にも、 吸血鬼の噛み痕のようなものが残っていたっけ]
(……まさかね)
[もし、此方の推測通りだとしたら ……この世界は案外、とても狭いものなのかもしれない]
(49) kiska 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[声をかけようとして、ふと立ち止まる。 あれから十年余りの年月が経っているし、 今の自分はもう子供ではない。 声をかけたとしても、わからないかもしれない。 何より、あの金髪の人間の会話を 邪魔してしまうのも申し訳がなくて。
暫く様子を見てから、 そろそろカナエも戻る頃だろうと、 部屋のほうへ戻ろうとする]*
(50) kiska 2018/12/05(Wed) 23時半頃
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[そろそろ、カナエも戻ってきている頃だろう。 そう思って廊下を歩いていたときだった。
歩を進めている廊下のその先に、 見知らぬ男が一人>>46 いや、他にも数人集まっていたか。
昨晩から続く宴で、宮廷内はそれなりに 賑やかなのだが…歩を進めるうちに、 男たちの会話が否応なしに聞こえてくる。
先ほど、人間の少女を見かけたこと。 彼女に自分のところに来るように 言い募ったところで逃げられたこと。
別に今すぐというわけではないし、 一人子を産んでからこっちにきてくれれば それでいいのにと、輪の中にいる男の 不満げな顔が視界の端に入った]
(64) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[あまり愉快な話ではないので、 足早に彼らの傍らを通り過ぎようとしたところで。 男たちの一人に、声をかけられた。
運の悪いことに男たちの中に 昨晩ちょっとした悪戯を仕掛けた貴族がいたようで>>1:88>>1:89]
「昨日のノクスフィグラじゃないか」 「さっき声をかけた女とゆうべ一緒にいたところを見たぞ」 「嘘だろう、あんな奴を添い遂げたいとか 人間というのはとんだ好き者だな」
……。
[ふ、と彼らの前で立ち止まる。 途端、せせら笑うような彼らの声が止んだが それも一瞬のこと]
(65) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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「なあ、そこのノクスフィグラ。 お前がゆうべ連れていたあの少女を 俺たちに譲ってはくれまいか」 「金ならあるし、それでもっと上質な女を――…」
……お断りします。
[それ以上を聞く気にならなくて、 片手を翳して相手の言葉を遮る。 これが宮廷に出入りすることを許された 貴族たちの言葉だと思うと頭が痛い]
今の言葉はそっくりお返ししよう。 金があるから代わりの女を買えというのなら、 それで貴方がたが各々満足できる女性を 求めればよいことでしょう。 僕は、彼女を手放すつもりはない。
(66) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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そもそも、貴方がたが彼女を求めているのは 母体としての彼女だ。
[仮に、この男たちが彼女を愛していて。 そして彼女がその気持ちに応じるつもりがあるというのなら 辛くはあるが、身を引くことを僕だって少しは考えたかもしれない。
だが……この男たちはそうではない]
僕は、カナエを……彼女を愛している。 母体としてだけではなく、彼女自身を。
[仮に、彼女と交わることで 自身の命を削ることになったとしても。 世界が滅びを迎えるとしても。 僕は、愛する女性を手放すつもりなどない]
(67) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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彼女の身体しか求めない貴方がたに、 僕は最愛の女性を差し出すつもり等毛頭ない。 どうかそれだけは覚えておいてもらおうか。
[失礼、と恭しくお辞儀をして見せて。 最低限度の礼儀をとってから あっけにとられた様子の彼らを背に廊下を歩く]
(68) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[廊下の先、自室へと漸く辿り着けば]
ただいま、カナエ。
[両手を広げて抱きつこうとする彼女>>59を受け止めて その唇にキスを落とす。 たった数時間離れていただけなのに、 なんだか酷く懐かしいような心地になる]
遅くなってすまないね。 少し立ち話をしていて。
[そこまで話したところで、ふと、 ぎゅっと此方に抱きついてくる彼女の顔を覗きこむ。 どこか、不安そうに見える彼女に再度唇を重ねてから]
(69) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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……僕はね、カナエ。 君から離れるつもりも、君を手放すつもりもないんだ。
[何より、こんな不安げな彼女を放っておくなんてできなくて]
たぶん、君が嫌と言っても 僕は君の傍にいるつもりだよ。
[そんなことを言いながら、彼女の手をとって 指先に唇を寄せる。 そんなことを口にしてしまうのは、 自分でもなんとはなしに、あの男たちの言葉が 気にかかっていたからかもしれない。
そっと彼女を抱き上げると、そのままベッドサイドまで。 小柄な身体を膝に乗せると幼子をあやすようにしてその背を撫でた]*
(71) kiska 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[膝の上で微笑んで、甘えるように口づけてくれる>>77 そんな彼女がやはり堪らなく愛おしい。 こんな気持ちを廊下で出会った彼らは知らないし、 きっと、知ろうとも思わないのだろう
カナエの身体に触れて、 いつか生まれてくるはずの命に思いを寄せる。 僕らの子供だけではなく、 この世界に招かれた人の子が為す全ての命が 愛されて生まれ、育ってほしいと思う。 カナエが女王陛下の下に向かうときは 僕も同行するとしよう]
(81) kiska 2018/12/07(Fri) 09時頃
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―ノクスフィグラの里―
[女王陛下の宮廷に暫く滞在した後、彼女を伴ってノクスフィグラの領地へ戻った。
彼女の世界には宙を往く馬車はない――そもそも天馬がいないらしい――と聞いていたので慣れない旅になるのではないかと心配したが、果たしてどうだったろう? 辛そうならばこまめに休みを取りつつ、領地へ向かう。
どこまでも続くように見える深い緑の森。 ふ、と一瞬景色が歪むと同時、馬車が向かう先に白い壁と新緑の屋根の家々が立ち並ぶ集落が見えてきた。
僕らが向かうのは、その集落のさらに奥にある屋敷。 カナエの世界でいう「カントリー・ハウス」がイメージとしては近いかもしれない。
そうして庭園を抜けて、屋敷へ入れば。 母と召使たちが出迎えてくれた]
(86) kiska 2018/12/08(Sat) 23時頃
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[それから、数か月。 もともと僕が暮らしていた屋敷の離れの一棟を僕らの新居として暮らすようになった。
父は僕があの姿だった経緯からわかるとおり、僕があの宴に参加することを――ついでにいうと人間の妻を娶ることに賛成してはいなかった。 それは、かつてノクスフィグラが、その種族的な特性から他種族に狩られてきた歴史からくるもので。
この屋敷に戻ってきてから、父はあまり僕らの前に姿を現さない。時折見かける父は、僕から見ると変わらず父の姿をしているのだけど。 カナエから見るとどう、なのだろう? 出会ったときの僕のような姿なのか、それとも、異なる姿なのか]
(87) kiska 2018/12/08(Sat) 23時頃
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[父とは対照的に、母は至って楽観的だった]
『わたくし、ずっと娘がほしかったの』 『だから、あなたが来てくれてうれしいわ』 『なにしろ、我が家にいたのはそれはもう 手のかかるやんちゃな坊やだったのだから』
[そう言って嬉しそうに語る母の姿は相変わらず、今の僕より年下にしか見えない。 カナエよりかろうじて年上、といったふうだろうか?
ノクスフィグラは他種族から見て、見た目で年を判断するのが難しいらしい。 だいたい十代後半から遅くとも三十前後で肉体の成長が止まり、それから千年近く姿が変わらない。 このあたりは個人差が大きいけど、母は僕が自分より年上になるのが嫌で「はやく大人になりなさい」とこれまた怒られたものだった]
(88) kiska 2018/12/08(Sat) 23時頃
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[そんな母がころころと笑って茶菓子を振る舞いながら 昔の僕のあれそれをカナエに話すものだから 僕としてはたまったものではない。
昔はよく叱られたと、話の合間に零すと]
『当然でしょう? 子供がいなくなって心配しない親がいるものですか』 『エルフの御屋敷にいったときも 森で迷子になったときも、 無事戻ってきたからよかったものの 貴方にもしものことがあったら わたくしは黒い衣装を着たまま数百年泣き暮らさないと いけなかったかもしれないのですよ?』
[まったく、ぞっとしませんわとため息をひとつ零す。 それから、カナエを振り返って]
(89) kiska 2018/12/08(Sat) 23時頃
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『ねぇ、カナエさん』 『貴女にはとても感謝していますのよ?』
『わたくしたちの不詳の息子に こんな可愛らしいお嫁さんが来て下さるなんて』
『あの子はとても手のかかる子供でしたけど、 でもわたくしはあの子の母ですもの。 あの子が選んだ女性をわたくしは信じるつもりですわ』 『それになにより、あんな姿のあの子に 寄り添おうとしてくれたと聞いてほっとしました。 母親とはいえ、あの姿の息子を初めてみたときは 正直、これは無理だと思いましたもの』
[くすくすと、さもおかしげに話す]
(90) kiska 2018/12/08(Sat) 23時頃
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『あのひと……わたくしの夫もね、本当はもう少し 貴女とお話してみたいのよ? でもあのひとはいい年して素直じゃないのですから 困ったものよね』
[ふふ、と口許を隠すように笑う]
『あの子を、トレイルをお願いしますね』 『カナエさん、わたくしの可愛い娘』
[そう告げて、そっと両頬にキスをするのがお茶会の終わりの定番と化しつつあった。
母以外にも、召使たちの何人かはカナエを気にかけてよく衣類や物資を此方に回してくれた。 それから召使たちの子を中心に、村の子供たちがよく離れを訪れるようになった。 遊んで遊んでとじゃれつく姿に昔、シュロにまとわりついて遊んだ幼い日々を思い出してふと懐かしい気持ちになる。
そんな賑やかな屋敷を抜け出しては、森や小川や草原を散策したり。 図書館から持参した本をたまに二人で読みあったり。 そういう、二人で重ねる穏やかな日々が愛おしくて。 やがて、子を授かるそのときまでそんな日々を過ごしていた]*
(91) kiska 2018/12/08(Sat) 23時半頃
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[二人だけの、穏やかな蜜月は 思っていた以上に短いものだった。>>95
最初の異変は、彼女がここで暮らし始めて 半年経つかといった頃。 その頃からどこか体調が悪そうで、 父から任された仕事の合間に彼女の様子を見に行った。
「おねえさんぐあいがわるいの?」と 心配そうに尋ねてくる子供たちを どうにか宥めて家に帰らせたり、 何か少しでも口にできる物はないかと 薬草や果物を持って帰ったり。
そんな様子で数日が経った頃だった。 彼女が子を宿したのではないかと思い至ったのは]
(100) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[ちょうど、彼女も同じ可能性に思い至ったようで>>97]
……。すごいな。
[思わず、言葉もなく彼女の身体を抱きしめる。 ややあって口から出た言葉も、なんとも語彙に乏しいもので。
まだ、そうと決まった訳ではない。 こういった妊娠の兆候はそれこそ、 人もノクスフィグラも個体差があるらしいから。 それでも、不思議とそんな気がしていた]
……なんとなく、だけど。 君がまとう雰囲気が、以前よりも 優しくなった気がするから。
(101) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[彼女の黒髪を撫でながら呟く。 腕の中にすっぽりと入るような、小柄な彼女は ただ愛らしい少女から、一人の母となるのだと そんな予感めいたものを感じさせた]
[これから、彼女のお腹の子は 日に日に大きくなっていくのだろう。 会える日が愛おしく楽しみでならない。
――でも、今だけは]
もう少しだけ、 僕だけのカナエで、いてほしいな。
[腕の中の彼女に甘えるようにそんな言葉をぽつり呟く]
(102) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[それからはあっという間だった。 日に日に、彼女の身体は丸みを帯びて。 胸や腹が大きくなっていく。 彼女に頼んでそっと触れさせてもらえば 時折、腹を蹴るような衝撃が向こう側から伝わってきた]
なんだか、不思議だね。
[命とは、こんなふうに生まれてくるのか。 『母』としてのカナエを見ながら、 ほんの少し、不安に駆られもする。 僕は、彼女たちの良い父親になれるのだろうか、と。
特にカナエは元の世界で辛い想いをしてきたのだから、 守らなければならない、幸せにしなければならないと。 大きくなる彼女のお腹を見ながらそんなふうに考えていて]
(103) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[気づかぬ間に思いつめていた僕を 母は当然のように背中を叩いてきた。
そこはある意味予想の範疇だったけれど。 ――父が、僕を叱咤してきたのは正直、意外だった。
来月には臨月だというある月の綺麗な夜。 僕は父に書斎へと呼び出された。
開け放たれた書斎から降り注ぐ月の光の下、 「飲もう」と葡萄酒とワイングラスを 差し出されたときは面食らったけれど。 気がつけば差し出されるまま、父と酒を飲み交わしていた]
(104) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[今までの生活の中で、父は彼女のことをよく見ていた。 時折、彼女が差し出した焼き菓子のこと。>>94 いついつにもらったものはとても美味かったと、 事細かに覚えているのには驚いたけれど。
母との交流や、一族の子供たちと遊ぶ姿も 父は見ていた――見定めていた]
「私が、いい父親であったかはわからない」 「だが、いつだってお前たちのことは想ってきた」 「今、お前があの娘と共にいて、 そして幸せであるならば……お前も 私と同じくらいの父親にはなれる。 母さんと一緒にいた私が、そうだったからな」
(105) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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「気負う必要はない。 ただ、ともに過ごす日々を大事にすればいい」 「彼女はとても聡く、気立ての良い娘だ。 お前の気持ちがわからぬ娘では決してない」 「幸せになりなさい。二人とも」
[そう言って、父はワイングラスをあおった。 その顔が薄ら赤く見えたのは、 きっと酒精のせいばかりではないと思う。
――カナエが、僕らの子を産んだのは それから暫く経った次の満月の晩のこと]
(106) kiska 2018/12/09(Sun) 21時半頃
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[最初にカナエが赤子を抱く。 腕の中の赤ら顔で泣く小さな命は、 カナエと同じ黒髪。
それから少しして、今度は僕が 赤ん坊を抱かせてもらうことになった]
……。
[いかにもおっかなびっくりといった体で 小さな、壊れそうな一粒の命を抱き上げる。 こんなにも小さな命なのに、 きちんと指が五本揃っていて、とても大きな声で泣いて。
ああ、本当に僕は父親になったんだと堪らなく胸が熱くなった]
(107) kiska 2018/12/09(Sun) 22時頃
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カナエ……ありがとう。 たくさん、頑張ってくれて。 そしてこの子を産んでくれて。
[腕に赤子を抱いたまま、彼女に口づける。 これから先、やらなければならないことは きっとたくさんあるけれど。 それでも、自分でも不思議なくらい 彼女と、この子が傍にいてくれさえすれば ――どんなことだって頑張れるような気がした]*
(108) kiska 2018/12/09(Sun) 22時頃
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