193 ―星崩祭の手紙―
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[今日のBARは臨時休業日。 間近に迫った星崩祭の準備をするためです。
彼女は今日も早くにカプセルの受信機まで出かけていきました。
今日もまた、2つのカプセルを渡された彼女の機嫌は右肩上がりのようです。 部屋に帰るまでに何度もくるりと横回転をしていましたから。
2つのカプセルのうち、ひとつは返信されたもの。 ひとつは透明な水草で編まれた籠に入っていました。
また、水に纏わる星でしょうか。 ひとまずそれは机の上に置き、2回目に送った手紙の返信カプセルを開きます。]
(4) 2016/07/19(Tue) 21時頃
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[彼女は手紙を開いて二つのガラス球を大きく見開きます。 その理由はすぐにわかりました。
見覚えのある便箋。 インクの香り(成分)。 丁寧で綺麗な字。
そう、一通目の返信をくれた彼です。 この広い宇宙で。 同じ星にまた彼女の手紙が流れ着き、 そして彼の手元に届いた。 彼の星の大きさはわかりませんが、すごい偶然があるものです。
彼の手紙を読み進めていく彼女の心が暖かくなるのを感じます。
彼にもがっかりする出来事というものが過去にあったらしいこと。 そしてそんな彼を支えているのは彼の娘さんだということ。]
(5) 2016/07/19(Tue) 21時半頃
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[私はまた、彼に親近感を抱きます。
彼の言う、知人。 それは彼にとってきっと大切なひとなのでしょう、と私は想像を巡らせます。
近くにいるという大切なひと、空の向こうの知人。 彼はその人たちとこの星崩祭で過ごせるのでしょうか。
そうであればよいと、心から願います。]
(6) 2016/07/19(Tue) 21時半頃
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[そして、締めくくられた言葉に彼女は大きく頷きました。
私も同時に頷きます。
キャンディは親子で美味しくいただいてくれた様子で。 彼女は薄く口角を上げて、音のない言葉を紡ぎました。
(ト モ ダ チ)
娘さんからだというプレゼントは何でしょうか。
カプセルには、まだ何か入っています。 取り出してみると、それは可愛らしい星形のイヤリング。
彼女の好きな、黄色い星。
彼女はそれを耳に飾り付けて鏡を覗き込みました。
とてもよく似合っています。]
(7) 2016/07/19(Tue) 21時半頃
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[返信の手紙を大事にまたしまいこむと、 彼女は水草の籠でできたカプセルを開きました。
ばしゃ、と水が溢れて机の上に広がります。 パチパチと彼女は驚いたように瞬きをして、 中の手紙に目を落としました。
真っ黒な紙に、真っ白な文字。 まるで水の流れのような文面を読み進めていくと、 彼女は首を傾げました。
私も手紙に綴られた御願いについて考えを巡らせます。
彼女は机を布巾で拭いてから、一度部屋を出ます。
マスターに黒い手紙を見せても首を傾げられてしまいました。 彼女は部屋の隅にある端末を取り出して記憶図書館へアクセスをします。
星の記憶が主に納められた図書館。 しばらくそれを閲覧してから、彼女は返事を書き始めました。]
(8) 2016/07/19(Tue) 21時半頃
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[お願い事、にはうまく答えられたかわかりません。
彼女は私にならばわかるかもしれないと思ったようですが 私にもわからないことでした。
返信のカプセルには密閉した食べ物をいくつか入れます。
お酒と一緒に出すツマミであるそれは、 彼女なりにBARの宣伝のつもりなのかもしれません。
それから、新たに飛ばす手紙をひとつ書いて、 そこには何を入れようかと考えます。
引き出しから小さなオルゴールを取り出すと、それを入れました。
返信のカプセルと一緒に新しく書いた手紙を持って カプセルの送信機へ向かいました。]
(9) 2016/07/19(Tue) 21時半頃
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