人狼議事


270 「  」に至る病

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視点:


【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



[朝の、まどろみの中にいた]

 

(17) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

 

[こういうときは必ず、ママの夢を見るの]

 

(18) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 寝室 ――


[唇と唇が触れ合いそうになるほど近い距離で、
 確かに愛しい人の声がした。>>8
 私はパチリと目を開けて、じっとあなたを見つめたわ]


  ……違うわ。
  私は、ミルフィじゃない。
  あの子は眠ってる。


[いつもより大人びた口調で言うものだから、
 きっとあなたは驚いてしまったでしょうね]
 

(19) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  セイルズ。
  あなたは私がいないと幸せになれない。


[いつでも傍にいるわ。
 忘れないで、と甘い声で囁いた]


  ねえ、ちゃんと私の名を呼んで。
  ――クラリッサって。  


[妖艶に微笑んで――……]
 

(20) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



        [  暗  転  ]

 

(21) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……パパ。あと、5分。


[寝ぼけ眼であたしはそうパパに返すんだ。
 でも、いつもより何か肌寒くて、
 おかしいなってあたしは目を開ける。

 そこにはきっと、
 ちょっといつもと様子が違うパパがいて。
 
 あたしはまともに服も着ていない
 はしたない格好で、ベッドに寝転んでいる。

 真っ白だったはずのシーツは血に汚れていて。
 いつも本の香りが漂っているはずの寝室は、
 濃厚な精の匂いに満ちている]
 

(22) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  え、え、え。


[首筋をさすれば、牙で貫かれた数ヶ所の噛み痕。
 秘所に走る微かな違和感に、あたしはパパを見つめる]


  夢じゃ、なかったの。
  あたし昨日。本当に。パパと……。


[ふるふると身体を震わせて]
 

(23) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパ!


[まともに服も纏わないままに。
 思い切り、パパに抱きついてやるんだ]


  ええと、その。すごくよかった。
  また、今度、やろ。


[羞恥心に蓋をして、
 たどたどしい口調でおねだりをする]
 

(24) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ああ、もう!
 恥ずかしくって、
 まともにパパの顔も見られないわ!]*
 

(25) gurik0 2019/10/14(Mon) 22時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[わしゃわしゃと、
 子犬のように頭を撫でられた。>>40
 完全に、子ども扱いだ。

 情事の最中みたいに、丁寧に髪を
 撫で梳いてもらえるはずもなく。

 昨日の男らしいパパは
 いったいどこにいっちゃったんだろうなって、
 あたしは心の中で何度も何度も
 昨夜のパパの姿を思い返していた]
 

(43) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[あたしの知らなかった、パパの顔。

 きっとああやって
 ママのこともたくさんたくさん愛したんだろうな。

 いつもの理知的で温厚なパパからは
 想像もつかないような、激しさと雄々しさ。

 ねえ、パパ。
 今まで知らなかったパパの一面を知って、
 あたしはもっともっと
 パパのことを好きになっていく]
 

(44) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[あたしはパパの家族。
 娘であり、伴侶。
 だから、ずっといっしょ]
 

(45) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……パパも、きもちよかった、でしょ?


[つん、と額をつつかれれば
 大変だったと言うパパに
 こてりと首を傾げた。

 だって、昨夜はあんなにもパパも興奮していた。

 そうして返される「また今度」の言葉>>41
 あたしはぱあっと顔を輝かせて]


  うん、たのしみにしてる。


[今度の機会を想像しながら、パパに頬をすり寄せた]
 

(46) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……きゃ、
  もう、パパってば!


[ひょいとそのまま抱き上げられて
 風呂場へと連行される。

 なんだか昔に戻ったみたいで、あたしは上機嫌だ。
 ただ子供の頃と違うのは、
 昔は額にされていたキスの場所が、
 唇になったっていうこと]
 

(47) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  寝ぼけて……?
  なんの話?


[訳の分からない話に、呆けたように返す。

 風呂場に行く途中、
 写真立てに飾られたママの写真が目に入った。
 あたしはいつもの日課を行うために]


  おはよう、ママ。


[元気に朝の挨拶をする]
 

(48) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……ね。パパ。
  今日はいっしょにお風呂に入ってくれるの?
  昔みたいに。


[最後にふたりでお風呂に入ったのは、
 いったい何年前だっただろう。

 セイルズのあたたかな腕の中で、
 あたしは上機嫌に問いかけた]*
 

(49) gurik0 2019/10/14(Mon) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  うん、パパ。
  しっかり背中あわあわしてね。


[あまりにもパパがあたしを子供扱いするものだから
 思わず微笑んで、昔のように幼児語で返した。>>52

 ――気恥ずかしいのだろう。あたしも、彼も。

 そんなセイルズの変化が、
 あたしはいっとうに愛おしい]
 

(58) gurik0 2019/10/15(Tue) 02時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 朝餉 ――


[湯気を立てるティーカップに
 角砂糖を入れながら、
 あたしはじっとパパを見つめた]


  ……ママの、命日。
  

[小さく、鸚鵡返しに呟いた。

 ママがどうやって死んだのかも
 ママの墓地がどこにあるのかも
 あたしはまったく知らされていなくって]
 

(61) gurik0 2019/10/17(Thu) 02時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ママが生きていた頃の話ならともかく。
 
 吸血鬼と眷属の話題に次いで、
 ママが亡くなったことは触れにくい話題だったから。

 あたしは恐る恐るパパの様子を窺って]


  その……あたしはついていっちゃ、だめ?


[すこし不安げに、聞いてみたんだ]
 

(62) gurik0 2019/10/17(Thu) 02時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[パパとママが、
 どういうお別れをしたかは知らないけれど]


  あたしも、家族だから。
  ちゃんと手を合わせてあげたい。


[勇気を振り絞って、じっとパパを見つめた]**
  

(63) gurik0 2019/10/17(Thu) 02時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  やさしい……のかな。


[あたしは曖昧に微笑んだ。>>65

 会ったことのないあたしのママ。
 ずっとずっとママみたいな人にならなきゃいけないって
 化粧を真似して、髪形を真似して。
 きっと今は“本当に血の繋がった母娘”みたいに、
 あたしたちは似ていると思う]
 

(68) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[今でも、あたしはママの夢を見る。

 ママはさみしそうにあたしを見つめて、
 あたしの首筋に手を掛けるの。
 大好きなあたしのママ。
 どうしてあたしの首を締めるんだろう。

 苦しいって思った瞬間に、
 すうっとママの身体は溶けていって
 あたしの中に消えてゆく。

 きっと、ママも寂しいんだ。
 パパがママを失ってさみしいように]
 

(69) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ママの気持ちを考える。
 大切な人を残していく無念を思う。

 ママのことを考えて、考えて、考えて、
 あたしはママにならなきゃって思うんだ。

 パパのさみしさを埋めてあげられるように]
 

(70) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



 ("I am you, and you are me.")

 

(71) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[あたしはきっと、やさしくなんてないよ。

 お空の国に行ったときに、
 ママに家族って認めてもらえるのか
 不安なだけなんだ]*
 

(72) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 命日 ――


[十字架の立ち並ぶ墓地を、パパと並んで歩く。
 白い薔薇の花束をたずさえて]


  ここに、ママが眠ってるのね。


[パパの足が、ひとつの十字架の前で
 ぴたりと立ち止まる。

 十字架には「Clarissa」と、ママの名前が刻まれてる。
 生没年を見遣り、パパとママの歩んできた
 歴史の長さを知った]
 

(73) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……ママ。


[白い薔薇の花束を、墓地に手向ける。
 乾いた風が、あたしの亜麻色の髪を揺らした]**
 

(74) gurik0 2019/10/17(Thu) 10時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



[ざわり、と葉擦れの音がする]

 

(98) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  あなたは、どちらだと思うのかしら。


[振り返った私は、きっと大人びた
 曖昧な笑みを浮かべていたはずだわ]
 

(99) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  こう言い換えましょうか。

  あなたは私に
  どちらでいてほしいのかしら。

  ねえ、セイルズ。


[墓地に湿気た風が吹き抜ける。
 十字架の前に手向けられた白薔薇が
 さやさやと揺れた]
 

(100) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  私は何なのかしら。
  ミルフィの罪悪感が生み出したもうひとつの人格?  
  あるいは天に召されなかったクラリッサの魂が、
  哀れな娘の身体に取りついたのかしら。

  ……どちらでもいいわよね。この際。


[私は愛するセイルズに近付いて、
 昔のようにその唇を奪ってみせた。
 舌を絡ませ、熱を混ぜる]
 

(101) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[それは、初々しい娘の口付けではない。
 長き時間を連れ添った夫婦のような、
 こなれた接吻だった]


  セイルズ。愛してるわ。ずっと一緒よ。
  決してあなたを離さない。 


[うっとりと、私は伴侶を見つめて]
 

(102) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  きっと、私は病そのものよ。
  あなたにとっての依存症の具現化。


[一歩、セイルズから距離を取る]


  あなたがこの前、
  抱いたのはどちらなのかしらね。ふふふ。

 

(103) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  あなたがこの娘の生き血を啜って
  依存が進行するたびに、
  私はこの子の“表面”にあらわれる。

  今は少ししか出てこられないけれど。

  ねえ、きっとすぐに私たちは
  “昔のように”暮らせるわ。
  愛して、セイルズ。私だけを愛して。
   私
  “眷属”なしには、あなたは決して幸せになれないわ。


[きっと私が浮かべる笑みは、
 写真立てに飾られたあの写真のように
 慈悲深く、穏やかなものだ]
 

(104) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


  
  ああ、残念よ。セイルズ。
  今日のところは、これでさよならね。

 

(105) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ




         [  暗  転  ]


 

(106) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……パパ?


[ざわり、と葉擦れの音がする。

 湿った風が墓地を吹き抜ければ、
 そこに佇むのは、不思議そうに小首を傾げる
 無垢な顔をした少女がひとり]**
 

(107) gurik0 2019/10/17(Thu) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[私は、セイルズの言葉>>122
 大きく目を見開いたわ。

 ――ふふ、そう。
 あなたは私をそう捉えるのね。

 間違っていてもいいと言うのなら
 私から言うことは何もないわ。
 信じたいものを信じなさい。

 あなたが“私”を愛してくれるなら、それで
 それだけで。“あたし”は――……]
 

(133) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



[情熱的なその口付けを、受け入れた]

 

(134) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ざわり、と湿った風が墓地を吹き抜ける。
 あたしは不思議そうにパパを見つめている。

 なんでもない、言ううパパは>>126
 いつも通りに穏やかな笑みを浮かべている。

 白昼夢を見たような感覚。

 疲れてるのかな、あたし。
 ちょっと時間が飛んだみたいに、
 前後の会話がかみ合わない。

 なんだか口元が熱い気がして、
 あたしは自分の唇を指先でなぞった]
  

(135) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……うん。帰ろう、パパ。


[あたしとパパは連れ立って、歩き出す。
 自然と、パパと指と指を絡めた。
 親子が手を繋ぐように、夫婦が手を取り合うように。
 どんよりとした鉛色の空を見上げて、ひとこと]


  パパと初めて会った日みたいな空だね。


[ぽつりと、呟いた]
 

(136) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  お出かけ? うん、行く行く。
  でもお買い物だけじゃ物足りないわ。

  ええとね、たくさん行きたい場所があるの。
  遊園地でしょ。水族館でしょ。
  あと動物園も。それから――……


[パパと一緒に行きたい場所を、指折り数える。
 まるで、休日に遠出をせがむ子供みたいに。

 ――これじゃあ、いくつ休日があってもたりないわ!]
 

(137) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  好きなもの?
  そんなの決まっているじゃない。


[ひょい、と背伸びをして
 パパの唇に軽く口付けた]
 

(138) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパ、だいすき。**

 

(139) gurik0 2019/10/18(Fri) 16時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパ、本当に?
  約束だからね。遊園地も水族館も動物園も
  ぜんぶぜんぶぜーんぶよ!


[あたしはぱあっと顔を輝かせる。>>144
 これからの休日をどう過ごすかに思いを馳せて
 自然と足取りは軽いものになった]
 

(152) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパ以外?


[きょとん、とあたしは目を丸くする。
 それからパパの言葉>>147
 黙って耳を傾けたんだ。

 ぐ、と。
 あたしの手を握るパパの指先に、力が籠る。

 “愛している”>>148のひとことが
 あたしの中に強く強く響いた]
 

(153) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[しばらくあたしは
 曇天の街をパパとふたり
 家に向かって黙りこくって歩いていた。

 だって、どういう反応をしていいか
 馬鹿なあたしには分からなかったから。

 どきどきしたし、嬉しかったし、しあわせだった。
 だけど“愛している”を返すだけじゃ、
 きっとあたしの気持ちは伝わらないと思ったから]
 

(154) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ……ねえ、パパ。雨が降ってきたよ。


[小さく呟いて
 あたしは鉛色の空を仰ぐ。

 ぽつ、ぽつと雨粒が顔に当たって、
 頬を流れ落ちていった。
 ほら、これでもう
 泣いているのがバレないでしょ。

 結局、返すのはお決まりの文句だ]
 

(155) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



 "I’m so happy being your daughter."

 

(156) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[血は繋がっていないけど
 きっとあたしは
 パパの家族になるために生まれてきたんだわ。

 とっても愛してる。パパのことを。

 娘として、伴侶として、家族として
 あなたを愛してる。

 あたしに、愛することのしあわせを
 教えてくれてありがとう。

 ……愛してくれて、ありがとう]*
 

(157) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― それから ――


[長い、月日が経った。

 あたしの見た目の年齢は
 ちょうどママと同じ年嵩で止まった。

 穏やかで、しあわせな日々が過ぎてゆく]
 

(158) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[パパとあたしは、親子であり夫婦だった。

 週に幾度も身体を重ねたけれど、
 結局、あたしがパパの子を授かることはなかった。

 あたしが、いつ狂って死んでもいいように、
 パパの子供を産んで
 新しい家族を作ってあげたかった。

 けど、そんなに世の中はうまくいかないみたい]
 

(159) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

 
[ママの真似じゃないところが好き、って>>145
 パパに言われても、あたしは変われなかった。

 ママの真似をしてパパの助手になって、
 大学の研究を手伝った。
 ママのいなくなった穴を埋められるのは
 あたしだけのはずだから。

 仕事でも、家庭でも、
 あたしはいつでもパパの隣にいた]
 

(160) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[最近は段々と
 記憶の辻褄が合わないことが多くなっていた。

 朝食を食べていたはずが、午後になっていたり。
 夕方大学にいたはずが、夜ベッドの中にいた。
 あたしが、あたしでなくなっていく感触。

 あたしはいつまであたしのままでいられるんだろう。
 怖くて怖くて、堪らなかった]
 

(161) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[依存症という病は、
 ママの形をとって私に現れているらしい。
 正気のあたしでいられる時間は、
 どんどん短くなっている。

 ある日、目覚めると
 あたしは裸でパパのベッドの中で眠っていた。

 記憶がないというのに、確かに愛された痕跡があって
 首筋をなぞれば新しい噛み痕がある。
 熱を持った胎を、さする]


  ……パパ。


[生まれたままの姿で、パパに抱きついた]
 

(162) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパ。あたし“も”愛して。お願い。


[すがるように、祈るように。
 パパに身体を密着させる。
 そのぬくもりに、目を細めて]


  怖いの、パパ。眠れないの。
  えっちしよ。
  そしたら、怖いこと忘れられるから。


[読み聞かせをねだる子供のように、
 情事を迫ったりも、した]
 

(163) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[時には、カレンダーの日付が
 飛んでいる時すらあった。

 パパとあたしの幸せな日常は永遠じゃない。
 終わりの日が、きっといつかはやってくる。

 あたしは、カレンダーに赤丸をつけて
 「この日だけはあたしでいられますように」って
 毎年お祈りをするの。

 その日は、特別な日だから]
 

(164) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 朝 ――


  おはよう、ママ。


[写真立てに飾られた古ぼけたママの写真に、
 いつも通りに朝の挨拶をする。

 カレンダーを見遣って、安堵する。
 ああ、あたしはあたしでいられたんだって
 神様に感謝するんだ。

 パパを起こさないように
 足音をしのばせて台所へと向かう。

 今日は大学のお仕事がお休みの日。
 起こさずにゆっくり寝かせてあげたいし、
 サプライズでお祝いしたかったから]
 

(165) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



[だって。今日は、大好きなパパのお誕生日なの]

 

(166) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[小麦粉と卵と牛乳を目分量でボウルに入れて、
 たっぷりのお砂糖と共に泡立て器で混ぜた。

 型に生地を流し込んだら、オーブンの中へ。
 今度は冷蔵庫の中の苺を取り出して
 可愛いハート型に切ってゆく。

 生クリームをボウルでいくら混ぜても
 パパの作ったホイップクリームのように
 角が立たないけれど、
 見た目じゃなくて味で勝負だからきっと問題がないわ]
 

(167) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ほら完成。
 いつも通りにちょっと不細工な
 パパのためのお誕生日ケーキ。

 たくさんたくさんお砂糖を入れたから
 今年もきっとパパは喜んでくれるはずだわ。

 階段を下りてくる足音が響いてきたなら、
 あたしは満面の笑顔でパパを出迎える]
 

(168) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  Daddy, Happy Birthday!

 

(169) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  ロウソクがいっぱいで、
  ケーキが見えなくなっちゃったわ。


[パパと出会ってからの年嵩だけ増えた、
 ケーキの上のロウソクたち。

 クリームの付いた頬を、人差し指で掻いた]
 

(170) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ねえ、大好きなあたしのパパ。
 来年もあたしはパパを祝ってあげられるのかな。

 もっといっしょにいさせてくださいって
 毎朝、天国のママにお祈りしてるの。

 きっとママはやさしいから、
 あたしのお願いを聞いてくれるよね。
 パパが寂しい思いをするのを
 ママも見たくないはずって思うから]
 

(171) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ケーキの上にのったロウソクの1本1本に
 あたしたち家族ふたりの思い出が詰まってる。

 何年前はこんなことがあったねって
 小さな思い出まであたしは覚えてるよ。

 パパもきっと、同じでしょう?]
 

(172) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[大好きなパパ。
 いつまでもいつまでも元気でいてね。
 しあわせでいてね。

 それがあたしの願いです]**
 

(173) gurik0 2019/10/19(Sat) 03時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[とくん、と胸が高鳴る。

 いきなりパパに頬を舐められるなんて
 全然思っていなかったから、
 あたしは頬を押さえて固まってしまう。

 ちろりと唇から覗く蠱惑的で赤い
 パパの舌先に、心を奪われて]


  もう、パパったら。


>>199仕方のない人ね、と笑った]
 

(229) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  おうちのお砂糖はぜーんぶ使っちゃった。


[甘い方がおいしいもんね、と
 あたしは笑顔を浮かべながらパパに答える]


  買い出し? うん、行こ行こ!
  砂糖も、苺も買い足さなくっちゃ。
  あたしはパパの作る苺ジャムが大好きなの。
  

[最近は、朝に正気でいられない日も多くって
 パパの苺ジャムをトーストに塗って食べることが
 どんなに贅沢な幸せなのかって、
 あたしは改めて知ることになったんだ]
 

(230) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[それから
 ふたりだけの小さなパーティをした。

 ケーキを切り分けて、クラッカーを鳴らす。
 パパのお誕生日を祝いながら、
 他愛もない話に花を咲かせた]


  ごちそうさま。そろそろでかけましょ。


[今日は大好きなパパの誕生日。
 だから、最高の1日にしなくっちゃ]
 

(231) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[空はどこまでも澄み渡っていて、
 きらきらとした日差しが街路樹を照らしていた。
 木漏れ日の下を、パパとふたりで歩く。

 パパとあたしは、街の人からどう見られてるんだろう。
 きっともう親子には見えないよね。
 できたら夫婦とか――家族に見えていたらいいなって
 そう思うんだ。

 パパとあたしは、しあわせな家族。
 誰になんと言われようと、それだけは確かな事実で]
 

(232) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ




        [   暗  転   ]


 

(233) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 夢 ――


[あたしは、遠い昔の夢を見ていたわ。

 あのときのあたしは、まだ小さな6歳の子供で
 朝食をパパといっしょに食べていたの。
 大好きなパパの苺ジャムをたっぷりトーストに塗って
 ぱくりと齧りつく。

 楽しい話を、たくさんたくさんして
 パパと顔を見合わせて何度も笑いあった。
 昨日は学校でこんなことがあったんだって、
 他愛もない話に花を咲かせる。

 朝食を終えれば、大きなパパを見上げて
 シャツの袖をくいくいっと引いた]
 

(234) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  おでかけしよう、パパ。
  ね、お願い。
  今日はお仕事お休みだったよね。


[大好きなパパとおでかけがしたくって、
 一生懸命におねだりをした。
 こういうとき、やさしいパパは
 いつもあたしのおねだりを聞いてくれるんだ]
 

(235) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  あのね、今日はお買い物に行きたい。


[あの頃のあたしは、小さなスーパーですら
 パパと歩けば宝の山に思えた。
 ちょっと前まで食べるものにも困っていたから、
 詰まれたトマトの山を見るだけでもはしゃいだわ]


  お砂糖とー、苺とー。


[買い物かごに食材を入れて、とてとてと歩く。
 あたしがひとりでかごを持つの、と言い張ったら
 パパはとても困った顔をしていたっけ。
 お手伝いがしたかったのよね。あの時のあたしは]
  

(236) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[買い物を終えて帰るときには、
 あたしはすっかりくたくたになって
 歩けなくなってた。

 そんなあたしを見かねて、
 パパはいつも抱っこをしてくれたよね]


  パパ。


[あたしはパパの愛情をたっぷり感じながら
 ぎゅうっと抱きついて、
 穏やかな笑みを浮かべるんだ]
 

(237) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  大好きだよ。パパ。


[幸せな1日だった。
 とても、とても幸せで――……]
 

(238) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ

―― 覚醒 ――


[そうして、あたしは我に返った。
 気付けばあたしは家にいて、もう日が暮れている]


  ……ごめ、んなさい。パパ。あたし。


[何が起こったのか、瞬時に分かってしまった。

 近くにいたパパに駆け寄って
 泣きながら思い切り抱きついてしまう]
 

(239) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  せっかく、パパの誕生日だったのに。
  最高の1日にしなきゃいけなかったのに。
  ごめんね。あたし、駄目な娘で。ごめんね。


[正気を、保てなくなっている自分が
 憎くて堪らなかった。どうして、こんな大切な日に]


  たくさんたくさんお祝いしたかったのに
  もう夜になっちゃった……。


[悲しくて悲しくて、涙がぽろぽろ零れた]
 

(240) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  夢を、見てたの。
  6歳の頃のあたしに戻って、
  たくさんたくさんパパに甘える夢。

 
[涙をこすりながら、先程まで見ていた夢の話をする]
 

(241) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ふと、家の壁に貼られた
 黄ばんだ古めかしい画用紙が目に入った。

 ヘタクソな「パパの顔」がクレヨンで描かれている。
 いつかの誕生日に、あたしがあげたプレゼント。
 遠く過ぎ去ってしまった、幸せの残滓。

 あたしは、お決まりの文句を囁くの]
 

(242) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



 "I'm so happy being your daughter."
  
 

(243) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ



  パパの娘でいられて、あたしとても幸せよ。

  だから、あたしがどこにもいかないように、
  繋ぎとめて。お願い。


[最近は、そう言って
 情事をせがむことが多くなっていた。

 パパとまぐわっているときは、
 正気を保っていられたから。

 家族として“愛し合っている”って
 感じることができたから]
 

(244) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[本当はね。

 パパとえっちをして、血を与えれば与えるほど
 依存症が進んで、あたしという存在が
 すりつぶされていくって、分かっていたんだ。

 パパといっしょにいない方が、
 あたしの寿命が伸びるってことも。

 でもね、あたしという存在はパパの幸せのためにあって。
 パパの家族じゃないあたしは、あたしじゃないから。

 いつか終わるこの幸せな日々を。1分1秒を。
 大切に大切にして、あたしは生きていく]
 

(245) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[ねえ、パパ。

 あたしがあたしでいられるうちに
 たくさんたくさん、家族として愛し合おうね。

 あたしはとても幸せな、あなたの娘。
 伴侶にして家族]
 

(246) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

【人】 覆面嫉妬団 ミルフィ


[死があたしたちを別つまで、
 ずっとこうしてふたりで暮らしていこうね。
 愛しあって、仲良く、しあわせに。

 ――――約束だよ]**
 

(247) gurik0 2019/10/19(Sat) 23時半頃

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