29 Sixth Heaven
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僕が……いいえ、やめましょうか。
[いつものような、優しげな笑み。 けれど、それが弾ける音は。
あるいは、部屋中に]
俺が決めた。文句は認めない。異論?黙れ。
[強欲の、器が音を立て。]
レガシィな、本来の文化にしがみつくのは、そりゃあスリル満点ってなもんだ。 すくなくても薄っぺらな「みんながやってるんだからわたしも」思想にまぎれて他人に罪業を行政するよりは、万倍な。
[いまにも唾棄しそうな口調で、吐き捨てる。 手にはいつしか、酒瓶が]
偽善にまみれたきゃひとりでやれ。ペラジーも他の連中も巻き込むな。 流されてくだけのやつが偉そうに語るなよ。
(168) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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[手を握るムパムピスの瞳を、灰青が見据える]
……じゃあね、ムパムピスお兄ちゃん。 私は、貴方達の知らない8年間……此処に繋がれて生きてきた。 その間笑って暮らしていたであろう貴方達を。
私は、羨んでも良いはずよね……?
[影を背負った瞳の色は限りなく灰に近く。 責めるような視線に、恋焦がれるような視線をぶつけた]
……私、ね。 もう、限界だって、解るの。 これだけの事を知って、考えて。 その上でまた器として繋がれたら、壊れちゃうわ。
ううん……本当は。 フィルがいなければ……。 フィルが何より大事だって言ってくれてなかったら。 きっともう、こう言ってるわ。
(169) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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はやく わたしを ころして。
……って。
(170) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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あら、わたくしは奪ってはいませんわ。 ただ、問うているだけ。 権限など、"自由"なあなたが提唱するにふさわしくないものですわね。
[フィリップの息を吐く音が聞こえても、微動だにせず]
覚悟があるだけで、かまわないとでも? それとも、"嫉妬"に狂わぬ世界に変えて下さるのかしら。 いますぐに、なんびとの犠牲もなく。
"嫉妬"ある、他の大罪が蔓延る危険な世界は、笑える場所かしら。
(171) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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……それでも恨むなら、恨んで。 誰に許されなくても、構わない。
[今にも壊れそうな心の音がする。 綺麗に笑顔を浮かべながら、頬にはまた涙が伝っていた]
私を私として見てくれるのは、フィルしかいない。 フィルと世界と、2つが私を求めるなら。
たとえ世界を壊しても。 たとえ世界に許されなくても。
私は、フィルの傍にいる。
(172) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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奪ってはいない?そう思いたいならそう思えばいい 思うだけなら、なんだって自由です。
[ゆるりと、戸口で首を傾げる]
いえ、オレがマーゴをつれて出て行けば 沢山の犠牲が出ることも 嫉妬が蔓延することも知っているし止められません。 貴方の欲求には答えられない。 そこは素直に、ごめんなさい、 としか言えませんし、許してもらおうとは思わない
ただ、そんな場所でも、 オレはマーゴが笑ってくれるなら、笑いますよ。
(173) 2011/04/22(Fri) 23時半頃
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流されている?
[ふいに、笑みを止める。 帽子の下の眼を瞬かせ、直後]
面白いことをおっしゃるのね。
[くすくすと、笑った。 心底愉しげに肩を揺らす。顎に当てた手から伸びる、細い指が唇を滑った]
あなたは、わたくしが全体利益で語っていると、そう思っていらっしゃるの?
馬鹿馬鹿しい。 黙れ? お断りします。
(174) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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[あくまで平静なまま、はねつけるように告げ]
わたくしはただ、わたくしの識る方々が、酷い世界で壊されるのが嫌なだけ。 わたくしだけが受け入れても、わたくしだけが囚われても、何も出来ないまま平穏は壊されてしまう。 だから、わざわざ丁寧に説明して差し上げているのに。
流されているだけで済むやさしい世界は、あなたの周りにしかありませんわよ?
(175) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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―台所― [爆ぜた。笑みの仮面は其処にはない。
気配を察知したか どこからともなくネズミが顔を覗かせる。 それは恐らく、争いを警戒してのことだ。 システムは監視している。 器は貴重なものだから。]
……――
[自由の管理者と、 傲慢、そして強欲の器。]
ペラジー、君は 「皆で帰る」と、――此処にきたとき、 誰かと「約束」したのだろうかな。
(176) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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私は君の声を 途切れ途切れにしか聞いていないからな。 聞きたいと思っている。
[重い選択、彼に意味が届かなければ意味がないと スティーブンは考えている。
言葉交わす三人のほう、また見て。 スティーブンの側にネズミが小さく 尻尾を揺らしてくるりと回った。]
…ラルフ、酒瓶を手にするはいいが 振り回すようなことはしないでくれたまえよ。
[牽制は牽制になったかどうか。]
(177) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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これ、は。自分でやったんだけどね。 ……どこかに逃げるんだろうと、言われたから。 逃げないよ、って。
[>>164自分のした事と、籠の鳥だと自らを評すマーゴ。
フィリップの連れている鳥。風切り羽に手の入った。 それを、脳裏に思い返す。
……それで、結局は母はどうなったのかは告げないまま。 現在、助けたい誰かの為に動くに、 障害となってしまっている事には自嘲のような笑みが浮かぶ。
ヘンリエッタは、もうこの世には居ない。 その言葉には、何か紡ぐことは出来ず。]
(178) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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――……良いよ。思いきり、羨んでも。 「外」にいけば。何かしらの負の感情が吸い取られたら。 羨む事すら、きっとできないだろうけど。
[影を背負う灰に近い色、焦がれるような視線を受け止めるのは、 元々が薄い灰色をした、どこか沈んだ色のそれ。]
……既に、トニーもチャールズ様も「繋がれ」た。 それで壊れる事になると知っているのに、 君はそれを止めなかった。 本当は、ね。僕も、世界の事を考えるなんて、ほんの少しで。 ――……このまま去ると言うのなら。 許せないのは、連鎖を止めなかったその事だ。
[責める言葉を吐きながらも、視線に含まれた責める意図は和らいで。 流れる涙は、例え払われても指で拭った。]
(179) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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ああ、壊れるだろうな。 あんたみたいな愚妹な人間が思う物など。
[けらけらと、哂う。それはそれは愉快そうに。 ただ、愉悦の嗤いを]
素晴らしい。 それこそ望むものだ。ぬるま湯から、正しく。等しくな。
丁寧な説明?この期に及んで体裁をつくろうなよ、『傲慢』。 ただ、自分様の意のままにならないのが嫌なだけだろ。
安心しろよ。 あんたがどうなろうと、どうせ何も出来ない。 自分の意のままに操れる人間だけの世界に、浸っとけ。
(180) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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世界を壊す事になっても、 フィリップの、傍に。
[告げられた言葉を反芻する。 その気持ちは、覚えのあるもの。胸に決めた事が、揺らぐ。]
……ねえ、"マーゴ"。 君は、自分の事を傷つけない、と。 誓える……?
[揺らぐ視線のまま。彼女の手を更に強く握って、 濡れる彼女の瞳、覗き込むように問いかけた。]
(181) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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そうやって自分に枷をかけたのね……。
[彼もまた籠の鳥、いや、足枷をつけた犬か]
外に出られたら、もう私の羨みは消えるわ。 嫉みも羨みも、求めても手に入らないものがある時にしか 生まれない感情だもの……。
[嫉妬の器である自分が“外”へ行けば、 嫉みや羨みの感情はそのまま世に解き放たれる]
自由になれた鳥が、籠の中の鳥を羨む事なんて、ないのよ。
(182) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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ああ、かわいそうに。 その笑みが、あなたを思うあまり無理に笑っていても、あなたは気付かないのですね。
[フィリップの声には、大げさに息を吐き]
暴食のままにあぶらに膨れた腹を黄ばんだ歯が捉え、 怠惰で息をすることも忘れたまま身体が腐りこぼれ落ち、 嫉妬に狂った恋人達が互いに胸を刺し腹を裂き首を縊り、 強欲に振り回され髑髏の裏までしゃぶり尽くしあげくに灯を求めて柱に火をつけ、 色欲に溺れ年端もいかぬ少女の下腹から白濁と糞便と胎児をひりださせ、
そんな醜く穢れた屍の上を延々と逃れ続け、脚が痩け疲れ果てるまで駆けた末の真っ暗闇で。
笑えると、本当に仰るのですか?
[即座に答えが返らぬなら、鼻で笑い]
(183) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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そうね、私は止めなかった。 トニー君を止めるには私達の決断は遅かったけど。 チャールズおじさんは止める事はできたかもしれない。
でも、ムパムピスお兄ちゃんは我が侭だわ……。 連鎖を止めて欲しかったなら、そう言うべきだった。 今言われても、遅いよ。
[壊れたように、涙は止まらない。 嗚咽も何もなく、ただただ流れ続ける。 それを拭う指を、両の手で捕らえて細い首元へと誘った]
(184) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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[パピヨンの護りたいことに目を閉じる。 平穏を望むなら、少しでも多くの器が必要だ。 ただでさえ、平穏を乱す起爆剤になりかねない 憤怒を押さえる器が足りていないのだ。]
[罪悪感は募る。世界には友人も知人もいる。 ……彼らが巻き込まれることも十分にあるだろう その先にある悲しみを見てはいても……]
[ラルフのように世界の現状に思い考えていない だから、それで良いと思うことは出来ない。] [パピヨンのように自分の正義をなす為に 周囲に働きかけることも出来ない。] [スティーブンのようにシステムそのものを拒絶し、 世界を変えることを望み思うことも出来ない。]
[それでも、独りの少女の傍にいたい と、いうことしかない。から。]
(185) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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[少年へ、女へ、そうして青年へ。狼狽えた様なあおは順に視線を移して、 再び――視線は床へと落ちる。左手首に巻かれた白いタグに、ゆると、瞬いた。 視線を上げずとも、男の問い>>177は 耳に届く。]
―――…、
[10年。 それだけ強く覚えている。 それが経てば、“帰れる”のだと、ずっと思っていて けれど、 何故帰ろうとおもっていたのか―― …微温湯の底に沈んで、不自然な程に浮き上がらない記憶。 それが、違和感だと――ようやく、認識する。
薄く開いた口唇が、何かを紡ごうとして。 しかし其れは結局声にならないまま、再び閉じる。
左手首の白に指先を掛けて、軽く、引っ張る。 きし、と小さく音を立ててビニールが伸びた。]
(186) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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……十分に幸せな籠の鳥も、 外で迷子になっている鳥を羨む事はない、よ…?
[>>182言われた言葉。一つ瞬いて。 どこか憐れむように、 けれど、満足をしているような笑みを零した。]
(187) 2011/04/23(Sat) 00時頃
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[戸口を出際聞こえたパピヨンの声に 翠を細めて。 言葉は違えど、決断をだす前 マーゴに告げた「器がいなくなったときの現実」を 他者の口から聞く……そう、決断する時に 自分でも口にしたこと。]
ええ、それでも、笑いますよ。
[長くは口にせず、静か笑って フィリップは台所を後にし、医務室へ向かった]
(188) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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……許さないというなら、このまま縊って意識を奪って。 無理矢理にでも私を中へ放り込めば良い。
[彼の手が外れないように、両の手で捕らえたまま。 “マーゴ”、その響きに一瞬息を止める]
……何故、そんな事を訊くの? 心が壊れるより、体が傷つく方がずっとましだわ。 ……死なない、限りは。
(189) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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[>>187、小さく首を振る]
それなら、貴方達はまだ幸せな籠の鳥になれそうね。 羨むつもりがないのなら、羨まなければそれで良いでしょう?
[憐れむような笑みは、理解できなかった。 迷子の鳥とて、籠の鳥に羨まれたいわけではないから]
(190) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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それが何か? "強欲"。 愉しむだけで悩みもせず、選択もせず、"強欲"を貪りもせず。 ただいるだけで何もしないあなたにとやかく言われるなど、心外ですわ。
わたくしはただ、この場さえ為ればかまいませんもの。
[ラルフの言葉に興味は湧かず、注意はふたたびペラジーの方へ]
それで、あなたはどうするのですか。 ペラジーさん。
[スティーブンの問いを耳にすると、もう一度問いかける。 他の者と喋る間も、ずっと彼の方を向いたままで。 小さなきしという音を耳に捉えると、覗き込むように彼へと腰をかがめた]
(191) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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―台所―
[うろたえたようなペラジーに、 スティーブンは静かに、 近づきすぎず、離れすぎぬ距離で居る。]
――……あまり引っ張ると 千切れてしまう。
[伸びるビニール紐を見て、スティーブンは謂う。 彼は、帰りたかったのだろう、と 帰れると信じていたのだろうと。 ゆるく、こぶしを握り締めた。
それでも笑う、と 「自由」の管理者が謂って出て行くのを見送り。]
(192) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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ああ、そのろくな知識もない頭では想像もつかなかったか。
[あからさまな侮蔑を瞳のいろにのせ。]
悩む必要などない。悩む理由がない。 選択する必要などない。生まれ落ちた時から決まっている。 貪るのはいまじゃない。 あんたが醜く歪んで這いずり回るときに。声を立てて哂う愉悦を待つ時間だ。
[くけけと笑いながら、酒瓶を口へ。]
なあ、『法』。あんたがどっちを選ぶのか知らないが。 他者に押し流される、あんな愚かな真似だけはやめとけよ。
[そして壁にもたれて、ぼそりと言霊をたゆたわせる。]
(193) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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― →医務室 ― [ペラジーの選択は聞きたかったが 愚かな道化師はあの場にいる必要はなく 自分のいるべき場所に戻るため、必要なものを取りに行く
医務室に在るものを物色して…… ああ、やはり包帯はないのだな、と。 思いながら、適当に見繕う。]
…………
[息を吐く。何も感じないわけではない。 鍛えた表情筋で笑いながらも]
……ああ、しかし、女ってこえぇ……
[ふと、前もパピヨンを見て思った言葉を ポツリと落とせば、そっとリベラを撫でてから 医務室を後にした]
(194) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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……そうだね。知るのも、心を決めるのも。 遅すぎた、全部。……だから、……。
[言い淀む。どこか、言いにくい気持ちな気がして。]
我儘なのは知ってるよ。何で、僕が美徳に選ばれたのか。 ……器の立場であったら、良かった。
[>>184首へと誘われる腕。 外されないように添えられた手は、力を込めれば振り払えそうだけれど。眼を伏せるように視線をやるけれど、そのままに。]
……聞いて、なかった? フィリップが、ここを出て行く時に言った事。 「マーゴが自分を傷つけるようなら絶対止めて」 そう、言っていたじゃない。
マーゴの身体が傷ついたら、 ……フィリップの心が傷つくんじゃないかな。 君を、何より大事に思って居るみたいだから。
(195) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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[多分、自分も余り人の事は言えない。けれど言葉は言い募る。 一瞬止まった息には気付くけれど、 呼び方を変える事は無く。 このまま意識を奪えと、告げるのに。 憐れむ視線は、どこか悲し気な色に変わった。]
「外」では。生きていくのに、働かなきゃいけない。 生きていく最低限は提供されるここと違って。
その間、どうするの。フィリップが稼いでいる間。 君が、心を壊さない為に身体を傷つけて。 君の身体が傷つく事で、フィリップが心を傷つけて。
……それでも、大丈夫、なの。 外に行って。ちゃんと、大事な人を、大事にできるの……?
また。さっきみたいな事を、繰り返す事になるんじゃないの…。
(196) 2011/04/23(Sat) 00時半頃
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―台所― [千切れてしまう、と。男の言葉に、ふつと。 我に返ったように、緩やかに白から指先が僅かに離れる。 少しだけ、指型に伸びた其れへと視線を落として――
覗き込むように屈む女の影>>191。視線など合う筈が 無い。 …にも関わらず。僅かに、びくりと肩が揺れた。 青年が見えている筈は 無いのに。
その見えぬ筈の視線から、何故か逃れる様に。僅か身体が遠のく様に傾ぐ。]
…ぁ。…
[随分な時間を かけて。 ふる、と 微かに首を横に振る。 ――口に出さなければ、相手には知れないと、解っていても。
口に出せる程。思考ははっきりしない。 何に対する恐怖か、知れない。 …ただこのまま、あの場所に戻るのが 何故か酷く怖い。]
(197) 2011/04/23(Sat) 01時頃
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