人狼議事


266 冷たい校舎村7

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視点: 人

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【人】 ニビル星 キョウスケ


[ 家から通えることを条件に、
 受験する大学を決めたというのに、
 下宿先も探してきなさい。と両親は言った。

 心配になったのかもしれない。
 僕の生活能力とか、社会性とか、
 あるいは姉弟離れできない子どもたちが。

 直接そういわれたわけじゃないので、
 肉親とはいえ、真意はわからない。
 両親は、いつもするべきことだけ教えてくれる。
 ので、僕はそれにうなずいて、従う。

 ただ、国公立に受かった場合と、
 私立に進学する場合とで、
 家賃の上限に差をつけられてしまったので、
 僕はそのときはじめて切実に、
 国公立に受からなければ。と思った。]
 

(407) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ それが、あの冷たい校舎を脱した後、
 まだ冬のさなかだったころの話だ。]
 

(408) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ それから少し時間が経って、
 僕は順調に志望校への進学を決めて、
 住む家を見つけて、次の季節を待っている。

 それは、僕の話であって、
 僕個人の話でしかないのだけれど。]

 ……思い出したんだ。
 高本くんと、文化祭の日に話をしたなって。

 血の繋がりは切れない。
 決して、逃れられない。

[ 呪詛のような言葉はまだ僕の中に生きていて、
 僕はそれを諳んじることができる。>>0:727]
 

(409) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……距離を置いたところで、
 生きてる限り、家族って繋がりは消えないし、
 思うほど、大したことじゃないのかもしれないけど。

 僕より劣った可哀そうな家族のために、
 従順で優しいいきもののふりをするのは、
 たぶん、僕にとっては、手段だった。

 僕が生きるための、手段。
 生きることを選ぶ理由。
 

(410) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 でも、僕はあの家を出ていく。
 

(411) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ なんでこんなことを聞かされてるんだろう。
 って、思ったかな。どうだったかな。

 僕も、はじめは、
 どうして自分がこんな話をしているのか、
 あまりわかっていなかった。

 ただ、自分の言葉で伝える機会は今だけで、
 そうしなければ、他人の口から伝わるか、
 知られないままだろうな。と思って、

 そのどちらも、不本意だったから。
 きっと、そのためだけに僕は話し始めた。]
 

(412) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ そして、
 滔々と言葉を紡いでいる最中に、
 僕はふと気づく。どうして呼び止めたのか。
 どうして伝えたのか。何を求めたのか。

 結局僕はきっとまだ躊躇している。
 あの箱から逃げ出して、自分が、
 どういうふうに生きるのか、想像できない。

 とても身勝手な話だけれど、
 僕は、高本悟の呪いを信じていたかった。]
 

(413) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 可哀そうな家族を置いてく僕が、
 もっと深い地獄に落ちることになったら、
 高本くん、そのときは笑ってくれる?
 

(414) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ それはきっと、とても勝手な願いだけれど、
 僕はそもそも、身勝手で傲慢で性格が悪い。
 から、僕のためだけに、高本悟にそう求めた。*]
 

(415) nabe 2019/06/20(Thu) 20時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ

──教室>>481──

 ……ありがとう、高本くん。

[ おめでとう。>>481
 そう言われて、僕は微笑んだ。

 不思議な感覚だった。
 きっと、僕はその言葉を手向けられるまで、
 祝われたいだなんて、思っていなかった。

 不安だったのだ。
 家族を置き去りにすることに罪悪感が燻っている。
 あるいは、家族に求められなくなることを、
 ひどく恐れていたんだと思う。
 あれは僕の存在意義だった。

 ……けれど、ありがとうの言葉と笑顔は、
 自分が思っていたより、自然と出てきて、]
 

(503) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……ひどいよ。
 笑ってほしいと言ったつもりなのに。
 

(504) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ 笑えない。と言われて>>484
 僕は笑っていたみたいだな。
 少し瞼の裏から熱くなるのを誤魔化すみたいにさ。

 予防線を、張っておきたかったのに。
 どちらに転んだとしても、
 あの箱の中で呼吸だけをし続けて、
 意思なんて持たない方が楽だと思ってしまっても、

 やっぱり無駄なことだったなあって、
 笑っておしまいにできるように。

 なのに、
 そんなふうに言われてしまったら、
 足掻くしかなくなってしまうじゃないか。]
 

(505) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ 困ったな。というふうに僕は笑ったけど、
 別に、本当に困っていたわけじゃない。たぶん。

 少なくとも、高本悟に導かれるまま、
 いつもと変わらない足取りで、
 廊下を歩き、階段を降りて、
 見慣れた教室の扉の前に立つことができた。

 そのくらいには。]
 

(506) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ

──美術室──

[ 美術部に入りたかった。と、高本悟は言って、
 もしそれが叶っていたなら、
 きっとずいぶん楽しかっただろう。と僕は思う。

 口にはしない。
 もう取り戻せない時間の話だから。
 
 自嘲気味に笑う姿を見るのは何度目かな。
 高本悟らしくない。とも思わなくなってきた表情を、
 僕は正面に捉えて、部屋の中、窓際へと進む。

 布のかけられたキャンバスがある。
 高本悟の手が、その覆いを外して、]
 

(507) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 僕のノートを盗ってくれればいいのに。
 と、僕はずっと思っていたはずだけれど、
 その犯人が今どんな顔をしているか知ったら、
 そんな思いはたちまちに消えてなくなるんだろう。
 

(508) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 誰かの、幸福の糧でいたかった。
 

(509) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 幸せそうな女の子だな。
 ……って、思うよ。
 

(510) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ どう思う? と聞かれて、
 僕はそう答えたのだ。静かに笑って。

 言葉の持つ印象>>493とは裏腹に、
 高本悟の表情は晴れやかだった。

 その表情に至るまでの、
 葛藤や苦悩を、僕は知らない。

 僕は蛭野京輔で、彼は高本悟だから。

 だから、僕の抱いた思いを、
 果たして高本悟がどう思うのかもわからない。
 けれど、それは僕の本心だった。
 僕が、僕として、どう感じたかということ。]
 

(511) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ 息を吸う。美術室は静かだった。
 そこにいるのは、高本悟と僕だけで、
 そこにあるのは、高本悟の描いた絵だ。

 少し、目を閉じて、
 僕は自分の家族のことを考えていた。
 姉さんのこと。

 本当は、僕は、自分の家族に、
 そういうふうに笑ってほしかったのかもしれない。

 笑ってほしかった。
 瞼を持ち上げて、もう一度、
 見知らぬ少女の穏やかな笑みを見つめる。]
 

(512) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……あのね、高本くん。
 どんなに足を引っ張る存在でも、
 呪いみたいな繋がりでも、
 僕は……僕も、姉さんが好きだよ。
 

(513) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……今度、絵を描くときは、
 僕にも教えて。一緒に描こう。 **
 

(514) nabe 2019/06/21(Fri) 02時頃

【人】 ニビル星 キョウスケ

──後日:病室──

 拓海くん、こんにちは。
 えっと、これお見舞い。
 それから──、これも。

[ 学校帰りといった様相で、
 夕暮れどきの病室に顔を出していた。

 絵を描いていると人づてに耳にしたので、
 食べやすそうなゼリーと色鉛筆と。
 それから、僕はスマートフォンを取り出し、
 メッセージアプリ上に動画をひとつのせた。

 君の端末から開いてくれたら、
 見慣れた階段の踊り場と、
 見慣れたクラスメートの制服姿が。
 ……暇つぶしにいかがでしょうか。>>375]
 

(646) nabe 2019/06/22(Sat) 08時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ 邪魔にならないよう、
 隅っこで撮っていたものだから、
 通行する人影やおもしろがるギャラリー、
 堪えきれなかった僕の笑いが、くっとかふっとか、
 なにもかもが入り込んでて、出来は微妙でしょうが、
 キメ顔は、ばっちり映っているはず。

 ただ、それを見て大笑いをして、
 我らが委員長をからかえる人がいないので、
 日常の1シーンとしては、ややさみしい。

 ……とにかく、楽しんでいただければ幸い。

 次は予備校に向かうつもりの僕は、
 訥々と近況を報告したりもする。
 教師の不祥事のこと。学校がピリピリしていること。
 それでもみんな日常を生きていること。
 僕も、受験勉強をしていること。それから、]
 

(647) nabe 2019/06/22(Sat) 08時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……部屋、探すことになって。
 僕、あの家を出る。たぶん。

[ 遠方に進学するわけじゃないけど。
 と言って、僕は曖昧に笑った。

 だって、そのころはまだ、
 踏ん切りのつかないままだったのだ。
 出ていきたいと、言ったわけでもなかった。

 大したことじゃあないんだけどね。
 進学を機に家を出る。だけのことですから。
 というふうに、なんとなく笑っていたのだろう。**]
 

(648) nabe 2019/06/22(Sat) 08時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ

──冬:病室>>649──

 ……拓海くんがいないから、
 みんな、笑いながら通り過ぎるんだけで、
 高本くん、最後までやりきって、
 颯爽と去っていったよ…………

[ やや離れてスマートフォンを構えていた僕は言う。
 ちょっと思い出して笑いそうな僕である。
 このおかしさを共有できたならよかった。
 と、僕は清々しいくらい笑う姿を見ていた。

 愉快な話もほどほどに、
 僕らの日々はいつも通りな一面と同時に、
 まるで地獄の様相である。という話もする。

 クラスメートがふたり入院して、
 いずれも警察が一枚噛むような話で、
 それでも、僕の話に戻れば、そこにあるのは日常だ。]
 

(673) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……為せば成る。
 という言葉を、信じようかと。

[ ちゃんと一人暮らしができるのか。>>652
 という疑問をはぐらかしながら、
 差し出されたスプーンに口をつける。

 林檎だ。と思ってから、
 見舞われている人にもらうのは、
 どうだったんだろうな。と思ったけれど、
 差し出されたら口を開くのは習性で、
 ひと掬いはもう喉の奥だったから仕方がない。]
 

(674) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ ひと匙を飲み込む間にも、
 減ってく容器の中身の容量>>653と、
 食べたり話したり、動く唇を見ていた。]

 ……うん、そうなんだと思うよ。
 そうするべきなんだと思う。
 それがたぶん、正しくて、
 それができる僕は幸運だよね。

[ 少し目を伏せて、鞄の表面を撫でていた。
 それってなんだっけ。と一瞬思い、
 ……そう、僕は家を出るのです。
 そういう話だね。と思って、微笑んでいた。]
 

(675) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 でも、それなら、
 今までって、なんだったんだろう。
 ……なんてね、なんでもないけど。
 というか、なんでもなかったんだろうけど。

[ 手持ち無沙汰に動かしていた指先が、
 堂々巡りの思考の渦に入ると止まって、

 視界に動くものがなくなったので、
 僕はまたくだらないことを考えていたなって、
 現実に帰ってきたみたいに、へへへと笑う。

 気づいたら、ゼリーは空っぽになっていて、
 もうすぐ予備校に行く時間だった。]
 

(676) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


 ……うん、それじゃあ。
 そろそろ行くよ。またね。*
 

(677) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

【人】 ニビル星 キョウスケ


[ そして、雪解けの季節が訪れる。]
 

(678) nabe 2019/06/22(Sat) 14時半頃

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