97 wicked ROSE 【ハジマリの五線譜】
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切望と渇欲のCapriccio
第二楽章
]
(82) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[>>86大聖堂そのものが、響き始める。]
(90) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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"おいで"
"おいで"
"飲み込んであげる。"
[音とは、流れだ。 流れこんでくるパイプオルガンの音量を、 チェレスタが増幅する欲望の旋律が圧し塗り広げてのし上げて。]
(95) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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"塗り替えよう。"
"塗り潰そう。"
"先ほどのようには、いかないよ?"
[混ざり合うならば変質するが。 飲み込んでしまえば、パイプオルガンが導く音量さえ、 大いなる不協和音の一節に変わる。]
(96) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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『 それが欲しい 』 『 あれが欲しい 』 『 これが欲しい 』 『 どれが欲しい 』 『 欲しい 』 『 欲しい 』
『 欲しい 』
『 欲しい 』
(97) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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[欲望の奔流が大聖堂へ。
上下からの音流のぶつかりが、大気を真っ二つに分かつ。]
" うるさい "
[表情は微笑みながらも、声は冷たい。 双方の音に巻き込まれ、パイプオルガンの周囲、 大聖堂の壁に罅が入っていく。]
"大きな、がらくた。"
"邪魔だよ。"
[倫敦の街へ降り注ごうとしていた音を、絞る。
標的を大聖堂そのものへ。]
(103) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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"隠れていないで、顔を見せなよ。"
[ねえ、と狂想の相方へ首を傾げて同意を求め]
"じゃないと一緒に謳えないだろ"
[滅びへ向かう、終わりを。]
(104) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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[災いは空からやって来る。 終焉の訪れを高らかに告げる。
地上の人々は、音の波に揺れては大気を、 屈折率の変化し様々な姿を見せる空を見上げ、 おそれ逃げるものあり、 跪いて許しを請うものあり、 多くの混乱を招いていた。
彼らのような"大衆"には、見えない。 今抗いを示している大聖堂の姿は。]
(108) 2013/10/03(Thu) 01時半頃
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" 不完全な 旋律。 "
" 僕らの糧になって? "
[>>101大聖堂の音を、圧し、音流のあぎとがまるで、獣のように喰らいつく。
先端から、大聖堂を飲み込むかのように。]
(110) 2013/10/03(Thu) 01時半頃
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── 大聖堂上空 ──
"何を……"
[送った旋律が、変質させられる。 理解のできない力が、理解のできない音へと変えていく。]
"だめ。"
"イディオ、"
[>>117乱れを感じ、鍵盤を押し込む。]
(174) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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ぅ くっ……!
[ばちり]
["音"に弾かれ、駒鳥の指に亀裂が走る。 頬に、足に、紅の線が引かれていく。
もとは無垢だった南天の鳥の身のままならば、ゴートリンゲンがこれほど響く中に居続けていれば、砕けてしまっていただろう。 ロバート・グウェンドリンが人間であったからこそ、今の彼は生きている。
けれど人間だからこそ、その身は脆かった。 捻れた音が、脅威になるほどに。]
(175) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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" ぼくらの 糧に ────── ! "
[だが引かない。 引く場所も理由もない。]
" 静かに させる するんだ…… "
[駒鳥自身も、調律の狂った壊れ物《がらくた》に過ぎない。 チェレスタを調律することもできず、共にがむしゃらに叫ぶだけ。]
(176) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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" うるさい、 "
[わからない。 どうしてなのか、何故なのか。]
"うるさい、"
[わからない。 この音律を受け入れようと聴こえる返答が、わからない。 ただ頭のなかのゴートリンゲンだけが明確に叫ぶのは、]
(178) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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[なにをもとめている?]
" 求め そう "
[なにがほしい?]
"僕は、求めている から"
[どうやったらそれは、手に入る?]
"だから、 だから僕は────── "
[ゴートリンゲンに犯されてなお、求めるもののために此処にいる ]
(179) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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"うるさい……っ "
[裂傷走る手で、左耳を塞ぐ。 うるさくてうるさくて、うるさくて
" きみのこえが、 きこえないんだ "]
(180) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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[ リ ィィイイイイ イイィィィン ]
(181) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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[ 純白の鈴の音が、騒音を引き裂いた ]
(186) 2013/10/03(Thu) 23時半頃
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ぁ……
[>>162眼前に現れた、美しくも神々しい天使の姿に、 未熟な羽を震わす雛は息を呑む。 身を隠したくなるほど、その翼は麗しくも静謐な輝きを湛えていた。
周囲でちかり ちかりと瞬いているのは、真なる天使に平伏す星星の讃歌が欠片。 "識る"者であれば間違いなく頭を垂れるだろう、それは絶対の高貴なる光輝。]
(193) 2013/10/04(Fri) 00時頃
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"は い。"
[頷いたのが精一杯。 演奏を聞かず歌い狂っていた"イディオ"さえ、音を止めていた。]
…… "イディオ" "続けよ"……
[誘いをかけようと、震えを押さえて呼びかけていた。 が。]
(195) 2013/10/04(Fri) 00時頃
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[ >>191 よばれた、 きがして。]
(196) 2013/10/04(Fri) 00時頃
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………… いま、……
[謳う"イディオ"と返すパイプオルガンの音量に慣れた耳だったから、それが一つ途切れた一瞬だけ、懐かしい声を聞いた気がして。]
"カレン、"
"きみなの?"
[その音間も、すぐさま不協和音が埋め尽くす。 自身の呟きさえかき消す轟音を受け、聖堂の先端に立っていた身体が、ぐらりと揺れた。]
(200) 2013/10/04(Fri) 00時頃
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── 南天の狂奏曲 ──
[その日の事は、決して忘れまい。]
[ひとりが終わった、その日。
"きみ"と出会えた喜びを。]
(232) 2013/10/04(Fri) 01時頃
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── 南天の独唱曲 ──
[その日の事は、決して忘れられまい。]
[ふたりを裂かれた、その日。
"きみ"と別れた悲しみを。]
(233) 2013/10/04(Fri) 01時頃
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── 南天の夜想曲 ──
[内側から受ける侵食は、酷い苦痛を伴った。 戯れて過ごした穏やかな時間へ戻りたくて、けれど何を紡いでも、端から壊れ、壊していく。 耳にするものさえねじ曲がるほど、身の内側で"罅"く不協和音たち。
少しでもその苦痛を和らげるには、誰かを引きずり込むしかない。]
" ──── "
[鳥は"囀り"を覚え、ますますその"声質"を歪めていく。 拗れ、歪み、けれど鳥は、自らの命を絶つ事だけは願わなかった。]
(234) 2013/10/04(Fri) 01時頃
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"もう いちど"
[不協和音に囚われながら、願い続けた思い。 欲望を増幅させる音が相手だったから、それだけは狂いながらも手放さずにいられた求め。]
"きみに、"
[引き離された、あのけものを。
幸せをくれた彼に、 もうひと目でいい、 逢いたかった。]
(235) 2013/10/04(Fri) 01時頃
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[求めながら死し、魂は巡り。 永きを経て、血脈の末に再び命を得て。]
" あいたかった "
[願いが叶うその時、鳥の心はもう、殆どが霞んでしまっていたけれど。
その心だけは、虚構の中のひとしずくの"ほんとう"*]
(236) 2013/10/04(Fri) 01時頃
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── 現在/大聖堂の上 ──
" い でぃお、"
[涙する雫が、光にも見えた。]
(242) 2013/10/04(Fri) 01時半頃
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"なかないで"
[ゴートリンゲンは言う。 悲痛な叫びは、最高の協奏《ハーモニー》だと。]
"うたって"
[もう駒鳥は、うたえない。 うたおう、と言えない。 翼も身も、何より心に沢山の傷を負って。]
(246) 2013/10/04(Fri) 01時半頃
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[残る力で演奏を続けようと翼を震わせて、]
《 ────── ィイイィイイィィィィ 》
[空間が軋むような、 擦り合わされる硝子のような、
不快を催す気音が空気を劈いて。]
(251) 2013/10/04(Fri) 01時半頃
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[くちばしが、その名をかたどる。]
" ぼくは、"
[鳥は、天から墜ちた。**]
(253) 2013/10/04(Fri) 01時半頃
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