212 冷たい校舎村(突)
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[優しく背を撫でながら 薄い虹彩が瞼に閉じこめられるのを見ています>>162]
……そうだね。帰らないと、ね。
[……どうやら、私の言葉は正しく届いた様子で "帰らないと">>163。返される肯定に、ほっと、嘆息。
昴は、"ホスト"ではないと思っていました。 昴がホストであれば、堆を一人で帰すとは思えません。 それでも、万が一があります。 そうでなくたって、"此処に居たい"と言われたら 私の力で彼を説得出来るかどうか、解りませんから。
彼が、前向きになってくれて良かった]
(178) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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[──── 確かめるみたいな、問いかけ>>164。 それの答えに、迷いはありませんでしたけれど 返事が僅かに遅れたのは、 "帰りたくない"と思った事が、あったからでしょうか]
帰りたいよ。 帰って、色々、伝えなきゃいけない事があるの。
……迷惑なんかじゃない。 全然、気にしてないから。そっちも気にしないで。
[私の事をヒーローと言ってくれた、彼女や 父の相談を聞いてくれていた、彼や 何にも聞いてくれなかった、父にだって。
言いたい事が、謝りたい事が、山程あります。 ……それを伝えるのは、帰ってからと決めていますから。 だから私は、帰らなきゃ]
(179) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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[ゆっくりでも、彼が立ち上がれば 私は背中に添えていた手を離しました。
軽く見上げるくらいの、身長差。 彼の口元に浮かべられる笑みが、 例え無理に作られたものだとしても、 今ばかりは、それを指摘する事はしません]
────……どうかな。
[寂しい>>165。 そう、思うのかもしれませんけれど そも、帰った人達は、どうやって帰っているのでしょう。
"ホスト"が私達を、心の中に招いた様に 帰すのも、"ホスト"の力が作用しているかも……なんて、 そんな考え方は、おかしいでしょうか]
(180) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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[その答えは、私には解りません。 もしかしたら、"ホスト"自身にだって 解らない事なのかも、しれませんけれど]
……どっちにしたって この世界を作った人にも、帰って来てもらうんだから 今、少し寂しいのは、我慢してもらわないと。
[例え、"ホスト"が誰だろうと。 私はその人を含めた全員で、帰りたいと思うのです。 その人に伸ばされる手が、私のものでないとしても 沈んだ"誰か"の心を掬い上げる事の出来る人は、 きっときっと、居ますから]
(181) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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多分、ね。 私だったら、こんな、キラキラした世界は作れないよ。
[曖昧に笑って、答えます>>167。 けれど続けられた言葉に、目を細め]
だったら、誰が"ホスト"でも ちゃんと、全員揃って帰れるね。
此処に居る人は皆、優しいから 一緒に帰ろうって、言ってあげられるよね。
[私は、級友達の心の闇を知りません。 だから、無邪気なまでに、そう言ってしまえるのです]
(182) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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[…………いいえ。違いますね。 止まった時間に惹かれる心を、私は知っています。 閉じ込められた世界を恋しく思う心を、知っています。
だから、そうだろうと思っているのではなく "そうであって欲しい"と思って、言うのです。 まるで、願うみたいに。乞うみたいに。
落とされる言葉を拾い上げる間>>168、視線は下へ。 伸ばされた手に気付くのは、触れられてから 頭を撫でる手に、びっくりしてしまって 小さく笑いながら、照れた様な、はにかむみたいな笑みを ええ、殆ど、帽子に隠れてしまいますけれど]
(183) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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やだ、びっくりしちゃった。堆の真似? でも、そんなにびくびくしながら しなくっても良いじゃない!
[張り詰めた心が、弛緩していく感覚。 撫でてくる大きな手が嫌だとか、そうは思いません。 覚えるのは懐かしさと、安らぎだけ。
不思議だな と、思うのです。 男の人に頭を撫でられるのって、 少し前までなら、痛みさえ伴うものだったのに。 男も女も関係無いって、そう思い始めた、お陰かしら]
(184) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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……そうだね。 急に居なくなると、びっくりされちゃうかも。
[黒板があいていれば、そこにメモも出来ますけれど びっしり描かれた眼の所為で、そうもいきません。
方法が解らなくたって 帰らなければ行けないって、そんな方針は決まりましたし 何かしら、書き置きが必要かもしれませんね]
…………え? あ……ああ、気付いてなかったの? えっと……うん。先ず、此処から出ようか。
[唐突に聞こえてきた、素っ頓狂な声>>170に 目を丸くしますが、すぐに察します。 確かにあの眼は、初見では中々のインパクトです]
(185) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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教室に、ノートがあるし それに書き置きして、帰る方法、探そう?
……あっ。ごめんなさい。
[おっと、いけません。 女子と歩いていた時の癖で、 ついつい手を繋ごうとしてしまいました。
取ろうとした手を離して、肩を竦めて 同意が貰えたなら、教室に向かいましょうか*]
(186) 2017/03/17(Fri) 19時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/17(Fri) 19時半頃
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ううん。此方こそ、ありがとう?
[不慣れな手付き>>200に、此方からもお礼を。 その大きな手に、安らぎを覚えたのは本当ですから。
此方としても、別に、男性に頭を撫でられるのに 慣れているわけではありませんから。 そういう意味では、お相子かもしれませんね]
……そうなの? 那由多も、結構、心配性だしね。
[そういえば、私も 那由多には気遣ってもらったばっかりです。 心配性っていうのは、失礼かしら。私だって、 心配されるのは嬉しいと思っていますよ、ちゃんと]
(209) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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あんなのがあったら、無理もないよ。
[そうです、それどころじゃなかったでしょう>>201。 堆が居なくなって、よく似たマネキンがあって あれだけ、取り乱していたんですから。
……あの眼が消えないって事は、 他の教室にもびっしり書いてあるって事は、 今は、内緒にしておきましよう。
那由多が内緒にしてくれた様に、私も。 知らなくて良い事を、教えるつもりはありません]
(210) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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[先導して、空き教室を出て 差し出した手に返される、慌てた表情>>204。 慌てられると、此方も少し、慌てます。
他意なんてありませんよ。 そんな風に、薄く苦い笑みを浮かべてみせたりして]
お姉さん……っていうか 私も、手を繋いでると落ち着いてたからね。
────ふふ。 昴も、"おねえさん"と手、繋ぐ?
[悠と莉緒の、手の感触を思い出しながら。 冗談っぽくもう一度、彼に手を差し出します。 照れくささもありましたから、すぐに下ろして 教室に向かったでしょうけれど*]
(211) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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─ 三年三組教室 ─
[教室に戻れば、ノートとペンを持って来て]
"私達は、帰る方法を探します。 居なくなっても、心配しないで下さい"。
──── って感じで、良いかな?
[他に何か、書き置く事はあるかしら。 あるなら、彼の言う通りに文字を綴って。 無いのなら、二人分の名前を最後に記しましょう。
書き置きは、教卓の上。 もう一つの書き置きの隣、 解りやすい場所に、置いておきましょう]
(212) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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─ 廊下 ─
これできっと、心配はかけないよね。 …………多分、だけど。
["帰る方法"。 そんなものは、私には解りません。 だから、宛も無く学校を歩き回る事にしたでしょう。
昴は、それに付き合ってくれたでしょうか。 此処で別れるにしても、それはそれで。 少しばかり寂しいですが、強制は出来ません。
それに、二人で回ってみたとしても きっと、"それらしい"ものは、見付からないでしょう。 ……やがて、夜も更けてきて その内、体力的な限界も近付いてくる筈で]
(213) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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……これ以上は、また明日…かな
[チャイムが鳴る度、誰かが消えている。 そんな法則にだって、私は気付いていませんから。 この世界での明日が来る事を、疑わずに。
今日の探索はお開きにして 保健室に、戻ろうとしたでしょう*]
(214) 2017/03/17(Fri) 23時頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/17(Fri) 23時頃
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[探索を終えた私は、軽く食事をして、シャワーを浴びて 保健室で、二度目の眠りに就いたでしょう。
眠りに就く前、悠の姿は見えたでしょうか? もしその様子がおかしかったのなら、 軽く、窺う様にしたでしょうけれど。 "明日聞けば良いや"って、気疲れを理由に 早々にベッドに入り込んだに違いありません。
電気は消せないから、頭まで布団を被り そりゃあ熟睡なんて出来ませんが いつの間にか、意識は深く沈んでいって。
……その"音"が聞こえたのは、朝方の事]
(221) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[ ──── 着信音 ]
(222) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[枕の横から聞こえてきたそれに、耳を疑います。 初期設定から変えていない、無機質な機械音。
……圏外の筈なのに、どうして? 慌ててスマホを手に取り、ロック画面を見て そこに表示された名前に、目を瞬くのです]
────……お父さん?
[その着信音は、きっと 私以外の誰にも聞こえていないのでしょう。 だから隣で悠が寝ていても、起こす事はありません。 ロック画面だって、他の人が覗き込んだのなら 何にも表示されず、真っ暗な画面に私を映すだけで。
けれど私にとっては、それは間違いなく父からの電話。 帽子を被り廊下に出て、それを取ろうとして────]
(223) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[視界の隅に、さらりと揺れる黒髪。
"見慣れた" それに 咄嗟にそちらを向き、 私は誘われるみたいに駆け出しました]
(224) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[その黒髪の持ち主には、すぐ追い付けたでしょう。 ……けれど、辺りの様子が昨日とは違った様に思えます。 私の視界に広がるのは、"いつも通り"の校舎。
文化祭の飾りも、電飾も、無くなって。 窓の外では静かに雪が降り積もる、変哲の無い、それ。
黒髪の持ち主……"彼女"は、私に背を向けています。 足を止め、私を待つみたいに、立っています。 私は、近付きました。 近付いて、近付いて、そっと 彼女の手を取りました]
(225) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は、"私"でした。 いいえ、ようく似ていますが、違います。
"彼女"はまるで……そう、 "私が おとな になったなら、 こう なるみたい な"?]
(226) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は私に優しく微笑みかけました。 抱いた戸惑いは、たったそれだけで、解けてしまって するりと取られ、引かれる手のまま、歩き出します。
歩き出す直前、"彼女"は私の肩に触れました。 まるで、「安心して」とでも言うみたいに 微笑みだって、きっと、そう。 混乱する私を、落ち着かせる為のものなのでしょう。
私が棄てた黒髪は、肩にかかるくらい。 如何にもお姉さん然とした、落ち着いた物腰。 絶やされない、穏やかな微笑み。 そうして他人を気遣える、その優しさ。
……いいなあ と、思うのです。 まさに、私がなりたかった、"私"。 私が諦めていた、"私"]
(227) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[お母さん。 私は、貴女みたいになりたくありません。
私によく似て、正反対の貴女。 貴女になるくらいなら、私 女としての生を棄てたって、良かった。
いいえ、棄ててしまえば 貴女には決して、ならないんだと思っていました]
(228) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[でも、違うのかなって思うんです。
性根の悪さとか、心の弱さって 多分、性別で決まるものじゃありませんね。 貴女は女を武器にしているだけで "女"が皆、そうなるわけでは、ないですよね。
男の子でも、 料理が上手くて、優しい子は居ます。 可愛いものが好きな子だって、居ます。
性別なんて、ただの記号みたいなもの 大切なのは、正しくありたいと思う心なのでしょう]
(229) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"に導かれた先は、昇降口。 見れば、開かないと言われていた扉は、開いています。 外から、冷たい風が吹き付けています。 けれど私は、出ていかなければいけないと思いました。
帰って、色々な人に、 言わなければいけない事があります。
きらきら。煌めいていた校舎への執着は、薄く。 私は隣に立つ"私"を向くのです]
……私、貴女みたいになれる?
[憧れの"貴女"。 私は向こうへ帰って、 母の呪縛から解き放たれる事が出来るでしょうか。 忌まわしき、呪わしき血は、 未だに私の体を駆け巡っているのに]
(230) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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["彼女"は微笑みます。 微笑んで、私の目深に被った帽子を外しました。 くしゃりと一度、頭を撫でられる感触。 そして背中を、優しく、強く、押される感触。
一歩、校舎の外。
出てしまえば、私は前を向いて 後ろで扉が閉じる音がしても 振り向きもせず、歩き出しました。 そうする事が、一番自然に思えたのです]
(231) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[チャイムの後。外を見れば、きっと目に入るでしょう。 降り積もる雪の上、それも気にせず まるで居眠りでもするみたいに座り込む、 一体のマネキンの姿。
長い黒髪の、少女然とした、それ。 制服は、きちりと校則通り。 長過ぎるスカートを纏う少女は、もう居ません。 隠されない顔には、傷の一つだってないでしょう。 真っ白な顔に、桃色の唇が、微笑みを形作るだけ。
少女の顔を隠していた帽子は、 下駄箱に、無造作に棄てられています。 まるで、用無しになったとばかりに]
(232) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[……さようなら、冷たい校舎。 "其処"は、とても居心地良くも思えましたが けれど、私の居場所ではありませんでした。
残っているのは、誰でしょう。 残りたいと思っているのは、誰でしょう。 文化祭の様相を呈した校舎は、何故か居心地良く 止まった時間は、妙に心惹かれるものでした。
私がそう思うくらいなのです この世界を作った"誰か"は、 もしかしたら、それ以外の誰かだって 出たくないと、思っているのかもしれません]
(233) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[けれど、私は待っています。 皆で、笑顔の卒業式を迎える為。
私は私らしく 自分の居るべき場所で、皆の帰りを、待っています]
(234) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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[ だから早く、*かえってきてね* ]
(235) 2017/03/17(Fri) 23時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/17(Fri) 23時半頃
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