255 【ヤンストP村】private eye+Violine
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[大通りの光が視界に入ってくれば安堵する傍ら、 隣を歩くイルマに尋ねる口調は溜息と同じく重い]
何で、こんな騒ぎが急に起きてんだろうな…… イルマも気をつけてくれよ、怪我もだけどさ。
[無意識に呟いた言葉も、 胃を不快にするような苦味を落とし混ぜたかのように。 怪我、の言葉と同時に、包帯が巻かれた指を見る。
弁当を作ってくれると聞いたときからの不安は、 未だ燻って己を離さず、確認する声音は真剣だった*]
(27) 2018/12/06(Thu) 22時頃
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[店奥で過ごすワカナの存在を気がつかないまま>>20 窓からの侵入であり手口の異なることから>>21 この時期に悪辣な住人が 推定でも二人、いや三人>>22 ――存在する事に、深い溜息をつく。]
そうだなあ……。 薬屋やウチに入った泥棒は別人。
ウチとお前さんとこが物取り目的だと仮定すると パン屋はそれとは違う目的っぽいよな。
わからねえ。 窓を割るってこたぁ嫌がらせの類だろうが ココアが恨みを買うとはあんま思えねえな。
[恨みを買うような人物ではない、 それで連想したのは――ロイエだった。]
(28) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[随分前に雑貨屋で何かあったのではという噂は あくまで噂とロイエに視線で制されたが>>3:327 追い返される際、明らかに粗暴な連中が 店に入ってきた事を思い出す。>>3:330
大丈夫なのかと食い下がろうとしたものの 足のないアポロに出来ることは数少なく 店の主に送り出されるなら帰る以外の選択肢はなくて 渋々と、彼女の身を案じる声を一つかけた程度だった。
ああいう、―――輩しか想像ができない。 虫も殺さなそうなココアが悪質行為に遭うとしたら]
(29) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[けれど、物取りの犯行に関しては別だ。
手口は違えど似たように私物を狙われるなら 同一犯が別件犯罪を装った可能性はある。 これでも元自警団の一人だった訳で 検証が完全なるズブでもない。
もし似たような個人的な何かを盗られていたら そうであれば―――、そうだったら。
タツミに、愚痴を零したかった。 家族を受け入れることが出来ず 怒りや恨みを飲み込んだ愚かしい過去を。]
……盗まれたのは?
[当の相手が何を考えているかは知らず>>23 固い声で聞き返すも。 落ちてきたのは、備品程度の損害。]
(30) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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………そっか。 怪我した猫でも治療してやりたかったのかね。
[薬屋が閉まっていたか 緊急だと、こっそり侵入しただとか。 そんな風に考えれば まるきりの別人だと決め打ててしまった。
―――物騒なモノが消えたと分かれば もっと違う感想を漏らしたかもしれないけれど。]
(31) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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また負けられちまったなあ。 昨日は面倒かけちまったてぇのによ。
[多く持たせても昨日と似た問答になりそうで、 言い値の通りに支払いをしてから。>>24]
お前さんがナルシストなら 死ぬ前に一枚描いて渡すんだがな。 [金以外の報酬を思いついたところで、 自分の絵を描いてもらって喜ぶタツミが想像できない。 “エロ本” セミヌードデッサンを押し付けても ピスティオのような反応が見れるどころか おまけの溜息を増やすだけになりそうだ。]
(32) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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っと、長話したな。 閉めてる時にありがとよ。
[薬と栄養剤を車椅子の網籠に入れ、 挨拶を短く告げ、店の前から離れていく]*
(33) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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― 帰り路 ―
[ピスティオと並んで歩く道は歩き慣れたもの。 別に送って貰わなくても大丈夫だと。 そう言ったのだけど。
ちらりと隣を見れば疲労の色が見えるよう。 何度も溜息をついているし。 私を送ってる暇があれば休んでいた方がいい。 そう思うのだけど心配される心地よさに。 結局送ってもらう事になったのだ。]
(34) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[陽だまりパン工房の犯人を聞かれて。 私は首を横にゆるりと振った。]
分からないんだよねぇ。 お義姉さんって、なんていうか愛されキャラでしょ。 誰かに恨みを買ってるようにも思えないんだよねぇ。
でもお義姉さんの手、ずたずたに切れてて。 あれじゃパンなんて作れない。 お義姉さんの夢を奪うようで、酷いなって。
[お義姉さんの傷口を思い出して眉を顰める。]
(35) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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お店もめちゃくちゃで。 あれじゃ暫くお店無理そう。
[お義姉さんの傷が治って。 お店の修繕が終わった頃には。 お義姉さんは招集されてしまっているかもしれず。]
……もしかしたらお義姉さんがどうこうっていうより。 陽だまりパン工房に恨みが? パン屋に恨みってよく分かんないけどぉ。
[お義姉さんに恨みを持っているより。 パン工房を潰したい。 そちらの方がまだ理解出来る。]
(36) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[ピスティオの視線がどこを向いているのか。 勿論分からない程鈍くはない。]
色々気になって。 ちょっと指を切ったぐらいで大げさだなぁ。 でも心配してくれてありがと。 大丈夫、気をつける。
てかねぇ、その言い方。 まるで今度は私の家が被害に合いそうで。 なんか不吉だからやめてよねぇ。
[冗談めかして言って笑った。 でもピスティオは真剣だったから。 私は笑みを引っ込めて。]
被害を受けてるのは招集される人ばっかりだって。 気をつけるのは私じゃなくて。 ピスティオの方だよ*
(37) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[車椅子を店とは逆側に動かせば―― 若い声がいくつか、耳に届く。 薬屋は大学に近い。 サークル帰りか、夕方まで過ごして生徒らが 連れ立って大学から出てくる姿を眺めながら その様子に――
イアンと共に大学で過ごした時代を思い返して。 帰りがけに出会ったパピヨンに デッサンモデルを頼んだ いつかの思い出を頭に過ぎらせる。]
(38) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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……ん。
[その時。 メールの通知をする無機質な電子音が届いた。 ポケットから宛名を見て 強ばっていた顔が、余計に固まる
パピヨンだったから、だ。
財布を握る片手に無意識に力を篭らせ もう一方の手で携帯端末を弄り 恐る恐る内容を確かめれば、]
(39) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[『朝はごめん。 彼とのこと、昼に行った時にでも ちゃんと話すつもりだったのに あんたが妙な事言い出すから 怒鳴りつけてビンタしちまったけどさ。
あんたの事ちゃんと見送りたいんだ。
あの人、何も知らせずに行っちまったから せめて、親友のあんたを見送らせてよ。 わがままで身勝手なババアの望み、 最後に、最後だから、聞いて欲しい。』]
…………。
[ほっと息をつく。 虫が良いと分かっているのに、 和解の機会を貰えたことを。]
(40) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2018/12/06(Thu) 22時半頃
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『こっちこそ当たっちまってすまねえな。 柄になく気が立っちまった。
今夜は用事があってな、明日の朝なんてどうだ。 あの男との祝いに花でも買っておくから アトリエに来いよ。 俺とイアンが揃って惚れたいい女だ、 幸せになってくれなきゃ困る。』
[営業時間まであと数時間はあるだろうが、 こうして合間を縫って連絡をくれたのは 素直に嬉しかった。 それに、呪いなんて無かったと。 パピヨンらしいメールから証明された事に バカバカしい話だが、安堵している。
けれど―――そのメールを送った時。]
(41) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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―少し前、手帳の事―
[紅茶はレシピ通りに煎れれば誰でも美味しく出来るものだ。 褒められても、そうか、と返すだけ。>>16 怠惰で湯の温度を測らず、カップを温めず、茶葉の量も目分量なら出も悪くなろう。 尤も、男は今挙げた中では温度しか気にしていなかったが。
手帳を開き、二人で話しながら手帳を捲る。 答えは予想通りのもの。>>18 手帳は既にこの状態で、ワカナが拾った事も幸運で。]
(42) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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……あ、
[そう、幸運なのだ。 確かにサイラスの手帳はここに帰ってきた。 それだけは間違いなく。]
ありがとう、 そんな風に言われるとは思わなくて。 助かる。
[励ましてくれたのだろうと、>>18 元気なく笑みを作った。 いや、作れたら良かったのだが、その努力はした。]
(43) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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金庫は倉庫にある。 それだけが開かなかったから、それ。 桁の数も合ってるから、この数字が鍵だ。
[問われた事に対して隠さずに答えるのは、興奮気味だったから以外にはない。>>19 やっとあの金庫が開けられると。
それを共有出来る"サイラスの友人"に、男は頷いた。>>20 ワカナの言葉に、僅かに安堵を覚える。 召集と盗難と、塞いだ気持ちに、ほんの僅かにでも。]
……ああ、構わない。 ワカナも見たいのなら――
[そこまで告げ、扉が鳴った。 接客へと向かうべく、そうして席を立つ。*]
(44) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[幸せを手に入れたというのに沈んだ面差しの女。 いつもより苦く感じる煙草を吸いながら 返ってきたメールに注意を注いで よかった、と独り言を小さく呟いた。
化粧では誤魔化せない 血管がいくらか浮き出た 中年女の首が―――何者かに絞められ
仲違いしてしまった男の許しを得た 安堵の息を最後に、 二度と呼吸を許されなくなったことを。
アポロは、知らない。]
(45) 2018/12/06(Thu) 22時半頃
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[五十年と少し。 ―――五十年と少しだ。
ひとりの女が歩んできたいのちの蝋燭は、 下手人よりずっと長くて。
小さな種火がすべてを燃やすまでは きっと、時間がかかる。
酒に、油に、火の手が移るまで きっと、何時間も掛かるのだろう。]
(46) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[―――分からなかった、
何も、知ろうとしなかったせいで。]
(47) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[高校や中学と違い、私服の学生らの人波。
車椅子で移動するアポロとすれ違うさなか。
『せんせーこんばんは。』
『明日講義でねー』
そのうちの数人が挨拶を非常勤の講師にかけて、 そのうちひとりは、アポロに声をかけた。
『 』と。 ]
(48) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[――公園に差し掛かったところで あの化け物が見えた。
忌々しさに、唇を噛む。 子どもたちの姿もさすがにない。配達を終え。 花屋につく前に、端末をチェックする。
そういえば、また逢おうって言っていたノッカちゃんと 私はあえてない。会いたいなっておもうけど。 手を閉じて、かえるのストラップを揺らす
花屋にもどったら 料理の手伝いをしないと。――お肉をきらなきゃ]
(49) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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…………!?
[車椅子の向きを返るのは、 早足で帰路を目指す彼らには間に合わない。 上半身を捻り、振り返る。
けれど、どの学生が告げたかは分からない。 見覚えある顔は居た。 明日の実技を取っている生徒。 けれど、そうでない生徒の顔を 常勤でないアポロが、全て覚えている訳じゃない。]
……空耳、か……?
[そうでなければ、困る。 だって、願いなんて、もう抱いていない。 あるとすれば明日、パピヨンに花を渡すくらい。]
(50) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[死神は、呪いしか叶えてくれないのに。]*
(51) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[大丈夫だ、 飯を食って、薬飲めば。 ―――― 幻聴もなくなるのだから。 幻聴ではない事を、“知らない”。 いいや。 分かろうとしていないのだ。
パピヨンから返信が無くてもおかしいとは思わない。 夜に開ける店だから、今頃準備で手が離せないだろう。]
……お。
[買い物を終えたところで花屋に行こうとするも 短い電子音に>>14携帯を見る。 パピヨンではなくて、フローラからだった。>>14]
(52) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[──彼女に他の取り柄が、ない?>>3:320]
[セイルズは完全に虚を突かれ、目を丸くするばかり。驚く>>3:319だけならともかく、まさかそんなことを言われるなど。分からないから聞いたと言えど、ここまで思考の埒外から答えが来るとは思わなかった]
[こちらを見詰めるココアに、困り顔をさせたくはない、のだがどうして良いかわからない。本心を告げた結果がこれだから、他にどんな言葉を向けても、ココアの戸惑いを増幅させるような気がしてしまう。ココアが元気を取り戻しそうな言葉を考えて、なおかつセイルズの本心を無視して言うことなど、セイルズには難易度が高すぎる]
[だって、頼っているのだ>>1:407。 “パン職人ではない”彼女のことを]
(53) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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[そしてやはり、返すべき言葉の一片も掴めないままに、回答は締め切られてしまった]
[突如セイルズに触れたココアは酷く震えて>>3:322、怯えて、ある一点から目を逸らせずにいる。視線を追えばその先は──彼女曰く、己に唯一の意義を与えてくれる場所>>3:321。正確にはその一点]
[割れた窓に挟まった、ひとつの封筒]
[ココアは、封筒のある調理場を、身体の全てで拒絶している。 セイルズは再び、傍で震えるココアのことを見下ろして──口を開く前に、そっとココアの肩に腕を回した。柔らかく暖かい身体を、ゆっくりと撫でる]
(54) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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だから持って出ろって言ったのに。
[水筒と氷嚢を押し付けて花屋に向かう彼女は 着替えなどの手荷物を持ってはいなかった。 添付された店のアドレスを開いてみれば]
……こんな店でいつも買ってんのか? [少女趣味なセンスとは少し外れている。 新作の衣服の写真を見る限りでは いまいちピンと来ず、大人びたものばかりだ。]
(55) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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──貴女は何も、 恨まれるようなことなど、していない。
[セイルズはまだ封筒を開いてもいないのに、次の言葉はきぱりと言い切るもの。そうして腕の中にある身体が震えを止めて、再び此方を見上げる時まで、じっと彼女のことを感じている]
[あれの中身は、己が見てきたほうが良いのだと──頭で判っているけれど、どうにも今は離れがたかった]*
(56) 2018/12/06(Thu) 23時頃
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