158 Anotherday for "wolves"
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[普段は、そのまま二度と会わないのだが。 思う。闇雲に探すよりも。
(永遠に見つからぬも) 姉さんを探すならば。 母さんの遺言の先。
あの小さな村に居た方が、 きっと見つかるのではないか、と。]
[だから。
宿の主人を尋ねるついでに、 姉を捜すために。
幾度となく、 時には多めに代金だけ置いて 風のよに 現れては、消える。
そんなことを、繰り返した。]
(199) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[――― そうして。
一年前。 この村に住み付く事になっても。 縁が近くなることは無く。 逆に遠くなった気さえするが。
それでも。
時折。 ごく、稀に。 風のように現れ。
その時は、意識を飛ばす程飲むことも。 荒れることもなく。 かつてのように去っていくことが多かった。*]
(200) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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―診療所―
はい、お届け完了です。 あ、ありがとう。 ツケか先払いにしている家が多いから、 その場で貰えると働いたって感じがしていいね。
[ガーゼの箱を置いて、これで今日の仕事は終了した。 報酬をメモの入ったポケットにつっこんで一息をつく。 >>169ぽつりと話を切り出したのは診療所の静けさに 少し気が緩んだからなのだろう。]
さっきのさ、大丈夫かって声に、 少し、大丈夫じゃないって思っちゃったんだよね。
野犬の仕業だったって族長が言うの… 少し、期待してたんだ。
[メアリーの前で言ってしまわなくてよかった。 と眉を下げて]
(201) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[お茶の話には慌てて首を横に振り]
あ、いいって! なんかそういうお茶が必要になるような 大層な話じゃなくて…、えっと…、ちょっと待って、
[少し言い淀むようにごにょごにょと言いだして。 診療を拒んで愚図る子供のような表情を浮かべてから 促された席に座って。]
(202) 2015/05/12(Tue) 00時頃
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[静けさに床を見つめた後、 スティーブンに左手を差し出して見せる。 短く、爪の切り揃えられた手。少し俯いて、]
2日前さ、左手の中指…すごく、深爪にしちゃって。 動かすと、結構痛いんだ…、 だから、化膿しないように薬が欲しいのと、
(203) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[更に俯いてから、今度は右手を出した。 こちらの爪も短くはあるが、]
俺、元々あんま器用じゃない上に 左手痛くて…利き手じゃないし、 右手の爪、まだ切れてないんだ。
それで…、 …ついでに、
切ってくれないかなって…。
[相当かっこ悪い頼みだと自覚はしている。 だからこそ歳の近いサイラスではなく スティーブンに頼むことを選んだのだから。 段々声は消え行っていってぽそぽそと用件を告げた後 スティーブンからの反応をそっと待った。*]
(204) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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徒弟 グレッグは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 00時半頃
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―→宿屋―
おとなはいいなあ。 内緒ごとがあって。
さっきね、ドナルドおじさんがマーゴに ラブレター書いてたの。 それをね、何でかサイラスに渡すんだよ。 本人に直接あげたらいいのにね。 あ、でもマーゴが読めないから仕方ないのか……。
それにね、グレッグお兄ちゃんも ベネットとこしょこしょ話してたの。 わたしも聞きたかったなあ。
みんなわたしの知らないとこで内緒の話してずるいんだ。 そう思わない?ジョスランさん。
[小さな頬をパンパンに膨らませて ぶちぶちと愚痴をこぼす。]
(205) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[みなが感じている長の言葉への引っかかりが 不安感を煽るのか。 それだけではない恐れは“何か”心当たりが あってのことか。
無知は恐怖をも知らない。
この村は永い事人狼と人間が共存していて…―― そんな当たり前の日常しか知らない少女。 少女にはその不安の感情に疎く。
感じるはただ疎外感。]
(206) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[スティーブン先生の元へ向かう途中、 ふと思い当たって共に連れ立ったベネットの姿を探した。
ちらと目が合ったなら>>158、 先刻の会話を思いだして>>>0:321 無事渡せたことを伝えようとして片手を上げようとした。
だが、それは自分の勘違いかもしれないと恥じたなら、 胸の前できゅっと両手を合わせ拳を作り、 ベネットの居る方へ、照れくさそうに笑いながら ほんの小さく手を振り揺らした。]
(207) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[グレッグがスティーブン先生と並んで居るのを目に止めて、 話の隙間に、グレッグへと顔を向ける]
お話中ごめんなさい、グレッグ。 少しだけ、お時間取らせて。
[申し訳なさそうに彼に謝罪を告げる。 そして、スティーブンへと視線を戻すと、彼の指摘に>>165 慌ただしい自身を顧みて、思わず俯く。 おずおずと] でも、先生ももうお帰りでしょう?
[そう言葉を足しながら返事を待てば。 彼の心配りに、表情が和らぐ。]
いえ、お忙しいのですから、 私の足を使ってくださっていいんです。
[だから、自然と微笑みも返すことが出来た。]
(208) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[注文の花の名前を次々と告げられたなら、その後を追うように]
サフラン、キキョウ、スイカズラ……
[慎重に注文を反復して指をたたむ。 4つめで止まったと共に小さな紙を渡されたなら、ほ、と小さく安堵を漏らした。 花の名前なら間違わないが、メモがあるとでは大違い。 ただ、読めるものと読めないものがあるのは、まだ自身が浅学だからではあるが……。]
ありがとうございます。 揃えば、お届けに上がります。
こちらの代金はいつも頂いていませんから。 水の差し替えだけは、日に一度してくださいね。 それと、もしお休みが出来たなら、 お店にも顔を見せてください。 祖父がチェスの続きをと言っていましたから。
[そう笑ってメモを大事に仕舞う。]
(209) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[お話が終われば、グレッグに向けて]
ごめんなさい、グレッグ。おまたせしたわ。 [彼の気遣い>>164に、微笑みを浮かべて]
ありがとう、グレッグ。あなたも…
[そうお返しの言葉を告げかけたけれど、 彼の続きの言葉を聞いたなら、少し頬を膨らませて]
……こけませんっ。
[少しムキになってしまったのは、グレッグの気さくさからついと出るものでもあるのだけれど、実際、こけた経験があるからだということは内緒にしておきたい。*]
(210) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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ねえねえ。 ジョスランさんは何かない? とっておきの秘密。
何かあったらわたしにだけこっそり教えて? お願い! 教えてくれたらわたしも とっておきの秘密教えるから!
[ねえねえ、と自分よりうんと背の高いジョスランを見上げながら両手を合わせて懇願のポーズ。]
(211) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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─ →自宅へと ─
ふぅー……。
[家の鍵を開け、玄関を越えて向かうは自室だった。 カーテンをしていない窓からは夕陽の赤が差し込み、それがまだ、夜の色をはらんでいないことを良しとして、男はそのまま寝台へと身を預けた。 うつ伏せになり、引き寄せた枕に重い溜息をぶつけ、目を伏せる。]
[ そうして ]
[男の耳に、族長からの言葉が蘇る。 人狼が、人を喰らい殺したと告げる声が>>#1。
その瞬間、鼓動が、騒いだ。 ]
(212) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[ ドクドクと 嗚呼。それは、まるで。
血が沸騰するかのような、そんな騒ぎ方で──。 ]
くっ、そ……!
[それに気づいて勢いよく身を起こし、跳ねる心臓を沈めるように、掻くようにして、右手で上着の胸元を握り締めた。 コクリと喉が鳴る感触には、鋭い舌打ちをこぼし、胸元を掻き握っていた手で、己の喉元をぐっと押さえ込む]
──ッ、は……。 忘れろ、忘れちまえ、思い出すんじゃねぇ……!
[喉元を押さえるせいで、男がこぼす声は絞り出すような音を持って、家主が帰らぬ家の空気を揺るがせる。
忘れてくれない光景。 それは飼い主だった少女が、血にまみれた姿。
それと同時に、男には忘れられない、けれどどうしても忘れたい『味』があった]
(213) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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―幼い頃の話>>58― [その話を小さな小さな従妹としたのはいつだっただろう。 メアリーがよくしゃべる年頃になったころ、 少年だった男がこの村に慣れてきたころ、 むじゃきな幼子の問いかけに少年は小首を傾げて記憶を思い返す。]
(うさぎ狩りは好きだったよ、よく父さんとしてた。)
[父さん、と少年が言うのはルパートのことではなくて 少年の本当の父親のことだったのだが小さなメアリーは きっとそれを理解できていなかっただろう。]
(でも、それもそのうちやめたんだ。)
[好きだったことをやめてしまった、 そのことに疑問を抱いたのだろう。 どうして?と聞いてくる幼子に少年はうん、と相槌を打った。]
(214) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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(だって、こわがる人がいたから。)
[そこから先は何を話しただろう。 もう随分と遠い記憶で、よく思い出せない。*]
(215) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[ ── それは ──
ひとの
血と、
肉のあじ。 ]
(216) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[>>188獣は少女に撫でられて嬉しそうだ。]
さて、メアリーは無事任務を遂行できるんだろうか。
[迷ったらそれで散歩だと思うことにして。 しかしさっきの話は理解できていたのか。 話を切り出すのもどうだろうと静かについて行くことにした。]
こういうお手伝いは良くする?
(217) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[ まもる為だった。 そのつもりだった。
飼い主である少女を救いたくて、彼女に凶刃を振るった男の喉元に、犬……狼の姿で喰らいついた。 ずぶりと牙で喉を一突きすれば口の中に広がった血の味に、目の奥が眩み、思考が麻痺した。
嗚呼、コノ赤ハ、トテモトテモ、甘露ナモノ 。
獣がどこかで囁けば、その囁きに誘われるように、血が滴る喉元を引き裂き、血が滴るその筋張った肉をグチャクチャと音を立て咀嚼し、嚥下した。
目的はどうであれ、人の血肉を喰らうところを発見された獣は追い立てられ、行き場をなくした。
そして人と、人の姿を取る獣が暮らすこの村の薬屋に拾われ、今に至る]
(218) 2015/05/12(Tue) 00時半頃
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[空が赤い。 不吉なほど赤い夕陽を、同じく瞳に映して帰路につく。
彼も甥のグレッグも。 彼らみんな───こんな村に来なければ。 こうした騒ぎに巻き込まれなかったろうにと、 思ってしまうのはモニカと…彼らの親と年近くある為か。 自然、彼らを見る目はどこか保護者めく]
酒はねえ、人を見るんだよ。
[ぽつ。と、落とす言葉は脈絡もなく。 どういうことかと視線が向けられれば、穏やかな笑みを返して]
(219) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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心を映す…といえばいいかな。 楽しく飲めば楽しい夢を。 悲しく飲めば、より一層悲しい夢を見せるものだ。
だから酒は、人を見る。 ただただ酔うのじゃ、酒は何も寄越さない。
[説教じみた台詞に笑みを深めて、濡れ羽色の青年を見]
…──今夜は私も、共に飲もう。 少し…飲みたい気分でね。
良ければ君の話をまた、聞かせてくれないか。 どこか遠い、違う村の話を。
[それともまた、昔語りを語ろうか。 何か別の話が良い。今この時の、この村の話で*なければ*]
(220) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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──ッ。 家畜の肉すらこの村に来てから喰ってねぇのに、まぁだ覚えてんのな。
[少しだけ、喉の渇きと鼓動が収まった気がして、男はゆるりと喉から手を離し、苦しげな呼吸と同時に呟きを落とす。
呟き通り、男はこの村に来てから血肉を好む獣の性を持つというのに菜食家と公言し、人のように家畜の肉すら口にすることはなかった。
理由を訊ねられれば頑なに拒絶していたが、生憎酒には弱く。 酒場で訊ねられた時には、正直に答えたこともある]
……俺はおくびょーモン、でね。 いちど肉喰らったらぁ、ひと喰らいころした時のこと、思い出しちまいそーなんでね。
[少し呂律の回らない口調で、馬鹿正直に理由を告げる。 酒場に出入りする者は時折、この現場に遭遇したかもしれない。 男の話をどう思ったかまでは、判らないけれど]
(221) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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宿屋 ルパートは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 01時頃
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……本でも読むかな。
[ふるりと、頭を振って。 そうして男は立ち上がり、部屋の隅に配置した本棚から、以前ベネットから勧められて購入した本を手に取った。 色んな物語をいっぺんに楽しめる一冊が欲しい。そんな男の贅沢を叶えるために勧められた短編集は、お気に入りの一冊になっていた。
友だと、そう口にはしたことはないが、確かにそんな情を寄せる相手が選んでくれたものだからこそ、より一層特別感が増したのか。
集会場を出る前に、ベネットに小さく名を紡がれ>>158。 頷きを返しそびれた彼への返答はつまり、そういうことだった。 もっとも、頷きそびれてしまったのだから、相手には己の肯定なんて伝わってはいない]
(222) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[お気に入りの短編集を片手に、寝台に座り直した男は壁際に背を預け、そうして暫し物語の世界へと没頭することになる。
壁に預けた背には、ぽん ぽんと別れ際にもらう挨拶>>186のぬくもりが残っているようで。
騒いでいたものが凪ぐのには、そう時間はかからなかった。**]
(223) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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― 自宅 ―
[ バタン 。 外とわたしを隔てる扉が閉まった。
お湯を湧かすための小さな火種が炉の中で燻っている以外は 置いてはあるものの、客人が来た時以外は灯さぬ蝋燭が 薄暗い部屋の中でぼんやりと白く浮かんでいる。
手元を照らしてくれるランプに頼ってばかりだと こころも、感覚も甘えてしまって 自由になってしまった右手をゆっくりと 閉じて ひらく。
全て覚えた家の間取り、家具の場所。 サイラスに掃除を手伝って貰った頃なんて なんにもわからずに、文字通り手探りで壁をたどって 椅子に足をぶつけたりしていた。
貰った紙片をどうしようかと暫し家の中を彷徨った後、 ぽすりとベッドに腰掛けて…ころり。寝転がる。 ]
(224) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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[サイラスが癖字と言っていた。 ちいさな紙の裏に、中指をそっと滑らせて 両親に教えてもらった自分の名の綴りを探す。
M、ar……
”書いてある”と知っているから、分かる程度の微かなそれを 閉じた眼の奥で読むように拾い上げる。]
……ほんとう、変な文字。
[くす、とちいさくわらって ゆっくりと ゆっくりと
焔が見えるのではないかと期待を胸に 真っ暗闇のなかへと 眼をあけた。]
(225) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2015/05/12(Tue) 01時頃
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― 喪われた家族の話 ―
ねぇ、ねぇ、おかあさま。 どうしておとうさまと けっこん したの?
[雪が降る寒い夜に、火の粉が踊る暖炉の前。 揺れる椅子に腰掛ける母の膝に抱かれて わたしはそんなことを母に問う。
見上げた微笑みはどこまでもやわらかく 外の雪まで解けてしまいそうな 陽気を帯びて
「おとうさんの声が、聴こえたのよ」
御伽話でも操るように すべやかな指が額を撫でて 優しいことばは繭玉のようにころがってゆく。
幼いわたしは、声が聞えるなんてあたりまえでしょう?と、首を傾げる事しかできなかったけれど 母の顔はそう言わせないほど、幸せが眩しかった。]
(226) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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おかあさま。 わたしも、聞こえる? 信じられるひとのこえが 聞こえるかな。
[……サイラスは、ちがうみたいだから。
問いかけは、星など浮かばない薄紫の空へ向け 夜の帳はあってもなくても わたしにはおなじこと。
あの時、わたしに泣くなって 言ったのは―――。
期待した焔色は顯れずに、ゆら ゆらり ほんやりと浮かぶのは花の色。しろくて、黄色の…**]
(227) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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内緒事なあ。 ドナルドにねだったら話してくれないか?
[少女のぶちまけられる悩みを受け止める。 困った。 俺は子守はあんまり上手くないんだ。 助けろドナルド。]
……俺の秘密? 何がいいかなあ。
[助けは来ない。 少女をドッキリさせない程度になにか良いものは無いだろうか。 ものすごく悩んだ結果、懇願のポーズに顔を寄せる。]
(228) 2015/05/12(Tue) 01時頃
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