219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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髪良ーし!身だしなみ問題無し! 化粧崩れは…無し。装備状態オッケー! 大丈夫、私可愛い!今日も可愛い!
[手鏡の前。 軍隊の号令のような力強い掛け声が響く。
彼女の装備は、武器に銃剣… ということは勿論なく 口紅・付け睫・チークにシャドウ。 耳元には、白い小さなイヤリング。]
…やだ、跳ねてる。
[慌ててピンを一本追加。 色の薄い髪の毛はしっかりと編み込み、 清潔感を重視してアホ毛など許されない。 肩こりの元凶である胸も、この時ばかりは立派な防具。
メインの鎧が、コンビニ制服一択なのは残念だったが戦場の特性上、仕方ない。]
(91) 2017/06/09(Fri) 11時半頃
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今日は来るかな…逢えるといいな。
[ポケットに忍ばせたスマホの待ち受けは、 大好きなあの人の画像。 山図川(やまとがわ)大学2年生 三留陽菜(みつどめひな)は、恋の戦場で戦う戦乙女だった。
―――今日、この日までは。]
(92) 2017/06/09(Fri) 11時半頃
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―セブン・トゥエルブ サイガワラ駅前店―
[今日の占いハッピーカウントは大はずれだ。 大ラッキーってあったのに。 あの人は休憩時間中に来て、既に帰ってしまったらしい。
超ブルーだ。快晴だけど、心の中はどんより曇り。 売り物の雑誌を整え、ため息を一つついたところで、声をかけられ振り向く。 笑顔笑顔、営業スマイル忘れずに。]
(93) 2017/06/09(Fri) 11時半頃
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―――……
いらっしゃいませ! プリペイドカード、ですね! 確認致しますので、少々お待ちくださいませ。
[カード。カード。 引継ぎで、そういえば聞いていた。 レジ下にある、お客様用忘れ物置き場。 そうかあれはこの人の……
思い出すことに集中していた為、周囲への意識が逸れた。 近づく轟音と大きな影。 気がついた時には、目の前にあるはずのない景色。 猛スピードで突っ込んでくるトラックの姿が…**]
(94) 2017/06/09(Fri) 11時半頃
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さて、と。
[端末を隠すように握りまして、手を開けば そこには愛用の扇子一つ。
死神は、無暗に参加者を始末するわけやありません。 決まりを確認する間くらいは待ちましょう。 震える端末を手に取りましたか?>>39 送られた文を読みましたか?>>52
それらが終わった様子ならば 僕からも、贈り物を致しましょうか。]
(@28) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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[――――パシィン!]
跳梁、跳梁、呵々大笑 げこり笑うて飛び出しますは
[ パシィン!]
目下嘲る、雑音でございます。
(@29) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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[閉ざした扇子 上手いこと腿に打ち付ければ そりゃあええ音がするもんで。
屋上から、蛙が次から次へと飛び降ります。 参加者たちへと降り注ぐよう あるいは、そこへと真っすぐに向かうよう。
遊戯のお約束と言えましょう。 都会に似つかわしくない蛙の輪唱
蛙に囲まれ潰されて 隠れ道へと案内されます参加者とて 僕らにとっちゃあ*見慣れたもの*]
(@30) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2017/06/09(Fri) 12時頃
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『仕事中のソシャゲは自己責任です』 『爆死(文字通り)しないように、お気をつけて☆』
[>>@19どうせまた夢中になっていたんだろうと、詫び石の文字で全てを察してみる。 公演中は携帯電話の電源をお切りください。 ……とまでは言わないけれど、集中力に欠けるのはギルティ。
ソシャゲは少しだけ齧ってみたものの、時間に追われる生活のためあまりできていない。 時は金なりというのは、何ら間違っていない。
それにしても、ああ、彼はいったいいくら注ぎ込んでいるのだろう。 まさしく娯楽は経済である。]
(95) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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『お待たせしましたね』 『今回はハイスコアをお譲りしますよ、流石に』 『張り合いがない、とか言わないでくださいね?』
[>>@23軽く煽り返す。 死神同士、彼と成績を競い合うことはいつものことだったのだけど、今回はそれもできず。]
『あっ、田舎娘とか言わないでください』 『“サイガワラ生まれの美少女魔術師!”って、こないだ雑誌にも載りましたもん』
[代名詞は聞き捨てならなかったので、2倍速で返信。 頑張って標準語を使ってはいるものの、舞台以外では素の訛り口調を漏らしてしまうこともよくある。 しかし、私の出自はサイガワラであると主張して止まない。
……サイガワラの外で育った記憶は無いのだから、間違いではないはずだ。]
(96) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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[>>@26>>@27華月斎さんも加わり、なんとも平和な死神トーク。 すぐ真下では、雑音による愚者の駆逐が始まっているのにも関わらず。
華月斎さんは、元々舞台にいた人。 今は身を引いたと聞いているけれど、その“魅せる”ための技術は、衰えを感じさせない。
私が魔術師として生きて行くために、技術を欲した時期。 彼に師事を仰いだことも、あったかもしれない。**]
(97) 2017/06/09(Fri) 12時頃
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はは、───そりゃ、違いない。
[ 一日の無精が、と迄は言い過ぎなのかもしれねえが。 その無精も埃や錆のように積み重なるもんだから、 強ち侮れねえ教訓な訳だ。>>79
─── 「きみもお疲れ様です。」と、 扇子を弾くはずみ、ぱん、と打ち鳴る。 ]
…嗚呼、だけどもねえ。 『過ぎたるはなお及ばざるが如し』なんて 言葉もありますから。
─────、 倒れない程度には納めて下さいよ?
(98) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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(第二の親だと言うにも、 彼の母親は未だ、健在であった筈だ。 この口からじゃあ、烏滸がましくて言えなどしないがね。
……嗚呼、でも、正直に認めちまおうか。 子どもが居たとすれば、このような気分なのだろうな、 とは思うもんさ。 ) [幼い時分は此処で武の道を嗜んだ事もあったとは言え、 今は長らく、舞としてしか触れていない。
研鑽の道に通じながらも、 武を芸に昇華するのが難しいのとは反対に、 芸を武に昇華するのもまた、そう容易でも無いもんだから。 …武道として竹刀を振るった時は、今じゃ、 間違いなく彼の方が上だろう。
頭からぬるま湯でも浴びたように湿り気を見せる髪が、 外気から入り込んだ赤光を吸い込むさまへと笑い返した。]
(99) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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(タオルのひとつ持ってりゃ 気の利いた真似でも出来たんだが、生憎と 持って来るのを忘れたことを、茹だる梅雨際の空気に 後悔でも紛らわせながら、扇子をはた、と仰ぐ。)
…やあ、そんな事になったら。嫌だねえ。 四季の風流があるからこそ、此の国は美しいのに。
[涼やかに見えると言う為ら。 舞手たるもの、演目の間は暑かろうと寒かろうと、 顔に出さぬようには勤めるものだからこそ、 振る舞いが染み付いているからこその賜物だろう。
では、今度お招きしましょうか、だとか。 そりゃ大役、頑張って下さいね、だとか。 きみの力量次第じゃないかい、だとか。
扇子のひらめきと共に揚々と交わす会話で以って、 西日の中に見送ったのが、きっと過ちだったんだろう。]
(100) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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[桐下駄がから、と鳴る。 閃く銀色が、あか、と夕陽を照らし出し、 別の色に染まり、血を喰むまでに何某かを叫ぶよりも ひん剥いた目と一緒に地を蹴っていた。
手に持ってた扇はどうしただとかそう言う記憶も無く、 半端伸ばした腕は、袂が揺れるだけ。 白を染める緋色の染料が緋桜の如く飛び散る中、 蹌踉めく体を支える事も出来ずに、崩れる音がした。]
(斜陽の中、何もかもが赤く染まっている。)
(”きみ”に任せられたと言うのに、──嗚呼、情けねえ。 こんな事であれば、もう少し武道も嗜むべきだった。)
[「きみこそ、逃げるといい。」 怪我の具合がどうだとか、そう言うのは見えてねえんだ。 ただ、その白い火が消えることだけはどうにも避けたくて、 武道の心得なんか遥か昔に置いてきたもんが割り込めば、]
(101) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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( 如何なるか、なんて当然の帰結だろうよ。 )
[ ───暗転。 ]
(102) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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(……人生八十年の、その半生。 の、更に半生。ひとの為に生きてきてばかり、 それも良いと思ったからにゃ、しかたねえ。 ただ、 あっけねえもんだ、なんて死に目に嗤って、 せめてきみの忘れ形見にだけは、と思うくせに。 「……悪いね」なんざ言える口は、 死して当然なのかもね。 )
[女みたいに醜い執着ってもんを隠す為、 被せて来た諦念の蓋は、生すらも斯様にして放り投げた。 嗚呼、なんぞ報われぬ、 ”すばらしい” 世界!]
(103) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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( 果て。 ちっぽけの男の前に つう、と、糸が垂れたとして、 果たしてそれは、蜘蛛の糸なんでしょうか、
それとも唯の── 悪鬼やら獄卒の釣竿なんでしょうか。 )
[ 答えを今の僕が知ることは無い。 ──そりゃあ。何故って、 ]
(104) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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─ ─
(雑踏が聞こえる。) (瞼を開ければ、人、人、人。)
[ 見慣れたようで見慣れぬ街。 男は記憶にある──”二十数年前”の地形だかと、 目の前にあるコンクリートジャングルを照らし合わせて 白髪の混じりなど無い濡れ羽色の髪ごとを、 かしかし、と雑破な手癖で掻きながら傾げた。 ]
(105) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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── 中央エリア / 十王マルチシアター前 ─
…… 一体、ここってえのは…。
( サイガワラ、だよなぁ…? )
[ 大きく丸まった瞳硝子の礫と言うのは 眼前にどん、とそびえ立つ巨大施設に釘付けられる。
その入り口手前の。 催しものの貼られた告知板のガラスケエスの中には、 「仰天!エジプトの神秘とメジェドフェア」のような イロモノだとか、或るいは手品のたぐいと見受けられる 横文字が並んでいたりするのだが、───。 ]
(106) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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(こっちのが仰天だって話だよ。 それらすべてどころか、こんな建物に見覚えがねえ。 別に外に出ないほど箱入りでもなけりゃ、 告知のビラの場所は「サイガワラ」と書いている。
人っ子ひとりこっちを見ないのはまだいいが、 人混みの装いも見慣れんばかりになっている。 ……果ては、頭でも打ったか。
嗚呼、でもよ、 ”死んだなんて心当たりは一切ない”。 ───そうだとは、一切合切思わない。)
(107) 2017/06/09(Fri) 12時半頃
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[ もしもの話をするとしよう。 ]
[ 不思議なことに転がる私を無視する人々の中、 震える携帯をまっさらな、 ─── まるで喧嘩が無かったかのような手で拾い、 『あなたは死にました!』
なんてメッセージが送られたら、の話を。 ]
(108) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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は?
[ 返信の代わりのお返事。 差出人には届いているんだろうか。
でも、これは死への疑問じゃあ なくて、 ( 何せさっきの記憶は轢死の瞬間だし ) なんで勝手にこんな、 あとに続くゲームがどうとか、パートナーがどうとか、 なんてことに、というもので。 ……聞いたところでこっちも差出人に届くかどうか。
悪戯、と思わなかったのは、 トラックに吹っ飛ばされた衝撃じゃ死ぬよな、と 他人事のように感じたからだ。 ]
(109) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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[ 五体満足で立ち上がる。 折れてないし曲がってもいない身体は、 瞳は、耳は、 ]
[ 遥か屋上を舞う蝶と、男と、 そりゃあ通る声の笑いを捉えて、 ─── 誰?
と、問いかける余裕もなく、 無数の蛙が飛び込むまで 柄にもなくぼうっとしてしまった。 何せ、死は理解できても 意味のわからない状況は理解できない から。 ]
(110) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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[ 咄嗟に蛙の背を平手打ち。 地面へ叩きつけたけれど、 ……効いたかは知らない。
掌には打った痺れが僅かに伝わってくる。 蛙がどうなったかまでは見ず、 再度あの男を見上げた。 ]
─── 降りてきたらどうなの!
[ 睨む。 要はお返ししてやるという意味だけど、 返事はどうだったか。
─── この間にも "もう一人"へ蛙が向かっていたなんて、 やっぱりこの時の私は、全く知らない* ]
(111) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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[ さて さて。 "雑音"の中ではありますが。 ]
[ それではひとつ、問答といきましょう。 ]
(112) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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[ Q.聖川遼のエントリー料は? ]**
(113) 2017/06/09(Fri) 13時頃
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( 「狐に化かされた気分だねえ」、と。 言葉調子ばかりは悠長に気取ろうか。 )
[──と、まあ。 ようく分からぬことになっている、知る街の状況に 後回しにしていた懐の違和感が膨らんだのは 「はあ、」と分けも分からず、前後左右も唯の勘、 桐下駄でアスファルトを打った時だ。
………(聞き鳴れている筈だが、) 聞き鳴れぬ電子音にぱち、と瞬く。
摘んだのは黒い板。──有り体に言えば、携帯端末。 貸し出されたものとは違って、使い慣れたものであった はずだったが、今の男には見覚えがないものだ。]
(114) 2017/06/09(Fri) 13時半頃
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[ ───時計が全て早回しになったような時空、 けれども真のところは全く以ってその逆だ。
元より四十後半にしては若かった男の身形は、 今では「先生」と呼ぶ彼と同年代と言っても違わない。 顔立ち自体は変わらぬ上、男の好む藤衣と良い、 男を知るものからすれば分からぬ事はないだろうが。 男の方からは分からぬものだ。
……と言っても、時がエントリー料ってワケじゃあない。 あくまでもそれは、”副産物”。]
(115) 2017/06/09(Fri) 13時半頃
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如何やって使うんだ? ……こりゃ、
[かの、友人の子息とは違って──。 同じ古式ゆかしい世界に身を投じるものとしても、 機械音痴と言う訳でも無かった男ではあるが。 知識を喪えば、見慣れぬ薄い板に疑問符が浮かぶのも、 至極当然のものである。
丸いボタンめいたものを押せば灯るモニターに 電子機器のたぐいか、とは悟るものの、 捻った首は更に弧を描くだけ。
(───後回しでいいかねェ?)
翻した足は雑踏に紛れるように 自然、スクランブル交差点の中に紛れるのであった。 全く以て宜しくないことにも気づかぬまま、 >>@28演技じみた芝居調子の声と、扇子の乾いた音が 空に響けば、響き返すは蛙めの輪唱だ。]
(116) 2017/06/09(Fri) 13時半頃
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