237 それは午前2時の噺。
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酸素ってさ、酸っぱそうとおもわない?
何、突然。生理?
ばぁか、ちがうっての。
[笑気を乗せた音は口元を覆う読みかけの文庫本に阻まれて、くぐもってしまう。 ウッドテイストの店内に洒落たシャンデリアが柔らかな明るさを齎した。あちこちに咲く控え目な談笑の花と軽快なビッグバンドジャズを背景に、一冊の世界と、少し苦味の効いた珈琲。 ここ好きかも、行きつけの喫茶店の内観を一瞥した彼女の呟きに自分が誇らしく胸を張ってしまいそうになるのを押さえた。何事も無いように頁を捲り続ける。BGMが鳴りを潜め、煌々と呼び起こされる世界は自身の胸を抉り突いてしまうもの。 実家へ戻れば温かい笑みで迎えてくれる親。果たして、この世界のように内に巣食うもの抱えながら、自身を見守っているのだろうかと。]
(28) 2018/03/24(Sat) 15時半頃
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酸素が酸いと仮定して、だ。 今吸ってんのは、どんな味がしてんのよ。
んー、…… あまい?
[世界から目を逸らすように重ねた問い。大きく息を吸い込んだ彼女に、じゃあ此処には酸素が無いわけだ、と一言。途端に、文庫本から視線を上げて、うぇ、と表情を歪ませていった。 読書サークルという数少ないホットラインから繋がった彼女、ヒトとの接触よりも本との密な関わりを選んだその眼差しが本から持ち上がることは数少なかった。僅かな逢瀬にも、自身と彼女を繋げるのは一冊の本。同じ世界を分かち合うひと時も穏やかで温かなものだったのだが、次第に欲が差し向けられるのは別の方で。]
……きっと、中和されたんだよ。
(29) 2018/03/24(Sat) 16時半頃
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[長い沈黙の後、したり顔で言い放つ唇はカップの縁へと宛がわれる。こく、角張ったものの無い、なだらかな傾斜に滑り落ちていくアイスティーは空気よりももっと甘いはずだろう。傍には破られたスティックシュガーの包装が幾つも積み重なっていた。一本、取られた振りをしてみるのは、上機嫌に綻ぶ彼女の口許が見たいからかもしれない。 やがて見届けた世界から退くように、文庫本を閉じて置く。目の前には既に此方へと戻ってきた彼女が、爛々と感想を期待するような視線を送ってくる。二人だけの閉ざされた読書会、―――今日のひと時をそれだけにするつもりは、この本が題として選ばれたときから、無かった。]
――――――…… 。
[具体的な物言いは、とうに出来ない年頃に互いになってしまった。一言二言、書をなぞりながら囁いた後に、差し出す1カラットのダイヤの指輪。すう、と見開かれる目に、その肌白い頬と同じく熱が灯されていくのを見逃さずにいた。
あの世界が織り成すものが造花ならば、この先に続く光はきっと、精彩豊かな生きた花溢れかえっているものだと、信じて疑わない。]
(30) 2018/03/24(Sat) 16時半頃
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[信じて、疑わなかった。]
(31) 2018/03/24(Sat) 16時半頃
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助手席のドアが開く音で、浅い眠りから目を覚ました。午後11時56分。六掛を無理やり助手席から降ろした後、三割方は半ば錯乱状態で車を走らせた。メーターの針が跳ね上がり、何度かガードレールに車体を擦り付けながら斗都良総合病院にたどり着いた。
「幻覚を見ているんだ、助けてくれ!」
救急外来の受付に話を通す。幻覚の中で自分が殺されている。何度も同じ日を繰り返している。頭がおかしくなりそうだ、と。しかし、返事は事務的なものだった。
「診察の順番通常の外来診察とは異なり、緊急度の高いお客様が優先しますので……」
「こっちだって緊急なんだよ!!!」
辺りは静まり返った。冷ややかな視線が三割方に集まる。院内を巡回していた警備員が「どうかしましたか?」と駆け足でやってきた。三割方は舌打ちをして病院を後にした。車に戻り、キーを回す。引っかかるような妙な音がした。瞬間、車は火柱を上げて爆発した。
(32) 2018/03/24(Sat) 17時頃
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助手席のドアが開く音で、浅い眠りから目を覚ました。午後11時56分。六掛を見向きもせず、交番に駆け込んで洗いざらい事情を話した。夢を見ている。これが現実なのかもわからない。誰かに殺される。助けて欲しい。決死の訴えだった。だが、センテンススプリングのカメラマンだと知った瞬間に、中年警察官の態度は一変した。
「そりゃあ、人のケツ晒し上げるアンタらなら恨みも買うでしょ」
まるで自業自得だとばかりに、三割方を嘲笑った。結局、本部には一応連絡しておくとの事だけで帰された。挙句に最後は、
「少しはまともな仕事したら?」
と、知ったような口ぶりだった。交番に停まっている自転車を蹴り飛ばしたが、怒りは収まらなかった。数分後、後頭部を強く殴打されて三割方は死んだ。
(33) 2018/03/24(Sat) 17時頃
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[柱、建物群、柱、ビル群、柱、ビル群……。
同じ屋根の下で暮らし始めて数年が経った。彼女との逢瀬は、本を跨らずとも手を、頬を、その柔い肌を重ね合わせることができる。 その薄い唇すらも触れることが出来るのに、其処から紡がれるのは呼吸音だけ。 果たして、彼女の言葉を聞いたのは何時だっただろう。彼女の微笑みを見たのは何時だっただろう。絶え間なく規則的に動いていく歯車の一部は、十二分にその顔を見ることすら叶わなくなっていた。
アナウンスと共に開かれる扉、密度の濃い人だかりを抜けて、歩を進めた。多くの花々が彩ったバージンロードの影一つ無しに、整然と揃えられたコンクリートの、未だ冷さを持つ道を踏み締めていく。*]
(34) 2018/03/24(Sat) 17時頃
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助手席のドアが開く音で、浅い眠りから目を覚ました。午後11時56分。三割方は錯乱していた。これは夢なのか、現実なのか。ただ、生ぬるい血の感触だけがこびりついて離れない。指を立てて強く髪を掻き毟り、頭をハンドルに打ち付けた。情けないクラクションが鳴った。
「三割方さん、一体どうし……」 「降りろ!!」 「え、でも……」 「降りろって言ってんだろ!!!」
六掛は震えながら車から降りる。 やがて窓を叩く音がした。
「ああああああああああ!!!」
行き場のない苛立ちをを全てぶつけるように、アクセルを踏んだ。商業ビルの壁に衝突し、フロントガラスが網目状に割れて車に押し潰された。何秒か、何分か。意識が飛んでいた。目を覚ますと破片が身体中に突き刺さっている。歯を食いしばり、歪んだドアをこじ開けた。血まみれの身体を引きずりながら外へ出る。辺りには騒ぎを聞きつけた人々が集まっていた。彼等は手短にスマートフォンを取り出して、シャッターを切る。助けようとする者は、誰一人としていなかった。絶命寸前の最中で、三割方は自嘲するように笑った。
(35) 2018/03/24(Sat) 18時半頃
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皮肉なもんだな、と三割方は思った。人様にカメラを向けて来た男が、カメラを向けられて死ぬとは。 シャッターを切るのが虚しくなったのはいつだろう。 親父から借りパクした一眼レフ。金がなかった学生時代に、よくカメラを片手にアテもなく歩いていた。随分前に、この斗都良町にも1度だけ来たことがあった。閑静な住宅街、のどかな公園。大きなテラスのある珈琲店。路地裏の野良猫。ヤクザの名前みたいな葬儀社。何処にでもありそうな山。この目で見える何気ないものが、フィルムに収めると特別なものになる。それだけで満足だった。けれども、金にならなかった。三割方は写真家にはなれなかった。代わりに声がかかったのが、今の仕事だった。人のケツを晒し上げて、金が貰える。人道的に正しいことと報酬はイコールではない。三割方は人道に背き、世論の反響に媚び続け金を稼いだ。
(36) 2018/03/24(Sat) 18時半頃
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その末路がこれだ。
『……じゃあ私達の仕事って何の意味あるんですか?』
幾つものフラッシュに包まれながら、朦朧とする意識の中で不意に六掛の言葉を思い出した。
「……ねえよ、オレには何にも」
三割方の頬に雫が落ちた。 ふと顔を上げると、そこには六掛がいた。目一杯に涙を浮かべ、鼻水を垂れ流しながら不細工な顔で泣きじゃくっていた。その涙が、三割方の頬に落ちた。光によく透き通る、綺麗な涙だった。
(37) 2018/03/24(Sat) 18時半頃
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[ゆっくりと町を歩く。
駅に近付くにつれ少しずつ賑やかで、けれど特筆すべき場所も無いような平凡な景色。けれど、そのなんでもない景色の中で、なんでもない会話が成されれば。当たり前の光景が広がれば。日常のある一点が目に留まれば。 産声を上げた世界は瞬く間に成長して両手いっぱい広げてその姿を見せ付けてくる──いつもならば。]
どこまでが自分の子供だった? 「全員手を繋いで!一人も零すんじゃないよ。」 今となっては関係ない。 自分で産んだ子も、引き取った子も、いつの間にか 紛れ込んだ子だって、全部纏めて我が子で良い。
[大きな籠で車を避けながら公園へ向かう、保育士と幼児たちが丸ごと家族だったら賑やかだろうな、と書き始めたそれは、子供の成長と巣立ちで己を少しずつ剥がれていく哀しい母の物語になった。]
(38) 2018/03/24(Sat) 21時半頃
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[まだ探してるんだ…。
休憩がてらに昼食を、と入ったファミリーレストランのボックス席、背中合わせの隣の席で会話する声が聞こえれば、そんな呟きが胸に落ちる。]
「また……なんなんだ、この夢は。」 落下の衝撃は未だ身体に残っている。けれど息を 荒らげて横たわるのは己の布団の上で、たった今まで 見ていた光景はどこにもない。 彼女は──暗い崖から足を滑らせたアスカは、 助かったのだろうか。 知りたくて目を閉じても、夢の気配は消えていた。
[婚約者が突然、失踪したのだという。 五年も前のあの時も、開けた店内で声を抑えきれずに話しているものだから、細かい事情まで耳に入ってしまったのだ。
良くある異世界召喚物。その主人公の、元の世界に残された人たちはあんな気持ちで主人公を探すのだろうか。 そんな想いが、二冊目の長編のトリガーとなった。 斗都良へ越してきてすぐの事だったけれど、どうやら彼の婚約者は未だ手がかりが途絶え、しかし諦めずに探し続けているようだった。]
(39) 2018/03/24(Sat) 21時半頃
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…………。
[セットのサラダをフォークでつつきながら、気持ちがずぶりと沈んでいくような気分になる。 町を歩けば幾つも思い出す、世界の生まれた瞬間の事。
きっかけだから。 フィクションだから。 真実であるはずが無いのだから。
同じ気持ちになる度にそう言い聞かせるけれど、果たしてそれで良いのだろうか。 名も知らぬ他人の人生を面白おかしく作り上げて無責任に発表している、と言われてしまえば否定はできない。モデルがあると口外したことはないにしても、だ。
その迷いが、筆を止めているのだろうか。 ──などと思い詰めてしまってはますます世界を閉ざす殻は固くなるばかりなのだろうけど。]*
(40) 2018/03/24(Sat) 21時半頃
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助手席のドアが開く音で、浅い眠りから目を覚ました。午後11時56分。助手席に入ってきた女性は雑にレジ袋を置いた。
「まだ動かないんですか〜?」
レジ袋から眠気覚ましの栄養ドリンクを一気に飲み干すと、六掛紫乃は仕事帰りに一杯引っ掛けた中年のような声を漏らした。 三割方は先ほどの出来事を思い返して、六掛から目が離せなかった。
「何見てるんですか。ははーん。ついに私のダイナマイトボディにセクハラしたくなりましたか」
六掛は無い胸を張り、三割方の逆水平チョップが直撃する。うぐぅ、と小さく呻いた。
「……お前。何で泣いてたんだよ」 「へ?」
六掛は首を傾げる。
「そりゃ、逆水平チョップは痛かったですけど、泣くほどじゃないですよ」
三割方は気まずくなって、何でもないとだけ答えた。六掛はレジ袋から冷えピタを取り出す。バックミラーを見ながら髪をかきあげておでこに貼った。
(41) 2018/03/24(Sat) 23時頃
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「私が泣くのは、大切な人とお別れする時だけですよ」
六掛は月刊マーのページをペラペラ捲る。 三割方はぼんやりとその姿を眺めていた。 心は不思議と満たされていた。
「六掛、車降りろ」 「ええ!? 何でですかぁ?」
我儘で生意気でオマケに仕事も出来ない新人。
「今から誰かが俺を殺しに来る」
それでも、こんな自分を大切だと思ってくれる。今はそれだけでほんの少し、勇気が湧いた。カーナビの時計が0に変わる。
「行け!早く!」
助手席のドアハンドルに手をかけ、六掛は不安そうな顔で、何度か振り返りながら外へ出た。それでいい。三割方は久しぶりに笑った。
(42) 2018/03/24(Sat) 23時頃
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窓を叩く音がする。外ではサングラスをかけた男が立っていた。サイドミラーを確認すると、やはり、サングラスの男は窓の下に金属バットを隠し持っている。アクセルを踏み込もうとしたその時、
「ぉぉぉおおおおりゃぁぁああああ!!!」
サイドミラーに、信じられないものが映っていた。六掛がサングラスの男に飛びかかったのだ。手に持っていた金属バットが転がる。サングラスの男は襲いかかってきた六掛に殴りかかろうとしていた。三割方は咄嗟に運転席のドアを思いっきり開いて男の顔にぶつけた。男が怯んでいる隙に六掛の手を取る。
「こっちだ!」
繁華街へ走る。後ろから男の怒号が聞こえる。2人で息を切らして曲がり角に差し掛かった時に、六掛は手を振りほどいた。三割方にくるりと背を向ける。
(43) 2018/03/24(Sat) 23時半頃
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「ダメだ! そっちは……」 「大丈夫です」
瞬間、追ってきた男が商業ビルの壁にぶっ飛ばされた。無駄のない動き、洗練された技術。目にも留まらぬ速度で何度も拳を食らわせ、最後は鋭いアッパーで顎を突き上げたのだ。男は身体が伸びて、完全に意識を失っている。
「私、大学で北斗神拳愛好会に入ってたんで」
呆然と立ち尽くす三割方を前に、六掛はふぅーっと息を吐いて片腕で額の汗を拭った。
「……北斗神拳関係ないだろ、その動き」
(44) 2018/03/24(Sat) 23時半頃
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[諦めと落胆を抱えて、閑静な住宅街を歩く。時々、暗闇に浮かぶ小さな灯のような微かな期待が瞬いて、ポケットの中の携帯を振動させる。もちろん、そんなものは幻覚でしかなく、メッセージを確認したところで、無駄に充電を減らすだけでしかなかった。 彼女のことで頭が一杯だったせいで、私はもう一人の女の存在に気付かなかった。そして、それに気づいた頃にはもう、家はすぐ目の前だった。]
……ぬ?
[ふと立ち止まって振り返った。家の窓から漏れる照明以外に、人の存在は感じられない。さっさと前を向いて家まで行けばよかったものを、私は好奇心と違和感から目を凝らしてしまった。 距離にして60mほど、迫り来る夜の闇に溶け込むようにして、その女はいた。ベージュのトレンチコートにスニーカーという出で立ちが、淀みもなく、こちらに向かって歩いてくる。女が、等間隔に配置された街灯の下までくると、その姿はより鮮明になった。くわっと口を大きく開けていたのだ。あんぐりー女だ。]
(45) 2018/03/24(Sat) 23時半頃
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[ 昼下がりのショッピングモールは、田舎町と言えど、それなりに賑う。休日を謳歌してやろうという意欲は皆共通で、都会に負けじと轟かせ、店内は活気で膨れていた。 庶民的な店に混じり、佇むジュエリーショップ。その店内で彼女と肩を並べ、ガラスケースを眺める。結婚という通過儀礼に、神聖さを見出す風潮。充満した高潔な空気。愛想笑いすら上品な店員。指紋一つない硝子箱を、うっとりと見つめる彼女の横顔。……息の詰まる思いがする。他人の瞳に、俺は幸福を絵に描いた男として映るだろう。平凡で、ありふれた、でも生きていくにはなくてはならない種類の幸福 ]
「ねぇ……どう思う?」
[ 店員のセールストークに耳を傾け、宝飾品に釘付けだった瞳が此方を見る。終始上の空だった不誠実が暴かれそうで、心臓が跳ねる。頭の片隅で、分かりやすく浮かれる彼女を、可愛いと思った ]
「……何でも良いって、なにそれ。どういう事?」
[ 失言だった。未来を買いに来た客として、相応しくない会話。店員は苦笑いしか出来ず、その視線が片顔に刺さる。無音の同調にも感じた。口から出た台詞を後悔しても遅いが、気の利いた代替も用意出来ず、その気力もなく眉を顰める ]
(46) 2018/03/25(Sun) 00時頃
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[ 底冷えする、突き放すような台詞が脳裏に浮かんだ。 背筋が冷える。ひとひらの言葉を飲み込んだ喉の奥が、誰かの代わりに切り裂かれて熱くなる気がした。
なるべく自然に視線を下げ、腕時計を確認する。 ── 午後二時の噺だった ]
(47) 2018/03/25(Sun) 00時頃
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[気づいた瞬間、心臓がプレス機で圧縮されたかのように縮こんだ。私は恐怖に支配された。女が視界から消える恐ろしさを抑え込み、前を向く。その場からとっとと逃げ出したい気持ちで足を動かすのだが、走るまでには至らない。別に歳だから走れないというわけではない。そこは馬鹿にしないでもらいたい。私は心の何処かでこう思っていたのだ。「お化けなんているわけない。何を怖がっているんだ恥ずかしくないのか」と。この場において、ありもしない世間に目が足枷となって動きを鈍らせていた。頭の中では、マーの記事やカフェオレ、彼女のことが超高速のメリーゴーランドのようにぐるぐるしているというのに。 急ぎ足でマンションに駆け込むと、少しは心も落ち着きを取り戻し、冷静に物事を考えられるようになった。あの記事は言っていたじゃないか。あんぐりー女は“実在した”と。お化けではないのだ。仮に実在したとしても、生身の人間ならいくらでも対処法がある。こっちは脂の乗った30歳だぞ。馬鹿馬鹿しい。]
(48) 2018/03/25(Sun) 00時頃
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ふふっ……
[喉奥まで上がってくる文句は、元マーの関係者だったとは思えないものばかりで、つい笑ってしまった。 部屋は4階の角だ。いつもならエレベーターを使うのだが、今日は運動の目的も兼ねて階段を選んだ。エレベーターは、まずい。]
(49) 2018/03/25(Sun) 00時頃
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[こんなに一生懸命に階段を上ったのはいつ以来だろう。学生の頃、遅刻寸前で階段を駆け上がったのが最後のような気がする。動悸が激しい。日頃の運動不足を実感させられる。結局、あの女どころか、誰一人ともすれ違わずに部屋まで辿り着いた。隣のドアから、微かに子どもの声が漏れてくる。夕食中なのかもしれない。温かい気持ちになると同時に、切なくなってしまうのは、きっと彼女との未来に不安を抱えているからかもしれない。 鞄から真新しい鍵を取り出すと、鍵穴に差し込んだ。ドアを開き、中へ入り、閉じて施錠をする。ホラー映画のように、閉じる直前に手を挟み込む妨害を受けることもなく。家の匂いに安心したせいか、どっと疲れが溢れてくる。]
ただいま
[返事はない。以前なら彼女の声が聞こえたのだが、今日は静かだ。仕方がないとはいえ、やはり寂しい。鞄を適当な場所に置くと、風呂場へと向かった。今日の疲れを全て洗い流すには風呂しかない。]
(50) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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[抜け毛一つない綺麗な風呂場を水浸しにしていく。ローズアロマのボタニカルシャンプーをいつもよりマシマシで手にとる。こういう嫌んなっちゃう日には、泡だらけにして洗うのが、いいストレス解消になるのだ。ボディーソープはラベンダーの香り。頭の先からつま先まで花の香りに包まれるが、明日になる頃には全部消えているのだから不思議だ。彼女には残るのに。綺麗にまとめた長い髪を解いたときにふわりと舞う香りは、女の子だけのものらしい。 体を洗う間に溜めておいた湯船に、アメリカ生まれのアイスクリームのような、色鮮やかなバスボムを投入する。しゅわしゅわと気泡に包まれていると、彼女と入ったラブホテルでの出来事を思い出す。彼女が先に風呂へ入ったのだが、妙にはしゃいでいるので、何かと思い覗いてみたら湯船が泡だらけになっていたのだ。『きゃーえっち!』なんてテンプレートな台詞が飛んできたのが、昨日のように感じられる。]
出よ
[心も体も充分温まった。ゆでだこになる前にとっとと退散だ。]
(51) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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[ネット配信の準備をしながら猫と遊びながら仕事を進める。同時並行作業だ。 普段なら猫リセットが恐くて保存は頻回にする。だってこの子脈絡なくキーボードに乗って来たり腕に乗ってきたり手の甲に乗ってきたりしてそりゃあもう邪魔で邪魔で可愛くて可愛くて可愛すぎて作業がすすまなくなる事も多い。掌にどいんっと乗って、それで再起動コマンドなんて入力してしまったらたあいへん。だからそんなヘマはしないように、或いはしても問題なく立て直せるように、保存はこまめにするのはやっぱり一番なのだった。
こうかな、と仕事を進める。 ああでもそろそろこんな時間、こっちの準備を優先しなくっちゃ。
ああえ〜〜?ちょっと何そのラディそのポーズ本当なに?可愛いがすぎると怒りを覚えてくるものなんですけど。可愛い。怒るわよ。怒らないけど。こんっなに可愛い子を怒れるはずなんてないわ?しんどい。見てるだけで幸せがあふれてくる。すごい、さすが幸福の塊…。しゃわしゃわと毛並みを撫でる。赤いリボンをラディは嫌がらない。とても可愛くって似合っていて、このリボンはもう聖なるものなのでは…?なんか軌跡とか起こりそう。幸せを運んでくれそう。]
(52) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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[もしょもしょと猫を触る。ラディは箱座りをしていた。はああ?かわいい。この座り方見るだけでもう元気があふれてくる。でれっでれになってしまう。このシルエット、その前足の曲がり方、後ろ足の角度、柔らかに立ち上がる毛先、何をとってもどこをとっても最高に可愛いのにそのポーズでラディってばあくびを!あくびをしている!ええ〜〜かわいい〜〜。その大きく開けた口の中に指をつっこみたあい!でも指に穴が開くんでしょ?しってるう。でも猫の爪とか牙で傷付けられるのってご褒美なのではっていつも思うのよね。なんていうんだろう、お猫様が私を気にかけてくれた証拠っていうの?愛の証なんじゃない?そう思ってしまったらなんかもう踏んでくださいって気持ちになるし、ひっかいても嬉しいって気持ちになるし噛みつかれても嬉しいって気持ちになるのよね、全く本当に。はあ。かわいい。でも変なものを食べさせるわけにはいかないからね、そこはちゃんと確りするわ。猫が大事なんですもの。う〜んほんとうにかわいい…。らぶ…。愛は地球を救うっていうけど、猫がいたらどこもかしこも救われるんじゃないかしら。]
(53) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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[───とまで思って、でも猫アレルギーの人も猫好きじゃない人もいるからなあ、って思ってそれはそれで仕方ない。という結論をだしたのだった。愛はどこまで受け入けるけれど押し付けないものだ。といいつつ、猫とはたあくさん遊ぶんですけどね!]
(54) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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それはそれとして、っと
[手元では準備を進めていた、配信作業を最優先にして。 そう、最優先だ。 そして猫に夢中だ。
うっかり保存のボタンを押し忘れたまま、準備は進み、時間もまた、* 進んでいく *]
(55) 2018/03/25(Sun) 01時頃
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「はぁ……それで?休日デートを満喫したって話なら間に合ってますんで。腹一杯ですご馳走様。惚気は壁に向かって吐き出して下さい」 「うるせぇ、人と喋ってる時くらいスマホを置け。人の話を最後まで聞け。久し振りに会ってんのに、何だその態度は」
[ 阿呆、とまで言わなかったのは、年上の、教師としてのなけなしの矜持か。住居を作り替えた、テラス席が売りの珈琲店には、穏やかな音と時間が流れている。例え慣れ親しんだ相手に向ける冗句でも、声を荒げるのは躊躇われ、自然と声を潜めた。
テーブルを挟んで向かいに座っている青年は、大学時代に講師を勤めていた塾の生徒だ。高校を卒業し、鴉の羽根のように黒々としていた髪は、すっかり陽の色に染まっている。あか抜けても毒気は抜けていないようだが。異次元の世界平和の為に躍起になっている彼は、手元の端末に夢中だ。果たして俺の小言が聞こえているかも怪しいが、素知らぬふりで、話の続きを促す。
聞きたいと言うから話しているのに、「あぁ」だとか「へぇ」という、気の抜けた返事の反覆に、短い気が苛々と燻り始めた頃 ]
(56) 2018/03/25(Sun) 01時半頃
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[ ──流石に、仲違いしたと言えば、弾かれたように彼が顔を上げる。ようやく顔を合わせたのは良いが、その目が好奇に満ちているのが気に食わない ]
「……おい。人の不幸を喜ぶな」 「喜んでねえって、驚いてんの。あんなに順風満帆そうだったのにって。まあ、誰に聞いても先生が悪いって言うだろうね、そりゃ」 「……知ってる」
[ 耳の痛い台詞に閉口する。そのうち注文していた品がテーブルに届く。珈琲と、クリームソーダ ]
(57) 2018/03/25(Sun) 01時半頃
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