97 wicked ROSE 【ハジマリの五線譜】
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[打ちつける雨、重なる音は扉の開かれるそれ(>>154) 驚きに一度肩を跳ね上げ、振り返る。]
अनाताहा ......
[その顔に見覚えはある、意識を失う前に見た顔だ。 そしてその声は落ち着ける音域を持つ事を男は知る。 あなたは、と告げる唇はまだ遠く昔の言語。交わらず、伝わらず。 男は彼へ視線を向けたまま、困ったように眉を下げた。
その眸は射干玉。
血を思わせる赤も、片翼も失せ。]
(163) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[握り締めていた布に書かれた詞。 ふとそれを指でさししめし。]
ओतोनाशिकु शितेइमाशिता अनातानो इइत्सुकेदोओरिनि
[大人しくしていたのだという旨を伝えようとする。 けれどしかし紡がれる音は、男と彼では異なる。 そしてまた眉を下げ、次第に視線も下へと落ちてしまった。]
(164) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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ってか、何処行きたいんだよ、少年よ 俺から逃げようとか、甘いんだよ
[少年の手首の紐をぐいっと引っ張り。 自分の元に手繰り寄せ、ニヤリと笑う。]
事情は分からないけどさ… 話してくれたら、これを解いてもいいぜ?
[と、持ちかけるも]
…グウェンドリン? おい、ちょっと待てよ
[馴染みのある名前は聞き捨てならず。 しかし、まんまと逃げられた。]
(165) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[ 世界は、 嘘に満ちている ]
(166) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[ロバートが小さい頃から響く音を、誰も知らないと言う。 あんなに様々に、やかましく、鳴り響いているというのに。
嘘つきロビン。
真実と嘘の境など、誰も知りはしない。]
(167) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[あれ?] [驚かせたらしき背の高い姿がこちらを向く。 そこで、今度は青年が目を瞬かせる。 その瞳の色は、今はない片翼のそれ。 まさかに、瞳に 収納されたわけでもあるまいに。]
……こまったな、どこの国の、言葉か……
[ただ、彼が何か話したらしきに やはり意味が取れず。 向こうも困っているようで、 青年が書いた布を示された。 きっと、何を書いたかを尋ねている、のだろう。]
(168) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[青年も同じ顔をしながら、 自身の机の上、置いてある本を一冊手に取る。 一先ず、聖堂内の確認を休んで
手にとった本は世界地図帳 世界全体を書いたらしきそれを開く。 そうして首を傾げて差し出した。]
…………今は、ここ
[窓近い姿に、大英帝国の場所を指し示しつつ]
(169) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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[だから、といえるかもしれない。 他人と関わる時、まともに見せておかしなことを言う少年が、 幼馴染の少年と話すときは、少しだけその言葉を変えるのは。
>>53 『世界は音楽に満ちている。』
何年前だろう。 同じものかはわからないけれど、 彼の言っていた一言が、少年の何処かに残り続けている。]
(170) 2013/09/25(Wed) 01時頃
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クシャミは、オスカーを追いかける**
2013/09/25(Wed) 01時頃
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── 2000年代初頭 倫敦 寄宿学校より ──
は、
[寄宿舎の庭へ出れば、鈍色の空から降り注ぐ雫が全身を濡らす。 睨むように見据えた大聖堂が、]
[ ぐにゃ ぁ り と ]
[歪んだのは、 世界だ。**]
(171) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[逃げる少年と追う青年。 そのどちらも追わずに背を見送った]
[ぽぉ ん]
[りぃ ん]
[音は響いている。続いている**]
(172) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[片翼と同じ色の眸。 褪せた長春色の髪。 言語が伝わらぬ事に見せる表情は、お互い変わらぬらしい。 男は似たような表情をする男へと近付こうと。
容易なことだ、その唇に触れればいい。
しかしその行為は。 男にとって易々と出来ることではない。 許されているのはあの、大聖堂に眠る聖遺体にのみ。 微か唇を噛んだ姿は、黒き鳩に見えただろうか。]
(173) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[やがて差し出されるのは書物。 窓辺から、男は彼の方へと少し身を乗り出し。 その書物に触れるのは指先、そしてゆるりと唇が触れる。]
कोनोबाशोनि इरुनोदेसुने ......?
[この場所に私がいるのか、と。 告げる音はやはり遠い昔の音色。 時代の移ろいと共に変わる音楽のように 遥か彼方遠い未来のこの地では、男の音色も届かない。
代わりに男はその本を、示された場所を指で数度つつき。 そして自分の胸に手を沿え、寝台をぽふぽふとやる。 一つ頷けば、その意味がわかるかと心配そうに見つめ。]
(174) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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― 1900年代初頭倫敦 大聖堂外 ―
[耐久に疑問性あり、内部は力の通じない、正体不明の相手ばかりの敵地に何時までもいるつもりはない。 聖堂の外へ飛び出せば、雨が雫を為して天から降り注ぐ。 雨模様の中、両手を紐で縛られた少年が飛び出してきた事態に、何も知らぬ《大衆》は困惑を見せる者も。
だが聖堂での騒ぎは、まだ表世界には浸透している訳ではない様。
長居無用、足早に逃げ出すべしと、少年は駆け出そうとして。 振り向いた聖堂の窓に、誰かの姿が見えた>>163]
(175) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[……何か悔しい、のだろうか? 何か、早急に伝えねばならぬのか? 元片翼の事情も能力もしらないから、 ただ、目撃した事情も意味は汲めない。] [唇に触れる指先、 ふと、明之仕草を思い出す。 >>127 東洋の出なのだろうか?]
[地図に興味を持った様子。 相手も言葉が通じないとわかり、身振り手振り…… 軽く片手を顎に触れ考える。
”自分はここ、にいる?”
多分そうだろうと、穏やかに笑んで頷く。 地図と、ジェスチャーは同じ感覚。 そう判断して、今度は青年がジェスチャーを一つ。]
[元片翼を指差してから、地図を差し出す。 あなたの国は、どこ?とききたくて]
(176) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[窓の外、打ちつける雨。 歪むのは大聖堂ではなくこの世界とその世界の狭間(>>171)
やがて大聖堂を飛び出した少年にざわめく《大衆》たちの声(>>175) そして鳴り止まぬ音、音、音(>>172)
また背中にじくりと痛み。 けれどその背に片翼はなく、眸も射干玉。 見上げた窓に映る姿に、少年はいったい何を思うのか。 この背に翼があれば何か記憶に触れるものがあるだろうか。 天空へと散り続ける鮮血に重なる、闇色の羽根が舞い落ちれば。]
(177) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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[ぽぉ ん]
なんで、だれも、いないんだろ。
[ぽん]
なんで、
[とん、とん、と小さな歩幅で薄暗い、何もない空間を歩いていく。]
(178) 2013/09/25(Wed) 01時半頃
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だれか、
[と―――― ん]
[呼び声は"音"。変わらずに世界に響くそれが、またひとつ。 目の前に、扉があった。]
(179) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[扉を開ける。]
わ、
[薄暗いそこから、明るい外に繋がる瞬間に、眩しさに目を細める。 明かりが付いているわけでもなく、ただ窓から陽光が射すだけだったけれど、充分に眩しいと思った。]
[ぽん]
[驚きに、小さな音が漏れた。 今度の音は、響かない。]
(180) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[聖堂にいて、起きている人物。 思わず目を瞠る程の、長身で美男だ。遠めにも解った。 偶然避難してたか。あの人物も、彼らと同じなのか。
瞳に映る、射干玉の彩。 ひとめ、特別に違和感を感じる人物では無いにしろ、ちく、と胸が痛む予感を覚えた気がした>>177。
窓辺に見える人物は誰かと話しているらしい。 相手方は、何となく予想がついた。
あのいけ好かない口調と外面良さ気の、自称神父だ。
少年に与えられていた任務を、台無しにしてくれた]
(181) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[噛んだ唇、触れる指の仕草。 伝わらぬものは数多、けれどそれは未来への布石。
動きで伝えようとしたことは、ささやかながらも伝わったようだ。 穏やかな笑みに、眉根を下げていた顔は少し和らぐ。 次に示されるは男自身、そして差し出される地形を描く書。
どこからきたのか、という意味か。
男は書物を受け取り。 けれどそこに描かれたものは幾分と見知らぬ地形。 長い年月の間に、揺れ動く地は形を変えているらしかった。 首を振り、また申し訳なさそうな表情へと戻る。]
गोमेन्नासाइ ......
[それは確かに謝罪を伝えるトーンをもって。]
(182) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[あの妙にムカつく丁寧口調。 本来の地を隠し演じる様な奴、独特の違和感不快感がある。
唯の神父と言い張るが妙だ。 結局、奴の名は知れずにいたし、胡散臭さもこの上ない。
極め付けにあの抵抗力。 どうやら、これは奴だけじゃ無いらしいが。 初めに少年のささやかなプライドを折り、作戦を潰してくれたのは奴に他ならない。
ファーストインプレッションは、最悪の最悪だ]
(183) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[次の時は、全力で叩きのめしてやりたい。 あのムカつく口調も気に入らない]
『 おとなしく、しなさい!!』 『 ――…っはなせ! 』
[ふとした想起は、青年に組み敷かれた時に視た、目。 表情、案外凛々しく、意志強くて。 せめて、あのムカつく丁寧語さえ解けば、格好良く映るだろうに勿体無――
……何を考えようとしたんだ。 気付いた時、少年は自分の頬を軽く叩いていた]
(184) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[あの青年が気になるのも、純粋な敵愾心だろう。 次こそは、あんな奴、《大衆》と同じ様に。 そうすれば、もう気にも止まらなくなるだろう。
今度こそ聖堂から背を向け、雨の中を駆け出した。 その少年の頭上には。 果たして空の上を鴉が飛びすぎたのだろうか。黒い羽が数枚、雨の地面にひらりと落とされていた事を、少年は知らないで]
(185) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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वाताशिहा ... इइशु कारियोतो जुउदासु
[男はまた伝わらぬ言語を並べる。 それは男自身を指す名。]
इइशु (イーシュ)
[速度を落とすそれは、辛うじてこの世界の音に直すならば。 イーシュと、確かに聞こえるだろう。 詞を述べてから自分の胸に手を置き、数度繰り返す。 そして胸に置いた手を今度は彼へと向け。 首を少しだけ傾けた。]
(186) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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ここ、どこ。
[恐る恐る、足を進める。 ステンドグラスからとりどりの光がこぼれてくる。 けれど、また、誰も居ない。]
いやだ、
[探るように手を動かす。 壁伝いに、進む、進む。]
(187) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[微か、己より高い位置にある視線、 その元である瞳は変わらぬ暗。 寧ろ眩しい光量故に目が間違えたのでは? そう思うほどに鮮血の滲みもなく。
その視線が地図に落ち暫くして首を振る。]
……地図に乗ってない小国? それか、まだ未発見か……
[新大陸がまだあるのか、と思いつ、 ふと、この元片翼が霊廟の聖遺体に反応したこと と、猫の、が口にしていた >>134を思い出す。] [まさかな?]
[けど、古代の歴史資料に何か 反応を示す可能性があるかと思えば 少ない手がかりに思えて。 何分、祭事担当故に、部屋にはその手の本はない。 だから。]
(188) 2013/09/25(Wed) 02時頃
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[書庫に連れて行き、 何か見知っているものを探そうと ジェスチャーでどう言おうか思案していると。]
イーシュ?
[二度、二度目はゆっくりと、そうきこえて。 仕草もついて、もう一度。]
貴方の、名前? イーシュ
[青年は元片翼を指差してから繰り返して。
次いだ、指差しに軽く頭をかいた。 己には名前がない、のだが。]
……オルガニスト
(189) 2013/09/25(Wed) 02時半頃
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[ここでは、名前にように、そうと呼ばれている。 名前にように、使っても問題はあるまいと。 微か苦笑して口にした。]
……イーシュ、書庫に、行こう
[名乗った後で青年は地図を閉じ本を指す、 更に譜面が入った本も指し、 沢山というように両の手を広げてから、 書庫に連れて行ってみようと、その手を引こうとした]
(190) 2013/09/25(Wed) 02時半頃
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[黒い羽が雨に落ちる(>>185) それは誰に知られることもないまま雨に消え、やがて溶ける。 烏の羽か、それとも。
長身の男は見上げる視線(>>181)に気付かず。 今映すは、その少年が想起する神父。
少年の顔を見ていれば、或いはその髪が長く美しい夜のそれならば。 少年が感じたその胸の痛みと同じく、男にも感じる痛みがあったろうに。 すれ違うは《聖なる主/イェホシューア》の導き。 今はまだ、今はまだと。
しかし、やがて出逢うのだろう。 それは《聖書/テスタメント》の記す通りに。]
(191) 2013/09/25(Wed) 02時半頃
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[暫くそうして廊下を行って、またひとつ扉を開けて、 ぱん と視界が開けた。]
……!!
[幾つもの椅子、大きなステンドグラス、木製の十字架、聖女の像。 大倫敦の大聖堂には遠く及ばないが、小さくとも厳かな、紛うことなき聖堂《カテドラル》。]
[不意に、少し埃の積もったアップライト・ピアノに触れる。 それは惹かれるように、必然のように。 蓋を開け、何の気もなしに鍵を押し下げる。A《ラ》]
(192) 2013/09/25(Wed) 02時半頃
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