193 ―星崩祭の手紙―
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[ひとつめは、赤い縁取りがきらきらと金色に映えるカプセル。開くと、まず目に入るのはコインケース。ほんのり、掠った香りはなんだか懐かしいような香りがした。
そっとコインケースを開けると、中に収められていたのは1枚の銀の硬貨。取り出して眺めると、手彫りなのだろうか?ほんのすこし歪な意匠が表裏に掘られていた。]
どっこも、流れ星はおんなじに見えるんだなあ…、って、え、まさかこれが手紙!??
[コインの裏に掘られた流星は、男のイメージするものと殆ど同じで、しみじみそう呟いたが、慌ててカプセルの中を覗き込むと、ひとひらの羊皮紙が底にひっそりとあった。
音声化のコンバータに手紙を掛けると、若い、活発そうな女性と推測した合成音声が手紙の内容を読み上げる。
読み上げられた内容に、ん、んー、と逆向きに座った椅子の背もたれを揺らして少し惑ったような様子を見せるが、指先で高く中にコインを弾くと受け取って、また大事にケースへとしまった。]
(0) 2016/07/19(Tue) 02時半頃
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[ふたつめは、自分の送った宇宙カプセルへの返信。送ったものより一回り小さい銀のカプセル。
慣れた手で外装を叩くと、再生が始まる。どうやら相手も、自分が送ったと同様の形式で返してくれたようだった。
一瞬ぶれた像が焦点を結び、同時に詩が流れ始める。そこに映ったのは、ふかふかのソファに腰掛けた、線の細い少女。]
…ぃやったあ!!!!!!
[願掛け通り、可愛い女の子に届いた事にガッツポーズをつくる。映像の中の少女がちょうどくすくすと笑ったのは偶然で、けっしてその様を見たからではなかっただろうが。
小さく手を振る姿で再生が終わると、名残惜しそうにもう一度再生する。詩の感想を送れない事が残念だな、と思った。]
(1) 2016/07/19(Tue) 02時半頃
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[3つめのカプセルは、またしても文字で綴られており、コンバーターに掛けると、自分よりは年嵩らしい、落ち着いた男声音で文面を読み上げた。
聴き進めるにつれ、「彼」の世界には「声」がないことを知り、ぎょろりとおおきな目を瞬く。淡々と語られる見知らぬ彼の世界の話に聞き入った。全く想像もしたことのない、暗い空の続く世界、声のない世界。
彼への返信に、筆致や文面から推測した彼の合成音声はどんな声だったかを記そうとしかけ、やっぱり止めた。なんだかとても無粋な真似の様に思えたからだ。
その代わり。母星へのサンプルとして最後の一つを残しておいた、硝子の花弁の標本をカプセルの中に封入した。]
(2) 2016/07/19(Tue) 03時頃
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[2つの宇宙カプセルの返信を文字で書き終えて、宇宙へと飛ばしプラントに戻ると、しばらく覚えたことのない、心地良い疲労が残った。
宇宙カプセルの数は残り2つ。自分以外に減ることのない。 明日は何を伝えて飛ばそうかと、銀色の外装の表面を撫でた。]
(3) 2016/07/19(Tue) 03時頃
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