270 「 」に至る病
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[>>337目が合ったなら、激情の痕跡も残らない瞳を細めて微笑んだ。 初めから自分は狡かった。 惜しみなく労力を注いで言葉を尽くしてアオの長い人生に自分を刻んだ。
そして今、その終わりすら奪おうとしている自分がいて、自分自身から彼をどう救おうか、その為の言葉を探している。]
(10) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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[100年一緒にいて、こんな風に縋りつくアオを見たのは初めてだった。 こんなに自分の死を惜しんでくれるなら、この瞬間舌を噛んでも良いとゆっくり上歯を引き上げた時]
は――……?!
[飛び出したのは、思ってもみなかった一言。 「被害者」という言葉が彼のトラウマを抉ったのか。>>339 こんな時まで無意識に彼を自分の死に巻き込もうとしてしまったのだろうか。
戸惑いで動けずにいると、言葉が重ねられ。>>340]
(11) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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……、
――……、 ・・、
(12) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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……初めてのデートの誘いが天国かー。 俺だけ地獄に行かされたりして。
[出来るだけ冗談のように言ったつもりが鼻声になる。 どうやら涙腺が壊れてしまったらしい。
髭面のおっさんの泣き顔など一部のOTAKU文化でしか許容されないような絵面を晒して、アオの赤い舌が自分の手首に触れるのを眺めていた。]
(13) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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[はあ、と吐く息が熱い。 吸血行為による多幸感を堪え性のない身体が別の慾に変換しようとしているのを頭を振ってやり過ごした。
傷は塞がった気配がする。 血に染まったシャツは捨ててしまおう。]
(14) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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[殺せ、と言われたことで、堕ちていくばかりだった心に少し安定が戻った気配がする。 皮肉なものだ。
部屋の壁掛け時計で時間を測れる程度には理性もある。]
噛んだ傷じゃないから量はまだ足りてない? いつもの時間過ぎたよ。
[黒髪をくしゃりと撫でて告げた。]
(15) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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そういや俺帰って来てシャワーも浴びてねぇや。 新陳代謝のスパン長くなってんだから汗もかかなきゃ良いのにな。汗臭いだろ?
……安心しろよ、勝手に死んだりしねぇから。 俺が死ぬ時にアオくん連れてくなら、その前にソラを見送ってやんなきゃだろ、そこまでは踏ん張るから。
[さて彼は通知からどれくらいで顔を上げるのだろう。 きちんと味わって貰えていたのなら、その顔を見て平静でいられる自信はあまりない。*]
(16) Ellie 2019/10/14(Mon) 17時半頃
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いやー何かヤバいね、ビョーキやべぇわ。ハハ。
[一応言い訳しておくと、男は幼少時からほぼ泣かない子どもだった。 なので真偽不明でもこれは病気の所為にしておく。>>26]
ガラスの手錠でもつくろうか。 …………それとも指輪にしとく?
[なんて、死出の旅路に手を繋いでいるのが決定事項みたいな言い方が嬉しくて、調子に乗ってしまう。離れないようにする為の指輪だなんて、まるで夫婦の誓いを立てるようだ。]
(30) Ellie 2019/10/14(Mon) 23時頃
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[舐めるだけの量ではやはり足りなかったようで、頷くのに離れないのには「参ったな」と音を立てずに唇が動いた。>>27
脳が大分沸いている状態では、アオが腕に気遣ってくれたことまでは思い至らない。そもそも最初に傷をつけたのは自分だ。>>26
死ぬことしか頭になかった時には、アオに出逢う前から続けてきた仕事のことなどさっぱり忘れていた。]
(31) Ellie 2019/10/14(Mon) 23時頃
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[アオは男の操縦方法をわかり過ぎている。 ほんの少しの摂取で既に酔い始めたような表情を見れば、理性を保つ為のクールダウンの時間も取れる筈もなく。>>28 真っ赤な顔で白旗を上げた。]
降参。 ほら、
[立ったままでは背伸びして貰ってもキスすら出来ない。 それを惜しむ男の気持ちをきっとアオはわかっている。
ベッドに誘導し腰かければ、ネクタイと血染めのシャツを乱暴に放り投げ、最早黒子程度にまで目立たなくなっている吸血痕を晒す。]
(32) Ellie 2019/10/14(Mon) 23時頃
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嗚呼でも。 さっき顎だったから、先にキスしたい。
[いただきますの前に、と見つめれば幾分主導権を此方に預けてくれるだろうか。*]
(33) Ellie 2019/10/14(Mon) 23時頃
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[惚れた方が負け、という格言を思い浮かべるのはもう何度目だろう。 先程までの緊迫した状況が幻だったかのように、アオがとても嬉しそうに肩を震わせるから、「参ったな」と今度は声に出して呟いた。 片膝に、慣れた体重。>>56]
仲直りのキスってやつだよ。
[直前の「待て」に不満そうなアオに対し、此方はにこやかに主の施しを待っている。 100年一緒にいた分、こういう時にアオは強引に進めないというのをよくわかっている。 こんな風にアオと情に訴えた駆け引きをするのが男はとても好きだった。]
(59) Ellie 2019/10/15(Tue) 16時半頃
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――時は流れ――
[寝室を共にしてくれ、と頼んだ。]
(201) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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[隣で目覚める朝の心地よさに、ジョギングを日課から外した。]
(202) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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[スマホはバッテリーを外して使えなくなっていたままだったが、問題はなかった。 彼を置いて外出することはほぼなくなってしまった。]
(203) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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[次に出来なくなったのは、買い物がてらの散歩だった。 食材も本も、ブルーレイのレンタルだってインターネットで済ませられる。
その結果、ふと見つけた珍しい食材で思いがけない料理を作ったり、掘り出し物の中古本の知識を披露することがなくなった。
出来ることを貪欲に増やし続けた男の人生に、出来ないことが増えていった。]
(204) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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[ネットショップを閉じ、売り物としてつくった在庫はすべて卸した。 正気でいられる時間が減ったと気づいた時に、工房は閉じることにした。 それが眷属になる前から続けてきた職人の最後のプライドだった。
――そして。]
(205) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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[――――そして、
ソラが、逝った。*]
(206) Ellie 2019/10/19(Sat) 17時頃
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……ソラ、がんばったな。
[愛犬は、アオに吸血されていない歴代の飼い犬の中では最も長く生きて、それでも病に狂っていく男が外に出られる内にその生涯を閉じた。 孝行息子だ、と、男はその動かなくなった背を撫でて、兄弟たちが眠る墓地に埋葬した。
冬の終わり。
最近はずっと灰色だった空は、同じ名前の仔を迎え入れるように澄んで晴れ渡っている。]
アオくん、
[お喋りだった男は、段々語彙を失っていた。 見た目だけはまだ中年に差し掛かる前でありながら、子どもにかえっていく老人のように、思考能力も落ち。
それでも、アオが発した言葉に、古い記憶が呼び起こされる。]
(219) Ellie 2019/10/19(Sat) 21時頃
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『サクラ を 見に行こう』
(220) Ellie 2019/10/19(Sat) 21時頃
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ぅああ、 あ、 ……っ
[頭を振った。 振っても振っても失ってしまった記憶は元には戻らなかったけれど、それが大切な約束だったことだけは、魂に刻まれていて。]
飛行機、乗れるかな、
[船旅よりは短く着くであろう、遥か彼方の故郷を思う。]
(221) Ellie 2019/10/19(Sat) 21時頃
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願はくは――……花の下にて、
[さてこれは、誰の歌だったか。 繋がれた指の細さだけが、男を現実に繋ぎとめる。]
……デートだね。
[チケットはきっと、片道しか使わない。*]
(222) Ellie 2019/10/19(Sat) 21時頃
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うん、ずっと傍にいて。 馬鹿な俺が、これ以上馬鹿にならないように。
[恋人となってからのアオの「ばか」は本当に甘い響きで。 こうやって病が進行することになっても、告白して良かったと改めて思う。
歩幅はアオの方が小さい筈なのに、手を引かれながら家路についた。]
(226) Ellie 2019/10/19(Sat) 22時半頃
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――自宅――
[病が進行してからは、「二人きり」を欲してソラを疎んだこともあった。 それでも、アオが散歩を一緒にしてくれて、段々無様な姿を晒す眷属を詰らずにいてくれたから、最期まで老犬に手を出さずにいられた。
望んでいた「二人きり」の空間。
嬉しい、と安心しない自分を自覚できたのが嬉しかった。
その夜は二人手を繋いで同じベッドに眠った。 食事もなくセックスもなく。 長く寄り添ってくれて――そしてこの国に遺していく息子たちの色を思いながら、静かに眠った。]
(227) Ellie 2019/10/19(Sat) 22時半頃
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[難しい法律のことはわからなかったので、チケットの手配や宿泊先のことなどはすべて雇ったコーディネーターに任せた。 金に糸目をつけなかったおかげか、コーディネーターは二人の生家のことを遡って調べてくれて、フリーツアーの提案では今はもう別の建物になっているそこに立ち寄るルートも挙げられていた。 もう知らない土地だ。アオが行きたがらないなら、特に回る必要もないだろう。]
ちょうど見頃らしいよ。
[とはいえ人出の多い花見スポットに行く気はまるでなかった。 とにかく背の高い、空に近い山で桜が咲いているところを探して貰った。 幾つかの候補の中から選んだのは、登山にかなりの時間を要する田舎の辺鄙な山だった。
その方が良い。 途中で引き離されてしまわないように。
自分が誰かもわからなくなる前に、 ちゃんと連れていけるように。*]
(228) Ellie 2019/10/19(Sat) 22時半頃
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[モモはとてもやんちゃで、犬に慣れていない頃の男はその行動を予見出来ずに手を焼いた。>>249 眷属となってから迎えたコンは主にべったりで、それでも可愛がりたい男が持ち上げたら拒否の失禁で実はかなり落ち込んだものだ。 アサギは少し短い生だった。もっと生きていられたら、もっと良い色の器をやれたのに。
ソラは。 ソラは――「思い出」にするにはまだ、言葉を持てない。
きっと待ってくれている。 輪廻転生などないのだと100年以上を生きて諦めてはいるが、天上の楽園でまた逢えたら良いと願うだけなら自由だ。]
(254) Ellie 2019/10/20(Sun) 01時頃
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――祖国――
空港の辺りの空気が不味くてどうなるかと思ってたけど、ここまで登れば流石に綺麗だな。
[軽装備で登る本格的な山は、すっかり出不精になった吸血鬼とその眷属には、超人的な体力が備わっているとはいえ息を荒くするには充分な悪路で、その分目論見通り人気はなく、着いた時の景色で自分の選択は正解だったと弾む息のまま笑った。>>250]
俺はあの時からずっと、俺は間違ってないって思ってたよ。
[アオを選んだ。 「桜」を贈った。 生命の源を捧げた。
生まれ育った環境に馴染めず、流れた先で大切な人々を失った男の最後に、最期まで寄り添ってくれる人。
伸ばされた手を取って自らの頬の上で一緒に重ね。 触れるだけのキスにそっと目を閉じた。]
(255) Ellie 2019/10/20(Sun) 01時頃
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……うん。
[この旅の間もちょくちょく錯乱していた男は、今頭の中にかかった靄が漸く晴れたような気持ちで、桜吹雪の中に立っている。
根本に腰かけてアオを膝に乗せ、そこで「弁当」にしよう。 じっくり100年以上かけた極上のランチを彼が腹いっぱいになるまで。
それから、 それから―――――――――]
(256) Ellie 2019/10/20(Sun) 01時頃
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[見つからなければこのまま誰も知らない土地の大木の栄養となろう。 朽ちることなく毎年空に桜を舞わせ。
見つかればきっと、この国では荼毘に付されるだろうから。 共に灰となり、煙と共に同じ空を目指そう。]
(257) Ellie 2019/10/20(Sun) 01時頃
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[ 「 青 蒼 」 に至る病の果て、
二人の長い歴史で培ったもの何一つ持って行けなくても、固く繋いだ手の中に、確かな愛を閉じ込めて。**]
(258) Ellie 2019/10/20(Sun) 01時頃
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