172 ― 恋文 ―
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ゾーイが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、ホウイチ、ヒナコ、ワタヌキ、ナナオ、トヨタ、イスルギ、ハルカ、キルロイ、マユミの9名。
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[本日のおすすめ:かぼちゃのプリン コーヒーか紅茶をセットにすると100円引き]
(0) 2015/10/21(Wed) 07時頃
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[3dの吊り:ホウイチ[[who]]
襲撃:トヨタ[[who]]]
(#0) 2015/10/21(Wed) 07時頃
[3dの吊りふりなおし:トヨタ[[who]]]
(#1) 2015/10/21(Wed) 07時頃
[3dの吊りふりなおし:ナナオ[[who]]]
(#2) 2015/10/21(Wed) 07時頃
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━━ 『ラブ・レター』 ━━ [今日はちょっと遅くなってしまった。 稽古に熱が入って、気づけばこんな時間に。体はダルいし、頭も飽和状態。 それでも、ここに来てしまうのは、やっぱりここに来ると、癒されるからだと思う。
あと、何回これるだろうか。 部活の稽古がどんどん長引けは…
中に入るなり、]
マスター!こんばんは! 今日のおすすめは、なんですか?
(1) 2015/10/21(Wed) 09時半頃
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[と聞いて、いつもの席へ。
飲み物と一緒に、一通の絵葉書が。]
わ…キレイ。…これは?
[とマスターに聞くと、「応援団からだよ」と。]
応援団?
[もしかして、ラジオを聞いた人だろうか。 私はその絵葉書に、そっと視線を落とした。]
(2) 2015/10/21(Wed) 09時半頃
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[マスターに絵葉書のお返事を渡した後で]
(あれ?名前書いちゃったけど、いいか〜)
[ラジオを聞いての人だったら、ラジオネームを書けば良かったかな?と。 でも、書き直さなかったのは、きっと私の名前を知ってほしいと思ったからだ。
あんな素敵な絵をかける人は、どんな人だろう。
そう言えば、このお店の中にも絵が売られているけれど。何となく絵の雰囲気が似てる気がする。 もしかしなくても同じ人?]
(3) 2015/10/21(Wed) 09時半頃
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━━ また、ある日 ━━ [昨日は来れなかったけれど、今日は何とか来れた。 どんなに疲れてても、ここに来ると不思議と落ち着く。明日も頑張ろうって家路につける。
今日も飲み物と一緒に、手紙が添えられて]
わ……キレイなお手紙だ。
[かぼちゃのプリンと、コアントローコーヒーを飲みながら、その白い一筆箋を読み始める。
この一筆箋、どこで売ってるんだろう。 まさか、手作りだと見抜く目は持っていなかった。]
(4) 2015/10/21(Wed) 09時半頃
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[友達にも、家族にも言ったことのない心の内を吐露してしまった。 顔が分からない、誰だか分からない相手だからこそ、書けたのだろうか。 でも、相手は現実に居るのだ。そこが不思議で素敵な"つながり"だなって思う。
そして]
便箋を買おう……!
[いつまでもルーズリーフではいけないだろうと決心した。
この素敵な一筆箋が、輝いて見えたのだ。
まさか、昨日「名前の由来」を送った相手だとは知らずに。]
(5) 2015/10/21(Wed) 09時半頃
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――とある日のアトリエ――
[今日も素晴らしい秋晴れです。 山の上はすっかり紅葉の盛りで、色鮮やかな色彩が降り注いでいました]
[彼は珍しく、家の外に居ます。 足元には、山から降りてきた、野生のキツネが居ました。 数年前に餌をあげたら、懐いてしまったのです。 それから時々、ここに遊びに来るのです]
[車が上がってくる音がしました。 郵便屋です。 彼しか居ないこの山道を、ご苦労様です]
(6) 2015/10/21(Wed) 16時半頃
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[受け取った手紙は、落ち着いた藤色の便箋でした。 右肩上がりの大きな文字。 そこに刻まれた言葉に、彼の強面の顔が解けました]
[貴方のファン]
[いつでも、自分の作品を評価してもらえるのは、嬉しい事です。 彼は何度も何度も、じっくりと手紙を読み返します。 何往復もして、そして、評価の言葉に顔を綻ばせます]
[喜びをしっかりと堪能すると、彼はその手紙を、キツネに見せてみました。 食べられそうになったので、キツネの手の届かない場所から しっかりと、文面を示してやりました。 キツネは理解したのかどうなのか、首を傾げました]
(7) 2015/10/21(Wed) 16時半頃
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[偶には、外で作業も良いでしょう。 彼は、小さめの紅葉を拾い集めました。 絵具を練り、水分を含ませて ハガキに載せた紅葉の上から、霧吹きの要領で絵を描いていきました]
(8) 2015/10/21(Wed) 16時半頃
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――とある日のアトリエ――
[ここ最近、毎日遊びに来ていたキツネの姿が、今日は見えません。 野生ですし、こういう事はよくありますが その都度、少しだけ寂しくなります]
[そんな時に届いたのは、淡黄色の封筒と、小さな荷物でした。 封筒のあまりにも精巧な出来に まさか手作りだとは彼は気付きませんでした]
(9) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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[しかし、中の便箋を見て、首を傾げました]
[風花さん、とは、どなたでしょう。 山を少し降りた集落にも、風花さんという人は居ません。 間違い手紙でしょうか。 しかし読み進めていけば、人違いではないと分かりました]
[「ワタヌキ」を絵で表現する試みは、残念ながら失敗したようです]
(10) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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[便箋に、まるで印刷したかと思われるようなかっちりとした文字。 描かれた精巧な直角四角形の謎かけに、彼は考えこみ始めました]
[少し日が傾いてしまいましたが、答えが出ませんでした。 カラスの声に、はっと我に返りました]
(11) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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[思い出し、封筒と共に添えられていた箱を開きます。 目を、見開きました]
[絵が、本物になっていました]
[そういえば、納品した椅子の絵がありました。 幾何学的な椅子の絵は子供向けではありませんが お買い上げいただいたようです。ありがとうございます]
[一筆箋の文字も、まるでコンピュータのような正確さでした]
(12) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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[ミニチュアの椅子を一つ一つ丁寧に取り出します。 そっと持ち上げ、様々な角度から、じっくりと観察しました。 とても精巧なつくりでした。 そして、自らが描いた絵に登場した椅子が、几帳面に再現されていました]
[今日は、キツネが居ません。 自慢相手が居ません。 しかし気を取り直し、彼はまた、ミニチュアの椅子を手に取って 日が沈むまで、眺め続けていました]
(13) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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[夜になりました]
[山の夜は冷え込みます。 窓を開けると、凍えそうな冷気が吹き込みます。 しかしまだ、雪が降る程ではありませんでした]
[風花の季節まで、あと少しです]
(14) 2015/10/21(Wed) 17時半頃
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ーラブ・レターー
[男は相変わらず平坦で平凡な毎日を過ごしてしいた。 今日は、この間から置かせて貰うようになったレターセットの売れ行きをチェックする「仕事」で来ていた。
それぞれの色の減りを確かめ、少ないものはその場で発注伝票を切る。]
珈琲はもう少し後で。 仕事が終わってからのお楽しみにします。
[もうひとつお楽しみが待っている事に、男はまだ気づいていない。]
(15) 2015/10/21(Wed) 22時半頃
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— 喫茶店「ラブ・レター」 —
マスター、ここだけの話だ。 僕にはなりたいものがあった。
(16) 2015/10/21(Wed) 22時半頃
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マスターは今、なりたいものになれているか? そして僕は、なりたいものになれたように見えるだろうか?
少しはなれてるのかもしれない。 僕は真面目な奴にもなりたいと思っていたからね。 だが果たして、今の姿は昔の僕が望んだ姿であるのだろうか……?
(17) 2015/10/21(Wed) 22時半頃
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――マスター、珈琲を。……ブラックで。
[実の所、そう売れ行きが芳しい訳ではなかった。 この分では、「引き上げ」を命じられるかもしれない。 溜息が混ざる珈琲は、いつもより苦い。]
……?今日はコアントロー入れないのかって……マスターからそう言うのは珍し―――――え?
[彼の手にあるルーズリーフ>>1:5に目が釘付けになった。 そんなまさか。]
……コアントローを。
[上擦った注文の声に、好々爺の相好が崩れた。]
(18) 2015/10/21(Wed) 22時半頃
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[中学生の頃の記憶が蘇る。 授業中、先生の目を盗んで回されるルーズリーフの「手紙」。 男はいつも「中継地点」で、スタートにもゴールにもなった事はなかったが。 これは紛れもなく、自分がゴールであると示している。 注文が出てくるのを待つ間、ルーズリーフを開こうとする指が滑った。……指に脂がない歳なのだ。]
私と同じ味を……
[人生初めての「手紙」を小声で読み始める。]
(19) 2015/10/21(Wed) 22時半頃
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こっ 高校生?!
[書かれたプロフィールに、思わず腰を抜かしそうになった。 何だこれは。現実か。 女子高生なんて、神話の生き物から手紙を貰っても良いのだろうか。]
は、はんざいでは……
[ないだろう。たかだか文通で。 だが、それすら判断もつかないまま動揺してしまったのだ。 返事。 とにかく返事だ。 自社製品だが自前で払おう。
選んだ色は、彼女の名前から来るイメージで、薄い桃色。]
(20) 2015/10/21(Wed) 23時頃
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マスター、僕はこの間、生まれて初めて防音室をレンタルしたよ。 ピアノまで借りることが出来て本当に良かった。
やればできるんだ、やっていないだけだ、と少し前に僕は言ったね。 そう、僕は宣言どおり出来た……のかもしれないが……。
だが、他人から見たらどう見えるだろうか。 完成していないものを作ったところで、それは「出来た」と言ってよいのだろうか?
(21) 2015/10/21(Wed) 23時頃
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音楽をしようという人は、みな自信にあふれ、激しい感情を抱き、恐れるものなぞ何も無いとしている人ばかりだと思っていたよ。
僕の馬鹿げた思い込みだったのだろう。 この手紙を読んでいたら、そうとしか感じられなくてね。 それは、少しほっとすることだった。
(22) 2015/10/21(Wed) 23時頃
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……ふう。
[随分長く書いてしまった気がする。 彼女の読みやすい字に比べると読み難いかもしれないこの文字を、果たして読んで貰えるのか不安に思いつつも、出来上がった手紙をマスターに言付けた。
コアントローひとつで、珈琲の色が、世界の色が、変わったような心地だった。]
(23) 2015/10/21(Wed) 23時頃
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人の文字には性格が出るというならば、マスター、なぞなぞだよ。 初めは丁寧、だんだん雑、そして最後は薄くなる。 これは一体なんでしょうか?
(24) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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ち ち ち ちーん
(25) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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正解は……………………
眠い人が書いた文字です。
(26) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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小学生のころにさ、女子たちがあだ名をつけあっているのを聞くと、なんて楽しげなんだろうなあとうらやましく思ったものだよ。
うん、今は「椅子」なんてあだ名も、かわいげのある響きに聞こえてくる。言葉とは不思議だね。
(27) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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――「ラブ・レター」――
[今日も今日とて。 先の貼り紙、手紙の為とは、意識していなかったけれど この頃は、「ラブ・レター」を訪れる回数が増えていた。
この派手ななりでレターセットを買いに行く、という 己の羞恥心との戦いは、なかなか難易度の高い物に思えたが。 どこかの誰かの機転のおかげで、杞憂に終わり。]
どーも。今日は……かぼちゃプリン? 秋だねぇ。 じゃあそれと、いつものコーヒーと…… うん?
[ふと差し出された二通の手紙に、言葉を切れば]
わー。あんがと。誰からだろ。 意外と楽しいんだな、手紙って。ちょっと悔しいけど。
……この便箋も追加で、マスター。
(28) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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それにしても、性別をふせようふせようとしている僕も僕だが、彼女も一人ではないのかな? いやあ、ほら、筆跡があきらかに異なるから。
マスター、僕は答えが欲しいわけじゃないから、いいんだよ。ただしゃべりたかっただけさ。
(29) 2015/10/21(Wed) 23時半頃
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女子たちが、授業中や休み時間に交換していた、折り紙みたいな交換手紙も楽しそうだったよ。 まあ、内容は……知らぬが仏ってこともあるだろうけど……。
ルーズリーフの手紙をもらえるだなんて、あの頃に戻れたみたいでお得な気分だよマスター。
(30) 2015/10/22(Thu) 00時頃
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僕がこのお店に通い続ける限り、きっとこのお店にやってくる人たちに会い続けることが出来るんだろうね。 実際に話しかけるとかはしなくても……いや、もしかしたら、とっくに同じ空間にいたことがあるのかもしれない。 マスター、それはそれで楽しいものだね。
(31) 2015/10/22(Thu) 00時頃
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だけどマスター、僕はあの手紙は、自分の元に返ってくるんじゃないかとほぼほぼ確信していたんだけど。
そうか、そうなんだね。 ふーむ、これは申し訳ないことをしたな……。
(32) 2015/10/22(Thu) 00時頃
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……ということだから、マスター頼むよ。
(33) 2015/10/22(Thu) 00時頃
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そういえばマスター、僕は偶然知り合いを見つけて驚いたよ。 あの人もこっちにいるんだったね。
誰にどこで会うものか、人生とはゆかいな迷路みたいだ。 そう思うだろう、マスター?
(34) 2015/10/22(Thu) 00時頃
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――ラブ・レター――
[彼がこんな頻度で訪れるのは、とても珍しい事です。 ここ最近、連続して手紙が届きました。 そのせいで、人恋しいのかもしれません]
[今日のおすすめ、を指差して注文してみます。 ここで食事をするのも、久しぶりでした]
[幾つか、絵が売れていました。 椅子の絵と、花畑の絵。 小さな空白に、見慣れないものが、置いてありました]
[大人びたデザインの、レターセットです。 それは、先日自分の元に届いたものと同じでした。 藤色だけではなく、色は幾つか有るようです]
(35) 2015/10/22(Thu) 00時半頃
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[掲示板に目を向けると、イラストが貼ってありました。 そこには彼が、メモで絵を描いて貼っていた場所でした]
[絵は無くなり、別の絵が、そこにありました]
[彼は、ふ、と微笑みました]
(36) 2015/10/22(Thu) 00時半頃
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[今まではメモしか有りませんでしたが 今ならば、おあつらえ向きの便箋が、ちょうどそこに有ります。 シンプルなデザインだからこそ、絵を描くスペースも広く取れます]
[彼は、レターセットから 秋色を思わせる淡い茶色のものを購入しました]
[プリンを食べ終えると、店長から鉛筆とペンを借ります。 ベージュのレターセットに、淡い絵が広がりました]
(37) 2015/10/22(Thu) 00時半頃
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[机に向かいながら、ぽつんと零す。 マスターの耳がこちらへ向いていなくとも構わずに。]
気が付いたら、古株の方なのかな、オレも。
もう何年前だっけ。 初めてここ来て、コーヒー頼んだ時さ。 親父と喧嘩して家出してきたばっかで。
バレてっかな。八つ当たりで入ったんだよ。 くたびれた店のくたびれたジジイを馬鹿にしてやろうってさ。
どいつもこいつも世の中馬鹿ばっかりだって。 家に帰れば怖い姉ちゃんが二人待ち構えてるし。 おふくろは干渉してきてウザいし、親父は頑固だし。
居場所がなくて。じゃあ要らねえよってさ。 ……一人で生きていけると思ってたんだろうなぁ。
(38) 2015/10/22(Thu) 01時頃
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本当はね。 跳ね回る電子音より、緩やかなレコードが好きなんだ。
大勢の前、眩しい照明の中で声を嗄らして叫ぶより、 道の端で誰かの為に、小さな歌を歌いたい。
……何か、そういうの。 いろいろ忘れてたんだなって。
[手元の手紙に視線を落として。ふわと笑む。 「楽しい」を滲ませた、一通目の手紙に感謝を一つ。
返信の封をして。二通目は、さて、何色が良いだろう?]
(39) 2015/10/22(Thu) 01時頃
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―― ラブ・レター ―― [折角時間がとれて、ラブ・レターへとやってきたけど。 今日のわたしの心は雨模様だった。
今朝、父親と喧嘩になったのだ。
受験生なのに、どこをほっつき歩いてるんだ。 小遣いも使い込んで、遊んでる暇なんかないだろう。 そんな上の空で勉強がはかどるわけがない、なんだ全国模試のあの成績は。
そんな感じのことを、がみがみと。 期待してくれるのは嬉しい。でも… 勉強より、受験より、大切なことをしていると思っているから。 だからわかってほしかったけど。結局無理だった。]
(塾の時間、増やされちゃうのかな…)
[そうしたらもう、この喫茶店には来れなくなってしまう。 心配そうなマスターさんに、すみませんって小さく謝って。 わたしはかぼちゃプリンと紅茶を注文した。]
(40) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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[やがてやってきたかぼちゃプリンと紅茶。 スプーンでひとくちすくって口にいれれば、濃厚なかぼちゃの風味と、ほろ苦いキャラメルが広がった。]
…おいしい…
[ほっとする甘さ。 ほかほかと湯気のたつ紅茶を啜れば、心の中から暖まる気がして。
ふと、ルーズリーフのお手紙が添えてあるのに気づけば]
!!
[スプーンを口にくわえたまま、くわっと目を見開いて背筋を伸ばしてしまうあたり、なかなかに現金だな、と思ってしまう。]
(41) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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[ここ最近、学校が楽しい。 別段、学校での生活が改善した訳では無い。 相変わらず周りには怖がられてるし、教師の目も冷たい。
それでもそう思えるのは、手紙の返事を待っているからだろう]
あー、じゃ、かぼちゃのプリンと、ミルクティ。…砂糖多めで。
[手紙を待つ。 たったそれだけで、自分の世界は輝いていた。
だから注文したプリンとミルクティに手紙が添えられているのに気づくと、感極まってか眼尻から涙が滲んできた。
気付かれない様に――バレバレだろうけど――眼尻を拭って。
一口食べたプリンの味は、最高に美味しかった]
(42) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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――ある日のアトリエ――
[壁際に椅子のミニチュアが並び、秋の陽射しを浴びています。 椅子が入っていた箱の中や椅子の上に カードや便箋が載っています]
[一人だけのアトリエですが どこか明るくなったような気がします]
[庭の外まで来ていたキツネが 郵便屋のエンジン音を聞いて逃げ出しました]
[それは、馴染みの手紙でした]
(43) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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[病院に送る絵葉書には、いつも丁寧な返事が返ってきます。 「いつも娘の為に、ありがとうございます」 その手紙だけでも、少なくともあの時の小さな女の子はまだ生きているのだと 彼は信じる事ができました]
[いつも通りの、几帳面な字。 中に入った、便箋を取り出して]
[彼は、泣き崩れました]
(44) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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[幼くて弱々しかったあの女の子は 今もまだ、しっかりと生きているのです。 そして、しっかりと声を伝えてくれたのです]
[平仮名ばかりの幼い文字。 後半になればなるほど、崩れて読めなくなっていきます。 それでも、彼は、何度も何度も、その文面を目で追いました]
(45) 2015/10/22(Thu) 01時半頃
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[窓に並べられた、椅子のミニチュア。 その上に、また、載せられる手紙が増えました]
(46) 2015/10/22(Thu) 02時頃
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―病室―
……「ち」
……「ら」
[ベッドの上の彼女が、紙に二つの平仮名を書く。その様子を定位置から小さな少女が見守る。
書き上げられた平仮名は、どちらも線が交わっていて……]
「ちち」? ……ちがいます。これは「ちら」です。 ……ちちにみえます?
[不安げな様子の問いかけに、その気持ちを組んでか知らずかちち! と元気よく断言する少女。がくり、とベッドの上の彼女の肩が下がる。そして顔が手で覆われる。]
はぁ…はずかし……。
(47) 2015/10/22(Thu) 02時頃
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[手紙の返信に書かれた指摘をうけて、まさかと思い筆を取ってみたが]
……え? いえちがいます。 こっちのこれは「ちら」ではなく「さら」で……あぁっ……
[再度両の手で覆われた手の奥から小さく、ぎゃくだぁ、と呟きが漏れる。
齢にして10よりも年上のその肩を、少女の手が優しく叩いて慰めるのであった。]
(48) 2015/10/22(Thu) 02時頃
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[ペンを止めて、思案。 書き添えるか否か迷った追伸は。]
……マスター、あのさ。 あの絵、描いてるひとって。 すぐ連絡取れる? 今じゃなくてもいいんだけどさ。
[控え目に飾られた絵本と、水彩画に視線を遣って。]
(49) 2015/10/22(Thu) 02時頃
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[返事をあーでも無いこーでもないと考える。
貰った手紙の、『友達』と書いてある所を、指でなぞる。
その時湧き上がる気持ちを、手紙にぶつける。 自分の喜びを知って欲しくて。
そうして書き上げて手紙を見て]
……ちょっと重くないか?
[手紙を貰う前とは、また違った不安とドキドキで、頭を抱えた]
(50) 2015/10/22(Thu) 02時半頃
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[友達、と言い切るには、まだまだ浅い付き合いで。 けれど、何だか。いや。だからこそ、だろうか。]
最後の一葉、なんてね。 ……よくは分かんないけど。 そういうこと言っちゃ、そりゃあ。
俺も何かちょっと、こう、アレだし。 お母さんは余計寂しいよ。なあ、マスター?
[過去、散々母親を泣かしたことは棚に上げて。 肩を竦めれば、]
……うん? もう一通?
[忘れてた、とマイペースに差し出されたルーズリーフに目を丸くした。]
(51) 2015/10/22(Thu) 02時半頃
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……それにしても、なーなー、マスター。 和色? っていうのかなぁこの便箋。
けっこー好きなんだよねオレ。 あんまり、こう、目に痛い感じじゃなくて。 趣味良いよなー。店の雰囲気にも合うしさ。
……だから、似合わねえのは分かってるっつうの。
[いつぞやの柿のケーキみたいな自分の髪を一つまみ。 べえ、と舌を出して。少し前より晴れた顔で、笑った。]
(52) 2015/10/22(Thu) 03時頃
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[書き上げた手紙を見比べる。 どちらからも湧き出るまた手紙頂戴感。
……しょうがない。だって切れて欲しくないのだ。折角で来た繋がりが。どちらの手紙も素晴らしかったから]
…でも、実際に会ったら。どうなんだろうな。
[ぽつり浮かんだ疑問。 それを慌てて頭の隅に押しやる。 折角のいい気分が台無しになりそうだったから]
(53) 2015/10/22(Thu) 03時半頃
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マスター。お勘定。後この手紙…
[そこで気づく。 店の片隅に売られている色とりどりのレターセット]
……。
[自分の百均のみすぼらしいレターセットと、その大人びた色とりどりの美しいレターセットを見比べて]
……。
[結局、もう少しだけラブ・レターに居座ることになった]
(54) 2015/10/22(Thu) 03時半頃
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