146 demi-human... 『亜人の住まう街で』
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-少年と別れた後で-
[夜が近いと、そう伝えれば少年は急いで帰っていって。 自身も帰ろうかとふらり、足を踏み出しかけたところで、吹く風がフードを脱がす。 押さえようと伸ばした手は届かなかったようで。 漆黒から覗いたのは大凡似つかわしくない水浅葱。]
…ッ。
[勢いよくフードを被り直せば、憎々しいと唇を噛む。 その侭南の自宅へと帰っていくも何処か引きずる心持ちを、首を横に振って否定する。 その様が周りにどう映るかなど思考の外。 そうして開いた扉を潜った。]
(0) 2015/01/13(Tue) 10時頃
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-現在-
[普段の様に自宅を出てみれば、周りから向けられた視線は何時も以上に張り詰めた空気を齎す。 どうしてなのかは知った事ではないが、それでも可笑しいのは考える迄もなく分かった。]
…どうしたものですかね。
[溜息混じりにそう零した途端、何かが風を切る音。 嗚呼またかと思えば見る事もなく、前日と同じように払い落とそうと腕を振ったのだった。 ━━━━ ザシュッ 鈍い音と共にくる痛みで漸く自分の手を見、其方を見る。]
投擲にナイフですか、物騒ですねぇ…?
[僅か声量を張ってそう言えば、『お前が消したんだ!』と何故かの決め打った発言と、それを口火にくる罵倒、罵倒。
『人間を食べたって言ってただろ』
そういう言葉が飛んできたのはそれからどのくらい経ってからか。]
(1) 2015/01/13(Tue) 10時半頃
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[それを契機に出て行けという声は増えたようで。 しかし、黙っていた…は、もう我慢の限界だったのである。]
嗚呼、煩いですね…? そもそも、誰が人間と一緒に暮らしたい何て言うんです? 僕は唯、其方方が勇者と讃えるあの人間が仲良くしろと仰るから“仕方なく”従っていただけです。 元より、不可能だと思ってはいましたよ。 …まして人狼は人を喰って生きるものですし、貴方方はそれを良しとはしないでしょうから。 消してくださる“影”には感謝してます、…ある意味で。
[ではさようなら、と一方的に言いたい事だけ言えば、街の中央へと足を向ける。 その様子に気圧されたのか、暫しそれらの人間は黙っていた。 …が立ち去った後、はっと我に返って負け犬の遠吠えよろしく何ごとかと言い始めるも、それに返ってくる言葉はないのだが。]
(2) 2015/01/13(Tue) 10時半頃
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-街・中央-
…地味に痛いものですねぇ…。 さて、こういう時はどうするんでしたかね。
[取り敢えず刺さった侭だったそれを力任せに引き抜けば、収まるどころか一層紅と痛みは増していくようで。 利き手だった分、心の内で悪態をつきたくもなるのである。 地面に投げ捨てたそれは乾いた音を立てて、一回跳ね上がるも再び地面で静かになった。]
全く…本当に……疲れました、呆れましたよ。 その内飽きるかと思っていたんですが、増すとも減る見込みはありませんし。
[先程抜き取ったものを拾い上げれば人のいる方へと投げる。 それは誰かに当たったようで、広がるのは血の臭い。 唯、鬱憤を晴らす対象としてやられた以上、此方がしてはいけない道理など何処にあると言うのだろう。]
もう如何なったって僕の知った事じゃあないです。 今、此処で、戦争になったって知りません。 嗚呼、こんな歪んだ平和ならば…“ ”。
(28) 2015/01/13(Tue) 22時半頃
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[周りの眼差しが一層険しくなったのは確かで。 それによって飛んでくる罵倒や鬱憤の類いも、しかし全く意味を成さなかった。]
嗚呼、そうです、それがいいでしょう…! ふふ、ふふふ…はははははっ!
[怪我をしていない手で顔を覆うと、突如として笑い出したその光景は酷く奇怪なもの。 とうとう気でも触れたかと、避ける様に僅か距離が開く。 それでも1分もしない内にぴたりと笑うのを止めたのが警戒させたのだろう、一層空気は張り詰める。 ずるり、と覆っていた手を下せば周りを見渡して。]
貴方方は僕が邪魔で仕方がない、僕は貴方方が疎ましくて仕方がない。 …いいじゃないですか、潮時です。 一緒の生活なんて辞めればいいんですよ。
[その発言を聞いてか、全く静まり返る辺りの人間に向けられた血のような赤は、爛々としていた。 …まるで獲物でも狙う猛獣のように。]
(29) 2015/01/13(Tue) 23時頃
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[周りが元の勢いを取り戻し、少しごたついた後くらいの事だろうか。 最後、飛んできた何かを払い除けた時にそれを“聞いた”。 何かが近くを蠢いているような、そんな感覚を伴うそれは、しかし確かめるより先に重い鉄の音を捉える。 一斉に勢いを失った人間達は、『散れ』と言う声に従ってバラバラになっていった。 そして目の前に現れたのは、随分しっかりとした装備に身を固めた面々。 ならば勝手に行かせてもらおうかと散っていった集団に続くように移動しようとすれば、肩を掴む手が一つ。]
何ですか? 僕には残れと言うんですか?
[鬱陶しい、という眼差しを向けるもそうだと言うように頷くので、渋々それに従って。 彼らが尋ねてきたのは“影”についてであった。]
知りませんよ、そんなもの。 …この話も、亜人と貴方方が呼ぶ相手にしか聞いていないんでしょう? ふふふ…実に滑稽ですね。
[騎士達はどうやら呆れと苛立ちを持った様子だった。 まあ、侮蔑しているのだから当たり前だが。 この応答は直ぐには終わりそうもない。]
(41) 2015/01/14(Wed) 08時頃
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[嗚呼長い、と思いながらも変な抵抗はせずに応答していれば、騎士達は漸く礼を述べて離れていった。 完全な静寂に気味悪いと感じるも、人間がこの辺りにはいないという事でもある。 ふと目が道行く白を認めた。>>24]
…ユキさん。
[そうして敏感に血の臭いを嗅ぎ取れば、血濡れた右手は服の陰へ。 相手も臭いには鋭いから、何故こんな意味のない行動をしたかは分からなかった。 聞こえるか如何かくらいの声量でかけた声には気が付いてもらえただろうか。]
(44) 2015/01/14(Wed) 14時頃
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[かけた声は届いたようで、彼は己が名前を口に開いていた扇子を閉じる。>>46 突如として、すっと目が細くなったかと思えば尋ねられるのはやはり手について。 同時に先程まで気が付かなかった燻ったような臭いに気が付く。]
…嗚呼、怪我ですよ。 今朝は皆さん気が立っていたようでして。
[軽い気持ちで右手を出せば、いつの間にやら溢れ出ていた紅は止まっている。 もう止まってますが、と付け足して言うも、何ら手当ての成されていないそれは始めよりずっと、真紅に染まっていた。]
…貴男も怪我なさってるじゃないですか。 傷の方は大丈夫なんです? それと…何か焼きました?
[目の端で着物や羽織に焦げた様子がないのを確認すれば、その部分だけは僅か声量を落として尋ねてみたが、相手の反応はどうだっただろうか。]
(53) 2015/01/14(Wed) 19時半頃
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[すると何かがすっと近くを過ぎていったもので、思わず視線を其方にやれば、何時かの魔法使いの少女が兎を追いかけて走っていくのを見つけて。 嗚呼、お久しぶりですね、とかけた声も届かなかったようで。>>51 入っていった路地を見れば、何が原因なのか、瞬間反射的に表情が強張るのを感じた。 そう、薄々気が付いていたのだ。 彼は見てはいけないものを見てしまったのだと。 それが大凡あの“影”なのだと、何処かで気が付いていてそれで“助けなかった”。 驚く程しっかりと、あの場から聞こえてくる声はまるで責めるかの如くズクリと見えない傷を。]
モスキート、さん…。 ……どうなさったんですかね…。
[素直ではない自身は本当の気持ちを堰き止めさせる。 最後に吐いた嘘は今迄より遥かに下手な嘘。]
(55) 2015/01/14(Wed) 19時半頃
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[出した手を見せてみろと言うので(>>59)、取り敢えず出してみれば、符が姿を変えた白狐が触れる。 一瞬で塞がった傷に半狐の力を見た気がして僅か沸き立つ感情には無視を決め込んで。 大した怪我ではないと言いながらも時折顰める(>>60)のを見れば、実の所かなり痛いのではないかと思いもするが、追及をする事はない。]
嗚呼、ありがとうございます。
[彼の気紛れな節介か、その行為には本当に感謝して。 『羽虫を焼いた』(>>61)と言うのには真意を解して尚尋ね返さずに。]
まあ、そうなりますよね。 此処数日は一層煩わしいものになっていますから。
[そう返した本心は実の所そこにはなかったのが。]
(66) 2015/01/14(Wed) 22時半頃
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[駆けていく少女が齎した思いに半狐の男は気付いたのか否かわからないが。 行ってみるかと尋ねられれば(>>62)それには首を横に。]
いいえ、僕には如何も出来ない事です。 追ってもいいんですよ、僕には…用事があるんですから。
[嗚呼近い、と思ったのは刹那一瞬間のみ。 それでも何か不快感を感じさせるそれの正体を、…は知っていた。 では失礼します、と軽く会釈をすれば、気の赴く儘人気のない方へ。 半狐が呼び止めようと、恐らく振り返る事も立ち止まる事もない。]
(67) 2015/01/14(Wed) 23時頃
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[歩いていると、ふと目に入ったのは何時かの不死身の男。]
…ワクラバさん…? どうしたんです、こんな所で。 随分夜は更けてしまいましたよ。
[よく考えれば彼が帰る場所を知りはしないし、実際の所ないのだが。 話していれば僅か感じる不快感を、別の所為だと思っているが故に彼に警戒を向ける事はない。 だからこそ、この後何が起きるかも想定してなどいないのである。]
(68) 2015/01/14(Wed) 23時頃
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[貴方こそ(>>69)、と言われれば確かにそうではあるのだが。 唯、如何しても気掛かりが一つ。]
今日は違和感が凄くてですね。 …帰るには解消しておかなければならないんですよ…“影”の気配をね。
[言ってから、嗚呼言い過ぎたと思っても後の祭り。 詮索されそうな事をわざわざ言う必要もなかったのにと思えばほんの少し苦笑を見せる。]
一応感覚を頼りにうろうろしているんですが、ご存知ありません?
[“影”の本人に“影”の居場所を訊くなんて、知っている人間が見たら滑稽以外何ものでもないだろう。 それでも目の前の男がそうとは思いもしない侭に尋ねてみたが、彼はどう反応するだろうか。]
(72) 2015/01/15(Thu) 00時頃
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