219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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[清廉潔白の如く、 そのような白など咲いていない。 混凝土と灰色の街に、今々現に咲うは緋の色ばかり。 何時しか黒くさえなりそうな程に、染まり堕ちる彩だけが。 白ではない此の色が、唯一の己らしさであったから。
─── 青年は父の名を畏れていた。
真白なんぞと比べられたら、 何時しか、此の、染まりきった色が、 望まれていない彩が、浮き彫りになってしまうから。]
(332) 2017/06/21(Wed) 03時半頃
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[儘、差し出されたものを受け取るのを見遣ってから、>>327 と、足は他所へと赴いた。
先生が静かに腰かけたままであったから。 きっと無理はしないし大丈夫だろう、と。
(手折られる菖蒲華を見る事はない。 当然、彼の人の兄も知らなければ、 先生が“藤之助”の名を継ぐまでの一悶着も。
── 先生が、“輝久”に執着していた訳も。)
知らない罪を、矢張り知らず知らずに重ねながら。 只、只、日替りまでを意味なく歩くのに費やそうとしていた。]*
(333) 2017/06/21(Wed) 03時半頃
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── 北:→九想屋? ──
[九想屋の近辺をうろうろとしていたからか。 足が地に着くと同時、水溜まりを踏んだような音がした。>>234 ぴた、動きを止めれば自然、目線はそこから下に下りて行き、 ───]
…君、は…、
[よく、ようく覚えていた。 鎌鼬で切疵を創った時に、治療させてくれ、なんて云ってやってきた彼だったから。 其処にできあがった血の池などは目にも入らないかのよう、片膝ついて屈んでは、その肌に触れる。 袴の裾が、染まるなどは気にもせず。
(想定していた最悪を思っても、 随分冷えている気のする訳など知らない。
─── それが、能力を使う度に、 彼から体温を奪っていた、など。)
……一瞬でも、最悪を先に想定してしまった己に嫌悪を抱いた。]
(334) 2017/06/21(Wed) 04時頃
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[その、隻だけになってしまった目蓋に掌を添わせ、閉じさせる。]
嗚呼、治療の恩くらいは。 返させてほしかった、などと今更か、
[つ、見廻すよう滑らせた視線の先、もう一人、倒れたままの少年と見知った黒い蝶の一羽ばかり佇んでいるのを見付ければ、原因など分かるなと云う方が無理なもの。>>@155 疾くに姿はなかったとは云えど、まあ、彼の死神の事。 翼もあれば、雑音に襲われもしないのだから、(今は少し例外であるのを分かっていない、)と、追う事はせず。
終ぞ言葉を交わす事もできなかった彼の相方が、未だ随分幼い子であるのを見て、目線を伏せた。 如何見ても、痛ましい惨状以外の何物でもなかったからだ。]
…世界は、斯くも惨酷だな、 ……、
(335) 2017/06/21(Wed) 04時半頃
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[だってそうでしょう、とばかりに思い出されるのは何時ぞやの彼女の言葉。>>3@:@19
「 あなたの覚悟は、大事な大事なひとを、 誰かの骸のうえに立たせようって ── 」
身近に、見える所に、言葉を交わした誰かの死に行く様を見なかったから。 彼女の云った、その言葉の正しさと重さを忘れていたのだ。 ── 否、見ないふりをしてきたのだ。 元々、この遊戯の条件は狭き門なのだから、こうなる必然を分かろうと思えばできた筈だと云うのに。]
(先生、私は、 私のしようとしている事は。
還った折に、鎖枷とは、 貴方の心に巣食う影となってしまうような、 そんな物には、なりませんか ─── ?)
[答えなんてものは、自問である以上己が返すしかないのだが。 此れに、正しい答えを見付ける事はできなかった。
( ─── 何故か、したく、なかったのだ。 )]*
(336) 2017/06/21(Wed) 04時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2017/06/21(Wed) 05時頃
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