184 【RP】Septimo Oves Errantes【R18】
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[大量の資料に目を通してはいるが、先程はあれだけあっさりと見つかった、ここに集められた者たちの資料は目にする事が出来ないでいた。 此処にはどれだけの人物の記録が収められていると言うのだろう。 そして、流石に大量の資料を目にしているうちに流石に気づき始めた。
──生年月日の記載が可笑しい──
詳細に人の過去が書いてあるように見えて、此処だけ出鱈目を書いているのだろうか? その様には考え難いものの、生まれ年が過去の物は兎も角未来の年月日のものまである。 確か、今は────。
(大正12年……西暦では、…1923年?)
西暦では断言し切れないが、そう大きくは外していない筈だ。 そして今、手元にある資料の人物は1950年頃の生まれとされている。 これは、どう考えれば良いのだろう? 然し。娘はこれは考えているだけでは仕方が無い事とその見知らぬ人物の資料を三人分ほど胸に抱えたまま、また真っ直ぐに歩き始めた。 向かうのは己の資料を隠した場所。 記憶通りの場所に辿り着くと、娘は自分の資料を開いた。其処に矢張り、己の鮮明な姿絵がある。 己のものと、誰とも知らぬ資料を合わせて抱え込むと、娘は足早に本棚の部屋から立ち去っていく]*
(1) 2016/02/25(Thu) 08時頃
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[木を隠すなら森の中。 資料を隠すなら本棚の中? ────いや、此処には目を通すものは資料しかない。皆、遅かれ早かれ資料を目にするだろう。
ならば、隠してしまってはどうか。 皆が目を通す場所ではなく、あの視界の聞かない漆黒の場所へ。
娘は一度、己が軟禁されていた"傲慢"の部屋へと向かう。 誰かに見咎められたかもしれないが、「疲れてしまいましたので、1人になれる場所で休憩しながら考えさせて頂きますわ」とでも告げて「御機嫌よう」と立ち去るだろう]
(2) 2016/02/25(Thu) 08時頃
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[そして、己と見知らぬ三人分の資料と共に"傲慢"の扉の中へ。 其処は相変わらずの暗闇だったか。 壁に手を添え壁伝いに歩きながら、その成るべく奥へと向かっていく]**
(3) 2016/02/25(Thu) 08時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/25(Thu) 08時頃
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──"傲慢"の部屋に入る前──
[4人分の資料を抱え、首無し男が出てきた扉から自分もまた出ようとした時である。 "どこか行くんですか?"と、先程悲鳴をあげていた情け無い男から問いかけを受けた。(>>4オスカー) だから、相手には眉尻を下げて少しだけ困った風を装ってみる。 今はもう既に顔は平素に戻った顔色。それでも、少し疲れているのは本当だから、疲れは装う事も無かった]
ええ、少し疲れてしまいましたの。 ………ですから、1人で休めそうな場所で考え事をさせて頂きますわ。 御機嫌よう。
[相手はどの扉から出た相手だったか。 色欲、強欲、憤怒、嫉妬。 その4人は確りと把握出来ていたが、彼はどの扉であったか。 疑問を抱いたものの膝を曲げ軽い会釈をし、そのまま"傲慢"の部屋へと入っていく。
そして、中に入ればピタリと扉を閉じ、深い深い闇の中へ]*
(10) 2016/02/25(Thu) 12時半頃
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──"傲慢"の扉の中──
[壁を伝い、暗闇の奥深くへと歩みを進めていく。 袴姿であるのに摺足になってしまうのは、足元に穴でも空いていれば堪らないからだ。穴に落ちて足を挫くだけならばまだしも、奈落に落ちてしまったならば命の保証はあるまい。 どれだけ奥に進んだだろう。資料のうち、手探りで順番を違えぬよう自分の物を握り締め、部屋の奥深くへと投げ入れた。 その後、矢張り壁を伝い元の道、扉の方へと歩いていく。 そしてそっと扉を開き明かりを差し入れると、ぱらりぱらりと残った資料の頁を手繰り視線を落とした。 違えず、自分の資料は闇に包まれた部屋の奥へと隠せた事を確認する]
(16) 2016/02/25(Thu) 15時頃
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(これで、私の資料はあの中からは探せませんわよね)
[そっと、残された三人分の資料は扉の横、光の射す位置へと重ねて置いておく。 1人分が消えるならばともかく、抱え込んだ4人分が3人分に減ったくらいは気付かれにくい筈。 隠した、と思われなければ良い。 扉の隙間から外を伺うが、今は他に誰も居なかったか──生きている者は。 辺りを伺いながらそっと扉から出てくると、扉を閉ざした後に向かってみたのは"嫉妬"の扉の前。 さて、彼女はまだ扉の内側にいるのだろうか]
────もし?
[そっと声を掛けてみる。 果たして、返事はあったろうか]
先程は失念しておりましたが、御髪を整えて差し上げましょうか? **
(17) 2016/02/25(Thu) 15時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/25(Thu) 15時頃
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──"嫉妬"の扉前──
[声をかけ様子を伺えば、薄らと扉が開く。(>>23ヨーランダ) 矢張り、ずっと此処に隠れていたのだろう。 その鎖が外されていたのは知らなかったし、何故か彼女にだけ足枷と首枷がなされているのは思えば不思議だったのだが、それでも相手が女と言うだけで娘には少しだけ都合が良い。 女の園で生きてきた娘には、女の方が余程扱いやすいように思えていたのだから。 薄らと開かれた扉がもう少しだけ開く。 そして、漸く今の女の姿を改める事が出来た。
(────見すぼらしいですこと)
折角渡してやったリボンは、適当に括られている為に見るに堪えない状態になっている。 本来ならば乞食のような女にこれ以上手を掛けてやる事も無いのだが、利用価値を高める為ならば]
(27) 2016/02/25(Thu) 19時頃
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私も、今は櫛を持っておりませんから手櫛で堪忍して下さいませ。
[そして、扉の境で相手の背に周り、一度リボンを解いては手櫛でその白い髪を梳いていく。 どうせならば三つ編みにしてやりたい所だが、放置されていたらしい髪では後れ毛が目立ち醜くなるかもしれない。 それを思えば、先程女がやろうとしていたように、髪の流れを指先で整えながら高い位置で一つに纏めてやった。 先程よりは余程マシになった事だろう。 然しそうしてやりながら、相手の言葉には背後で片眉を上げ笑みを消す。 ピタリと一瞬だけ指先が止まったが、直ぐにキュッとリボンを結び直してやった]
──私も驚きは致しましたわ。 悍ましいとも思いはします。 けれど、こんな奇天烈不可解な状態に巻き込まれて、立ち止まるのは性に合いませんの。
……あの部屋の先には、資料が。
(28) 2016/02/25(Thu) 19時頃
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[相手の問いにあくまで自然な声で語る。 そして笑みを浮かべ直せば、「少しお待ちくださいまし」と、相手の背後から離れて傲慢の扉へと向かう。 少し開き、扉の脇に置いてあった資料3人分を持ち出せば、扉をピタリと閉めてまた女の元に戻ってきた。 そして、無関係3人分の資料を相手に差し出してみせる。 1800年代、1900年代、そして2100年代の生きた場所も時代も別々の人物の資料だ]
あの部屋には、大量の資料がありましたの。 そして見ての通り、犯罪歴が記されておりました。 けれど、ご覧くださいまし。 過去の記録は兎も角────未来の生年月日の物までありませぬか?
其処に記されている犯歴も、悍ましいものばかりですが……。
[とは言え、その3人分の資料の罪はまだ軽い方。それでも、殺人と性犯罪と強盗殺人のものがそれぞれか。 口元に拳を添え、視線を伏せて見せてからそっと問いを向ける]
(29) 2016/02/25(Thu) 19時頃
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この資料の信憑性を確かめる為にも、お姉さまにお伺いしたいのです。 ────貴方様の生きる時代は、私と異なるのかと。
[視線を上げ、相手を真っ直ぐに見つめ直す。 凛としたその表情は、憂いも不安も現れる事はなかった。
傲慢な娘は、この女は良い様に出来そうだとタカをくくってもいたのである]
(30) 2016/02/25(Thu) 19時頃
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──"嫉妬"の扉前──
[相手の内心には気付かない。 何処までも臆病で、不甲斐ない女なのだろうと見下してしまう。 この女が重要かもしれぬ鍵や食料を持っている事も知らぬのだ。 思えば、自分はどれだけ此処に居なければならないのだろう。
(1人を指し示すまで────?)
ならば、適当に自分以外を選ばせれば良いのだ。 自分の心の中は既に決まっている。 婦女子に乱暴を働く上、猟奇的に女体を保存するなど────それが必要である事では無いならば理解に苦しむ。 何事か自分に起きなければ、そのまま あの色欲の異人を指し示すだろう。 そして、相手の言葉に耳を傾ける]
まあ…、私は1907年の生まれですわ。 それが本当なら、国どころか時代すら違う方々がここに………?
おねえ、さま?
(38) 2016/02/25(Thu) 20時半頃
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[然し、思考を巡らせようとする間もなく、白髪の女は歌を歌い始める。 意味は何故か分かった、分かったが不愉快な歌だ。 そしてフラリと女は立ち上がり、何かに誘われるかのように本棚の間へと向かっていく。 呆気に取られたように相手の背を見送っていたが、小さくため息をついた。
あの女とは、まともな会話を長くするのは難しいのかも知れない、と。 そして、扉の境にいた女は辺りを確認する。
────その"嫉妬"の扉が開かれたままならば、興味本位で中を覗こうとするだろう。 もし、外からの光が届く位置に"何か"があったならば、その興味のままに中に入るのだろうが、そもそも扉は開いたままだったろうか。 閉ざされていたならば、暫し呆然と彼女を見送った後、再び手元の資料を開き見るふりをするのだ]
(39) 2016/02/25(Thu) 20時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/25(Thu) 20時半頃
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──"嫉妬"の扉前──
[立ち去っていく白髪の女(>>40ヨーランダ)を見守っては僅かに眉を顰めてしまう。 せめて、あの首無し男からもう少し離れて歩けばその服の裾を踏む事も無かっただろうにと。 そして、視線を嫉妬の扉の内側へと向けた。
────何か、ある。
あの女は此処に何かあるかとは言っては居なかったが、何が置かれているのかと扉を開け放したまま中へと入ってみた。 そして見つけたのは、ある程度の食料。 ────何故、こんな物がこんな所に]
……私の部屋にはありませんでしたわね。 これは、一体……?
(42) 2016/02/25(Thu) 21時頃
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[盗ろうとは思わぬが、何故ここに食料があるのか。 疑問を抱きながらも、恐ろしい想像が頭を巡り思わず自身の腕を握りしめる。 悲鳴を上げて、逃げ惑って、しかしそれが全て演技なのだとしたら? ────あの女、なかなか食えぬかも知れぬ。
一度、娘は嫉妬の扉を大きく開き、その外側へと腰を下ろしては改めて手持ちの資料を広げてみせた。
さて、これからどうすべきか。 資料には思考は向かず、頁を手繰る事も無いままそのまま暫しぼんやりとしているのだった]
(43) 2016/02/25(Thu) 21時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/25(Thu) 21時頃
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[ぼんやりと、資料を眺めるふりをするつもりがいつの間にか首無し男を見つめていた。 しかし男の肉は硬そうで ──しかし子供の肉では特効薬にはならぬのかとか ──自分よりも兄に喰わせねば意味が無いだとか そんな、今考えても無意味なことをつい考えてしまう。 小さくため息をつき、一度静かに瞳を閉じた]
(61) 2016/02/26(Fri) 00時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/26(Fri) 00時半頃
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[その悲鳴に娘は目を見開き全身を強張らせた] (>>77ヨーランダ)
────何事ですの?
[訝しむ視線を辺りに巡らせるが、その叫びはどうやら今自分が境にいた、嫉妬の扉の奥側からでは無かった。 それぞれの扉の奥は知らないが、今、皆が居るのは────恐らく。
懐から小刀を取り出す。 護身用にと持たされたそれを護身に使う事はなく、特効薬を得る為だけに使ってはいたが、何も持たぬよりはマシだろう。 緊張した面持ちで、しかし走り出すような事はなく再び資料室へと向かう。
嫉妬の扉は開け放たれ、資料は散乱したまま。 再び、記録の間へと足を踏み入れていた]
(81) 2016/02/26(Fri) 06時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/26(Fri) 06時半頃
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──記録の間にて──
[記録の間へと足を踏み入れる。 コツッ、コツッ、とその踵が鳴る音は決して早くは無い。走っていて見落とす方が余程恐ろしい。
──何事か起きているのだとしても、肉壁一つ失われたに過ぎぬかもしれぬのだし。 状況は確認すべきだが、慌てる必要は無いのだ。
自分の居る方からでは無かった、しかし資料の間の何方らからまでかは流石に分からない。 しかし歩みを進めるうちに、黒づくめの男──今はまだ確りと把握はしていないが、暴食の彼を視界に捉えた。 その時はまだ何かを食べていたか(>>25オスカー)、それとも流石に何かをしようとしていたか]
────もし。 今の悲鳴は────?
[小刀を握る手に力がこもる。 緊張した面持ちは僅かに青ざめていただろう]
(88) 2016/02/26(Fri) 08時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/26(Fri) 08時半頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/26(Fri) 12時半頃
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──暴食と、強欲と──
[暴食の男の様子は如何だっただろうか。 一声掛けたが、そのままツイと顔を部屋の奥へと向ける。 バサバサと紙が落ちる音が響いた方へと(>*9ニコラ) そして、人のうめき声も届いたか。 それを受け、緊張した面持ちのまた告げた]
────私は彼方を見て参ります。 あなた様は、如何なさいます?
[その、返事も聞かぬままだろう。 コツリ、コツリ。 急がぬ足取りではあったが、事の詳細を知る為にはここで相手に言葉を聞いても仕方なしと思えたようだ。 相手がついてきたとしても、別の方向に行ったとしても、留まったとしても特に気には止めなかっただろう。
そして歩いて行けば血の臭いが濃厚に漂ってくる。 ヨーランダに渡したリボン(>>92)は血溜まりに落とされていただろうが、資料の山の中へと消えていたかもしれない。 そしてその資料の山の中には────]
(96) 2016/02/26(Fri) 18時頃
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………ニック様?
[瞳と、脇腹と、肩とから血を流す男の姿があった(>>94ニコラ) 一度足を止めてしまうが、眉をキツく寄せては小刀を一度懐にしまい、その代わりに手拭いを取り出しては相手の目の下へと押し当てようとした。 白いそれが血に染まるのは構わない]
酷い事を……これは、何方が?
[物は汚れれば棄てれば良い。 使えなくなれば新しい物を用意すれば良いのだ。 この男からは、先ず何があったのかを聞かねばなるまい。
捨てるとしても先ずそれからだ。 だから、手拭いで血を拭おうと試み、嫌がらなければそのナイフに触れて抜こうとでもしながら更に止血して優しい声を掛けてやろう。
腹の中では酷く冷淡に、優しい娘を装ってみるのだ]
(97) 2016/02/26(Fri) 18時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/26(Fri) 18時頃
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[血は似合わない──── そんな事、貴方が決める事では無い。 そんな風に言ってしまいたいが、男である彼がこれ程までに手傷を負うとは。 労ってやらねばなるまい。 そして、手を下した相手を警戒せねばなるまい。 白い手拭いが血に染まる。それでも強目に押し当てれば、少しはその流れる血を止める事は叶うのだろうか。 女は知らない。どの程度の血が流れれば、人は死に至るのか。 紐で子供の細首を縊り殺した事しか無いのだから。 青白い顔は生者の血を見たからだろう。 死者の血ならば、何とも思いはしないのに。 抜いたナイフはカラリとその場に落とした。肩の物を抜けば、懐から普段は首を締めるための紐で肩に強く巻き付けての止血を試みる。 腹部に刺さったそれには手を伸ばしかけて、然し寸での所でそのナイフに触れる事を止めていた。 止血する道具が足りなかったから]
(109) 2016/02/26(Fri) 20時半頃
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[然し、この男を傷付けた相手が警察を名乗った男であると聞けばハッと我に返った。 辺りをよく見れば資料の山が途絶えたあたり、血痕が続いている。 あの方向へと逃げたのだろうか。 よく見れば扉もあるでは無いか。
一度立ち上がり、その扉へと向かいドアノブを回してみる────開かない(>>108ケイイチ) 辺りに鍵が落ちていないか視線を巡らせながら、そっと扉へと耳を押し当ててみせたが音は何か聞こえただろうか。 どちらにしても、小さく溜息をついて]
────もし、ニック様。 此方の多量の血は…………?
[やられたから、やらざるを得なかったのか。 それが、もう1人ここに居た人物を知らぬ身では、続く血痕と扉前に残された其れが、相手の物というよりは小競り合いの末、警官が流した血にも思えた。
ならば、先に手を出したのは何方だろう? 警官が手を出したと言うのならば、どうしてここに逃げ込むような事をしているのだろう。
果たして凶行に及んだのは誰だ?]
(110) 2016/02/26(Fri) 20時半頃
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警官の方も、怪我を負われているのでしょうか。
[だから、尋ねたのはそれだけだ。 コツリコツリ、相手の元に戻りその傍らで膝をついてはさり気なく落としたナイフへと手を伸ばす。
答え次第によっては。 ────この手負いの男くらいなら]
(111) 2016/02/26(Fri) 20時半頃
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──暴食と、強欲と──
[自分と共に叫びの大元に来た男は、この惨状を見て気が触れてしまったか。(>>114オスカー) 初めも悲鳴をあげていた、情けない男────酷く優しい男なのかもしれぬが、こんな時に動けぬ様では腑抜けと言われてもしょうがないであろう。 女の自分が動けるのに、何とか弱き事か。 益荒男とまでは行かずとも、大和魂を持つ男は居ないのか。 もっとも、彼が何処の生まれのいつの時代の人物かについては失念してしまっている。 この娘は何時でも己の価値観でしか人を判断せず、そしてそれを当然と思う節があった。
なぜならば────"至極当然"であるから。
奇妙な笑い方をして立ち去る黒づくめの男をチラリと見ては眉を顰める。 気の弱い男の行く末を案じてやる暇は、今は、無い]
(116) 2016/02/26(Fri) 22時頃
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────醜い、人形? 人形が血を流す筈は無いではありませぬか。 人形とは────、
[其処まで言葉にしてはヒュッと喉を風が通った。 そのまま息を詰める。落とされたナイフを握り締め、俯かせた顔は能面のように感情を消していた。 俯いた事でぱさりと黒髪が落ち、尚のことその表情は相手から隠れてしまっていただろう]
(117) 2016/02/26(Fri) 22時頃
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[相手の言葉には吐き気がする。 確かに人形の様だ、と形容される事もある。若く美しい自分ならば当然の事。
だが、自分はただ黙って座っているだけの人形ではないのだ。 自分の意思で立ち、自分の意思で全てを決めることが出来る強き者なのだ。 兄の病があったからこそ不遇を強いられてはいるが、見てみろ、兄を蝕む病はそれ以上深刻にはならず、己の身にも降り掛からぬではないか。
それは、娘が特効薬を手にする強い意思があったからだと娘は自賛する。 特効薬があると知りながらそれを隠し処方しない医者には用は無い。 非人道的?ならば、死刑囚の人肉でも喰わせれば良いのに、それを特効薬とせず人道の一言で火浦を切り捨てる臆病な愚か者には用は無いのだ。
ならば、自分自身でそれを得るのみ。
この目の前の男とは、人を人として見ていない点は似ていたかもしれない。 だが、それは似て非なるもの。 娘は美しさは求めない。 血を保つ事、強き者が強き者であり続ける事を望むばかり]
(130) 2016/02/26(Fri) 23時半頃
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色欲の男にも、誰が穢されるものですか! 家を守るための身体に何という…………っ?!
[ぼたり、ぼたり。両手で何とか押し返されまいと均衡を保とうとしていた力のバランス。 しかし、相手の口から落ちてくる赤や、貫く手から溢れる赤が己の両手を汚しぬらりと滑った。 踵の高いブーツでは、急に崩れた力のバランスに体がフラつきそのまま横倒しに資料の上へと倒れこむ。 小さく呻いてはとっさに懐に手を伸ばし小刀を構えようとするが、懐に手を入れながら相手を肩越しに振り返った時に彼はどうしていたか]
(131) 2016/02/26(Fri) 23時半頃
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私は火浦家の娘! 人形などとは笑止!!
[緋色が降りかかる、汚い、穢らわしい、しかしあれは薬になるのかも知れぬ。 手や頬に散る相手の赤はそのままに、着物に散るそれは深く染み赤色から鈍い茶黒へと変化していく。 しかし均衡が崩れ此方が倒れれば、相手もまた此方に凭れる様にして────。
重い、汚い、汚い、嫌────]
無礼な────っ!
[より相手にナイフが刺さり血がこぼれていく。 自分が凶刃を振るい抵抗され、その為に均衡を崩した結果と知りながらも自分に凭れかかるように触れられたのは酷く心外であった。 男が触れてくれるな。 火浦の子女に気安く触れるな。 ────其れは、その心を保つための心の鎧であったかもしれぬが]
(134) 2016/02/27(Sat) 00時半頃
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────ええ、神や仏とやらは余程残酷ですわよね。 祖先の罪ならばその祖先に与えれば良いでしょう? その子孫である私たちに被せずとも良いではありませんか。
[相手の言葉を拾いながら、淡々とした声で言葉を返す。 立ち上がろうにも出来ぬ相手を見ては、その心に少し猶予が生まれたか、顔に掛かった髪を耳元に掛けていた。 そして懐から小刀を取り出しそれを鞘から引き抜きながら、相手に近づき────立ち上がれぬよう、ブーツの踵でその体の中心を踏み付けようとする]
………御機嫌よう、ニック様。 貴方も余程危険な方でしたのね。 異人の殿方は皆、そうなのでしょうか?
(135) 2016/02/27(Sat) 00時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 01時頃
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はっ、はぁっ、────ん………。
[随分と自分も汚れてしまった。 相手の衣服もそうであるが、それにしても酷い。 身綺麗にする方法は無いかと逡巡した末、娘は顔だけでもと振袖の汚れていない部分で血糊を拭う。 完全に綺麗とは言えぬが、滴るものも無くなり顔と首もとだけはだいぶマシになった。 軽く下唇を食めば、微かに鉄の味がする。 男の体はその間も尚痙攣していたようだが、それも漸く収まったのを見ては男の体から降り、ごろりとその体を返して仰向けにさせてからその傍らに膝を着いた]
(147) 2016/02/27(Sat) 03時頃
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[先程の首無し男とは違う。 確かに自分が仕留めた獲物を見下ろしながら、先ずはその顔を見つめた。 この男こそ、あんな狂った思想を持たねば綺麗な顔立ちをしているのにと、傲慢な娘は哀れに思う。己もまた、その狂った思考と然程変わらぬ自覚は無し。 そしてその顔を見つめ、先ずは傷が付いていない方の目玉へと指先を伸ばし]
(148) 2016/02/27(Sat) 03時頃
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────っ、そう、言えば……
胆嚢、でしたかしら……?
[そして今度は、相手の衣服を剥いでいく。 相手の仕立ての良かっただろうスーツのボタンを外し、シャツのボタンを外してはその腹を露わにした。 解剖図────そこでは、確か胆嚢はかなり小さかった筈。 しかし、その胆嚢こそが薬なのだとも、噂に聞いたことも。 だからこそ、兄に食わせるならそこだと、娘は小刀の切っ先を相手の腹にあてがい突きたてようとしたが。
眼球を飲み込むのに暫し手間取った。 この男がこの空間ではいつか目覚めてしまうとは、娘は知らない]**
(149) 2016/02/27(Sat) 03時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 03時頃
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[良薬口に苦しとは言うが、苦いと言うよりは鉄臭くて堪らない。 それでも特効薬になる筈と、愚かな噂を信じ込む傲慢な女はそれを飲み込むのだ。 ほら、だから、予めそれを口にしていた自分は病に冒されてはいないだろうと。 だから女は、その罪が世間に晒されるか真実を知るまではこの行為を続けるのだろう。
真実を知ったところで、自らの行いを恥じたり懺悔したりはするまいが。
真実を知ったならば言うだろう。 ──遺伝性でないならば、火浦の家を断絶させるよう言われずに済んだのに。 それを報せぬ医者が悪い。 それを調べ、知り、伝えるのが下々の人間の仕事であろうに]
(155) 2016/02/27(Sat) 08時半頃
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[娘は眼球を飲み込む事、そして今度は内臓を捌く事に気を取られていたからこそ男の傷が癒えていたのには気付かなかった。 腹の刃物は突き刺さったままであったし、掌のものもそうだ。 其処に気付かなかったのは当然だろう。死体の傷が何故癒えると言うのだ。そもそも、死者が生き返る筈もない。 生きているならば、目玉をくり抜く時に叫んだり暴れたりもするだろう。 それが無かったからこそ、相手はもうすでに死んだものだと信じて疑う事は無かった。 指先で、相手の体の前側を晒すとその体の筋を辿っていく。 胸の中心から真っ直ぐに下ろし、肋骨の下側を辿るようにして左側に滑らせた]
(……確か、図解ではこの辺り……)
(156) 2016/02/27(Sat) 08時半頃
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[それにしても、この様な形で殿方の肌に触れる事になるとは。 先の男の言葉が蘇る。 純血のまま人形に? ────嫁に行けぬ身になった娘には、その言葉が酷く自尊心を傷付けてもいた。 本来ならば、もう良家に嫁いで他の退学していった友の様に夫婦となっていて良い筈なのだ。 美しい娘は在学中に良縁に恵まれ、退学して嫁ぐのが当たり前だった時代。 他の卒業面と呼ばれる醜女たちと共に卒業しなくてはならぬのは、酷く────。 切っ先を、己から左側の腹の上部に充てがう。そして、両手で握り体重をかけて
ず ぶ り────
切っ先を沈ませた時、体が震えたのみならば死後痙攣のうちかと、一瞬身を竦ませながらも────そのまま小刀の先を下腹部に向け、ギリギリと力を込めて下方に腹を裂こうと試み始めていた]**
(157) 2016/02/27(Sat) 08時半頃
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ひっ────?!
[死体が動いた。そして、娘の細い手首をがしりと捉えたのには流石の娘も小さく悲鳴をあげていた。 先程までは初めての眼球の感覚に、大の男を殺した事実に、何とも奇妙な興奮めいたものを覚えていたのだがそれも瞬時に醒めた。 血の気が引き顔が青白く染まる。 狼狽えた娘の力など、手負いの時とは違い力を取り戻した男に勝てる筈もない。 小刀が引き抜かれ、突き飛ばされ娘は資料の山の端に尻餅をつく。 しかしその痛みよりも死体が生き返ったその衝撃の方が強い。 口元を抑え、ガタガタガタと無様に震えながら驚愕の顔で相手を見つめる事となった]
あ……、ニック、様……… なん、で………、確かに、死………っ
[そう、確かに死んでいた。 では今の相手はなんだ。 片目を空洞にして、此方を見つめて来るこの男は。 死霊?いや、そんな物が存在していたならば自分はとうに遭遇している筈だろう。 だが、そう。 この男は死霊であれそうでなかったとて ────危険]
(163) 2016/02/27(Sat) 10時頃
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い、や………っ!!
[今は小刀はあちら側にある。 紐もナイフも、突き飛ばされた己の側には落ちていない。 だから手にできたのは散らばった資料くらいの物だ。 バサリバサリ、幾つかの資料を相手に投げつけてはその空洞の目から逃れようと背を向ける。 このままでは幾ら何でも勝ち目はない、然し。
パァン、と何かが強く弾ける音。(>*34ジェフ)
背を向け、ビクンとその身を強張らせる。 余りの事態に、この傲慢な娘ではあるがその瞳から雫が確かに満ち、こぼれ落ちようとしていた]
(164) 2016/02/27(Sat) 10時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 10時半頃
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[生き返り────生き返り? 本当に彼は生きていると言えるのか。 確かにアレだけ首の後ろを切り刻んだ。左目もほら穿った分窪んで、貫かれたままの腹部や左手もナイフが刺さったまま。 死霊?生ける屍? しかし其れにしても、この男は表面上穏やかに見えた。 相手の言葉に返す言葉は見つからない。 余計な言葉を綴って相手を怒らせるのは────敵に回してしまうのは余程、己の身に危険が及ぶ気がする。
逃げ切れるか? 殺しても、こうして立ち上がってきているのに? これは一体…………何故?
頭をグルグルと疑問が巡るも答えなどありはしない。 相手に退いて貰おうと資料を投げつけてみせたのに、何故相手は全く関係ない事を謝罪してくるのか]
ララ……………?
(167) 2016/02/27(Sat) 13時頃
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[聞き慣れぬ単語。其れが何か物の事なのか、誰かの名前かすら分からずに其処だけを問い返す。 しかし逃げようとして聞こえた銃声に、そして穏やかな物腰ながら尚のこと近づいてくる相手にへなへなと膝の力が抜け座り込んでしまった。
どうして、自分がこんな目に。 ────祖先からの天刑としては、余りにも無慈悲ではないか。 血の臭いには慣れてしまった。 しかし、死霊の存在など知らぬ。 自分が殺した者が生き返る恐ろしさは知らなかった。 況してや誰が、何故、発砲したと言うのか]
い、や、────来ないでくださいまし………!
(168) 2016/02/27(Sat) 13時頃
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[逃げなくてはならない、それは分かっているのに体が言う事をきかなかった。 今目の前で起こっている事を拒絶するように双眸を固く閉ざし、言葉すら聞くまいと────死霊に惑わされまいと耳を塞ぐ。 はらはらと透明な雫がこぼれ頬を濡らしていった。
こんな時。 ────念仏の一つも唱えられない程の不信心者だから、兄共々天刑を食らったのだろうか。 それならあんまりだ、それが大事だと自分たちに誰も教えなかったではないか。 清めの塩でも持ち歩いていればよかったか。そんな、今となっては考えても仕方のない事ばかりが脳裏を過る。 傲慢なこの娘も、今は目の前の死霊が自分に害を成さぬよう祈るばかり。 細い肩を小刻みに震わせて、信じもしない神仏に祈りを捧げていた。
────せめて、立ち向えるだけの武器が欲しい、と]**
(169) 2016/02/27(Sat) 13時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 13時頃
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いいえ、いいえ存じません…! それは、貴方様の大切な方のお名前なのでしょうかと……。
[聞こえた疑問符に、瞳を閉ざしたままふるふると首を横に振る。 ただ、その名を繰り返した時の優しげな声から大切な"誰か"なのだろうかと推測してみた。 人を思いやる時の声は穏やかになるのは知っている。知っているからこそ装う事もあるが、今の男がそうであるか否かは分かることが出来ないでいた。 艶やかな黒髪の先が首を振るたびに舞を踊る。 涙を零してしゃくり上げ、どうしてこんな恐ろしい事になってしまったのか────情けない事になっているのかと、怒りすら覚え始めていた頃。 現実は残酷で、見ようとせずともその姿を無理やりにその姿を誇示してくる。 目の前にしゃがみ込み、視線すら合わせようとする。その片方は空洞だと言うのに。 ビクン、と体を跳ねさせては相手を見上げた。 固く閉ざした両耳は片方は無理やり手を剥がされて、抗いようもなく。 抗った所で、今の男には力では敵うはずも無い。 だから、軽く力を込めて抵抗の意思を示したものの、それだけで無駄な抵抗はしなかったが────]
(172) 2016/02/27(Sat) 16時半頃
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[紡がれる問いには目を見開き、そして一度伏せる。 長い睫毛が娘の目の色を覆い隠したが、繋がれていない手の側、袖でその涙をそっと拭っては相手を真っ直ぐに見つめなおす。
────嘘偽りを述べた所で仕方あるまい。相手が死霊ならば、いずれ嘘は暴かれてしまうだろう。 誤魔化すにしても、悪い事はしていない筈なのだ。何故ならば────]
────薬にさせて頂こうとくり抜かせて頂きました。 ニック様はお亡くなりになったとばかり思っておりましたから。 生きていると存じていればそんな無体な事は致しませんでしたが……申し訳ございません。
(176) 2016/02/27(Sat) 16時半頃
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[そう。死んでいる相手だから、それを特効薬として得ようとした。 まるきり死んだようであった。否、恐らく彼は確かに死んでいた。 だとすれば目の前に居るのは死霊。 死を認識できていない、哀れな魂に過ぎぬのではないか。 だから、此方も情けなく怯えるのは止めよう。 そうは思っても、心の奥底ではこの異常さに怯えを消しきれてはいない。 だが高みに立つ事で、優しく接してやる事で、その虚栄心を保とうとしていたのだ。 一応形ばかりの謝罪は述べたが、空洞を見つめるのが苦になりそっとまた視線を伏せる。 相手の右手を握り締めては、諭すように穏やかな声音を向けた]
ニック様………、あなた様は、ご成仏されては如何でしょう? 手にかけた私が言うのも、申し訳ないとは思いますが……。
(177) 2016/02/27(Sat) 16時半頃
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[そうしながら、空いた片手を相手の左胸に伸ばした。 きっと心の臓は止まっているはずだ。 これは一度死んだ者だ。 死霊に負けてたまるか。 繋いだ相手の右手、そこから伝わる温もりめいたものはきっと偽りだ。 自分の怯えからくる幻だ。
目を覚まそう、覚まさなくてはならない]
あなた様はどうすれば、ご成仏できるのでしょう?
[しかし、根底に残る怯えは判断を狂わせる。 相手に成仏と言う概念が当てはまるか否かすら、今の自分には判断できないでいた。 そして信じ込みたかったのだ。 相手はもう死んでいるのだと幻だと。
────この、手から伝わる温もりは幻であると。 目の前にある筈の現実を、娘は知らずに拒否していたのだ]
(178) 2016/02/27(Sat) 16時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 16時半頃
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[自分とそう年も変わらぬ娘が居るならば自分の悲嘆も理解できるかもしれぬ。 否、矢張り理解できないだろう。人を、女を人形と見下すような男では。 娘をいくら可愛がっていても、きっと籠の鳥にしてしまう人種なのだろう。 ────それでも娘が想像を巡らせる事が出来るのはそれまでだ。 まさか、籠の鳥どころか窓辺の人形にされているとは思いもしない。 あゝそれでも生きているならばマシなものを。 しかし病について問われればつい口にしてしまうのは、それが自分にとっての理由であり言い分だからだ。 これさえ無ければ、自分は────]
天刑病、または癩病と言いますの。 遺伝病と言われております、人に移る事は無けれど子孫に病を残さぬ為に子を成す事を禁じられますわ。 ……兄がそれに罹り皮膚を歪めましたわ。 私も、いつか────けど特効薬があれば……。
(186) 2016/02/27(Sat) 20時半頃
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[そんな風に囀りながらも、その特効薬は何だったのかを思い出せば口を慎んだ。 思えばこの男は静寂を好むようだったと、あともう少し早く思い出していればもっと取り繕えたのかもしれない。 しかし娘はお喋りだ。 女の園で育ってきた姦しい娘だ。 だから、押し黙るのは常に窘められてからだったから、今はコレでも早い方。 然しそれでも、遅かったかもしれない]
────目には、目、を………?
[その法典の名は聞いたことがあった。 そして、覚えのあった一説に目を見開き、握られた手を引こうと試みる。 しかし続いた言葉では、目は惜しいと言う。ならば、何を? 何で贖えと言うのか、この男は? そして、娘に会わせてくれたとは?
まさか、この男、実の娘に何を……………?!]
(187) 2016/02/27(Sat) 20時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 20時半頃
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[殺される。 その恐怖を娘は初めて味わっていた。 相手の手を握り押し返そうとする手は外すことができない。 これが無ければあっという間に喉の奥を貫かれ頭蓋を砕かれてしまうかもしれない。 だが、相手のいう不可解な言葉をそのまま受け取れば、どうやら命を奪うつもりは無いらしい(>>191) 顎に手をかけ、開かれたまま固定される。息苦しさに、溢れる血に涙が溢れるが、それよりも酷い恐怖と嘔吐感に耐えられそうに無い。 この時、"なぜか生き返った男"を正しく理解していたならば、娘は敢えて真っ先に死を選んだかもしれない。 だが、その異様な状態を確りと把握出来る程には娘は冷静ではなく、そして若輩者であったのだ。 自分の世界しか知らぬ、自分の砦の王だったのだから]
(193) 2016/02/27(Sat) 21時半頃
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んんっ!………ヴ、ぐ、ぇう……っ!!
[喉奥を刺激されて、吐きたくも無いのに胃液がせり上がってくる。 ごふ、と口まで出かかったのを懸命に血液ごと飲み込んだのは────粗相をしたくない、或る意味立派な自尊心から。それでも飲み込んで更に酸っぱいものが込み上げてくる悪循環に、鼻での呼吸がより荒く小刻みになってくる。 相手の手元が狂えば、殺される。 殺されるよりは、マシ────?
(い、や、惨めに生きるよりは死した方が────!!)
嬲られてまで生きる意味が己にあるだろうか。 己の価値を落としてまで、生きる意味があったろうか。 そう、先程までは死に怯えていた。 だが、果たしてこんな風に惨めに踏みにじられてまで、生きていたかったか?
無論、死ぬに相応しいのは相手の方だ。 だが────]
(194) 2016/02/27(Sat) 21時半頃
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[この男は何を言っている? 娘には到底理解できぬ価値観だ。 娘は決して、死を持って美しくなろうとした訳ではない。死を持って美を保つというならば、成る程、こんな手段は取らずにこの男の言うままに従うこともしただろう。 娘が守りたかったのは自尊心や魂そのものだ。その為ならば美醜など問わぬ。だからこそ窒息した時のその姿など考えてもいなかったのだ。 だから、声帯が切り刻まれる痛みに視界を赤色に染めながらも、次の目論見が果たされ舌が断ち切られれば────ホッと肩の荷が下りた気がしたのだ。
これで、この男の思う通りにはなるまい。 この男に良いようにはされまい。 死した後に人体を取り出し保存するような狂気もこの空間に存在していたが知るものか。 今、目の前にいるこの、己を脅かした男に屈するよりは────と]
(197) 2016/02/27(Sat) 23時半頃
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あ────がっ?! かっ、ひゅ、ふぁ───っ、う、ううっ?!
[しかし口内に血の味が広がり、喉に舌先の塊が転がり込んだ頃。 自分を苛みながらも最後は救いの一手となろうとしていた刃が引き抜かれ、代わりに入り込んだ相手の手に堪らず呻く。 ズルリ、柔らかな舌の塊が引きずり出されれば途端に入り込んだ酸素に喉がなる。 しかし直ぐに多量の血液が喉を塞げば、多少は飲み込んだもののゲホゲホと血の塊を吐き出していた。 訳も分からず抱きしめられる。 口内も喉奥も焼けるように痛い、熱い。 なのに指先が冷たくて痺れて堪らない、それでも抱きしめられることが嫌で堪らず相手の肩を押し返し首を横に振る。 違う、そうではない、そう否定したくて唇を震わせようと、ごふりとまた血を吐き出して────そもそも舌を失い声帯を刻まれた娘では、まともに言葉を発する事はもうできなかっただろうが]
(198) 2016/02/27(Sat) 23時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/27(Sat) 23時半頃
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[傲慢な娘は今は冷たい死骸となっていた。 舌先は取り出され、放られてしまっただろうか。 声帯ならば、刻まれただけなら回復するだろう。 しかし舌が戻らねば、上手く物を飲み込む事も発音する事も叶わない。 ────もし、相手が冷静であったならば、今こそ声帯を成す部分を取り出して完全に声を失う道を辿っていた事だろう。 そうでなかったことばかりは、娘にとっては幸いか。
────いや、本来ならば。 こんな場所で自ら命を絶つ事も 厭う男の腕の中で命尽きた事も その後に抱き上げられ、骸とは言え連れられていく事も 娘にとっては決して幸いなどではない。 しかし瞳を閉ざし血の気を失い命尽きた今では、その自尊心ばかりは保たれた この、短い間だけは。
その冷たい骸に温もりが再び宿るのはいつ頃か。 傷口は口内にばかりあったから、その癒えていく様は見ようとしなければ見えなかっただろう。 暫し娘は、漆黒の安息の夢を見る────]*
(203) 2016/02/28(Sun) 01時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2016/02/28(Sun) 01時頃
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