260 【R18ペア村】“Bloody Curse”
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『――エル?>>2:202』
[ 疑問と不安と焦燥。 それらを含んでいる呼び声が 空洞で響くみたいに何度も、己の心へと刺さった。 ]
どこだろう、
[ ぽろり、落ちる筈のなかった言葉が ひとひら、ひらりと舞い落ちる。 ]
(1) はたけ 2019/03/14(Thu) 00時半頃
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( なんでもない、では。通じないだろうな )
[ にじみそうになる涙を抑えて。 取れる手段を――……そんなにないけど。 今できる最善の(さいあくの)手を講じてみる。 ]
………やくそく。
[ 袖を捲りあげられてじっとそれを見られても>>2:204 抵抗はしない――
………本音は動かないから出来ないだけど。 ]
(2) はたけ 2019/03/14(Thu) 00時半頃
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やくそく、したでしょ 話すまで、待ってくれるって。
[ 破るの?と。 きっと己にしては珍しく、棘のある視線を投げ遣っただろう。 とはいえ、己の口を頑なに引き結んでいたとて。 悲しいことに、想像するには容易いのだろうけれど。* ]
(3) はたけ 2019/03/14(Thu) 00時半頃
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( ああ、最初からだ )
[ それに気づくのが、どう考えても遅すぎた。 本当に隠し通したいならば、 誰の目にも見つからないように、この街を出るべきだったんだ。
それなのに、"わざわざ"見つけやすい場所にいたのは 手を振り払って冷たい言葉で制さなかったのは、 ]
――……気づいて、
[ ひとえに、僕が弱いから。 話すつもりがなかった事に気づかれて>>6いたんだと知れば 目を丸くして呟いた。 ]
(19) はたけ 2019/03/14(Thu) 02時頃
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気づくよね、姉さんだもんね 昔、から、……かくしごと、できたつもりで 僕はいるんだけど。
隠し通せたことなんか、なかったよね
[ 不安に押しつぶされるのを恐れて、 饒舌になっていく自分が馬鹿らしい。 きっとそれすら気づかない姉ではないのに ]
多分。 足には、こいついない
[ 本当に話してくれるなら>>6と言う姉は。 きっと察することより、 弟の口から聞く事を望むだろう。 ]
(20) はたけ 2019/03/14(Thu) 02時頃
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[ それでもまだ、口は割らないし、 マフラーも外さない。だって本当は僕も。 まだ、認めたくないから。
力の抜けた腕を姉に預ける形で歩き始める。 昔は随分上にあった姉の頭が、すぐそこに在る事が、
今は何より、安定剤だから。* ]
(21) はたけ 2019/03/14(Thu) 02時頃
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[ いつもの姉らしい調子で、心配くらいは>>36 なんていう。
その言葉にどれだけ。 今までどれだけ、救われてきたのか。
……これはきっと、貴方の知らない。 僕だけが知っている、貴方の顔なのだろう。 ]
(39) はたけ 2019/03/14(Thu) 23時頃
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"その時"にね
( 参ったなぁ )
[ 後悔後に立たず、とは言う。わかる。 残された時間がどれだけあるか分からない以上、 言える言葉は今のうちに、言えるだけ、残せるだけ、 残しておきたいのに。
日頃の行いが、祟った結果と言えばそれまで。
今更姉に、母に、義兄となるひとに。 どんな言葉を残せばいいのか、わからない。 ]
(40) はたけ 2019/03/14(Thu) 23時頃
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( うん、義兄さんに殴られる前にはいこう。 そうしよう )
[ きっと折れそうな姉の心に、あの人ならば寄り添ってくれる。 後ろ向きに前向きな思案は、家に着くまで続いただろう。
昇り切った朝日が、肌と目を刺していく。 ]
(41) はたけ 2019/03/14(Thu) 23時頃
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短い、家出だったなぁ
[ こんなはずじゃなかったのにって、少し笑えてしまう。 扉を開く頃には、体は仮初の自由を手にしていただろうから。 ]
ただいま、姉さん……――。
[ いつもどおりの短い挨拶をして、 家の中へと入っていった。** ]
(42) はたけ 2019/03/14(Thu) 23時頃
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―― 自室 ――
………
[ あれからどれくらい経ったか。 少なくとも二日は経過している筈だと思う。
と、いうのも。 呪いという言葉は誰も口にしないけれど、 体の状態異常は家族には知れ渡ってしまった事で、 学校はしばらく休学、手伝いもしなくていいと。 己の意思をよそに、母と姉とで決めてしまったらしい。
今思えば、休学している学生達も。 もしかしたら同じような状況なのかも知れないなどと、 どこか他人事のように思った。 ]
(70) はたけ 2019/03/15(Fri) 21時頃
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ああ、またか
[ 例の黒い針金――意地でも呪いとは言わない。 は、存在を意識してから尚更に 間隔を開けずに姿を表すようになった。
不定期にとはいえ日に何度も現れるものだから、 騒ぐこともなくなり。 ]
(71) はたけ 2019/03/15(Fri) 21時頃
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――……姉さん、ごめん またきた。水飲もうと思ったんだけど、 動けない。
[ 取って、と頼むために、 ここ最近では珍しくなったであろう大声を出して。 悠長な事だと自嘲する自分もいるけど。 ]
――ごめんね?
[ 久方振りに、甲斐甲斐しく世話を焼かれて 多幸感を享受できることを喜ぶ、自分もいた。* ]
(72) はたけ 2019/03/15(Fri) 21時頃
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[ あとからこの時のことを思い返すと、 きっと腹を立てるのだろう。 貴方にも、そして僕にも。 ]
うん
[ 後から起きるであろう事態を予測できないままで、 返事を投げる。 ]
ありがとう
[ 感謝の言葉こそ、大きな声で言うべきなのだろうけれど。 それをさせないのが、思春期というやつらしい。 ]
(90) はたけ 2019/03/15(Fri) 22時半頃
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………、ねえさん
[ 嗚呼、この人心から楽しんでいる。 世話を焼くのも勿論だけれど、 それを言われた、されたときの、 己の表情や言動すらも。 ]
ね え さ ん !
[ 二度目の呼び掛けにも、 姉はどこ吹く風である。 ああ、そうだ、そうだった。 姉はこういう生き物だった、と胸中でごちると 大きな大きなため息をひとつして。 ]
(91) はたけ 2019/03/15(Fri) 22時半頃
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別に手は不自由じゃないんだけど――…… あ、……それ避けて
[ 口を開く。 まぁきっと、我儘は流されるのだろうけど。* ]
(92) はたけ 2019/03/15(Fri) 22時半頃
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背に腹は代えられないからね
[ なんてどの口が言うのか。 上がる口角は嘘をつかない。
別にそういう趣味が在るとかいうわけではなく、 今はただ、 ]
( そんな楽しそうな顔されちゃ、なぁ )
[ その顔を一秒でも長く、見ていようと思ったから。 憶えるなら、こういう顔の方が、ね。 ]
(120) はたけ 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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こういう時くらい聞いてくれてもいいのに けち。…おに。おにばば。
[ そう言って昔どんな目にあったかは。 ……今は思い出さずに置こう。同じ目に合う可能もないではないが。 ]
(121) はたけ 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ 食事はつつがなく終了しただろう。 多少何某かのアクシデントはあったとしても。 ]
姉さん、あれとって。 机の上の、さんこう――………しょ…?
――……?
[ 喋りだしたのはきっと同時くらいだったのだろうが 僕の方は開いた口が塞がらない。 ぼんやり期が終わると、遅れ馳せの疑問を口にする ]
(123) はたけ 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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魔術師?なにしに?
[ 魔術師=治療=完治 という図式がまだ頭の上で成り立たない。 ただ、どうして?と、昔のままの仕草で 首を傾げた。* ]
(124) はたけ 2019/03/16(Sat) 00時半頃
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[ 笑顔なのに目が笑っていない>>130 ]
いいい、言ってない
[ あ、こんな時に限って利き手が動かない。 う、と唸ってぎゅっと目を閉じる。
軽い。――………軽い?! 衝撃を受けて ]
いってぇ
[ 子供みたいに、大げさに痛がって。 ――……思春期に入る前は、 いつもこんな様子だったな、 なんて過去に思いを馳せる。 ]
(153) はたけ 2019/03/16(Sat) 22時半頃
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[ 過去に思いを馳せたり、 恥よりも思い出を取ったり、
残すための努力をしていたものだから。 ]
………うん??
[ 理解を放棄した脳に浮かぶ疑問符を どうにかかき集めている間にも、姉からの 言葉は続く>>132 ]
――…治るもの、なの? じゃあ、義兄さんにも、父さんにも、 また会えるの?
(154) はたけ 2019/03/16(Sat) 22時半頃
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僕、姉さんの結婚式、出れる?
[ 口にしたそばから、こみ上げてくるものを 堪えてみたけど、堰が切れるのも、 時間の問題のようで――。* ]
(155) はたけ 2019/03/16(Sat) 22時半頃
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( いつかがもうすぐ来ただけだ )
[ ずっと、そう思っていた。 生まれつき人より脆いのは 己が一番知っていたから。
覚悟という程の覚悟はなかったから、 怯えて、恨んで、嘆いたりもしながら、
どこかで自分のことを蔑ろにしていた。 ]
(159) はたけ 2019/03/16(Sat) 23時半頃
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[ 握られる手に感覚はない。 持ち上げられてるのを見ても、 体の感覚と、視覚で捉えた光景の違いに、 戸惑うほどで。 ]
――……僕の式が先になるかと思ってた
[ 力が抜けてしまって、俯きながらそのままベッドへと横たわる。 ]
怒らないでよ姉さん、こわい
[ 布越しのくぐもった声を出しながら、 僅かに体を震わせた。 ]
(160) はたけ 2019/03/16(Sat) 23時半頃
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うん
[ 被せられた布団の中>>165で、もぞもぞ動く。 ふとんつむり。 ]
先にならなくて
――……よかった
[ 濁る音が、くずるように聞こえたなら それはきっと、気の所為です。 ]
(169) はたけ 2019/03/17(Sun) 00時頃
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おこってない?
[ 布団を捲る――勇気はないから、 このままで、問うて。 繋がったままの手をずるずると布団へ引き込んだ。 ]
……おこって、ない?
[ もう一度、聞いて。 布団の隙間から、覗き見を試みる。 ふっくらとした姉の体の向こうに在る、 金食い熊が笑った気がした。* ]
(170) はたけ 2019/03/17(Sun) 00時頃
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わかった
[ 外がざわざわと騒がしいのは、 来客のせいか、と一人納得して 布団からずるずると這い出る。 目が合った姉の表情の穏やかさに、 大いに安心した頃合いに、 魔術師がやってきただろうか。 ]
(175) はたけ 2019/03/17(Sun) 01時頃
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[ 症状や、現象を細かく説明し治療を受ける。 治療というよりは、呪詛払いが近い其れは なんとも言えない緊張感を伴った。
この黒針金は体中を逃げ回るように移動したため、 そっちにいったぞ、逃がすな、などと。
捕物を彷彿とさせた。
なんとかそれが終わると、痛む箇所や 違和感の残る箇所はないかと聞かれ、 首を振ると治療は終了だと告げられた。 ]
(176) はたけ 2019/03/17(Sun) 01時頃
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[ が。 ]
(177) はたけ 2019/03/17(Sun) 01時頃
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