278 冷たい校舎村8
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[ 喜多仲郁斗の死体が足元に横たわっている。 ]
(+0) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ (笑)(笑)(笑) ]
(+1) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ ごめーん、チョー嘘!マネキンだったね(笑) ]
(+2) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ 喜多仲郁斗は、元気だよ。 ]
(+3) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ いっくんはあーちゃんの居ない世界で、 大丈夫じゃないけど生きています。 ]
(+4) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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── 現実/自室 ──
[ 勢いよく起き上がる。 そして3秒間、静止した。
自分が見たもの。此処が自室であること。 今までの記憶は夢だった。っていうことを 理解するのに掛かった時間だ。 ]
っマジ無理なんだけどぉ!!
[ ダンッ。って、ベッドから出て床を踏む。 抜け出すときですらスマートフォンを握ったのは まさに依存症の証拠。現代っ子だからね。 ]
(+5) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ 自室を出て、当然リビングの灯りは消えてて 迷うことなく目指した扉を叩く。激しく。 ]
兄貴ぃ〜〜〜〜!!! めちゃめちゃコエー夢見たんだけどオ! もー寝れねえから映画見よ!? あのアニメのヤツでも良いからさァ!!
[ 扉の下に光は漏れてるんだ、白状しろ。 って、騒ぎつければ。 がしゃん。どん。……ごちん。って物音。 ]
(+6) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ 少しして、ノロノロと開く隙間からは 恨めしそうに郁斗を睨むコードまみれの兄。 ごめ〜ん、えっちな動画でも見てた?(笑) ]
なあ〜マぁジ無理な夢見た〜〜〜。 てか何見る?あ!ホラー以外な! 無理じゃん?今ホラー見っとかさあ。
[ 見ねえ。部屋戻れ。って苛立つ声を無視して 郁斗は勝手にベッドに腰掛ける。 仕方ないって感じで、兄はPCの前に座る。 静かにしてろ。ってだけ言って、背を向ける。 ]
(+7) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ ほんの少しだけ興奮していた。 夢の中の友達が生きていたので。 途中で死んじゃったヤツも居たけれど、 終わりまで生きてたヤツが沢山居るのは 正直な話、大金星だった。 ]
(+8) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ 朝まで漫画でも読むかなあ。って郁斗は思って 寝転がりながらスマートフォンを見る。
兄の部屋には漫画が詰まった本棚があって 時間をつぶすのには苦労しないのだった。
のだった、けれど。 ]
(+9) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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……どうしよ、兄ちゃん。 友達、自殺未遂したって。
(+10) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ PCの音だけが鳴る部屋で、 うわごとみたいに呟いた。
スマートフォンを見つめるその背景で 兄が動揺した様子で振り返るのが見える。
さっきまで無視したじゃん(笑)やーい(笑) っていつもなら言うけれど、 ごめん。それどころじゃない。 それどころじゃないんだよね。 ]
(+11) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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どうしよ、兄ちゃん。 ………どーしよ…。
[ 手の甲で視界を遮った。
夏美からの不在着信とメールは、 あの夢の記憶が共有されていたことを示していて。
それでもって、紫織さんが。
ライオンがどうとか、つまんない話しちゃった。 カッコワライはつかない。つけれなかった。 ]*
(+12) 2020/06/18(Thu) 23時半頃
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[ なんで謝るんだろう。>>1:1 ]
(+28) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 謝るくらいなら死ぬのをやめてほしい。
何で死ぬかって、原因の一言も書かずに 謝って、死のうとして、世界を作って。 そして追い出すのだから、我儘。
あと「許してくれなくてもいい」なんて まるで許すのが当然みたいな言い方 ぜんぜん気に食わないな。って思う。 ]
(+29) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ でも、郁斗は怒っていなかった。 怒る気にもなれなかった。 怒ったら死にたくなりそうだ。
あの時みたいに泣き叫ぶ気にもなれなかった。 いっくんは大人になりました。 まだ未成年だけどね。
騒いで正気を失う気にもなれない。 というか、寝起きなんで。だるいな。 全部夢だったらな。夢かも知れないな。 ]
(+30) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ そんな訳ないだろうな。 夢だったらもっと楽しいはずです。
あーちゃんも居ないし、 みんなも、まだ、死んでないし。 ]
(+31) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 指の下で文字がひかっている。 ]
(+32) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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── 現在:病院 ──
[ 兄の運転する車のドアを開ければ、 冷たい空気が流れ込んでくる。 一歩踏み出して、その中へ体を晒す。 ]
……帰るときまた電話する。 まー、寝てたら、タクシーで帰る。
[ わざわざ窓を開けて話を聞く兄は いっつも無視したり無下に扱ったりするのに 郁斗に対して結構過保護。かもしれない。
負い目だね。負い目だよ。 そーゆーとこ、ほんと親子だよね。 前言ってしばかれたので、言わないけど。 ]
(+33) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 寒い。外は寒い。 というか、病院に着いてしまって怖かった。 開いたシャツの首元を手繰り寄せる。
ダルそうなふりして心配そうな運転手が お前それ大丈夫か。って平坦に聞くから 素直に兄の視線を追ってしまった。
手首に痣がある。あーあ。 ]
はは……なんだろ…、 なんだろーね……。
[ 無数の手。小さな手に触れられる感覚。 臭い。音。……を、思い出す。笑う。 ]
(+34) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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あれはあーちゃんなんでしょうか。 あーちゃんじゃなければ、なんなのでしょうか。
(+35) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 顔色を悪くした郁斗を見て、それに対して、 兄はマフラーを投げつけてた。 寒いなら使えば。って、ぶっきら棒に言う。
かわいくねーツンデレ(笑)って、思う。 嘘。カッコワライつける元気は、無い。 ]
ありがとー。 ……じゃあ、行ってくる。
[ そう宣言したくせに動かないでいる弟の背を 兄はぞんざいに、勇気づけるように叩いた。 ]
(+36) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 正気になったら。 色んなことを考えてしまうので、嫌だ。 ]
(+37) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ あーちゃんのこと。ワタリさんのこと。 あと、あーちゃんのこと。
そういう、どうしようもないことを考えても、 苦しくなるだけだ。過去は変えられない。 事実は嘘にならない。 ]
(+38) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ 喜多仲家は矯正された。そこそこ幸せな家族に。 兄も母も父も、郁斗を大事にしてくれる。 喧嘩もするけど、ちゃんと気にかけてくれる。 なりました。普通の家族に。
なんで。って、あーちゃんのおかげだよ。 あーちゃんが死んだおかげ。だよ。
あーちゃんが死んで郁斗が病んで、 三人が何とか繋ぎとめようとしたからだ。 あーちゃんが死ななければ。 こんなに幸せになることはなかった。きっと。 ]
(+39) 2020/06/19(Fri) 23時頃
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[ あーちゃんはクソみたいな親に殺された癖に それをダシに幸せになっていいのか。って、 そういうことを考えると、 目の前が真っ暗になる。眩暈がする。
そのくせ、今だって 兄ちゃん優しーやったじゃん(笑)なんて この結果を喜ぶ自分が居るので、笑える。
あーちゃんが死んだことによって、 いっくんも全部全部不幸せになれればよかった。 でも違った。幸せになってしまった。 ]
(+40) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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[ 授業中眠くなったときとか、 つまんねー講演を聞いているときとか、 ふとした瞬間に正気に戻って考えて、 その度に死にたくなってしまう。
どうせその数十分後にはそんなこと忘れて 皆とバカやって笑ってるっていうのに。
バカやって笑ってる自分を冷静に見て 自己嫌悪して、忘れて笑って、 みたいなエンドレスはしたくないです。
どーせなら笑ってたい。笑っていたい。 ]
(+41) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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[ 持てるもの全部持って抱えて、 正気になりたくない。って思う。 可笑しいですか。
可笑しくても良い。……って、思ってた。 ]
(+42) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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あれはあーちゃんなんでしょうか。 あーちゃんじゃなければ、なんなのでしょうか。
夢の中のあーちゃんは いっくんがあーちゃんだって言うから、>>2:245 あーちゃんです。そういうことになりました。
チビだったり、同い年たっだり、 たまーに全然人間じゃなかったりしても、 夢の主があーちゃんって言い張るのですから、 あーちゃんはあーちゃんでした。
いっくんにはあーちゃんだって分かっていました。
(+43) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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でも、本当は。 あーちゃんなんて居ないのかもしれません。
居たけど、たしかに現実に居たけど、 もう、いっくんの傍には居ないのかもしれません。 じゃあ。本物のあーちゃんは 一体全体、どこに行ったんだろう。
(+44) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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……天国だったらいいなあ。
(+45) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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ハア?叩かなくてもよくねえ? チョー酷いんですけど。 寝ててもマジ叩き起こすから。
[ 寝起きにしたってテンションの低い郁斗は それでもなんとか、病院へ進んでいく。
もう嫌いじゃなくって、 もう嫌われてもいない兄を背にして。 ]*
(+46) 2020/06/19(Fri) 23時半頃
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[ え。てか、夜中の病院って怖くねえ?(笑) フツーに怖いんですけどぉ!! ]
(+47) 2020/06/20(Sat) 00時頃
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── 病院前/自動販売機の傍 ──
[ ホラーが苦手な喜多仲郁斗は 病院の前、および自動販売機の傍で、 コーンスープを握ってぼんやり立ってる。 ]
あーさむぅ……。
[ この寒さは確実に夢じゃない。 って心の中で断言して。
雪の降っていない世界で、待ってる。 ]*
(+48) 2020/06/20(Sat) 00時頃
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