270 「 」に至る病
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――墓地――
[長く生きている間に世界はどんどん変わっていった。
祖国は大きな戦争に負けたというニュースも耳にしたが、その時両親がまだ生きていたのか、既に死んでいたのか、それともその戦争で命を落としたのか、確かめようもなかったし確かめる気もしなかった。 祖国は既に遠く、男の居場所は「此処」にあった。]
便利な道具がいっぱいできて、家事はスピーディになったけど、墓参りの時間は伸びるばかりだな。
[並ぶ石碑に花束を投げ、今だ生き返っては来ない師匠と兄弟子を思う。 その近くには、自分が眷属となった日までアオの一番近くで彼の生を支えていた犬の名が刻まれた小さな石碑。 他にも、小さな石碑は人間よりも短い年月が刻まれ、点在していた。]
……まだ、生きてる。
[こうして墓参りも出来るし、仕事も順調だ。 最近はネットショップも開設し、販路を広げている。 きっと自分は依存症を克服した最初の眷属となるのだ。]
(54) 2019/10/08(Tue) 21時頃
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[眷属の定期健診も既に何度かクリアしている。 遣い先に合わせて土産のガラス作品をつくれるくらい、自分は「健康」だ。
そういえば、師匠の死に際に警告をくれた医者も眷属を持ったらしいと聞いた。 彼にどういう心境の変化があったのか、次の遣い先が彼のところになれば聞いてみようか。 いつだったかに贈ったペアの酒器>>0:639が使われているのならば嬉しいことだ。 次回が違うところなら、次々回にでも。 自分はまだまだ健康で、あと何回だって胸を張って自らの主の可愛さを牛の涎のように途切れずに語り続けられる。]
(63) 2019/10/08(Tue) 21時半頃
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[ 『次のおつかいいつだっけ?』
主にメッセージを送ったのは墓地に入る前。 数分後、門を出てから確かめたスマホに通知がないことに舌打ちをするのは無意識。
「いつでも連絡が取れる」ツールの登場は、確かに長命の眷属の依存を進行させている。*]
(64) 2019/10/08(Tue) 21時半頃
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[先んじて乞うた呼び名は、時代を超えとても耳に馴染むようになった。 何度呼ばれても、その度に少年のように胸がドキドキするのはいまだに秘密だけれど。
犬の呼び名に合わせドッグフードの器も色とりどりになった。 ただ、ガラスでつくるものだから、色味はどうしても首輪よりも若干薄く、今思えばアサギには申し訳ないことをした。
引っ越しは、彼のアパートの老朽化による単なる転居以上の意味を持った。>>87 アオが使うことになったのは、かつての兄弟子の部屋。 若い頃二人で肩を組んで撮った写真を暫くは外せずにいたが、古い技術によるものはすぐに朽ち、灰に還した。 感傷的にすらならない自分に驚いた。
既に男にとっては「今」が生きる目的になっていた。]
(94) 2019/10/08(Tue) 22時半頃
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ソラのグッズはまとめてるよ。 ビニテでソラって貼ってあるのねぇ?
[本は兄弟子の部屋には入りきらず、師匠の部屋にも運んだ。 男の部屋は既に自身の本で森と化していたし、このままいくと二人が買い過ぎて床が抜けるかもしれない。 図書館を増築しようか、なんて最近は真剣にデザインを考えている。]
(95) 2019/10/08(Tue) 22時半頃
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[自分の血が甘露と化しているなんて、アオに言われなければわからない。>>88
男にとって甘いのは、ホワイトラビット社のお菓子と、アオが自分を呼ぶ声だけだ。*]
(96) 2019/10/08(Tue) 22時半頃
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[帰り道は速足になった。 アオは普段、特に在宅時にはスマホを見ない。>>100 その習性はガラケーの頃から変わっていないのだから、ほんの数分返事がない位で何かが起きたとは考えられないのに。 何故か酷く不安になった。]
アオくん!
[珍しく、ただいまも言わずにドアを乱暴に開ける。 驚いたソラが、ワウ!と大きく吠えたが意に介さず、リビングにいたアオに一目散に駆け寄った。 抱き締めた勢いで彼の眼鏡が額までずれる。]
(113) 2019/10/08(Tue) 23時頃
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……スマホ、また置きっぱにしただろ、まったく。
[抱き締めたことで、漸く焦燥感が薄らいでいく。 それでも、
(足りない)]
(118) 2019/10/08(Tue) 23時頃
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[走った所為で汗をかいている。 花束を抱えていたから、花粉もついているかもしれない。 普段の食事は必ずシャワーを浴びてからだが、そのことは今男の頭から抜け落ちていた。
自分を欲しがれ、と言わんばかりに黒髪をきつく自分の肩口に寄せた。]
……呼んで。
[ただひとり、主の渇きをたすける男の名を呼べと。 乞う声の方がカラカラに掠れていた。*]
(121) 2019/10/08(Tue) 23時頃
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[開けられた口が空気しか吸い込まないのに眉根を寄せる。>>162 早くこの胸のぐるぐるした気持ちを捨ててしまわないと、気が狂ってしまいそうだ。 苦しいのは此方もだ。>>164 この苦しさを、彼だけが取り除ける。]
……今の時間なら、誤差の範囲じゃねぇの、
[アオはとても行儀のよい吸血鬼だ。 定期的に自分を摂取するが、それ以外の時間に決して求めては来ない。 鼻先に肌を触れさせても、むずがるように額が動くばかりで、犬歯の気配はない。]
(177) 2019/10/09(Wed) 01時半頃
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アオ、
[くん、すらつける間も惜しむように、焦りがバリトンを濁らせる。]
足りないんだ。
[それは確かに感染者特有の声色だった。 押し付けた傷口は塞がっていても、極上の香りを漂わせていることだろう。**]
(178) 2019/10/09(Wed) 01時半頃
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――蒼佑の本棚――
[時代の流れに乗って、最近では電子書籍の購入や読み放題サービスも利用しているが、やはり生まれた時代の習慣の所為か、男は紙書籍を好んで購入していた。
クチキ アオが翻訳した書籍は原著と読み比べる為に両方買うし(それは同居してアオの元に献本が送られてくるようになってからも)、大学というものに通ってみたいと聴講生になった時に購入した吸血鬼教授の講義の教科書も版を変えて複数所持している。料理にも凝る性質だからホライトラビット社監修のスイーツレシピ本も揃えていた。]
(255) 2019/10/09(Wed) 20時半頃
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[そして吸血鬼作家「ジャーディン・ヴィラドメア」の本は高さと薄さの異なるものが本棚の多くの面積を占めていた。そのことを知っているアオが手紙を読んで思案していたことまでは知らないが。>>100
男は眷属となる前から吸血鬼作家の存在を認知していて、同人誌の「主人公」の物語がどのように閉じるのかが気になるというのを長生きしたい理由のひとつに挙げていたが、彼自身に自分を眷属にしろとアオにしたように迫ったことはない。読んでいてその奥の「筆者」の人となりが気になったのは後にも先にもアオだけだ。
そもそも著作を読めば彼の「美学」は髭面の屈強な男を噛むことを許しはしないだろうというのは容易に推察できるのだがそれはまた別の話。 何十冊目からか登場している細身の少女を愛でる吸血鬼の物語は実に生き生きとした筆致で描かれ、読んでいて微笑ましい。吸血鬼のステレオタイプを意識している節のある彼がSUSHIを食べるというのには驚いて、思わず自分も夕食にちらし寿司を出して(調子に乗ってサーモンで薔薇をつくった)、話のネタにしたものだ。*]
(256) 2019/10/09(Wed) 20時半頃
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――リビング――
[抱き締めたアオの背後に、テーブルに置かれたままの開封済みの手紙が見える。 封書の色に見覚えがある。今回の健康診断の案内だ。
ふと、「依存症末期」と診断された眷属はどうなるのだろうと気になった。 「処分」されたという話は聞かない。 治療は不可能。 ならば自分たちは何の為に愛しい主を置いて余所に遣いに出されるのだろう。
依存症は不治の病。 眷属が留守の間、主たちは余所の眷属を預かりながら「次」を探したり、眷属が早晩死んだ時の「乾き」に耐える練習をしているのだろうか。
嗚呼それならば、遣いになど行きたくない。*]
(257) 2019/10/09(Wed) 21時頃
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――幕間・考察――
[拠り所が主だけになるから依存症が進行するのだと、ふつうの人間ではありえない程長い年月を生きて来て男は確信していた。 例えばいつも手紙を寄越してくる協会の吸血鬼>>1の眷属はかつて彼女の幼馴染で共に長く生きていると聞くが、その「彼女」には会ったことがない。外に出ない眷属の「世界」は主だけになり、病はもう手の施しようがないのだろう。 他にも元々家族だったり家族となったりした眷属は愛情が閉じて死んでいったという文献は多く見受けられた。
男は既に検索で古い新聞記事を見つけている。 自宅で死んだ一人の女。 きっと10年もたずに死んでしまった、アオの最初の眷属で――家族。
彼の渇きを最初に満たした存在がたとえ故人で彼の母親であったとしても怒りが込み上げて来て、これ以上は危険だと、詳しい思い出話をアオに問うことは止めておいた。
あの時点では引き返せた。 そして自分が男で、彼と公的に「家族」になれない身であることがひとつのストッパーであると言い聞かせた。]
(315) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
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『この映画面白かった、好きだなあの最後のシーン』 『白にうっすら反射する水色が好きなんだけどさ、なっかなか上手く出せねぇんだよな』 『美味いなこのアボカドってやつ。俺これ好きだわ』 『おっ 新曲イイな。最近好きでさこのバンド』
[男にはたくさん好きなものがあって、たくさん依存先がある。 自立した仕事を持ち、収入も衣食住も主に頼らなければ生きていけない存在ではない。
それが男の自負でこれまでの病の進行を食い止めてきた意地だった。
好きだと言うよりも尚雄弁な態度を取っておきながら、屁理屈のように自分が大丈夫な理由を毎晩言い聞かせながら眠った。 それでも病は確実に、例外なく、男を狂わせていったのだ。]
(316) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
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――リビング――
[苦しさを訴えて抵抗していた手が、震えながらシャツに皺を刻む。>>297
食事時間の融通を言い訳にして。 情に訴えるような真似までして。
それでもなお、主は眷属の甘露を拒む。 それが本気の嫌悪ではないことは、忙しなく唾液を嚥下する喉の音で知れる。
彼はきっと気づいている。 時間を測るつもりがなかった自分に。]
(317) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
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――そうか。 悪かった。
[絞り出すように了承の言葉を吐き出した。 そのまま抱き締めていたら、手酷く犯してしまいそうだったから、唇を噛み締めながら――うっかり流血して誘わないように細心の注意を払ったうえで――アオの身体を引きはがした。
テーブルの上の手紙を読む。 遣い先の名前を一瞥し]
(318) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
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……暫く籠る。 ジャーディン先生への土産をつくらねぇと。 最新刊のロリJKモノ危うくて好きだったし、感想伝える機会が出来て良かったわ。
[目を伏せたまま、リビングの出口へと重い足を引きずった。*]
(319) 2019/10/09(Wed) 23時半頃
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[「彼」が逝って暫くは、伏せた師匠の世話と既に受けていた工房の仕事で悲しむ隙がなかった。 師匠が逝ってからは、「眷属になって長生きをする」という目的の為に必死で、悲しみを感じる余裕がなかった。
かなしさや怒りから遠ざかる一番の方法は没頭することだ。 ニンゲンの脳は便利に出来ていて、辛い記憶は思い出そうとしなければ忘却していくし、怒りの衝動に至ってはたった6秒でアドレナリンの放出が終わりピークが過ぎる。
さみしさも 独占欲も 愛着も 自己嫌悪も 破壊衝動も 性欲も 執着心も ――この依存症も
希死念慮も
殺人衝動も
金槌を一心不乱に振り下ろす内に自分の中から追い出してしまえば良い。]
(353) 2019/10/10(Thu) 01時頃
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[そうして遣い先への土産が出来上がったのなら、工房を出て日光を浴びて深呼吸をし、セロトニンを生成するのだ。鬱病患者の療養のように。
自分は今回も問題なくクリアしてみせる。 どんなに長く共に生きてきても、世界でもう他に誰も知る者がいない黒子の箇所すら互いに知っていたって、まだまだ生き足りない。]
(354) 2019/10/10(Thu) 01時頃
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[古文書に記されたざくろなら、血液じゃなくてもアオに美味しいと思って貰えるかもしれないと通販で頼んだのがまだ届いていないし、シューマッハ社にオーダーした革靴も受け取りにいかないと。
そうだ、来週あたり台風が来そうだから、洗濯したら部屋干しが出来るように竿を脱衣所に置いておこう。 此処にも誰かの眷属が来るならつくり置きを冷凍しておこうか。たまにはアオも外食したいかもしれないから止めておこうか。そもそも相手の好みも知らないし。もし一緒に食事を楽しめる程度の――そんなに依存症が進行していない人なら――ワイン片手に時間が過ごせるようにバターフィセルを焼いておけば、ガーリックトーストにするなり、冷凍のマグロたたき身を添付のたれとワサビとマヨネーズで合えて……いや待てワサビはきついかもしれない、いっそのことラスクにしておくか?そこだけでも聞いておくんだった。]
(355) 2019/10/10(Thu) 01時頃
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[それに帰ったらまた手製のポップコーンに色んなフレーバーを試しながら、プロジェクターで一緒に映画を観たい。
上手く遣いが出来たなら、アオのガードも緩んであのアニメキャラクターみたいに「アオ、そーすけ、すきー♡」って言って……はくれないかもしれないけど、一緒に風呂に入……るまではなくても、髪を洗うくらいは許してくれるかもしれない。駄目かな。]
(356) 2019/10/10(Thu) 01時頃
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ほら大丈夫。 アオを想えばこんなにも幸せだ。**]
(357) 2019/10/10(Thu) 01時頃
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