191 The wonderful world -7 days of MORI-
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[ …あのね 率君。 もう何年の おつきあいってやつでしょうか。 私がちっとも泣き顔見せなかったみたいに、 私にそんなかお 初めて見せた きみ。 私 間違ってた。 一緒に死のうというきみに、 私は頷くべきじゃあ なかった。 だって "死のう"って言われたときより、 とても 悲しそうな顔してるから。 ]
(230) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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[ だから 思うよ。 一緒にいるべきは このやるせない世界だったって。 きみに追いつくことに疲れちゃった私を隠して、 きみの言葉を 卑怯にも利用して、 逃げるための、死ぬための理由にしちゃった。 なにより 遠いきみが縋ってくれた。 それが嬉しくて そればっかり で。
ばか だなあ。 私は、一緒に生きようって 言うべきだった。 …もう 遅い な。 ]
(231) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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[ ごめんね。 私 いつまでも逃げてばかりだ。 私の理由であったきみが、一番大切だったって。 その事実はいつまでたっても 揺らがない けれど。 私も きみを 守りたかったんだ。 遠い きみに 追いつきたかったんだ。 本当の意味で 正しく 守ってみせるって。 本当の意味で ちゃんと 隣に立つって。 そう 思ったの 今。 今度 いつかがあるのなら、 きみを絶対 生きる理由にするって。 ]
(232) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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"おやすみ なさい"
[ ―― ああ。 最初に言った 率くん、って ちゃんと 伝わった かな。
りつ くん。 (わたしの いちばん たいせつなきみ)
■ くん、
……? ]
(233) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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[ ―― きみは だれ?* ]
(234) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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― awakening to the dead. ―
…………
[ ―― 死を 選んだ部屋だった。 闇の中、走って行ったいつかの記憶と、 全く同じ部屋 だった。
絶対に違うところは、 もうあんなに苦しくないって ところと。 抱かれた腕の中が、 あたたかい と いうところ>>203。 髪に通る指を感じて、瞬きを ひとつ。 ゆっくり起き上がって、己の名を呼ぶ人を 見る。
多分 きょとん と した表情。 "こんなところにいたの?"って 顔。 ]
(235) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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…きりはらくん、…? りつくん ?
[ どっち で 言えば良いのかなって。 言ってから気付いたけれど、 今まで何年も呼んでいた名前じゃなくて、 あの七日間で呼んでいた名字の方が、 自然と出てきて、しっくりきて、しまって。
…今までどれだけ距離を取ってたんだと、 そう 思う。 ]
(236) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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[ 覚えてる。 きみが突然冷たくなったり、 おまえ とか 呼んだり。 かと思えば私も、 遠慮してばっかりだったし、 どうしようもないことで 突っぱねちゃったり。
挙げていけば色々あった 七日間。 生き抜いて、ようやくきみと隣に立てた、あのせかい。 死にかけて、生き抜いて、あがいて。 無謀なこと、いっぱいしたね。
絶対に見せたくない泣き顔さらして、 きみに縋り付いて…みっともなかった なあ。
ねえ だからさ。 ちゃんと 思い出してるよ。 ]
(237) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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……ここにいたんだ。 ずっと いてくれたんだ。
[ ああ もう。 言い出したらまた 視界が滲んで。 頬を細く 涙が伝っていく。
戦いなんて無かったかのよう。 綺麗な制服の袖口でぬぐいながら、 彼に 微笑んだ* ]
(238) mayam 2016/06/21(Tue) 01時半頃
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[ ごめんよって 言われると>>242。 反射的に、言いかける言葉がある。
―― 気にしてないよ、とか。 ―― 大丈夫だよ、とか。
そうするべきだって、何年も思ってきたから。
だから。 ]
(260) mayam 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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…さ、みしくな、
[ ―― 寂しくなかったよ って。 本当だったら、いつもだったら、 そう言い切っていたはず だ。
でも どうしてだろう。 今はそんな 壁を作る言葉が出てこなくて、 代わりに、ぽろっと。
絶対言いたくなかった言葉が、出てきてしまう。 ]
(261) mayam 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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……さみしかった よ
もう わたし、なんねんも つらかった… ひとりはもうやだ、…きりはらくん
[ テレパシーだなんて、もう出来ないけれど。 合わせられた額>>242、瞳を伏せれば。 目尻に触れた彼の指先を、また濡らした。
己の震える指先を。 恐る恐る といった動きで、彼の頬に触れさせて。 懺悔と 誓いの混ざった声を 聞いて。
…また 滴が。 彼の手を濡らしていく。 ]
(262) mayam 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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……わたし も、 きりはらくん と、一緒にいたい。 死ぬんじゃ無くて いき、たい よぉ
[ ―― 私でいいの?って。 一瞬、聞きそうになった。 だって、こんなに幸せなことって、あっていいのかなって。 彼とはじめて会ったのだって、偶然だったし、 彼との未来を決められたのだって、偶然で。 きっとおとなにとっては 政略的で。 …だから、どうしたって いつだって 不安だ。 でも 今はあの世界を生きたから。 七日間。己はパートナーが彼で無いと駄目だったし、 彼にとっても、己じゃ無きゃ 駄目だったって。
そんな 自信は あったから。 ]
(263) mayam 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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……待ってる ね。 ずっと、未来のいつだって、待ってるから。 だから、よろしく…お願いします。
[ 我慢していた分か、涙は止まってくれないし。 声だって、触れる手だって震えていたから、 彼と比べて、きっとひどい顔だったけれど。 ―― ああ それでも。 ちゃんと 生きて、笑っていた* ]
(264) mayam 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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…桐原君、それ、はじめて。
[ 彼は>>347。 愛を、言えなかった。 愛を分からないと、言った。
…もしかしたら 彼の無くしていたものは。 まさしく 愛 だったのかもしれないと。 そう思ったのはきっと 間違いじゃない。 ]
(366) mayam 2016/06/22(Wed) 01時半頃
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[ 言いたいこと。謝らなければならないこと。 きっと己は、その全てを受け入れるのだろう。 だって、彼を愛しているのは 此方も同じだから。
―― さあ。 お姫様みたいに 手を取られて>>348。 やるせないけれど、すばらしい世界へ行こう。 きっともう、戻ることは―― ない。 ]
(367) mayam 2016/06/22(Wed) 01時半頃
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うん、行こう。 私もね、話したいことが いっぱい ――…*
(368) mayam 2016/06/22(Wed) 01時半頃
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[ あれからの話を すこしだけ。 ]
(476) mayam 2016/06/22(Wed) 23時頃
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― After day ―
[ 七日間を生き抜いた、高校三年生。 自殺未遂、心中。回り道も良いところだけど、 受験は待ってくれないわけで。 今の学生生活といえば。 はて、"何"があったのか いつかの時と比べて。 すっかり大人しくなった周りのおんなのこたちに、 遠巻きだったり、腰の低い態度だったりで接されて、 逆にやりづらい思いをしました。
いや 小言言われるよりは良かったんだけど。 逆に怖くてむずむずしたのは内緒です。 ]
(477) mayam 2016/06/22(Wed) 23時頃
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[ そんな訳で 大学 だけど。 元の出来が違うのは変わらない事実だから、 諦めて他の大学に行こうかな と 思っていた。 だから、進学を勧められたとき。 はじめは断った。わるいくせ。 …だけど 桐原君と一緒にいたいのも、事実で。 数十分悩んだあと、 私って本当に恋人なんだろうかって態度で、 緊張したまま、三つ指立てて"お願いします"って。 頭を深く下げて、彼に講師をお願いすることにした。
……思い出しても本当に恋人なんだろうかこれ。 ]
(478) mayam 2016/06/22(Wed) 23時頃
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[ なんて そんなことを思い出しながら。 喧噪の中 ひとり スマートフォンとにらめっこ。
――"あ、今度景山さんとデートした話聞かせて!" ――"あと、Memeちゃん!トレイルのCD買ったよ" あのとき会って お友達 になった子たち。 グループなんてものが出来たので、 なんとなくそんなメッセージを送る。 あんまりこういう経験が無くて、 多く送り過ぎちゃうのも、…まだ、直ってない癖だ。 とりとめもない話。 こんなことが出来たの、久々だなって思うから。 案外、一度この世界を捨てたことは、 悪いばかりじゃ無かったのかもしれない。
鞄にスマートフォンを入れて、 少しだけ長くなった髪を弄る。 ]
(479) mayam 2016/06/22(Wed) 23時頃
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[ 喧噪 とは言ったけれど。 どこにいるかって、 …桐原君の用事とやらで、Barメメント前で。 ( 私は絶対入りたくないと言ったのでお留守番。)
駆け寄ってくる桐原君がみえれば、 手を 振った。 そのまま指が絡められると>>461、 どうしたって びっくりして、顔が熱い。 初めてな訳じゃ無いけれど、 あの時は触れなきゃなんにも出来なかったし、 なんとも思ってなかったから繋げたけれど。
ほら、今は。全部思い出している訳なので。 …あんまり見ないでほしいな。多分無理 かな。 ]
(480) mayam 2016/06/22(Wed) 23時半頃
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[ 慣れること無いんだろうなあって、思いながら。 行きたいところを聞かれれば>>462、直ぐに返事は出た。 平和な状態で行ってみたかったり、するって。 やっぱりあの後だと、思うわけだ。 だから、選ぶところは。 ]
(481) mayam 2016/06/22(Wed) 23時半頃
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―― スカイタワー、行きたいな。 あとね、桐原君、
……こ、今度 桐原君の空いてるときで良いから、 モリ区だけじゃ無くて、他の所も行ってみたい…な。 旅行とか、して みたい。…です。
[ こういう わがままを。 言えるようになっただけ、多分 進歩。 今まで出来なかったこと。 もう何年分も遅れたそれを、少しずつ 取り戻すために。 何ができるかな って。 私の頭の中だって きっとそればっかり。 ]
(482) mayam 2016/06/22(Wed) 23時半頃
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[ ―― 生きようって 決めて良かった。 …もし もしの話。 私 あのとき、 忘れた記憶におびえて、 誰かも分からない、大事な人を遠ざけて、 死神になることを選んでいたら。 きみとこうやって、日常を生きられなかったから。 またひとりで押しつぶされて、死んでいたから。 …だからね ありがとう。 私を選んでくれて、私と 一緒にいてくれて。 この世界は、どうしたって厳しいけれど、 それでも私 生きていける場所はあるって、分かったよ。 ]
(483) mayam 2016/06/22(Wed) 23時半頃
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[ ―― すばらしい世界は、きっときみの隣にある* ]
(484) mayam 2016/06/22(Wed) 23時半頃
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