237 それは午前2時の噺。
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「さんそって、すっぱそうとおもわない?」
…… 。
「ばあか、ちがうっての。」
……────、 。
[彼女の名を、噛み締めるように呼び続ける。呼応する声も、息すらも無い。平行線のまま滑り落ちていく音がただただ空しく響いた。]
(10) Lycoris 2018/03/28(Wed) 22時半頃
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[明かりを取り戻した病室の一角で、彼女は穏やかに微笑む。何を呼び掛けても、しゃがみ込んで彼女を射貫いても、交差することの無い眼差しの中で笑っていた。
叫び声が団地中に木霊したのだと、湿布を張り付けた腕を摩りながら小太りの女性は真っ青な顔で吐く。 手探りで駆け付けた先にあったのはゆらゆらと揺れている濃い影。泣き声が高らかに、何かを探すように蠢いていた。 大丈夫、と肩を触った大家を錯乱した彼女は投げ飛ばし、その先には小さな命が無防備に晒されていて────
ぐしゃり。
何もかもが遅すぎたのだ。もう一つの影を見つけるのも、救急車を呼ぶのも、俺自身がその事態に気付くのも。 ごめんなさい、ごめんなさい。肩を震わせながらそう紡ぐ大家を、攻めることなどできやしない。 あ、タクシーがあるじゃないっすか! ……、彼女を、そしてあの子を掬う可能性を潰したのは紛れも無く俺自身だと、記憶が刃を出して責め立てた。]
(11) Lycoris 2018/03/28(Wed) 22時半頃
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[果たして、彼女はその瞳で何処まで見ていたのだろうか。 腫れぼったく赤みの冷えないその目には、最期、何が映っていたのだろうか。 彼女の心の内を知る術は無く、ただ光を失ったカセットテープが延々と流れていく。再生、一時停止、そして、巻き戻し。無限回廊の中で外の世界から閉じ籠るかのように、その規則性は崩れることは無い。]
なぁ。どんな味がすんの、お前さんのそこにある空気は。
[頬へと宛がった指先が流れる血潮の温かさを覚える。無機質なそれとは異なる、柔らかな肌の中に温度を保ったまま彼女は座っていた。彼女は、ヒトだ。紛れも無く、何の変わりも無い、彼女は彼女だということを教えてくれる。 なのに、]
(12) Lycoris 2018/03/28(Wed) 22時半頃
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「…………、さんそって、すっぱそうとそうおもわない?」
[噛み合わない会話。いや、言葉の押し付け合いに近い何かの果てに、頬を伝わり自身の手先を濡らすものがあることが一つの救いなのか。それとも、一つの絶望なのか。自身には、分らない。 根を張り巡らす後悔と共に、その矮躯を抱き締めることしか、出来なかった。覚えのあるそれから、随分と細くなった彼女は腕を寄せることなく、「ばあか、ちがうっての。」と残酷に嗤うのだ。*]
(13) Lycoris 2018/03/28(Wed) 22時半頃
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