266 冷たい校舎村7
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キーンコーンカーンコーン…………
(#0) 2019/06/08(Sat) 00時頃
──午前8時50分
空っぽの校舎に響き渡るのは、チャイムの音。
足りないものだらけの校舎で、始業の合図は日常と違わず。
教室の前方にかけられた時計の針が、
きっかり8時50分を指した時のことだった。
聴覚から感じる日常があるなら、
次にやってくるのは、鼻腔をくすぐる非日常。
閉じられた扉の向こう、廊下の方から漂ってくる、
甘い、辛い、香ばしい。雑然とした、食べ物の香り。
目を凝らせば、廊下に面した磨りガラスの向こう、
チカチカと瞬くカラフルな光にも気付けたかもしれない。
(#1) 2019/06/08(Sat) 00時頃
さあ、扉を開けてみて。
(#2) 2019/06/08(Sat) 00時頃
──その先で、君達は目にするだろう。
高校3年。最後の文化祭。
君達が目にした、あの日の校舎。
時間が凍りついてしまったように、
あの日の光景が、そこに広がっている。
君達のいる教室だけが、日常に取り残されたまま。
そのことに気づいたとき、
通じなかったはずの携帯電話が一斉に鳴り出す。
君達が揃って受け取るのは、誰かの喪失を仄めかすメッセージ。
(#3) 2019/06/08(Sat) 00時頃
ようこそ。冷たい校舎へ。
あの日に取り残された世界を、
どこまでも君に優しい世界を、どうか、楽しんで。
(#4) 2019/06/08(Sat) 00時頃
────冷たい校舎の時は止まる。
(#5) 2019/06/08(Sat) 00時頃
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