266 冷たい校舎村7
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[馬鹿なふりをしていたって 見ないようにしたって、 ……いずれ、終わりはくる。>>#3]
(0) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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―― 朝早く ――
[チャイムが鳴るよりも前に、 早く起きて3階の家庭科室の扉を開けた。 横で眠っていたキョースケを起こさないようにして。
冷蔵庫の中に入っているものを確認して 簡単な朝食しか作れないな、と思う。 田所さんに節約術聞いておけばよかったかも。
ソーセージ。焼き蕎麦の材料と思しきキャベツに卵。 にんじんもハムもあるのに、 残念ながらコンソメスープの素はない。 パン、は、出店であったのだろうか、 サンドイッチ用の食パンがあったのでそれを拝借して
ハムを敷いた目玉焼きに、 簡単なサラダに、焼いたソーセージ。 そういう簡単な朝食をつくりあげて食堂に三皿。並べた。 「朝飯」というメモを添えて。]
(1) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[親父と、母さんと、俺。 (悟と、キョースケと、ヨーコねーさん。)
うん、三つであってる。……あってるよなあ? ぼんやりした頭で考えて
ふと、ラップをかけた手を止めた。]
(2) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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…………………、そっ、かあ。
(3) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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「売る…………?」 [問いかけは薄い壁に吸い込まれて消えた。 背を向けた親父は、俺に背を向けたまま 「終わりにしよう」と言った。
この家と土地を売ってその金を分けるから 高校を卒業したら就職しろ。 そういったことを、ろれつの回らない舌で言っている。
……また床に空き缶が転がっている。 だからこれも酔っ払いの駄々だ。いつもどおりのわがままだ。 「なにいってるんだよ、もう」と流して目の前を去ろうとして 笑おうとして、笑顔が引きつった。
思えばもうずっと限界だったらしい。 その日、俺は珍しく親父に思いの丈をぶちまけた。]
(4) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[親父と遊んだガレージも、母さんが料理をしていたリビングも 俺にとっての世界で、俺にとっての思い出だ。 勝手になくさないで、勝手に決めないで、って。
多分そんな事を言った気がするんだけれど 途中で殴られたものだから、どこまで言ったか覚えてない。
――母さんに似た顔が気に食わない。 ――いっそお前が女に生まれていれば。 そういう言葉の意味が欠片も理解できない。
――気持ち悪い。そんなんだから逃げられるんだ。 言い返したら、俺よりずっと体が大きい親父は 割と簡単に、俺を蹴り飛ばすんで、 大きい物音がしたっていうのに その日はじゃれて笑うふりを忘れて、咳き込んだ。]
(5) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[遠い昔作ったおもちゃが音を立てて落下して 痛みの中で俺は親父を見る。とうさん。と、呼ぶ。
あのな、父さんがこんな人じゃなかった事、 よく覚えているんだ。
休みの日にはガレージで日曜大工をして ……好きなヒーローのおもちゃも買ってくれたっけ。 たろの世話もしてくれた。よく蹴ってたけど。 車で遠くにつれていってくれたりもした。
仲冬に合格したときは、 「よくやったな」って頭を撫でてくれただろ。
それでね、父さんが母さんが好きだったことも よく、知っているんだよ。 母さんを守るためにずっと働いていたことも。
それでな…………それ、で。]
(6) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[おやじ、って、俺はもう一度だけ、目の前の人を呼んだ。 目の前の男は酔った赤い顔で俺を見下ろしている。 血走った目が俺を見てる。 シャツの襟を大きな手が掴んで、
……………この男と、ずっと「かぞく」なのか。
体が持ち上げられているのに、 その感情はすとんと胸に落ちてきてしまって困った。
これから俺、父の日に一体誰にプレゼントを贈ればいいんだろ。 迷子にでもなったような気持ちでその男を見て
…………ええと、それで、それから。 ごめん。それ以上のことはいえない。
死にそうな気持ちで目を覚ましたら 再び酒をいれた親父がお笑い番組を見て爆笑していた。]
(7) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[もう、いいかなあ。
子供の世話と狭い空間に疲れきった女が 外で幸せを得るのも
そんな女を心の底から愛していた男が 愛を失って、寂しさに酒に逃げてしまったのも
なにひとつとして世界の終わりじゃない。 なにひとつとしておかしくないよ。人間だから。 人間だからいつかは壊れてしまう。
誰も責任なんかとらないし。 きっとそれだけのことに付き合うのに疲れた。]
(8) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[とめたい。それが今であるべきだ。 そういう判断は、すんなりと胸に落ちてきた。
母さんもたろももういないけれど まだ家は売られていなくて俺は高校生で
今、でやめてしまえば 文化祭のおしまいに笑顔で写真を撮ったあのときのまま クラスの皆が止まってくれる。
……何の罪もない皆を殺して回るより 生きたくない自分が死ぬほうがよっぽど早い。 そういう理由で、自分の腹に包丁を突き刺した。
今まで十分叩いたでしょう。もう食べごろだよ。 腐る前に、召し上がれ。]
(9) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[公園じゃない。学校じゃない。 ましてや夜でもないし、昼でもない。 ここはガレージの中。真っ暗闇の、冷たい床の上。]
(10) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[死ぬまでに随分と時間がかかるなあ、と 濡れた自分の腹を見下ろしながら思った。 痛い。痛いのだけれど、笑うしかなくて こんなことをしても親父が駆けつけてくれるわけでもない。
ああそうだ。お別れくらい、いっておかないと。
手元にあった携帯を起動する。 文面はどうしよう。あまり悲しませないのがいい。 けれど礼はなくさずに、心残りの、ないように………]
…………は、はは、
(11) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[うまく打てない。携帯の画面が濡れた指で滑って これが最後。これが、最後なのに。 赤くなって、滑って、落として、またとりあげて、 早く打たなきゃ、打てよ、また滑り落とした。
かたん、と物音がして「SEND」の文字が消え 携帯が水溜りに落ちる。真っ暗闇に取り残された。
朦朧とした意識で天井をあおぐ。 見上げたって星も月も見えない。まして青空なんて]
(12) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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………………こえぇ、なあ…………
(13) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[知らなかった。死がこんなに暗いなんて。 最後に皆に会いたいと思ってしまった。 笑いながら、目を閉じた。
馬鹿だなあ。何も望まなければ…… 遺書みたいな迷惑メールさえ送れていれば
あのまま、終わっていたんだろうに*]
(14) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[食堂に朝食を置きながら、 そうだったな、って俺は思いだす。
思い出してしまったので。 夢から起きてしまったので。
この世界の電源をOFFにしにいこうか。
……その後の事?
ううん、俺は知らないけど。 残ったお客さんが脱出してくれるなら 俺は憂えることはない。]
[お化け屋敷は脱出するまで楽しまなきゃ。ね?]
(15) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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―― 美術室 ――
[様々な絵が額縁に飾られている美術室の中 赤い頭部が模された作品のタイトルが 書き加えられていることに気づいた。
「家族」>>4:299
何を思ってそう題をつけたしたのだろう。 書き文字の主のことを思い、少し立ち止まる。]
(16) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[それから、再び歩みだして その作品のもとへと辿りつく。
「タイムカプセル」って平凡な名前をした 奇妙なガラス絵の塔の前に、俺は立った。
見えない明日のために、 明日を生きる希望にするために 今日見たうつくしいものを、過去に埋める。 そんな意味のタイトルだった気がする。
……どうでもいい。
ここにあるのは過去だけだ。 鮮やかな景色から青空に視線を移して そのときに見える残影。
いずれ人の記憶からは消えるもの。 それだけ。]
(17) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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…………大好きだった。
[俺はひまわりの絵をひとつだけ撫でて、 それから、]
(18) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[迷わずにイーゼルを手にとった。 遠心力をかけながら、そのまま、 大きく、振りかぶって―― ]
[チャイムが鳴る。]
[…………がしゃん、と、2階で物音がし 一瞬、学校のすべての明かりが消える。 窓の外が暗闇に包まれる。
少しの間をおいて電気は復旧するが 窓の外は依然、暗闇のままだ。]
(19) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[いくつものガラスが飛んでいく。 きらきらと色がついた思い出たちが、 自分の腹や腕に突き刺さる。
だらだらと体中から血が流れている。 精神世界なのに面白い。
淡々とそんなことを思いながら いくつかのガラスを拾った。]
(20) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[指切りをした夕暮れの公園。>>0:272 青空を背にしたひまわり畑。>>1:450 子供達が遊び笑う雪の学校。>>4:56
そういったものを見下ろして、 ぎゅっと握りこめば、ガラス片が自分の手を切った。
手を開けばそこにあるのは、 どれも赤く濡れた景色だ。
…………これでいい。 汚れた景色はいずれ忘れ去られる。
ぱらぱらとガラス片を取り落として 何も持たずに、ゆっくりと美術室を出た。]
(21) 2019/06/16(Sun) 00時頃
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[消えたら。追いかけていく。 そう交わした言葉を思い出して ……俺はライターを手にとった。
カチ、カチ、カチ。
火がつかない。ついてくれない。
煙草でもすえたら、 もう少しマシな事が考えられるかもしれないのに。 この肺を煙で満たせば 少しは、冷静になれるかもしれないのに。
「気持ち悪いこと言ってんな」>>4:305
……嘘つきになろうとしているこの背に、 その言葉が飛んでこないことが、 今は寂しくてたまらない*]
(22) 2019/06/16(Sun) 00時半頃
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―― 変化 ――
[チャイムが鳴った、直後のこと。
2階で何かが倒れる物音がした後、 一度、校舎の電気はすべて消え、 窓の外も真っ暗になる。
少しの間をおいて電気は復旧するが 依然外が真っ暗なのは変わらない。
また、再びついた電気は 時間とともに消えていくだろう。
いずれ校舎は真っ暗になる*]
(23) 2019/06/16(Sun) 00時半頃
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[階段から落ちた。 首を自分で絞めた。 罪によって殺された。 音によって殺された。 重圧によって死んだ。 心の傷によって死んだ。
へんな世界に巻き込まれて一度死にました、じゃ あんまりにもあんまりだから、 あなたたちがこの世界に残した「かなしみ」が 元の世界のあなたたちから、少しでも減りますように。
とめたくて、いっそ殺したくて、 俺がこの世界に引きずり込んだあなたたち。]
「君たちの事が好きでした。」
[願うことは、ただ一つ。]*
(24) 2019/06/16(Sun) 00時半頃
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―― 一段、一段と ――
[階をあがっていく。 誰がどこで「この世界で止まった」のか もう俺にはわかってしまうようで
3階のトイレに立ち寄って、 ただ少しの間そのマネキンを見下ろした。
ぽっかり空いた体の中心部。 心臓があるあたりに開いた穴から ずっと血が出ている姿が痛々しいのに 赤いパーカーと血が同化しているのが なんだか彼を示しているような気がした。
ハートのぬいぐるみを動かすことはしない。 何かを添え置くことはない。
ただ、「轟木颯太」だったそれに 切れないシャッターを切って、「ごめんな」と呟いた。]
(33) 2019/06/16(Sun) 01時頃
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[また、歩きだす。]
(34) 2019/06/16(Sun) 01時頃
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[4階の生物室。
黒い足跡が一筋続いた先を 無理やりこじ開けることはしたくなくて ドアの小窓越しに、そのマネキンを見た。
「田所怜奈」。 強いひと、だったと思う。 彼女の過去や内面までよく知らないけれど クラスの中のしっかりものだった。
その体に何を抱え込んで 何の重さに耐えていたの。
俺が問いかけても、きっと届かない。 届かないけれど、
ただ、「田所怜奈」だったそれに 切れないシャッターを切って、祈りを捧げた。]
(35) 2019/06/16(Sun) 01時頃
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[君たちのおしまいだけ、最後に頂戴。]
(36) 2019/06/16(Sun) 01時頃
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[……そうして、美術室からずっと 血の痕がてんてんと続く。
追おうとすれば追えてしまうほど、 それなりに多量の血液だ。
吊られた人形がたくさん見える 3年1組の教室までそれは続いて
俺は夜風に吹かれながら、 椅子に座り、窓の外を見ている**]
(37) 2019/06/16(Sun) 01時頃
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[真っ暗闇を、じっと見ている。 暗闇の向こうから、見つめ返すものがあることに気づく。
ああ、母さんだ。
顔が灰色になって髪の毛が垂れ下がっているけど あれは間違いなく家事に疲れた母さんだ。 随分と首が長いけど、何を待ちわびてしまったんだろう。]
「今日のおかずがテレビの中で水色で水を満たしているの。ペンキでしょう?赤くして。うんざりだわ。狭いからふさいで新幹線に乗りなさいよ。許さないから」
[何か、言ってる。
離婚する直前の母さん、 ずっと何いってるかわかんなかったな。って思い出した。
真っ黒な瞳をじっと見て、しっしっ、と手で追い払えば 幻影は消え去って、もとの夜の闇が戻る。]
(105) 2019/06/16(Sun) 17時頃
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[そうして窓の傍にすわって、 桟に腕を乗せて、うつらうつらとしていたら 後ろの扉が開く音がした。
来た、のかあ。
帰ればいいのに。と思ったけど、そういえば、 君たちにお客さん用脱出口、教えてませんでした。
呼びかけが聞こえて、>>104 その呼びかけが頼りなく思えたので、少し困った。
俺がホストです、って、 今更名乗る必要あるのかな。これ。]
(106) 2019/06/16(Sun) 17時頃
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思い出したのはさっきだけど、そう。
出口は、校舎裏に続く扉。>>1:139 今は開いてるぜ、早く帰りな
[振り向かないままにそう告げる。 だってそこに高本も七月もいるだろ。 迷子になりそうな蛭野もつれていけるだろう。
人形がたくさん吊られた部屋で、 君たちのほうに振り向くのは、 右腕と顔の片方が赤く、穴だらけになった生徒だ。
ガラスの切り傷とあわせて全身が赤いので どこからが化粧でどこからがほんとうかわからない。 お化け役じゃなかった気がするんだけど ここのお化け(ホスト)は俺なので、仕方ない。]
(107) 2019/06/16(Sun) 17時頃
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……それとも鬼ごっこでもしたほうがいい?
[首をかしげて、来た人たちに微笑みかける。 椅子に座ったまま。]
(108) 2019/06/16(Sun) 17時頃
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[パンが小鳥についばまれて消えないうちに 早くお帰りよ、子供達。 魔女にまとめて家に囚われたくなければ*]
(109) 2019/06/16(Sun) 17時頃
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[こちらに近づいてくる高本を、淡々と見ていた。 なんだよ、といいたげな目で。>>112
白い人形がゆれる。 距離は簡単に縮まる。 胸倉をつかまれて、ふと過去の光景が蘇る。>>7
胸倉をつかんで、叱り飛ばして、 目の前のこいつは、友達だっけ。親父だっけ。
……ああ、くらくらする。]
俺はこの世界に残る。 それだけのことだよ、悟。 なあに? 何か文句あんの。
(118) 2019/06/16(Sun) 18時半頃
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[そうだよ、という声が聞こえて、 すっと視線を移した。>>116 七月葉子がこちらを見ている。
勝手に呼んどいて、という言葉に、 少し申し訳なさを感じた。 呼んじまったものは仕方ないのだけれど それに関しては、謝る術を持たないので]
それは、ごめん。 ………戻ったら、皆に 「養拓海が迷惑かけてゴメンっていってた」、 っていっといて。ヨーコねーさん。
[最後の挨拶なんて聞きたくない、 そういわれ、メールの文面を思い出している。]
(119) 2019/06/16(Sun) 18時半頃
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[俺は少し目を伏せて、 「離せよ」、と意思をこめて悟を睨み 手を払おうとした。*]
(120) 2019/06/16(Sun) 18時半頃
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[胸倉をつかまれていた手が離れたか、 どうかはさておいて 三人>>124の様子を見てから、俺は再び口を開く。]
……いやなら、別に帰らなくってもいい。 ここはじきに真っ暗になるから そこで目を閉じればいい。
多分、死ねるから。 それで終わりだから。
ここから出ないなら、皆現実に帰れない。 生きていたくないなら、ここに残ってていいよ。
[高本に向けていた厳しい表情を翻して微笑みなおした。]
(125) 2019/06/16(Sun) 19時頃
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皆俺と一緒に終わりにしちゃう?
(126) 2019/06/16(Sun) 19時頃
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[戻りたいし、戻りたくない。 戻ってもいいし、戻らなくてもいい。 戻りたくないし、ここにいたくもない
それぞれ違うアンビバレンツ>>218
その在り方を謎かけのように問うたって、 きっと許されるでしょう?
生きる意味より、今は死ぬ価値が重い**]
(127) 2019/06/16(Sun) 19時頃
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悪いけど至ってまともだよ
[高本に睨み返されながら、俺はまだ笑ってる。
この世界に皆がとどまったら、死ねるよ、なんて 笑顔で嘘かまことかも分からない事を吐けるくらいに 正しくて気が狂っているさ。]
ここでやめたいから、死ぬんだよ。 簡単だろ? お前、俺に「悩みなんてなさそう」>>0:151って 言ったじゃん。
(139) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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[メイワクな話、>>1:375って言ったよな。]
(140) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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[じゃあ、見捨てればいい、と思うし。]
(141) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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そうだよ。悩みなんてねえよ。 ここで満足に死ぬ。それだけだ。
(142) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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[お前はそれが「できる」んだろ?]
(143) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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[……ごめん、ちょっとカッとなった。 馬鹿な俺は、随分と雪の道でお前にいわれたことを 根に持っているようで
少しだけ声をあらげて>>142を言ってから、
俺は少し、深呼吸をして 高本の言葉が向く先をおとなしく聞いていた。]**
(144) 2019/06/16(Sun) 20時頃
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[どうして、こいつは怒ってるんだろう。 どうして、こいつはキョースケに何か言ってるんだろう。
なんだかほんとうに馬鹿になってしまったみたいで 悟の行動が理解できないまま>>133 俺はそれを見ていた。
俺が高本悟という男に抱いている友情は たぶん、どろどろとした愛憎に近いものなんだなって その時初めて気づく。
馬鹿なやつ、と見下す悟。 馬鹿でいい、と思ってた俺。
俺たちの友情、多分すごく歪んでるよな。 でも、歪んでたのは俺だけかもしれない。
だってお前はこんなにも俺に怒るわけだし。 俺はそれに、少なからず動揺している。]
(155) 2019/06/16(Sun) 21時頃
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[言葉を向けられた先を見る。 そこには頼りなさそうにキョースケがたっていて 何か、を、ずっと考えているようなのだけれど
俺はそこに、もう一回「一緒に死ぬ?」って 投げ込んでやろうかと思ったんだ。 どうしてだろうね。わからないけど。 一人道連れでもいいかと思ったんだ。
その言葉を切り出す前に 途切れ途切れに声が聞こえて>>149 俺は口を閉ざした。
後悔しない? 最良の選択? 納得してる? 未練はない?
――……………答えは、]
(156) 2019/06/16(Sun) 21時頃
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[拳を握りこんで、その問いを全部振り払おうとして、 キョースケの声が震えていることに気づく。 拳を握りこんで、今にも泣きそうな迷子みたいだ。
「ひまわり、まだ咲いてないよ」って 不器用な言葉に動揺して、首を微かに横に振る。
「また見に行こうな」と言ったのは、俺だ。]
毎年、咲くだろ…… 何でそんな顔すんだよ。 俺と一緒じゃなくても大丈夫だ、っ、……て。
[語尾が震えてあわてて笑いなおした。 別の友達と、あるいはもう見に行かないかもしれないけど そういう未来を想像して、泣きそうになった。]
(157) 2019/06/16(Sun) 21時頃
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[いいんだ、そんな未来。 皆が前を向いて別々に生きて行く未来なんて 死ねば見えないから。 って思う俺は、ずいぶんとわがままだ。]
(158) 2019/06/16(Sun) 21時頃
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未練も、後悔も、ある。 あんに決まってんじゃん。 でももうさ、いい。
いつか全部壊れるなら、 壊れる前の今で終わっちゃえばいいじゃん。
悟。お前、このまま生きてどうすんの。 進学先は?その先は?
キョースケ。 お前、このまま生きてお姉さんとうまくやってくの?
(159) 2019/06/16(Sun) 21時半頃
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ヨーコねーさんなら、わかるでしょ。 変わっちゃうの怖いじゃん。
お前らどうしてそのまま生きていけんの。 だってつらいよ。 ……いやだろうよ。
(160) 2019/06/16(Sun) 21時半頃
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[俺は眉を下げ苦笑して、君たちに問いを投げる*]
(161) 2019/06/16(Sun) 21時半頃
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[聞けない、って突っぱねられてしまって 俺は少し困ったように七月に笑った。>>162
謝りたいなら、って言葉も尤もなもので それを聞かなかったことにするしかない。 責任、とれよ、って誰かさんに言ったくせに。]
(169) 2019/06/16(Sun) 22時頃
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[それから、投げかけた問いに対して 言葉が返るから、俺はそれに耳を傾ける。>>163
あなたなら、わかってくれるでしょう。 死んだほうがマシだって、何度思ったかわからない。 あの保健室で交わした内緒話 赤い目をした雪兎のような七月を思い出して
そうだろ、って聞いていたんだけれど]
(170) 2019/06/16(Sun) 22時頃
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……それは……
[俺は、その言葉に声を詰まらせてしまう。>>164 何にもいえないまま七月の言葉が染みとおる。
次いで出た言葉に、動揺して視線が泳いだ。>>167 「一緒に終わらせる?」って言ったくせに 随分と身勝手なもんだと、自分で思う。>>168
自分のせいで、人が死ぬ、なんて考えてなかったから。]
(171) 2019/06/16(Sun) 22時頃
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期待、したよ。 思ってたことも、あった。 ……でも、何度期待したって 何度頑張ったって、 母さんは出て行くし飼い犬は死ぬし、親父は壊れるし 駄目なことばっかりだ 変わってしまうものばかりだ。
どこかでまだ期待してるなんて、そんなの ……そんなこと、あるわけねえよ
………………たぶん。
(172) 2019/06/16(Sun) 22時頃
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ヨーコねーさんは、それ、だめでしょ。 なんでそんな理由で死ぬんだよ。 意味わかんねえよ
俺が死ぬなら、死ぬの。 ほかにやりたいこととかあるんじゃないの。
[動揺してしまって、助けでも求めるように 俺は高本の方へ視線を泳がせ、口を閉ざした。*]
(173) 2019/06/16(Sun) 22時頃
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[壊れるのが嫌だから死んで でもそれを嫌がる人の死は拒んで>>181 本当に、どの口が、……と冷静に考えるだけの頭が今ない。
だから、高本に指摘されて大きく目を見開いた。>>182
結局、お前と七月の関係はどうなったのか、とか 何でそんなに怒ってるんだよ、とか。 理解が追いつかなくて困る。]
(197) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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[酷い話をするけれど多分、俺って、 そこまでお前に友達と思われてる、って自覚がない。 甘えられてる自覚はあったんだけど。
一緒にいたい友達だって思ってるし ずっと一緒にいるって約束だって忘れてない。
でもさ、やっぱりさ、人は信じられないからさ。 悟のことも信用しちゃいなかった。>>184
卒業したら全部話すって。ずっと友達だって。
どうせ口だけだろ、とどこかで思っていて]
(198) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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[……そう思う癖がついた俺が、一番人を裏切ってんのかなあ。 わかんないよ。 だって永遠の愛を、とか言って結婚した二人が別れてんだぜ?]
(199) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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……うるせえよ。 わかってるよ。 ヨーコねーさんが俺を追って死ぬなら それ、拒む権利、ないよ。 それくらい、わかってて。 …………考えが及んでなかった。ごめん。
でも。…… 生まれてもメーワクで死んでもメーワクなら 本当にどう逃げろって話なんだよ、まじで 生まれないほうがマシってか。知ってるわ
賢いお前なら知ってんのかよ……
(200) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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俺には、もう、手に負えねえんだよ。
[疲れたよ、って俺は顔を眉間にしわを寄せて、 息を長く、長く吐いた。 目の前に洗っても洗ってもなくならない洗い物がある そんな疲労感と絶望感が去来して、
く、と顔をあげる。>>184 せきにん。という日本語を追って、 それを口にした自分を後悔する。>>185
卒業したら全部話をする……それって、別に、 付き合ってた女を悲しませたことと同列じゃない。 俺の中では。 でも、お前の中では違うんだな、悟。]
(201) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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…………お前のほうが重いじゃん。 何泣いてんだよ。
俺は、お前に、 その後どうやって生きてくのかを聞いてるのに 意味わかんなくねえ……?
俺がその約束守ったところで、 お前にとってどうなの。 俺を見下してたお前にとって。
[笑顔が掻き消えて、ぽつ、と独り言が落ちる。]
(202) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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ずっと一緒って約束した公園の滑り台…… 先に来なくなったの、どっちだよ。
………………待ってたのに来なくなったから 俺の方から近づいてったんだろ。 犬みたいになってさ。
[お前にとっての俺、って本当になんなの? って ずうっと思ってる。 多分、言葉が足りないせい。>>174>>175]
(203) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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( ……頭痛ぇ、 )
[ずきずき痛んできた頭を抑えて息を吐く。 感情に振り回されているせいか、 それとも残りの命が短いのか、判断がつかない。
キョースケの声が聞こえて頭をあげる。>>187>>188*]
(204) 2019/06/16(Sun) 23時半頃
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親。
[言いたくはねえんだけれど、 高本に短くそう返して>>205
少なくとも、に続いた台詞に 「ほんとかよ」って呟いた。>>206 逃げどころを見失った子供みたいに。]
うるせえよ。じゃあ殺せ馬鹿
[首を横に振ってなじりあう。>>207 自殺したやつ相手に「ぶっ殺す」って何だよ。 理解できねえ、って、 いつもの悟らしくもない言葉に苦笑しようとして 笑えなかった。]
(218) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[そうして、逃げ場を塞がれる。>>208 生きていてほしい。 そう、なのかもしれない。 いや、そうなんだろうなあ、と思う。 贅沢なやつだな、俺って、と苦々しく思う。
こんなところに人を引き止めて こんなところで、死のうとして その結果人を泣かせているんだから ……少なくともあんまり褒められたことはしてない。]
(219) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[うつむいたまま、俺は高本の話を聞いている。>>210 確かに、悟の妹は体が弱い、って 誰かにどこかで聞いた覚えがある。 けれどそこまでの事、俺も知らなくて]
…………そう、だったんだ。 俺も、そーだよ。 いえなかった。
やっぱお前。大学いけないんだな。 ……。 …………俺もそもそもいけねぇけど。 でも、お前がそんなこと思ってたのは知らなかった。
[ただ、力のない相槌を打つばかり。>>210>>211
ゆっくりと顔をあげる。>>212]
(220) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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約束……
[そっか、そうだなあ。 お前とはたくさん、未来の約束したっけ。 絶対に来るともわからない未来の約束を。
それで、明日また会えることを楽しみにして 明日の約束を覚えて、眠ったんだっけか。
…………そう、だったなあ。]
(221) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[悟はずっと怒ってる。>>212 怒りすぎだろ、って、聞きながら俺は思ってる。 でも、これもお前の甘えの形なんだろうなあ。 よく知ってるよ。 だってお前、親父に似てるんだもん。 真実を話したらまた不名誉だって怒るんだろうけど。]
…………けど、なんだよ………
[そういう相槌ばかり、 ささやかな抵抗みたいに返して 聞こえた一言にずきんと胸が痛んだ。>>214
ずっとずっと、大切な友達。 もうちょっと前に言われていたら、 何か違ったのかな、って思いを馳せる。 ……俺は馬鹿だから、やっぱり死んでたかもしれないけど なんにもいわないで自殺することは、しなかったかも]
(222) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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…………悟。
[俺のためにわざわざ毎日肉まん買ってた、なんて そんな事を言われて、俺は短く息を吐く。>>216 ぼろぼろと泣き出した友達を、途方にくれた目で見つめた。]
俺も、ずっとずっと友達だと思ってるよ。 お前と朝会いてえよ。別に肉まんなくても。
一途すぎんだろ。……ばか
[ぽつり、と落としてうなだれるほかなくて そこでもう、随分と、 「死のう」っていう心が折れているのだけれど]
(223) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[キョースケの声が、 聞いたこともないくらい張り詰めていたので、 俺ははっとして、その言葉を聞いていた。>>187
皆拳を握り締めて>>188 何か、を我慢していて…… それが俺にはわからないまま、 「死ぬ権利」について思いを馳せた。
多分、俺もそういうのかなあ。どうだろう。 ここに立っているのが俺じゃなかったら 俺は何て言葉をかけるのか。
そこまで考えて、こういう事をさせているのが俺、 という事実に顔をしかめた。 …………何一瞬他人事面してんだよ。馬鹿が。]
(224) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[そんなことをぼんやりと考えていたら、 荒い呼吸音が聞こえて、 俺は「大丈夫か」と声をかけそうになる。
……かけそうになって、 キョースケらしくもない剣幕に、びく、と肩を震わせた。
ここに呼んで、嬉しかった? 必要とされて、嬉しかった?
それなら、この校舎も、ちょっとは報われるのかなあ。 真っ暗に閉ざされていくだけの、冷たい校舎。
生きることはきっと、正しい事じゃなくて ただ、人間も生き物だから、それでしかないよ。]
(225) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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……いつもみたいに 「またね」をするみたいに、 お別れができたらいいと思ってたんだ、おまえと。
[夕暮れに照らされた白い壁はここにはないけど ガレージじみた暗闇は、あるだろう?
喚き散らされる言葉に、冷静に返すこともできず 俺はキョースケを見て、それだけを返して>>190]
(226) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[一度目、>>168 二度目、三度目>>192>>216
積み重ねられていく言葉に、逃げ場がないや。
困った、なあ、ってかすれ声だけ、小さく響いた。 笑おうとした。全然笑えないな。 やっぱり俺は、黙ったまんま困っている。]
(227) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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生きていたくなんか、ないんじゃん。 みんなさ、明日に希望なんかないし。 死んだら、つらい思いしなくていいじゃん。 死んだら…… 死んだら。 …………もう、見れないし、会えないのかな
キョースケ。なあ、……。 いろんなところ、行ったよなあ。
(228) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[たとえば、青い空を背にしたひまわりを待ち望んで 一緒に見に行くこと 迷子になりそうなあいつの手を ちょっと引くことさえできないし
・・・・ たとえば、おんなじように並べられた 雪だるまが融けていくのを 子供のように見つめることもなければ
遊具を見て、過去の約束に思いを馳せることもない。]
(229) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[窓の外は真っ暗だ。 ここは夜でもなければ昼でもない。 まして楽しい文化祭はここにはない。
何の色もない冷たいガレージの中。 こんなところで、おしまいなんだ。]
(230) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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………みれん、だよ、 だってキョースケ、俺……
(231) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[小さく呟いて、目を見開き、顔を覆った。]
(232) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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[寂しい。 ……寂しい、寂しい、寂しい!]
(233) 2019/06/17(Mon) 00時半頃
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ご め ん……
[心が揺さぶられてしまって、 もう何がなんだか分からない。 天と地が逆になったみたいだ。
死ねば終わると思っていたのに。 こんな思いしなくて済むと思ったのに。
俺は椅子から立ち上がって、 人形たちを払いのけて、走り出した。
3年1組がある廊下を走り抜けて 目についた教室へ滑り込む。]
(234) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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[そこは3年7組だった。
高本が音頭をとって 七月が名前をつけて 田所が費用を取り決めて 宮古が決定事項をまとめて 柊がつけてくれた音響があって 宇井野と作り上げたベッドがあって、 灰谷が相原と作った衣装があって 蛭野が化粧をしたおばけがいて 轟木が観客を脅かしていた
3年7組だ。]
(235) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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[入り口からめちゃくちゃに走りぬけて 出口の霊安室まで辿り着く。 息を切らして膝をついて、壁によりかかって
そこで、ようやく、体の痛みに気づく。
ぱらぱらと落ちているのは、 俺の体に少し刺さったままだったガラス絵の欠片だった。
お化け屋敷を仰いで見て、 散らばった絵の欠片を見て、 荒くなった呼吸を整えようとして
…………切れ切れに声がでる。]
(236) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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い…………いた、い
痛い、 痛い……いたい 痛い
いたい…………っ! 怖い、…………嫌だ………やだ、……!!
(237) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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[「取り残されていくのが怖いのか?」>>4:248って 誰かの声が弾けて]
(238) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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[「痛いって言っても、良いのに」>>3:40って 誰かが、笑ってた。]
(239) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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[…………馬鹿だなあ。
どうしようもなく涙が出てしまって、 叫びながら、壁をがりがり爪で掻いて
縋って、って言われたばっかりなのに それがうまく出来なくて
嗚咽を零しながら、 俺は3年7組の片隅で座り込んで、震えてた**]
(240) 2019/06/17(Mon) 01時頃
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―― 七月へ ――
…………戻りたいほう、は、
[記憶がなかった頃限定だよ、とか 今閉店休業だよ、とか、 そんなことは一切いえなくて、 七月の言葉に俺は黙り込んでしまった。>>242
わかってるんだよ。 自分の心を見つめれば、 二つ分、本心があるってことくらい。>>243 死にたいって心に引きずられてる別の心があることは。 そのせいで矛盾ばっかりだ。俺の行動は。]
(278) 2019/06/17(Mon) 07時頃
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飛び降り、んの どうなるかもわかんないのに?
[あのな、俺もこの世界のこと、よくは知らないから ここから落ちて、元に戻れるかは知らないんだ。 だからその言葉を信じられない、って 気持ちで問い返して>>244
やりたいことなんて何もない、という>>245 七月を一瞬じっと見る。 それこそ泣きそうな顔で、だ。]
(279) 2019/06/17(Mon) 07時頃
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消えたほうがマシなわけないじゃん……
[さあ、俺は七月が何をしたのか知らないから 真実を知ったら、何してんだよ、って 怒っちゃうかもしれないんだけど
でも、知らなくても知ったとしても 消えたほうがいいとは思いはしないだろう。]
(280) 2019/06/17(Mon) 07時頃
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[ねえ、まるで雪みたいじゃないか。>>247
雪みたいに言葉が重ねられていって>>248
降り積もって>>249
死にたがりの袖を引くみたいに>>250
そんな希望、もうなかったのに その雪の中に埋もれてもいいかな、って そう思ってしまうじゃないか。]
(281) 2019/06/17(Mon) 07時頃
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なんでそんなに、優しくしてくれんの ヨーコねーさん
そんな風に、いわれたらさあ……
[とどめ、みたいな一言>>252が聞こえて 俺はあなたの手が窓に届く前に、 駆け出してしまった。 あなたがしようとした事を見届けていれば―― きっとそこで、折れていたんだろうにね*]
(282) 2019/06/17(Mon) 07時頃
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嘘つかせないで、って、見慣れた筈の瞳が泣いていた。
(291) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[何で逃げ出したのかなんて、説明がつくもんか。
鬼ごっこって、>>258 俺が君たちを出口まで追いかけるつもりだったのにさあ。
君たちが逃げないのが悪いね、って ……颯太に怖がらせる方法聞いておけばよかった、って 俺はどこかで責任転嫁しながらどこかで後悔してるし
それ以上に、激しく揺れる感情を制御できなくて 見つけてしまった「死にたくない」を認めたくなくて わけもわからず逃げていた。
ほんとうに、意味がわからねえ。]
(292) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[もっと意味がわからないのは このおびえた犬みたいな、あるいは雑巾みたいな ぐったりした存在を追いかけてくる君らがいるって事だ。
生きてなきゃ二度と会えない。>>260 それだけのために生きるの。 生きて、一緒に生きて、 たったそれだけのために、死ぬのをやめるの。 一緒に死のうよ。キョースケ。
なんて、まともに言葉が返せる状態じゃない。 何せ自覚してしまった「痛み」が全然笑えないもんで 俺はいろんな事を思い出してうめいてる。]
(293) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[殴られるの、やっぱ痛かったなあ。とか。 ガレージは暗くってこのまま死ぬの怖えな、とか。 置いていかれるの嫌だな、とか。
そうかと思えば、また現実に戻るのは嫌だな、とか。 また親父のいる世界に戻るの怖えな、とか。 生きるのって、痛いなあ、とか。
国語って難しいからやっぱり嫌いだ。 生きるのなんてもっと難題だから手に余る。 見たまんま、であれば苦労しないのに。]
(294) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[からん、と何かが落ちる音がする。 それがひまわり畑の絵だって理解するのに 大分時間がかかって、 それより先に、きっとキョースケの手が俺の手首を握る。 強く。
濡れた感触に目を見開いて、 手のひらの感触、手のひらから伝わる熱の強引さに 悲鳴のような呻きを止めた。>>262
それが、今まで静かに暮らしてきたお前が そのスタンスを崩してまで伝えてきたことだって 頭が追いつくのに、時間がかかった。
赤く染まった腕が今更赤くなったって なんにも大差はないはずなのに わかんないな。お前の手が熱くって 傷だらけでも生きていたくなってしまう。]
(295) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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キョースケ、俺は、……おれは…… 未練にして、いいの。縋っていいの。 わかんないよ。許されたことないから。
(296) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[それから、 生きて、に、生きろ>>274、が積み重なる。 かちゃりと置かれたガラス絵は、 あの思い出の場所の絵の欠片だった。
あれ、拾ってきたの、 なんて間抜けな質問がでそうになる。 許せよ、今の俺は正気じゃない。
がっと左手が壁から引き剥がされた。 キョースケとは違う強引さで、 悟が俺を引っ張ってる。]
(297) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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……悟、お前のそんな顔、初めて見たよ
[生きろ、って命令形をもう一度聞く。>>276
「俺と一緒に生きるのが当然だろ」って 平然、というより「なんでそうしないんだ」って 男の子が駄々をこねてる表情に見える。 必死だから、なんだろうな。
でも、それを冷静に指摘してやる頭なんか 今の俺にはありはしないんだ。]
(298) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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いつかの公園の景色が頭から離れない。
(299) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[悲鳴みたいな嗚咽だけ、ぽつぽつと零して 両手が拘束されてちゃ涙さえ拭えやしない。 困ったな。]
(300) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[ぐらぐらと揺れる心を引き止めるように ふわり、と暖かくてやわらかいものが被さる。
俺はそれに目を見開いて、 それを乗せたひと、に、思いを至らせた>>288 また涙ばっかりあふれてしまう。] ヨーコねーさん……… 俺たち、まだ、おんなじ……?
(301) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[おんなじかなあ。 まだまだ、同じでいられるかなあ。>>283
俺はあなたを置いて駆け出してしまったけど 自殺なんかしてしまったわけだけれど あなたは、俺にこうやってブランケットをかけてくれて
埋まってていい、って、声をかけてくれる。
もう随分と、俺はそれが欲しかったものだから 欲しかったものを人に与えていたのだから 与えられる優しさが苦しくって痛みさえ感じてしまう。 震えるからだにブランケットの感触がただただ優しい。]
(302) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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「おんなじ」を信じた子供達が遊ぶ銀世界を思い出して
(303) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[そうしてまた、言葉が降り積もる。>>290 降り積もって積もって、……雪解けをもたらす。]
(304) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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なんだよ…… 生きて生きて生きてって……!
そんなに道連れにしたいかよ…… みんな、ばかだ、ばかだし………… ……俺が、一等馬鹿だよ、……っ ちくしょう、
(305) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[荒い息を整えないまま、 無理やり手首をつかんだ手を引き剥がして 無理やり、悟とキョースケの手を握る。 そうして、きつくきつく握った。
誰かのためにと整えられた手に 切り傷があったって構いやしない。
人間の頭の中には地獄があって 君たちは俺をその地獄にとどめていこうとするので 生きて、と奇特なことをいうので その強引な手に、俺の爪痕がつけばいいと思ったんだ。 ……特に悟の手には。
精神世界だからついてもきっと意味はないけど。]
(306) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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わかっ、たよ かえ、るよ………… 皆がいるとこ、……っ、帰るよお………!
怖いよ。やだよ。痛いよ。でも、 生きる道、探すよ、>>250
生きて、やるよ………… 生きれば、 それで……いいんだろ……!
(307) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[…………なんてな。 わかってるよ。頼みを聞いているようで 君たちに縋ってることくらい。
ただ、へたくそなので、 多少の痛みが伴うことは、許されたい。
そうして、俺は君たちに縋ってから……
泣き崩れてしまって 手を握るどころでもなくなってしまって より手近い場所にいたキョースケに 縋りつくように抱きついた。]
(308) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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[……。
…………。
泣いていられる時間は、そうたくさんはなくて]
(309) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……………
[ブランケットを頭からかぶった俺はふらりと立ち上がる。 本当は心ゆくまで埋まっていたいんだけど、 そうもいかない。 それは現実世界に持ち越しだ。
自分の顔を隠すように、 ブランケットの端を持って押さえながら 暗くなりゆく校舎を見た。]
(310) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……ありがとう。
[と、皆にひとこと、ぼそりといってから]
(311) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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…………。 田所さんと颯太、…………。
[と、ハートのぬいぐるみ。
せめて、体育館に運んであげなきゃいけない。 手伝って、って俺は呟いて、 誰がついてきたかは知らないけど 迷わずマネキンのところへ行く。
体はぼろぼろなくせして、 運ぼうとする動きだけ、やけに強情だった**]
(312) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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本当に。 ……そうか。 そうだといいなあ。
[そんなの、奇跡みたいだな、って 眉を下げて俺は笑った。>>313
それと同時に、やっぱり生きて謝らなきゃ。と考える。 なんてったって、みんな受験生なのだ。 人生ですごく大事なイベントが控えてる時に 同級生が自殺未遂なんて、困るだろうし
許されなくても何かいっておくべきなのかなって思って ……どう謝ろうかな、と一瞬困った。]
(328) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[今は、怖くない。 ……怖くねえよ。]
(329) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[縋りつけば頭を抱かれる。>>317 手をつなぐよりしっかり体温が伝わったので なんだか安心してしまった。]
……あったかい。 ありがと、キョースケ。
[なんだよ、俺、ちょろいな。
一瞬、俺は情けない笑みを見せて キョースケの背中に腕を回して縋ったんだけれども 少し恥ずかしくなって、
ありがとうを咀嚼しきる前に、 するすると腕を放して 相変わらず後ろをついてきてくれる気配が 嬉しい、って気持ちを隠すように 毛布お化けになっちまう。]
(330) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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レアだぞ。俺が泣くのは。 ……お前もか。
[俺も初めて見たよ、と高本がいうので 俺は少しだけじゃれるようにそう言い返した。
すかした態度かふざける様子か あるいは委員長らしい笑顔か その三択くらいしかなかったのに 悟は随分といろんな表情を浮かべるようになった。
それがとてもうれしい。 嬉しいんだけど、
強く強く引いてくる力に 俺はすごく安心してしまうのだけれど>>325]
(331) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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あで。やめろ 俺けが人。けが人。
[軽く小突かれて口を尖らせる。>>326 少し元気になった悟は、 随分と良い顔をしていたので、 なんだよ、って、俺は少し悔しい。
プライドがエベレストじゃないお前とか もうただのイケメンじゃねーか。戻せ。早めに。 いや、でもお前の性格の悪さは天然記念物なので やっぱ戻らなくていい。
ぐにゃぐにゃと毛布の内側で考え事をしながら]
(332) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[冷たい校舎を歩いていく。
四階にある田所さんのマネキンを抱きかかえて、 散らばる破片をかき集めて、崩さないようにして
あるいは、 三階にある颯太のマネキンを連れて行って ハートを、しあわせそうな猫の隣に連れてって、
随分暗くなった体育館で、 俺は少しの間、手を合わせる。]
(333) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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|
[あのな。ここでの死は、現実の死ではないんだよ でもな。死の夢は再出発を示すから]
……みんなにいいこと ありますよーに
[どの口が? といわれないうちに、俺はお祈りします。 この地獄に神様はいないけれども より良い明日を願うことは、自由だから。**]
(334) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[帰る、って言った時に、 ヨーコねーさんはまたやっぱり、ぽろぽろ泣いていた。 また女の子を泣かせてしまった。
ごめんなあ、って苦笑することも、 傷ついてしまう肌をいたわることもできなくて
俺はただ、優しい言葉にこくこくと頷いた。>>344]
……うん、 みんな、おんなじ。
…………うん。
[みんなで帰ろ。 一緒に帰ろう。 その言葉をかみ締めて俺は生きることにする。>>346]
(354) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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[たくさん、酷いことをしたし 恐らくはなんにも解決しちゃいなくって いたずらに、巻き込んだ皆に 辛い思いをさせただけかもしれなくて……]
(355) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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|
[俺は少し後悔するように暗くなりゆく校舎を振り向いた。 文化祭の面影は、まだ廊下のあちこちに残っている。
ぱちぱちと瞬いて消えていく蛍光灯の光に 少し、追われるようにして足早に その葬列めいた行進は進んでいった。>>335
きっとずっとお別れだ。 ここに二度と来ることはない。
だから、最後に、 俺はこの場所に切れないシャッターを切って、]
(356) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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[終わっちゃうなあ。 って そういう言葉だけ飲み込んで、前を向いた。 ちらちらとこっちを向いてくる悟に、 なんだよ、って笑いかけて>>338>>339>>340]
( 帰ったら、もっとちゃんと話せるのかね )
[明日の事は何にもわからないから、 悟にまた会うことを楽しみに、歩を進める。]
(357) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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[弔うような、あるいはただ祈っているような 不思議な時間は、どれだけ続いただろう。>>349
初詣の神社でそうするように 「何願ってたの」って聞いたら、 キョースケのお祈りは聞けたんだろうか。>>351
どんな願いであっても、 それが叶いますように。
隣でお祈りをしながら、そう思った。]
(358) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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……は、はいって…… 入ってるよ、たぶん
[俺はヨーコねーさんから降って来た言葉に、>>348 ぱちぱちと瞬きして、思わずそう返した。 あんまり自分を勘定にいれるのが得意じゃない俺だ。
少し頬を掻いて、言い直す。]
俺を含めて、みんな。いーことありますよーに。
[これで大丈夫、と立ち上がって、 帰ろう、っていうキョースケと悟に頷く。
それから、ヨーコねーさん、と呼びかけた。]
(359) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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あのさ。
[ちょっと体を寄せて、小さく耳打ちをする。]
(360) 2019/06/17(Mon) 20時頃
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|
[耳打ちを終えると、
わざとらしく悟に笑いをくれてやり、 内緒話を明かすこともなく歩きだす。
こっちこっち、ってキョースケの手を引いたりして]
[少しずつ、少しずつ、世界は暗くなっていく。]
(361) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[校舎裏の出口に向かおうとして、 ぴくり、と俺は逆の方向を見た。]
(362) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[…………鳴き声が聞こえる。]
(363) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
…………、 こっち。
[皆を別方向に促しながら、
そんなに追いつくのが難しい速さでもなく 俺は一階の昇降口に辿り着く。
シャッターは開いていた。 真っ暗になった校舎に光が差し込んで その中で犬が一匹、丸い尻尾を振って、わん、と鳴くと 光の中に消えていった。]
(364) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[幻が消えた後には、ただただ、出口がある。
真っ暗な中ぽっかりと開いたガレージのシャッター。 冬であるはずなのに、昇降口に射しこむ陽射しは夏のよう。 外に見えているのは――――……]
(365) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[……そこが正しく出口であると、 俺は理解しているのだけれど やっぱり、少しは怖さも残っているので。
俺は振り向いて、皆に笑いかけて両手を伸ばす。]
(366) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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悟。ヨーコねーさん。キョースケ。 帰ろう!
(367) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[冷たい校舎の外に見えていたのは――
――――…………どこまでも蒼い、快晴だった。*]
(368) 2019/06/17(Mon) 20時半頃
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|
[ざんねん。ランドセルにバッタを入れるより きっと悪質ないたずらです。 覚悟しとけよ、悟。
……なんてな。 ヨーコねーさんと笑みを交わしながら 俺はただ「わかってる」に頷いた。>>388*]
(398) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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[出口へと皆がやってくる。 だから俺も、行かなくちゃいけない。]
(399) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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|
[出て行く直前に振り向けば 冷たい校舎がまだそこにあった。
再び戻るまい、と思うことはあれど 俺も人間だ、あそこに戻って 再び閉じこもることもあるのかもしれない。
けれども、その日が来るまで―― 俺が時計の針をもう一度止めていいと思える、その日までは かの校舎に「さようなら」を言っておこう。]
(400) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
|
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[昇降口から外へ出てから、 光の中で捕まえてくる手を握り返した。強く。>>386 君たちが俺と真っ暗な校舎から出て行けば 子供の頃幸せに遊んだ>>382青空が光に変わる。
逃げ場はもうどこにもない。>>393 潜む暗がりもなければ、 深く積もっていた雪>>397も、今はなくって
どこに辿り着くかもわからない光の中で 俺は最後にひとりずつ抱きしめた。
……ちゃんと抱きしめられたかは、 まぶしくって見えてないから、わかんないんだけど
犬の体温くらい? ……それくらいのちょっとばかしの暖かさは 感じてくれると嬉しい。
ありがとう、って心ばかりの礼だ。]
(401) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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[……大丈夫。 最後に少しまぶしいけど、 怖くないよ。>>373]
(402) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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[真っ白い光の中で、 この言葉が聞こえているかどうかはわからない。 だけれども、三人に向けて言うだろう。]
またな、ともだち。 さようならじゃなくって 「また会う」ことをいつまでも願ってる。
だからさ。 今ここで君たちを止めたりはしない。 時計の針を止めることはしないでおくよ。
[君たちと見る明日は、どんな景色だろう。 俺は、ずっとそれが見ていたくって 君たちをここに閉じ込めた。]
(403) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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あのな………… きっと滅多に言わないから、 今言っとく
…………君たちの事が、大好きだ。
(404) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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[だから、どうか]
[願うことはひとつ。]
[おはようのその先で、君たちの笑顔が見られますように。]
(405) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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[冷たい校舎の時は――――――。]*
(406) 2019/06/17(Mon) 23時半頃
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