131 SACRED JUSTICE ―闇の正義と光の祝福―
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――…ルゥ。本当の使い方はこれで正しいんだな?
[少年が虚空へ向けて語りかける。その時、少女が常に少年から感じてる恐怖にも似た威圧が微かに膨れる。が]
ははっ。アマネもこいつの使い方、知ってたのかな。 気の遠くなる時代の生き証人から正しい使い方を教えて貰えるなんて。
神秘研究家としては、「反則」以上の何物でもない卑怯だろ?
[やはり、自分は、もう神秘研究家卒業だな。そう独りごちて。アマトは垂直に『王の錫』を硬い研究所の床へ突き立てた]
(330) 2014/08/22(Fri) 00時頃
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[王の錫。それは聖霊に干渉し力を増幅させる程度の聖具ではない。 飽くまでそれは、この聖遺物本来の用途の「副産物」に過ぎない。
…硬質な床に、杖先は刺さらない。だが錫の杖頭を飾る十字架>>2:271、それに巻き付く柔らかな植物の弦が、するすると音も無く杖先へとその先を伸ばしていき、弦は杖先に絡み、地面にはりつき。アマトが手を離しても、微動だにしない程、地面に固定された。
…風も無い室内でりんりん、しゃんしゃん、遊環が鳴らす清浄なる旋律。聖霊を呼び込む聖なる声鳴き音色が室内に響く。
嘗て、光の地を追われた闇の王達は、恵みの無い大地に辿り着いた。 だがそこに、王に従うひとりの騎士が、王より赦されし錫杖を大地に奉納した時。清浄なる祈りは、聖霊達を呼び覚まし、その地を豊かな聖力溢れる楽園へと変えたと、カーライルの御伽噺では聞く]
(331) 2014/08/22(Fri) 00時頃
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聖なる哉。 起きろ、王の錫サンクティス―― 。
[そう聖霊術師の少年が、錫に告げた途端。 廃の研究所の無機質な床から、聖なる力が、聖霊力が。いや、既にこの世界で数を減らして久しい聖霊が、何処からともなく沸いて、現出してきた。
無機質な廃棄施設に、聖霊に満ち溢れた楽園が『王の錫』を中心に産まれたのだ。 ただ息をする、ただそこにいる。それだけで満ちていく聖霊の力。それは戦いに使えば、枯渇しない聖霊力の供給とも呼べる]
(332) 2014/08/22(Fri) 00時頃
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[ 「設置型」聖具、『王の錫』サンクティス――
そこに在る限り、聖霊の力を生み出し続ける聖遺物。 例えば、クラウディア程の行使者がこれを担えば、確かに『王の怒り』よりも優れたポテンシャルを秘めているだろう>>257]
……どうだ?まな板。 身体の調子はよくなったりしないか?
[そこには闇聖霊も光聖霊も、火も水も何も関係なく、多種多様な聖霊の力が産み出されている。創造の聖具。 消耗していた少女の調子を伺う様に、少年は彼女を振り向いた]
(334) 2014/08/22(Fri) 00時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/08/22(Fri) 00時頃
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はは、そういえばお前の名前聞いてもなかったな。
俺はアマト。 ………唯のアマトだ。姓はない。
それより、随分と顔色も良くなってきたな。死にそうに白い肌も程よく健康的になったみたいだし。
[顔が赤い。まあ白い肌だからこの位で普通なのだろうと思うが>>344]
(345) 2014/08/22(Fri) 00時半頃
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[聖霊が満ち溢れる廃研究所の空間の中、然し受け答えの途中で少年はピタリと足を止める。 虚空を見る。また、先程の混沌に満ちた何かと話している、と云うわけではなさそうだ]
………………いじける暇。か。随分な言い草で。
…………………………。
悪いまな…シーパル。すぐ戻るからそいつ見ててくれないか?
[酷いと云えば余りにも失礼に過ぎる呼び草を、何も無かった様に訂正して、少女へ対し、黒うさぎへ視線を向けさせて。 アマトと名乗った少年が、廃施設の出口へと歩いていく。レグレシアを拝める外へだ]
(346) 2014/08/22(Fri) 00時半頃
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― 廃研究所外 レグレシア郊外 ―
[アマトが見渡すのは未だ黒が残る聖都。あそこでまだ戦闘が続いてる様子だ。 当然だ。思い返せば、天使が眼前にいるのに『王』を置いて逃げるなど、最低の暴挙を地味な事にやらかしているのだから。やはり自分は「失格」だ]
…………………もう俺は……あいつを支える「資格」も放棄したのにな。
こんなのは、『王』の傍にいるべき人間じゃない。 だけど、俺には止まる気も、振り返る気も。
ましてや戻る気もない。だけど……。
[聖霊の力が廃研究所から流れ込んでくる。多少範囲を脱しているが、無限の聖霊力は外の世界へと流れ、少しずつ大地と風と空を。そしてアマトの力を満たしてくれる]
(353) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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まったく…………。 俺は魔力量が少ないから、発散術式は苦手だと云うのに。
まぁ、仕方が無いか。今更、合わせる面なんてない。
……トロン。ルゥ。力を貸せ。
ヘクターと、あの白鴉の目を覚ます、飛び切りデカい一発を撃つぞ。 ……あの杖、少し抜いてくりゃよかったな。
[あの少女が、聖霊に包まれている間は随分具合がよさそうだからと、錫も持たずに来てしまった。 すぅ。と大きく深呼吸をすると、アマトの周囲に聖霊の力が収束する…]
(354) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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ユピトゥルス、フェイタリース、サンクティス。
[雲だ。混沌に歪む漆黒の雲が、聖都の天空に現れる]
我は暗黒の代行者、正なる怨念を担う黄昏。 黒き稲妻 極光の稲穂にて大地を嘆きの豊穣で満たせ。 悪魔が流す涙の祭り 澱んだ怒りの慟哭の叫びと化して。
彼の者と共に 慟哭の光で裁く者なり――!!
[雲は轟音を鳴らし、その感情を震わせ。雨という涙すら流さずに。天を慟哭に鳴かせた]
(355) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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ケ ラ イ ノ ス !!
荒れろ呪詛の雷霆 光を滅する漆黒の怨嗟 !! [ ビ シ ャ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ン ! ! ]
[暗黒の稲妻が、天空と世界をも切り裂いて、聖都を襲う! 郊外からの超長距離の術式行使。元となる、雷聖霊の力だけでない、悪魔ルゥ=カタストロスの混沌の力と混ぜ合わせた、すべてを破壊に導く極光の雷霆。
無差別な雷霆は、聖堂を、レグレシアの街を、再び分け隔てなく蹂躙し。その中のひとつは、鐘楼の空に舞う天使ラディエルを襲う。その雷霆から感じる暗黒の気配は、先にアマトが放出していたものと同一]
(356) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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……ヘクター。もう俺は、君の傍で支えてはやれない。 だから、生きろ。そして強くなれ。 もう俺は、それを護る「資格」を捨てたけど。
……交わる道と戦う道がひとつなら。俺はまだ君を……。
[雷霆があげるうなりの余韻がひかぬ中で、アマトは独白する。 本当は、ティソが求めていたのはこういう事でもないだろう。そんな事は理解していた。それでも]
(357) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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…………それでも俺は もう君の傍には……。
[友達が最期に残した、呪詛という願いと、自分自身の望みが強く交わってしまったから。 振り返らず、戻らず、その手を光の血で染め上げるまで…止まらない…]
(359) 2014/08/22(Fri) 01時頃
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