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[潮田に送った文面は―― その中で語った安住のことは、 多分、俺の、俺自身の投影でしかない。
(ほんとうの安住はもっと違っていて 真実はもっと最低なものなのかもしれない。)
友達に馴染めず、周りにいい顔をして、落ちぶれた不良に声をかけ―― そうしてその速さに無邪気に笑っていた安住に、 俺は自分の姿を見ていた。
例えば、あの日母さんを起こしにいかなければ。 例えば、あの日運悪く火事に巻き込まれさえしなければ。 例えば、二年の頃きちんとサッカーをできていたならば。]
(111) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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[ 例えば、が積み重ならなければ 夢み、まどろむ犬のごとく
毎夜母さんが帰ってこない現実だって 強制され矯正されて 「いい子」にされていた自分だって 自覚せずに、済んだのかもしれなくて
子供のままで笑っていられた>>109 のかもしれなくて……
……安住も、俺と同じで そういう例えばが積み重なって 追い詰められていったように見えていた
・・・・・・・・ いや、見ようとしていた のだろう。俺は。 勝手に投影して、勝手に哀れんで、苦しめばいいのにと思う半面、救われてほしいとも思っていた。]
(112) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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( あ ……だったら、なんで )
[一瞬俺は息を呑み、 その思考を遡って、自分の性悪さに吐き気がする。
ちゃあんと昼の顔を被って、忘れようと心がけて 楽に、生きていようとしていた犬に 俺は先日起きろと張り手をやったようなものじゃないか。
気づかせなければ。 あの喧嘩のあと近づかなければ。
ああいう険を乗せた顔>>107をさせることもなくて 「お気楽なれんれん」のままでいさせられたのに。
積み重なった「例えば」があいつにあるなら 思い出させないようにした方が よかったのになあ なんて 後悔はいつだってそうだ。後からやってくる。]
(113) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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(それでもやっぱり嬉しかったのか、どうして)
[俺は自問して、煙草も吸わない口の中を苦さで満たす。]
[誰もいない部屋。父の世界から零れた自分。 見つめたまなざし。まっすぐに俺を見た目。>>105]
(誰もいないサッカーグラウンド。 声をかけないチームメイト。 真っ直ぐに飛んできた声と表情。>>2:51)
[ 相反するもの 似たもの、を交互に思い出す。]
(114) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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( …… 考えるな ! )
[無性に叩かれた背中が痛かった。>>109 ちゃんと一人で自分の世話くらいできるさ。 なぞった言葉はひたすらに乾いている。]
(115) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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[未練がましいこの身が揺らした視線の先には、サッカーのゴールがある。
見上げた青空はどこまでも美しく綺麗で、 髪を染めることもなくサッカーに励むガキ共の黒髪に、よく似合っていた。
しばらく迷うこと、どれほどか。
安住英子が落ちてから数日後、 背の高い1年ゴールキーパーのもとに、 そいつより少しだけ背が高い不良が訪れ 「一日だけつきあえや」とサッカー練習に誘ったことも、 ……あったかもな*]
(116) さねきち 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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[ゴミ捨て場の影で紫煙を揺らす。 見つかったら面倒だな、と思うのと 見つかったところで、と思うのと どちらが「人間」のものか不明瞭に混ざり合う。
煙草の短くなる間のぶんだけ 彷徨った指先は 迷った末2人、友人に送り付けた。 どちらも3-A、渦中のクラス 返信はすぐにないものと想定して**]
(117) birdman 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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───────────────── To 葛 九十九 From 蓮 洋次郎 ─────────────────
生きてる?
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(118) birdman 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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───────────────── To 葛 九十九 From 蓮 洋次郎 ─────────────────
設問1 (配点10点) 先のメールの真意を読み取って 返すことの難しさを知れ
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(119) birdman 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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───────────────── To 四十崎 縁 From 蓮 洋次郎 ─────────────────
よっちんに なんか心配かけたかもってきいた 俺はよっちんも心配ですけど ─────────────────
(120) birdman 2018/10/21(Sun) 06時半頃
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──現在/新聞部室──
あら、光栄ね。 今があるのも私のおかげかもね。 感謝の言葉ならいつでも受け取るわよ。
[ 万年青常彦との会話は、 何気ない調子で進み>>74、 クラスメートらが延々と、 他愛のないお喋りを続けるのは、 こんな調子なのだろうか。とも思う。
不信感。呆れ。侮蔑。 差し向けられるのは何だろう。
会話の末に、各務公陽は、 安住英子は一命を取り留めたと言った。]
(121) nabe 2018/10/21(Sun) 09時半頃
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──あら、それじゃあ。 まだ話の続きは長そうね。
[ 死に損なった>>73。 その口ぶりに微笑みつつ、 私は何ができるだろうと考える。
どんな遊びができるだろう。 万年青常彦がおもむろに、 端末を操作しだす>>76のを見ていた。]
(122) nabe 2018/10/21(Sun) 09時半頃
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……安住さん、 どこの病院にいるんだったかしら。 万年青くん、新聞一部もらってくわね。 入院中、きっとずいぶん暇でしょうし。
[ 許可を取る、というよりも、 念のためことわるような口ぶりで言い、 先ほど破棄した冊子のことを考えた。
結局彼女があれを読んだのか否か。 特別に増刷してやってもいい。
まだまだ遊べそうだ。とも思い、 物語の終わりを見届ける絶好のチャンスを逃した。 と、惜しく思う自分もまたいる。]
(123) nabe 2018/10/21(Sun) 09時半頃
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[ ──ねえ、何したの。
と、操作を終えた様子>>76の男に、 尋ねようとしたときのことだった。
手を掴まれ>>83、 一体なんだろうという顔で見上げる。
数秒後には、ふうん。とでも言いたげな、 おもしろがるような表情を浮かべ、]
──じゃ、万年青くん。またね。
[ 腕を引かれるままに、新聞部を後にした。*]
(124) nabe 2018/10/21(Sun) 09時半頃
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―中庭― [ 紫煙の代わりに持つのは鉛筆。 転がした結果で決めるあみだくじみたいなものが 人生だなぁと悟りの顔で見上げる太陽に 目が焼かれてしまいそうだった。
中庭のベンチにて焼きそばパンを貪る。 お弁当だったり食堂だったり購買だったり 四十崎家は様々だけども今日は購買の日だった。
親子丼にカツカレー、唐揚げ定食に鯖味噌定食。 正直どれも悩んだけど喧騒から遠ざかりたい日なのだった。
そんな中、通知を知らせるいい子のスマホ>>120を取り出す。 内容を確認して数秒黙り込んで 一欠片を飲み込んでから指をスライドさせた ]
(125) noil 2018/10/21(Sun) 10時頃
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───────────────── To 蓮 洋次郎 From 四十崎 縁 ─────────────────
おはよ 今日は眠くないの? あれから葛君と仲直りできた?
蓮君がいい子やめて 多分どうしようもない顔して怒れるくらい 馬鹿できて大事な相手なんだろって思う
それってお互い痛いとこ 晒け出せる相手だからだと思うし 人間だから出来ることだなって思う
だから無理しない系よっちんは安心した 二人ともまだ死んでない気がしたからな
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(126) noil 2018/10/21(Sun) 10時頃
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…………長過ぎ。
[ 自嘲気味に笑いながらもベンチを背凭れにして送りつけた。 でも泣きっ面と感情的に膨らんだ怒りを ぶつけられる相手って貴重だと思う。
脆い部分を共有できる共犯めいた関係は 眠気をかっ飛ばすくらい鋭いものにも思えるから ]
生きてくれたらいいな。
[ 呟いてからハッとする。 未だに返しそびれたメールやらを思い出しながら 関心ありまくりの事情に目を瞬いた ]
(127) noil 2018/10/21(Sun) 10時頃
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俺、二人のことが好き過ぎるんじゃ……。
[ 好きの反対は無関心。 いや、それで結論づけると色々と気まずい所も また別のところであるにはあるのだが 沈黙の後に今更過ぎる文字を打つことにはした ]
(128) noil 2018/10/21(Sun) 10時頃
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───────────────── To 葛 九十九 From 四十崎 縁 ───────────────── それ、人間が塵のような方 吹部のはジュピター 木星
楽しくねーのはよろしくないな でも勧めるゲームはないんだよね 代わりと言っちゃあれだけど育成ゲームとかどうだろ 腕のいいGK一年にいるから葛君なら 適切なアドバイスできるだろうと
バイク免許取ったらしいと風の噂で聞いたので 君の二つ目の夢、叶えても罰当たらないと思うんだよな
やさぐれてる葛君も嫌いじゃないけど 怒った理由聞ける君が俺は好きなので 蓮君と仲直りしてくれると胃痛が減ります ─────────────────
(129) noil 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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つか、ログインしてるから今度遊ぼ…… ってこれはいらない。……消しとこ。
[ なにトチ狂ったことを書こうとしてるんだか。 自重するように数行消したものを送るだけ。
話の中に渦中の人の話を抜いたのは意識的に。 その辺りは触れてもどんな話が出来るのか 自分じゃ分からなかったから 取り留めのないメールの中に色々なものを 押し付けるだけ押し付けて、瞼を閉じる ]
でもこの法則でいくと俺は友村さんのことも…… いや、……みんなのことが……? …………やめよう。
[ 口走った想像を弾けさせるよう息を吐いた ]**
(130) noil 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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―― 夢 ――
[その夜。わたしは、夢を見ていました。
わたしはいつの間にか中学生に戻っていて、 隣には当たり前のように安住英子の姿がありました。
ホルンを吹いて、他愛のない話をして、 無邪気に笑い合っていました。
―――懐かしい、思い出の中の安住英子。
彼女がわたしに笑顔を向けてくれたことなんて、 高校に入ってから、果たしてあったでしょうか]
(131) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[起きれば、 わたしの頬を涙が伝っていました。
甘い、甘い夢でした。 焦がれてやまない、夢でした。
時刻を確認しようと 携帯電話を手に取ったところで、 わたしはその着信に気付いたのです。
葛くんからの、メール>>26>>27でした]
(132) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[そのメールは、やさしさに溢れていました。 涙を拭いて、わたしは画面に返信を打ち込みます]
(133) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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───────────────── To 葛 九十九 From 潮田 瑠璃 ─────────────────
葛くん、話を聞いてくれてありがとう。
わたしは、きっと 英子ちゃんに拒絶されるのが 怖くて仕方がなかったんだと思う。
言わなきゃ、伝わらないよね。 ホルンを吹いていれば、 彼女がいつか戻ってきてくれるだなんて、 ただの傲慢だった。
いつも英子ちゃんを想っていたつもりだったけど、 それを彼女に直接伝えたことなんてなかった。
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(134) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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もっと、伝えていればよかった。
どんなに英子ちゃんが わたしにとって大切な友達だったか。
ホルンを吹いていれば、 いつかまた友達に戻れるって 馬鹿みたいに信じ込んでいたとか。
またふたりで一緒に ホルンを吹きたくて仕方がないんだって。
どうして、言えなかったんだろう。 どうして、英子ちゃんから逃げてたんだろう。
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(135) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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やっぱり、わたしは 自分自身をゆるすことはできなくって。
でも、葛くんに 「潮田さんをゆるす」って言われたら すこし心が軽くなったよ。
本当に、ありがとう。
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(136) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[メールを打ち終えれば、 わたしは朝の支度をはじめました。
いつものように、髪を梳かして いつものように、朝食を平らげて いつものように、制服を着て いつものように、ホルンの入ったケースを抱えて
体に染みついたルーチンワークを、ただ淡々と]
(137) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[彼女のいない学校生活を 当たり前のように送ろうとする自分に 吐き気がしました]
(138) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[そうして、玄関を出ようとしたとき、 新たな着信>>61にわたしは気付いたのです。
その文面を見たとき わたしは涙が止まらなくなりました。
玄関にうずくまり、携帯電話を胸に抱えて しばらくそうして嗚咽を漏らし続けたのです]
(139) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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[いつまで、そうしていたでしょうか。 わたしは玄関を飛び出し、駆け始めます]
(140) gurik0 2018/10/21(Sun) 10時半頃
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